Title Author(s) Citation Issue Date URL 相対論的バンド理論による電子状態と磁性(第44回 物性 若手夏の学校(1999年度),講義ノート) 山上, 浩志 物性研究 (1999), 73(2): 328-353 1999-11-20 http://hdl.handle.net/2433/96736 Right Type Textversion Departmental Bulletin Paper publisher Kyoto University 講義 ノー ト 相対論的バンド理論による電子状態と磁性 東北大学大学院理学研 究科物理学専攻 山上 浩志 1 概 要 相対論は高エネルギーの分野だけではなく、物質の世界でもさまざまな顕著な効果を与えている。原子核の近傍に束 縛されたランタノイドやアクチノイド系化合物の 47及び 5/軌道には、相対論的効果が強く働き、電子状態や亀子分布 に特徴的な変化を生み出す。さらに、その変化は外殻の広がった伝導電子にも影響を及ぼし、固体のエネルギーバンド構 造に反映する。よく知られた相対論的効果のひとつにスピン ・軌道相互作用があるCこの効果は広がった電子分布をもつ 半導体の p バンドにも重要な補正をもたらす。このように相対論的効果は局在的な電子分布をもつf軌道に特有なもの ではなく、固体電子論の一般的な効果としてみなすことができる。また、磁性体の磁気的性質に関してもスピン ・軌道相 互作用を媒介としたスピンの自由度による軌道の自由度の制御に対する処方集を与える。 このサブゼ ミでは、固体の電子構造の第-原理計算として相対論的スピン分極密度汎関数理論とデ ィラックの相対論 的 1電子方程式を基礎においたバンド理論の定式化、及びそれにより解明される電子構造の特性を栢介する。ド ・ハー スー ファン ・アルフェン効果から得られたフェル ミ面の形状や角度分解光電子分光によるバンド構造の分散が 自己無撞着 相対論的バンド計算によりはじめて説明できる場合が多い。いくつかの化合物に関する解析結果を紹介する。 f電子系 の磁性化合物は、多くの場合、軌道モーメン トがスピンモーメン トよりも大きいため、3d電子系とは対照的に J電子系 の液性は軌道モーメン トが支配的である。相対論的アプローチによるスピン及び軌道モーメン トの基本的な性質を説明 するとともに、ノンコリニア-な磁気構造をもつ化合物に対する相対論的バンド理論の一般化にもふれる。 第 1軒. は じめに 物質の特性 、特に固体におけ る電子物性はその電子状態 を基本にして理解できる。バ ン ド理論は固体の電子状態を記 述す る基本的な考え方 ・方法を与える。現実の結晶構造を考慮 した電子状態の計算には コンピューターに よる数多 くの数 値計算方法や 工夫が必要であ るために 、計算物理の一つの分野 とみなす こ とがで きる。現在 のバ ン ド理論の特色は 、原 子の種類などの少ないパ ラメー ターを指定す るだけで 固体の電子状態を決 める第一原理計算 を行 うことで あ る。 これ か ら導かれ るい くつかの物理量は実験の観測量 と定量的に比較す ることがで きる。そのため、計算で使 う基本的方程式な どに含 まれ てい る物理の正当性 を判定で きると共に、さらな る理論の改良の情報や新 しい物理を提供 して くれ る. ここで 、完全周期性を もつ固体の電子状態の第-原理計算はまず以下の二つの基本原理の もとで成 り立 ってい る。 1.固体 を構成す る原子核 と電子のなかで 、原子核の運動による電子系-の効果は断熱的に取 り扱 うことが でき ( ボル ン ・オ ッペ ンハ イマー近似 )、原子核及び それ に束縛 され たコア電子か ら定義 されたイオン系 とそれ 以外の価電子系 の満たす方程式 を分離す る。 2.基底状態におけ る固体は原子が規則的に周期的に並び一 、よく知 られ たブ ロッホの定理か ら結 晶の全体の電子状態は -つの単一格子での電子状態の計算に簡約 され る。 このサブゼ ミでは 、固体の電子状態を求めることは 、クー ロン相互作用に よる多電子系 としての多体効果を考えるこ と、結晶構造や波動 関数の重な りと混成に よるバ ンド効果を求めること、デ ィラックの相対論的方程式か ら生 じる相対論 的効果の要素か ら構成 されてい るもの と考える。固体の電子状態を第-原理的な手法で計算す るには 、まず 多電子系の取 り扱いに何 らかの原理 ・方法が必要である。その基本原理 を密度汎関数法にお く.バ ン ド理論による計算 と言えば 、ほ と んど密度汎関数法を基礎に してい るO この原理は多電子系における基底状態の全エネルギーは電子密度 n( r )の汎関数に よ り決め られ るとい うもので 、それか ら定義 され る 1電子方程式は現実の複雑な系の電子状態を簡便な形で計算す るこ とがで き、かつ実際に多 くの系の電子状態や さまざまな物理量の計算に応用 されてい る.( 現在では コンビニ-クーの計 算速度の向上に より、多電子系の問題 を固体の電子構造の特性 を考慮しなが ら計算す る研究が進め られ てい るが 、ここで 取 り扱 う主題 を超 えるので取 り扱わないo)3dの遷移金属などの磁性体に対 しては 、電子 スピンに よる分極効果 を含む よ うに拡張 され 、その全エネルギーは 自由度が増えた ことに対応 して電子密度 と磁化密度の汎関数 2として定義 され る。 相対論は高エネル ギー物理学に特有の現象 と考え られ てい るが 、固体の電子状態において も重要な変化 を与え るQ 固 体中の電子は大きな原子核 、及び 遠心力ポテンシャルの競合に よ り原子核のまわ りに束縛 され る.そのため 、光の速度 に匹敵す るぐ らいに電子の運動エネル ギーが大き くな り、相対論的効果が 固体 中の電子に働 く。 この原子核のまわ りの 束縛領域で相対論的効果が顕著で あるが 、内側の波動 関数の変化が クー ロン相互作用を通 して外側に広が った電子状態 に対 して も無視で きない影響 を生 じる。 さらに、相対論的な枠組みはスピン分極はスピン ・軌道作用 を媒介 とした軌道 1 enl i1addr a e s s:yamagam i @cnpt Ol・ phys・ t ohoku. ac・ J P 2この定義はアッ プとダウンスピン密度として定義することと等価である。 - 28 3 - 「第4 4回 物 件若手夏 の学校 」( 1 9 9 9年度 ) 自由度の制御 に対す る処方集を与え る。有限な軌道モー メン トをもつ磁性体の磁気的性質を理論的に計算す るためには 重要である。 固体の電子状態の第-原理計算法 として 、この よ うな相対論的効果や スピン分極及び軌道分極効果 を含むバ ン ド理論 の定式化 とそれ に よ り解 き明か され た電子構造の特性 を紹介す る。密度汎 関数法を相対論的スピン分極系に拡張 し、こ れ を内部磁場に よ りj- e士1/2の状態で結合 したデ ィラ ックの相対論的 1電子方程式を導入す る。電子状態や磁性 を決 める基本的方程式 とす る。周期律表での 47軌道を含む ランタノイ ド系や 5才軌道 を含むア クチ ノイ ド系の孤立原子系の 計算か ら、その方程式に含 まれ る相対論的効果や磁気的性質 を明 らかにす る。特に磁気的性質で注 目す る点は 自己無撞 着な計算か らそれぞれ のイオンの基底状態の全軌道角運動量 Lと全 スピンモー メン トSが フン ト則 に従 うことが導かれ ることであ る。次に、その方程式を基に したバ ン ド理論の定式化 を解説す る。 ここでは、相対論的スピン密度汎 関数法 を基に したバ ン ド理論のひ とつで あ るスピン分極 した相対論的 LAPW 法 を紹介 し、さらにスピン量子化軸が一定にそ ろっていない ノンコ リニア-な磁気構造をもつ化合物に対 して も計算で きるバ ン ド理論の拡張に もふれ る。相対論的バ ン ド分散が 自己無撞着な計算に よ り求め られ る。金属であれば 、その分散は固体の種類に依存 した さまざまな形状を も つフェル ミ面を作 る. ド ・ハースー ファン ・アル フェン ( dHvA)効果に よる軌定はこの形状を定量的に比較で きる実験の ひ とつである。最近の高分解 の光電子分光の測定によ り、フェル ミ準位以下のバ ン ド分散 の様子が鮮 明に観測 され 、相 対論的バン ド構造に よ りはじめて解 き明か され る場合 もあ るO相対論的バ ンド理論による 3 d電子系の BCC鉄 とい くつ かの ウラン化合物におけ る最近の計算結果を紹介す る。中性子回折の測定から観測 され る磁気モー メン トの比較に よ り、 スピン分極 した相対論的バ ン ド理論の到達点の現状を示す。 第 2節では相対論的バ ン ド理論の基本的理論である相対論的密度汎関数法を導入す る。第 3節で 、相対論的スピン密 度汎 関数法か ら導 出 され る 1電子方程式による相対論的効果 、電子状態や波動 関数の性質 、磁気的性質を原子 とイオン 状態の計算結果に よ り詳 しく解説す る。第 4節では 、相対論的バ ン ド理論においてスピン分極 の生 じた場合の相対論的 LAPW 法を紹介す る。 さまざまな磁気秩序をもつ化合物の電子状態 と磁気モー メン トの計算ができるよ うに、その相対 論的バ ンド理論を ノンコ リニア-な系-拡張す るための理論を紹介す る。最後の第 5節で実際のバ ン ド計算か ら得 られ た電子状態 と磁性 についての最近の結果 を紹介す る。 第 2軒. 相対論 的密度汎関数法 Ra j a g o pa l と Ca ll a wa yの論文 【 1 ]に従い 、外部のスカラーポテンシャル T ( e x t ( r)と外部磁場 Be x t ( r ) ( - ∇ ×Ae x t ( r ) ) の下で相互作用 してい る電子系を記述す るスピン分極 した相対論的 1電子方程式を導出す る。量子電気力学の形式にお いて 、相対論的ハ ミル トニアン か ま4成分の電流演算子 ( A( r ) , ∫( r ) )に よ り記述す ることがで き、その基底状態の平均 エネル ギー l せ)は場の演算子 i ) ( r )を用いて次のよ うに記述 され る。 E -( 相 中,-( 痛 q)I/ dr[ ve -( r )n( r )-…i e-( r,・ J( r )] ( 1 ) その際 、電子密度 n( r )と電流密度 J( r )はそれぞれ n( r )- ( 哩 ( r ) I Q r )-( 叫が ( r ) i( r ) L q l ), J( r )-( 叫5( r ) l O)-( 叫ii t ( r ) C βαi( r ) 悼), と定義 され る。αと βは標準的なデ ィラックの 4 ×4の行列演算子を表す [ 2 , 3 ] .ここで 、血 は相対論的運動エネルギー 、 電子系の クー ロン相互作用 、柘射場のエネル ギー 、電子 と横成分の帝射場 との相互作用か らな る内部 の相対論的ハ ミル he n be r g Ko hnの定理 【 4 ,5 】が この形式に一般化 され 、次の 2つの定理が証明 され た 【 1 ,7 】 。 トニアンを意味す る。Ho ●すべての基底状態の性質は 4成分の電流密度の一義的な汎関数で表 され る。 ●全エネルギーは外部場に関連 して基底状態の密度で最小にな るC r do n分解 【 1 0 ]に よ り実際の観測可能な物理量に分解す ることがで きる。数学的には電流の よ うなベ ク ト 電流密度は Go ル量を 2階のテン ソル とスカラーの導関数の量に分けることを意味す る。非相対論的極限では 、この 2階テン ソル に関し てはスピン密度の外積 を、スカラーに関しては 3次元の電流密度に対応す る。その結果 として 、基底状態のエネルギー の表式は E - ( 抽 阿 / d r l . ve x t ( r ) n( r ,・Be -( r , -8 ( r ,一三Jo r b( r)・Ae d( r,] , - 329 - ( 4) 講義 ノー ト とな る。 スピン磁化密度 ms ( r )は I L B の単位で次のよ うに定義 され る。 ms ( r )-( 叫が ( r )βqi ) ( r ) l q l ), ( 5 ) ただ し、0 -はパ ウ リ行列である。J。 r b( r )は軌道電流を表 し、それ は次の よ うに定義 され る。 r ) 去輔 Jor b( ( ( r )β 拍 r)。 β鍬 r)] † i( r) I g) I ここで 、m は静止質量で 、i iは外部か らの輯射場 と内部の帝射場の横成分か ら作 られ るスカラーポテンシャル ( 6) A( r )を 含む運動量演算子 i iニーi h ∇ -e A( r ) / Cであるo考えてい る基底状態が定常状態であるために、スピンに属す る分極の 4)か らその項を省いてある。 時間に関する微分項は基底状態のエネルギーに寄与しないために、式 ( hoの期待値 ( 叫 和 せ)は 1電子デ イラックハ ミル トニアン 密度汎関数法に従い 、 Hs - d rit ( r )(C α・ p +(β-I)mc hs i( r ), 2) ( 7 ) を用いて、 ( 抽 I g)- ( 抽 阿 +/ dr/ d r ′管 +Excl n( r . ) , -a ( r ) ] 笥 ( 8) と書かれ る。そこで 、Cは光の速度 ( -274・ 07 2) 、pは運動量演算子 、Jは 4×4の単位行列を意味す る。式 ( 8)の第 2項 cとして第 3項 目に示 してい る.軌道分極 目はハー トリーエネルギー、その他のエネルギーは交換 ・相関エネルギー Ex による観測可能な物理量 として、軌道密度 me ( r )-( 叫声 ( r )βC4 , ( r ) [ 0), ( 9) を考えることがで きる。ただ し、e ^は e ^-rxpの軌道角運動量演算子を意味す る。 この分極効果が交換 ・相 関エネル ギーにあらわな影響を及ぼ しているな らば 、Ex cは n( r ) 、mS ( r ) 、me ( r )の汎関数で記述 され る.バン ド計算のコ ミュニ 6 ] 。 しか し、n( r )と ms ( r )以外の関数を用 テ ィーではこの軌道分極効果を現象論的に取 り込んだ計算が行われてい る [ cのあ らわな表式が現在の ところ存在 しないので 、式 ( 8)の Ex cでは n( r )と ms ( r )の汎関数 として理論を展開 いて Ex 7 ,8,9 ] 。 す る。その他の汎関数を用いた一般化は可能であ り、特に軌道電流などによる展開は興味深い [ 式( 4 )のエネルギーを N電子系を保つ よ うな束縛条件 、 d rn( r )- N , ( 1 0) / の下で場の演算子 i ) ( r )の基底関数 pt ( r )に関して変分を行 うと、 l hspD - E i]p i ( r )- ≡/ d瑞 賢 ・ Aed( r ,, ( l l ) のよ うな 1電子デ ィラック方程式が得 られ る。 ここで 、HspD はスピン分極 したデ ィラックハ ミル トニアン、 i isp,- C α・ p+( β-I)mc2 +V(r)+βO-.B( r ), ( 1 2 ) であ り、Ⅴ( r)と β( r)はそれぞれ スカラーポテンシャル l n ( r ) , mS ( r ) ] 6Exc ( r , I/d r , T 讐 「+ 6 n ( r ) V( r ,- ve x t ( 1 3) と磁場 B( r )- B。 x t ( ∫)+ ∂ Ex c [ n( r) , mS ] 6 m3 ( r ) ( 1 4) で定義 され るO式 ( l l )の最後の項は Es c h igl r 7 ]によ り詳 しく調べ られ 、それは非局所的な反磁場効果を表 している。 こ l l )は Ma c Do n a l dと Vo s k o【 1 1 ]により提案 された局所的なスピンのみのデ ィラ ッ の項を小 さい として無視す ると、式 ( ク方程式を導 く。 - 330- 「 第44回 物件 若 手夏 の学校 」 ( 1 999年度 ) 外部碇場が Be x tとして一様な場であるな らば 、ベ ク トルポテンシャル Ae x t ( r )は Ae x t ( r)- ( Be x txr ) /2と関係付 けることができ、式 ( ll )は次の よ うな局所的な方程式に簡約す ることができる、 [C α・p+( β-I) mc 2 + V( r ) +βq・ B( r ) ・ 孟( B e ×r ) 2l E i ] p i ( r ,-0 ・ 再・ Be x t ・ ( 1 5) 2 'は軌道角運動量演算子を意味す るOこの導出において 、内部の輯射場か らの寄与は小 さい もの と仮定 して 、A( r)を Ae x t ( r )と置き換えた。重要な点は外部磁場 Be x tがない場合 、Excが n( r)や ms ( r)の汎関数で定義 されているかぎ り、 スピンのみのデ ィラック方程式か ら自発磁化を持つ系の基底状態が決定 され る。 式( 8)で定義 された Ex c l n( r) , ms ( r) ]の厳密な表式は与えられていないので、通常は局所密度近似 Ex cl n( r) , ms ( r ) ]- / drn( r)Ex cl n( r) , ms ( r) ], ( 1 6) を使い、式 ( 1 3)のスカラーのポテンシャルや式 ( 1 4)の内部磁場の式を導 く。その際、E x c l n( r ) , mS ( r ) ]は密度 n( r )とス ピン磁化密度 ms ( r)に関する-様な電子ガス系での 1粒子あた りの交換 ・相 関エネルギーの表式で置きかえるO交換 ・相 11 ,1 2,1 3,1 4,1 5 ] 。交換 ・相関ポテンシャ 関ポテンシャルにおける相対論的補正は量子電磁気学を基に調べ られている [ s( -( 3/ 47 T ) 1 / 3 n( r ) -i / 3 )に対 して C2 と r S -3に比例す ることがわ ルの相対論的補正は光の速度 Cと密度パ ラメーター r 1 4,1 5 ] 。原子や 固体における電子密度では 、運動エネルギーに含まれ る相対論的効果 と比べて無視できるほ かっている 【 ど小 さいので、実際の電子状態の計算では非相対論で見積 もられた交換 ・相関ポテンシャルが よく使われ るCい くつかの 交換 ・相関エネルギーの表式が e x c l n( r) , mS ( r) ]の導出に依存して提案 されてい るが 、ここでは vonBa r t hと He di nl 1 6 ] による交換 ・相関ポテンシャルの表式を使 うことにす る。 孤立原子系での相対論的効果と磁気的性質 第 3軒. 前の節で説明したスピン分極 した相対論的方程式を孤立原子系に適用 して、それか ら得 られ る相対論的効果 と磁気的 性質を明 らかに してお く。特に、 4 f及び 5 f軌道について話を限定してお くことにす るC §3. 1 動径波動方程式 固体での J軌道は 、大きな原子核ポテンシャルの引力の効果 と遠心力ポテンシャルのつ りあいに よる束縛効果により、 孤立原子系 と同様に原子核近傍に大きな分布 をもつ。そのために 、J電子系の磁性的性質は局所的で 、かつ原子の よ う な孤立系の性質をかな りた もってい るC相対論的効果における 1次の効果は光の速度に反比例す る微細構造因子 αの二 乗に比例 しているので 、直接的な相対論的効果は大きな電子密度の ところで しか主要な寄与をもたない。そのため 、 f 電子の孤立原子系における相対論的効果 と磁気的性質を紹介す ることで 、これ らによる定量的な効果を明らかにしてお くこと。最初に、孤立原子系の場合の動径波動方程式を導 く。 式( 1 3)の外部のスカラーポテンシャル を原子核の中心力ポテンシャルに置き換えることに より、その波動関数の満た 1 3)の方程式は動径方向の微分方程式に簡単化す ることができる。内部磁場の効果に開度を す空間は球対称 とな り、式 ( x tをゼ ロと置き、スピンの量子化軸を Z方向に設定してお く。スピン分極 した場合 のスピ 集 中したので、外部磁場を Be ンと軌道の角度成分を表現す る基底関数 として 、磁場のない 1電子デ ィラック方程式のスピン ・軌道対称性 を正 しく表 m)と球面調和関数 現す るスピンー 軌道角度関数 xだを使 う。それはスピン関数 x( x だ -∑ m -士1 /2 Y e m( ヂ )の線形結合に より、 C( e 去j・ p--, -)r e p --( r h ( -) ( 1 7 ) で定義 され る [ 3 ]oその結合係数 C( 鰯 ‥F L-m, m)はクレブ シュゴ ルダン係数である。 スピンに依存 したポテンシャ ルにより全角運動量 jの Z成分 I Lとパ リテ ィが同じ動径波動関数の間で結合が起こるC近似をして 、同じ軌道角運動量 eをもつ異なった 2つの j- e土 書状駄 文は r c量子数 【 3 ]で , '-+B a n d-e-1の間での相互作用を考慮す る。 この近 似では 1 / C2 の次数の項 3を無視 したことにな る r t 1 7,1 8,1 9,2 0 ] . 3J e nk i nsらはそれ を超えた次数での結合を含めた 1サイ トでの散乱理論を展開した 【 21 】 。 - 3 3 1 - 講 義 ノー ト この場合の相対論的波動関数は次のよ うに定義 され る : 鴫 ( r ,-三(i f g K a K ;: ( ' , r 選 . 'l ? f ! _ a K :_l i : p ' ( r コ, x xp -KIl l I K ( 1 8) ) + d1か [d lか 「dLldr A rd F L ここで、相対論的電子論では動径波動関数 9 ㍍( r )や 9竺K -1, p( r )を波動関数の大きい成分 と言い、動径波動関数 f K a . P( r ) やf _ a K _1 , p ( r )を小 さい成分 と呼ぶ。非相対論的極限 ( C→ ∞)では、小 さい成分は大きい成分の導関数の性質をもって いる.スピン分極 した結合デ ィラック ( s pi npol a r i z e dc oupl e dDi r ac : SPCD)方程式は リュ- ドベルグ単位 ( A- 1, m 1 / 2, C2 -2 , C -27 4. 072)を使い K量子数で次のよ うに記述 され る。 - r C ㍗ Eα-V( r)+B( r ) J竺K,_a gK a( r )- 1十 c f K C k ( r )-0, 一 + 1 , K ; ] c ) I 十 f K a( r lEa-V( r)-B( r) 項 芝( rト A . +l Eα - V( r )+B( r ) ga _a _1 ( r )r K + 1 c t K _1 ( r )+ E γ cf_ α - ( 1 9 ) 1 B( r ) JK P , 一尺 -9㌦ 1 ( r )-0, J K P+1 f三㍍_1(r)- 0, c V( r )-B( r) qK P . a9 ㌔1 ( r )- B(r ) q 竺 K_1, K g K a( r )-0・ ( 2 0) ( 2 1 ) ( 2 2 ) 動径波動関琴の F L依存性はここでは省略して書いてある。V( r )は式 ( 1 3 )の球対称なスカラーポテンシャルで 、B( r )は 式( 1 4)の交換 ・相関エネルギーか ら導出された内部磁場の Z成分を表す。式 ( 1 9 ) ( 2 2 )で使われ た係数 qK P , a ,は パ ウ リ のスピン行列の Z成分 Jzにおける ( r c I L )状態 と ( f C ' F L ' )状態との間の結合の大きさを表す。その関係は ・ - x = , ,-q K P K ,6ppt- ( : 缶 …: ::≡K -a-1 , ( 2 3, として定義 され る。ただし、付加的なパラメーター u叫 は u ( 2 4 ) J t F L= である。( e p)状態の動径波動関数 とそのエネルギー Eαは二つの f Cと -F c-1の部分状態に関す る結合方程式か ら与え られ る。その指標 αは t e F L I状態に関する 2つの異なった解を表す。F L-I e+1 / 21 の場合において、式 ( 2 0)と ( 2 2 )の左 r 竺K _1 , A-0により存在 しないので 、代と -1 C-1の部分状態は分離す る。この場合 、式 ( 1 9 ) 辺の最後の項が o ' K P , ーK_1- C と( 2 0 )の ( i )と式 ( 21 )と ( 2 2 )の ( i i )との 2組の結合方程式が同じ独立した方程式 となる。結果 として 、F c--i-1の 解が F L-l e+1 / 2Iの解に対応す る。た とえば 、すべての f e p)状態において 2つの最後の項が存在 しない場合 、( i )は α-I Cの解を与え 、( i i )の解は αニーf C-1に対応する。つま り、e-3の f軌道では一つが j-5 / 2の解を与え、も う / 2の解を与えることになる。そのような方程式をスピン分極した非結合デ ラック ( s pi npo l a r i z e dde c oupl e d 一方が j-7 Di r a c: SPDD)方程式 と呼ぶことにする。 p-! e+1 / 21以外が結合している場合 、αの指標は ( 9K a( r ) , f K a( r ) )と ( 9≡K _1 ( r ) , I _ a 片 _1 ( r ) )で表 され る部分波動関数 の結合 と反結合の状態で識別す ることができる。その 2組の波動関数の結合の強 さと性質はそれぞれ次のパ ラメーター で調べ ることができる : りα g n l L∞d r( g K a( r, g竺K -1 ( r,・f K a( r, IaK ll ( r,辛 ・ α -左上 ∞ dr(蜘 である。ただし、Ⅳ は規格化因子 Ⅳ ( 2 5 ) - Si = ) 2+ ( r ) 2) , f K a ( 26) fK a( r) 2+g竺K _1 ( r) 2+I_ aK _1 ( r) 2) , ( 27) (9 K Br ) 2+ d 十二 r ( S i 9 n 1 1 を意味する。式 ( 2 5 )の は引き数の符号 (-土1)を表す関数である。パラメーター c rは結合状態に対して 1であ αは全体の波動関数の中に F cの部分状態が含まれ る比率 り、反結合状態に対 して -1となる。も う一つのパラメーター ( 1 9 ) ( 2 2 )を数値的に解 く。 を表す。原子やイオンの計算では、原点 と無限で状態密度が存在 しないとい う境界条件で式 ( - 32- 3 「第4 4回 物件若手夏の学校」 (1999年度 ) 与えられたポテンシャル に対す るエネルギー固有値 と波動関数が求まったな らば 、電荷密度 n( r )と 磁化密度 mS ( r ) はそれぞれ ∑ wn a e p( g n 仰( r ) 2+f L n 仰( r) 2+9 竺 rl ( r ) 2+J 二Ul ( r ) 2), n e L / α n( r )- e ( 2 8) と ms ( r )- ∑ wna ep † 1 E L ' Q - g α( r ) 2 q e p , A-f e F " α( r ) 2 J e e , _ e +gnl誓 l( r ) 2 g竺叫 _e _1 ( e nF ` ; Ln e p i a l ( r ) 2 Je P .1 , e .1+2 9 e n 岬(r)92rl(r)Je P , _A _1), ( 29) の表式を使 って計算す ることができる。上の式はそれぞれ式 ( 2)の n( r)と式 ( 5 )の mB ( r)の Z成を動径方向に射影 した ものである。ここで 、Wn a L p( - 1又は 0)は i ne J L α)状態の占有重み因子を意味し、原理的には全エネルギーが系の全電 子数 ∑w p- Z-Nm , i n Qe ( 3 0) nepα の下で最小になるよ うに決められ る。ただ し、Nim はイオン化の数である。求まった n( r )と ms ( r ・ )を使い、次のポテ ンシャルが計算 され る。入力 したポテンシャルが計算で出力 したポテンシャル とある可容範囲内で-敦す るまで これ を 繰 り返す ことによ り自己無撞着な解 を求める。収束 したポテンシャルか らェネルギー準位が最終的に決まる。実際の計 算方法は文献 【 2 2 ,2 3 ]を参考に して もらいたい。 §3. 2 相対論的補正項 と相対論的効果 次に式 ( 1 9) ( 22)の SPCD 方程式に含 まれ る相対論的効果について話を進める。まず 、磁気的な相互作用による効果 を除き、原子核ポテンシャル と電子間相互作用による相対論的補正項の性質を明らかにしてお く。β( ㍗ )を恒等的にゼ ロ にす ると、上記で説明したよ うに、二組の独立した連立方程式にな る。量子数を考慮すれば 、一つの連立方程式を用い て計算すれば 、すべての状態を記述す ることができるので、式 ( 19)と ( 2 0)の gK( r)と f K( r )を使 うことにする。 この K ( r )の動径方程式を消去 し、微細構造因子の二乗 α2を摂動パ ラメーターとして展開して 1次までの 連立方程式から、f gK ( r )に対す る波動方程式を導 く、 lHo+Hm +HD+Hs c]gK( r )-EgK( r ). ( 3 1 ) 左辺の 」 ‰ は非相対論のシュレデ ィンガ-方程式に対応する動径方向のハ ミル トニアンを表 し、残 りの 3つのハ ミル ト ニアン Hm 、HD、Hs。は Hoに対す る相対論的補正項であるoHm は速度による質量の変化に関す る相対論的項で、質 量一 速度補正 と呼ばれ 、 --i( E tv( r )), H- ( 3 2) で定義 され る。 この補正はすべて軌道に対して負の値をもつ。HDはダーウィン項 と呼ばれ 、 α2d V( ㍗ )d HD - -- ( 3 3) - 4 dr dr と書かれ る。この補正項は 、V( r )- -2 Z/ rのよ うな球対称ポテンシャルでの計算か らわか るよ うに 、e≠ 0の軌道か ら の寄与は存在せず 、より一般的なポテンシャルで も小 さな催 しか与えない.そのために、ダー ウィン補正は S シフ トと も呼ばれ る。最後に 、Hs。はスピン ・軌道相互作用を示 し、次の よ うな式で書かれ る。 Hw-一書 ( K・1 ) 壬生禁 . ( 3 4 ) e≠ Oの軌道に働 き、量子数 r c( --S ( j十 1 / 2 ) , S- 土1)の定義か ら、jの値に対 して 2つの異なるエネルギーを与える。 / 2と j-7 / 2の二つのエネルギーに分裂す ることを意味す る。 これ らの補正項 つま り、A-3の f軌道に対 して j-5 か ら注 目す ることは 、全体の相対論的補正は負であることである。エネルギーにおいて 、すべての軌道は束縛す る方向 に修正 され ることを表 している。 次に、上の相対論的補正項の振 る舞いを踏まえて β( ㍗)-0の場合での式 ( 1 9)と ( 2 0)の 自己無撞着な計算か ら得 られ る結果を紹介す る。図 1は周期律表の中でア クチナイ ド系列 と呼ばれ る 5f軌道の 占有状態をもつ中性原子の 5f、6d、 - 3 33- 講義 ノー ト (s t ! un と t ! J ) ! qJtZ 0. 0 -0. 2 -0 . 4 -0 .6 ) 倉s u aG 払 JtZqU U 父 0 O 2 1 1 a Jt I H r 一 L (倉 )m 0 Th U P u Cm Cf F m No A c P a N p Am B k E s Md L r 8 99 0 91 9 29 39 4 9 5 96 9 7 9 名9 91 0 1 011 0 21 03 2 1 3 4 5 6 Di s t ance(a. u.) 図 1‥相対論的エネルギー ・シフ トoア クチナイド系列の中性 図 2:ウラン原子の 5f 、6p、6d、及び 7 Sの電子密度 分布 と相対論的効見 実線はデ ィラック方程式による d、7 S軌道のエネルギー準位 を示+.実 原子における 5F、6 自己無撞着な計算による結果で、点線はシュレデ ィン 線は相対論による計算結果で 、破線は非相対論による計算結 果を表す 【 2 4 ] 。 ガ-方程式による計算結果を表す 【 2 4 】 . 75軌道のエネルギー準位 をプ ロットしたものである。実線は相対論的計算による結果を示 し、破線は非相対論的計算に よるC この図で実線の 5Fや 6 dの結果にはスピン ・軌道分裂による 2つのエネルギー準位が存在 し、その大きさと変化 は縦棒の長 さによって示 してある. S軌道のエネルギー準位に 目を向けると、相対論的効果により束縛エネルギーが強 くなることが見 られ るC一 図 1の 7 方 、5Fや 6 d軌道のエネルギーはそれ とは反対に高 くなる。 これは前に注意 した相対論的補正項か ら予測 され るもの と は異なる。この よ うな相対論的エネルギー ・シフ トはそれぞれ の軌道の電子分布の位置の違い と自己無撞着な計算によ り引き起こされ た効果か ら説明できるO図 2では中性 ウラン原子の外殻電チ ( 5f、6 p、6d、7S )に対す る電子密度分布を 示 したO破線は非相対論の計算による電子密度分布を示し、実線は相対論による計算結果である. S 電子の分布は原子核 近傍で有限な値 をもつため、相対論的補正項により 73軌道に対す る束縛エネルギーが強 くな る。それに対応 して、図 2 の実線の 7βは原子核の方向に移動 してい る。この相対論的収縮効果は、核の近傍に大きな分布をもつ内殻電子に も同様 fや 6d電子 な効果を与える。7S電子 と内殻電子の電子分布の空間的な収縮は比較的外側に電子分布の中心が存在す る 5 F、6 p、 に対 して原子核か らの引力ポテンシャル を遮蔽す るよ うに働 くO この相対論的道蔽効果によ り、図 2において 5 6dの電子分布が広が り、図 1のエネルギー準位では 5Jと 6dのエネルギーが高 くなる。 J軌道の 占有数の違いによるエネルギーの変化について書き加 ここでアクチナイド系列の原子の違い 、言いかえれば 5 J軌道の 占有数の違い えてお く。図 1で Tbと Am 原子の ところで 5才軌道のエネルギーに大きな変動が見 られ るが 、5 f占有数の順番か らThは 5f1 6dlであるところ、5fO 6d 2と計算 してい る.5 Jの過少 によるものである。この系列での 5 占有に対す る 6 d軌道のエネルギーの変化は小 さいので 、5flか ら f電子を 1個取 り去 るときに要す るエネルギーを表す。 同様に、Am に対 しては 5 f6か ら電子を 1個加えたときのエネルギーを表す。 さらに 、5J L軌道の 占有数の増加に伴い 5 f 軌道のエネルギーは 、Tb と Am 原子での振 る舞いを除き、次第に下が ってい る。その変化か ら 5 J電子 1個あた り約 3e V の束縛エネルギーを得 るこ とを表 している。5 才軌道のエネルギー準位の変化はイオン半径の収縮を表現 してい る40 §3. 3 SPCD 方程式のエネルギー準位と波動関数の性質 式( 1 9) ( 22)に よる SPCD 方程式の磁気的性質の説明にはい る前に 、SPCD 方程式の 自己無撞着な計算か ら得 られ る エネルギー準位 と波動 関数の性質をまず紹介す るO式 ( 1 9) ( 22)で qK P , a ,が存在す るために 、エネルギー準位は F L状態 4 4f軌道を含む ランタノイ ド系列に もイオン半径 の収縮が観測 され 、これ をランタノイド収籍 と呼ぶ。 1 3 3 4 - 「 第4 4回 物件若手夏の学校」 (1 9 9 9年度 ) 〟 9 0 Th3+ 9 2 U3+ C 9 4 Pu3+ e ne r g y 7 h , e ne r g y 7 1 α < A e ne r g y 恥 (A 5 / 2 -1 . 7 9 3 2 1 0. 9 7 7 2 . 0 4 2 5 1 0. 9 4 5 2 . 2 6 6 5 1 0. 9 3 2 _ 7 9 0 3 1 0. 9 5 3 2 . 0 3 6 2 1 0. 8 84 2 . 2 5 7 6 1 0. 8 5 5 3/ 2 -1 1 / 2 -1 / 2 ' 3 / 2 5 / 2 -7 / 2 2 . 0 01 8 1 0. 4 5 7 -1 . 7 4 9 9 0 0. 0 0 0 -1 . 9 8 4 4 0 . 0 0 0 ・ 2 . 1 91 5 0 0 . 0 0 0 5 / 2 -3 / 2 -1 / 2 1 / 2 3 / 2 5 / 2 -1 . 7 4 1 8 -1 , 7 3 6 5 -1 . 7 3 2 4 -1 . 7 2 8 8 -1 . 7 2 5 6 -1 . 7 2 3 0 0 . 6 5 6 0. 4 6 9 0. 3 37 0. 2 3 2 0. 1 4 5 0. 0 68 -1 . 7 8 6 9 1 0. 9 3 0 一 色 . 0 2 9 6 1 0. 8 1 3 2 . 2 4 7 8 1 0. 7 6 8 -I . 7 8 33 1 0. 9 0 6 2 . 0 21 9 1 0 . 7 2 9 2 . 2 3 7 2 1 0. 6 63 -1 . 7 7 91 1 0. 8 8 5 2 . 01 3 0 1 0 . 6 21 2 . 2 2 5 0 1 0. 5 31 0 -1 -1 -1 -1 -1 -1 0. 1 2 2 0. 1 1 5 0. 0 9 4 0. 0 7 0 0. 0 47 0. 0 2 3 -1 . 9 3 3 6 -1 . 92 2 6 -1 . 91 3 8 -1 . 9 0 6 2 -1 . 8 9 9 5 -1 . 8 9 3 5 -1 -1 -1 1 -1 -1 0. 5 4 3 0 . 3 7 9 0. 2 7 1 0 . 1 8 7 0. 1 1 6 0. 0 5 5 -2 . 0 8 5 1 2 . 0 7 0 9 2 . 0 5 9 0 2 . 0 4 8 5 2 . 0 3 9 0 2 . 0 3 0 3 -1 -1 -1 -1 -1 -1 表 1:SPCD 方程式における 90Th3 十、92tJ3十、94Pl 1 3+ の 5 J軌道 に対す るエネルギー準位 、恥 、C aの計算値 【 22] 。 Th3 +、 に依存 して分裂す る。いわゆる内部磁場によるゼーマン分裂を表す。表 1にアクチナイ ド系に属す る 3種類の 9。 92U3 +、94Pu3+ に対す るエネルギー準位 、式 (25)の 7 7 aと式 (26)の E aの計算結果を示 した。この表か ら、それぞれの 1 αの値か ら、それ らのグループは F cと -r c-1状態 ( i- 5/2 と イオンでのエネルギーが二つのグループ に分類 され る。 1 7/2状態)の部分波動関数の結合 と反結合によって区別 され ることがわか る. p - 土7/2 は 恥 がゼ ロであるので非結合 Lをもつ C aの和は 状態である。(αは全動径波動 関数の中に j- 5/2の部分状態の占める構造因子である。表 1で同じ F 〟 - 土7/2を除き 1である。 この部分状態の間の交じ り合いは 自己無撞着な計算の過程において 自動的に保たれてい が 。 表 1のそれぞれのイオンに 目を向けると、pが 5/2状態か ら -5/2状態へ変化す るにつれて ( αの値は 1 よ り小 さく、ま +、 たは 0より大き くなる方向にずれていき 、〝 ニ ー5/2の状態で結合 と反結合のもっとも大きな結合を示す。また 、Th3 U3+、 pu3+の閣の ( αを比較す ると、よ り大きな混合状態が f軌道の 占有数の増加に伴 って現れてい るC 才軌道を含む ランタノイド系列においても生じてい る。図 3において 、Gd3+の 〃 - 5/2の状態に これ らの候 向は 4 f動座波動関数 を示 した。結合状態は ( a)に、反結合状態を ( b)に示 した。実線は j- 5/2の部分動径波動関 対す る 4 数であ り、破線は j- 7/2のものを意味す る。明らかに、結合状態は式 (19)-(22)の二つの波動関数の大きな成分、つま K ( r )と 9_ , い1 ( r ) が同じ側に位置 し、反結合の場合はその二つの成分がお互いに反対方向にある。一方 、小 さな成分 りg f K ( r )と f _ _ 1 ( r ) の位置は対応す る大きな成分 と関連 しているOつま り、i- 5/2の状態において、大きい成分 と小 さい K '- 5/2 と 7/2の部分状態の分布は C aの 成分は同じ側にあ り、i - 7/2の状態に対してはそれぞれ異なった側にある。3 大きさに対応 してい る。 エネルギー構造におけるスピン分裂やスピン ・軌道分裂の依存性を調べ るために、磁場のないデ ィラック方程式 ( Di rac)、 SPDD 方程式 (Decoupl ed)、 SPCD 方程式 ( Coupl ed)、スピン分極 したスカラーの相対論的方程式 ( SPScal ar)、磁場の r )の 5種類の方程式を用いて ウラン原子の 5 Fと 6 p軌道のエネルギーを計算 した。 ないスカラーの相対論的方程式 (Scala arrel ati vi sti c)方程式 とは、スピン ・軌道作用のみを取 り除き、その他の速度一 質量補正などの スカラーの相対論的 (scal 25,26,27,28] 。i-e± 1/2のスピン ・軌道分裂 した状態を平均化す る方法がい 相対論的補正項を含む方程式を意味する [ l i ng と Harmanl 26]の表式を使 って計算を行った。計算で得 られ た 5 Jと 6 pのエ くつか提案 されていて 、ここでは Koel a)と ( b)にそれぞれ示 してある。そのエネルギーの順番は表 1で示 した 〝の状態の順番 と対応 ネルギー準位は図 4の ( している。図 4の ' ' Di rac" において 、2つの縮退した準位が存在 してい る。そのエネルギー差はスピン ・軌道相互作用の 強 さ (A .el)を表 してい る。それに対 して 、"SP-Scal a r "での縮退 した 2つの準位の分裂は内部磁場に よるスピン分裂を表 △e x )を与える。 "SP-Scal r"と"Coupl a ed, ' のエネルギー構造を比べ 畠と、"Coupl ed" し、その差は交換相互作用の強 さ ( における 〝 - 士7/2の間の差は △。 xの大きさとしてみな され る。"Decoupled"の計算では 、スピン ・軌道相互作用によ '- 5/2 と 7/2準位が独立にゼーマン効果による分裂をして、それぞれのエネルギーの分裂間隔は等 しくなってい る。 る3 ' Coupl ed"は具方的なエネルギー分裂をもたらし、異常ゼーマン効果 と それ ゆえ、正常ゼーマン効果を説明す る。一方 、' 5これは全角運動量 Jが保存す ることと関連す る。 - 3 3 5 - 講義 ノー ト 0. 20 St Z 0 7 Put J t3 ^ t f J hP1 5 Pt F J ' 一E D 4 ∧ V 4 C IO ∼. 0. 0. 0. 叫 ? 0. 25 F h < ( a) ■ 1 1 a r g ec o m叩 e 1 l n t O f j -5 / 2 盲 台 o・ 30 E i) 0. 35 メ-i -S ma ㌫ T n, o n Tn T T . f T=F2 -- --I-_____ I ー く Tma &lc T ;m T;o Mt O f j -7 / 2 0. 40 1 a r g ec o mp o n e nL o f j =7 / 2 Di r ae t k oupl cd Cot J pl ∝l SP Sc Jl Ar S c a l a r 1. 3 一 S t Z 0叫3 t l nJa ^f J ht t ! ! pt u t ユ 8 4 0 J . 1 0. 0. 0. 4 7 1 . 5 1. 5 2. 0 二 / / 一 ー - 1・ 7 2. 3 1 a r g ec o mp o n e n t o f j -5 / 2 2. 5 DI T もC 0. 0 0. 5 1 . 0 ( ら) 盲 19 だ 【 d 2. 1 -- ノ( b)//-: -S r ml -I J c o mp o n e n ■ to f J j -5 =/ 2 g ic Lmp Zn ■lo f iIa l lc omp o n e 山O f j -7 / 2 s ma U6 pJ I t at e I . 5 t k o u pl cd Coupl d S馳 1 z L r S c a t a r 2. 0 図 4:さまざまな方程式におけ るウラン原子の 5′と 図3 :SPCD方程式の 自己無撞着な計算による 6 4 Gd3 +の 4J 6 pのエネルギー準位。"Di r a c "の記号は磁場のない普 動径波動関数.3 '-5 / 2と 7 / 2の部分状態の間の異なった結 通の Di r a c方程式を表 し、' ' De c o upl e d"は SPDD方 a )と ( b)で示 合に対応 して 、結合 と反結合状態がそれぞれ ( Co upl e d"は SPCI )方程式を、" SPSc a l a r " 程式を 、" / 2の部分波動関数で、破線は j-7 / 2 はスピン分極したスカラーの相対論的方程式を、そし してある.実線は j-5 の状態に対応す るものです [ 2 2 ] 。 ' Sc al ar "は磁場のないスカラーの相対論的方程式を て' 意味す る。5 f状態の計算結果は ( a)に示 し、6 pの結 果は ( b )に示した 【 2 2 ] 。 類似 してい る6。 図 4において注 目すべき点ぽ ' Co l l pl e d"の 5 fの準位の分裂は 7個 と 7個の準位のクループによって分離 しているが 、 6 p準位の分裂は 2個 と 4個の分割で特徴づけ られ ることである。この性質はスピン ・軌道分裂パ ラメーター △,elと交換 5 Jの状態において 、△ relは △ ex よ り小 さいために、その分裂の形式 分裂パラメーター △ exの大小関係か ら理解できる : pの △ relは対応す る △ ex よ りも十分大きいため、その準位系はほ とんど は主にスピン分裂に よって制御 され る。一方 、6 相対論的なものになっている。そこで 、A. e l≫ △e x を相対論的極限と言い、A , el ≪ △ ex を交換極限と呼ぶ ことにす るo この観点か らランタノイ ドとアクチ ノイ ドの系列に対す るエネルギー構造を考察 してみ る。f軌道 と外殻 p軌道に対 す る △ r。1と △ ex の変化をそれぞれ 図 5と 6に示 したOすべての図において 、スピン分裂 した内部磁場の増加 による振 る舞いを示す。ランタノイドの △e xは f電子の 占有数に依存 f △e x の大きさはアクチナイ ドのものよ り大きい。 これは 電子の空間分布に関連 して 、4Jの分布が より局在 してい ることに対応 してい る。スピン ・軌道分裂 △.clは式 ( 3 4)か ら 理解できるよ うにポテンシャル の形状に依存して原子番号 Z の増加に ともない Z2α2 のよ うな比例 関係で徐 々に増加す る。図 5の f状態に対 して 、 A ,elと △ ex の二つの鰍 ま交差 しているのに、図 6の外殻 p 状態では完全に分離 している。 その結果 、すべての外殻 p状態は相対論的極限であ り、そのエネルギー形式はスピン分極のないデ ィラック方程式か ら の もの と類似 してい る。 同様に 、その他の内殻電子も相対論的極限にある。/状態に対 しては、交換極限 と相対論的極 限のクロスオーバーが存在 し、f軌道のエネルギー分裂の様相は交換極限、中間領域 、相対論的極限まで多彩である.こ の特徴は磁気的性質に強 く関連す る。 §3. 4 SPCD 方程式の磁 気的性質 次に 、S PCD方程式に関す るランタノイ ドとアクチ ノイ ド系列の磁気的性質に 目を向けよ う。 ランタノイ ドの基底状 態は、良く知 られ るよ うに LS結合 ( ラ ッセル-ソング-ス結合)[ 3 0,31 1を基にしたフシ ト則 【 3 2 】に よって規定 され る。 この基底状態は、全軌道角運動量 L と全 スピンモー メン ト S に よって指定 され る。SPCD 方程式が指定す る基底状態 6クープマンの定理が成 り立っていると考えると、隣接する準位の間隔はランデの間隔則 △ J ∝ J l 29 ]に対応した性質をもつC - 3 36 - 「 第4 4回 物牲 若 手夏 の学 校 」(1 99 9年度 ) 一 i Lant ha nidcs ' 一 \ ec I l I l ■ I xhdge叫 i c L hg LA J ) t ha T I i des I s pt nや山ts 〆i t t i nS e Xdl J ug CS Pt i 血S flllJ L! , .ce 一 , fー 一 S Pi n一 〇 r b t t s pl i 血一 g ■ 一 l Nd一 , mー smー Eu ,. Gd ー T,ー D,ー Hoー E, h Tmー Yb, .Lu Ac t i A i de s I Ac t i J l i dc S \ ■ ・ L 叫 C 等 A B P i r t db i L S P u n i J l g hg s p i l l 0T b i t s p l i t t l T L g l J l l e xch a l n g CS Pu l L ー ugl l l J r 図 6:ランタノイドとア クチノイド系列の 3価のイオ 図 5:ランタノイドとア クチ ノイド系列の 3価のイオンに対 す る /状態のスピン ・軌道分裂 と交換分裂。丸 と四角はそれ ぞれ スピン ・軌道分裂 と交換分裂に対す る計算値を表す 【 2 2 】 。 と ンに対す る外殻 p状態のスピン ・軌道分裂 と交換分裂。 丸 と四角はそれぞれ スピン ・軌道分裂 と交換分裂に対 2 す る計算値 を表す [ 2 2 ] 。 において も、Lと Sを使い、それ らの定義 と計算式は次のよ うに与えられ る : L I / dr( 頼 r )p e ^ zi ( r) l g) 日 L∞dr-e( r) ! d rms ( r ) ∫ :. S= ( 3 5) ( 3 6 ) ( である。ただ し、ms ( r )は式 ( 2 9 )のスピン磁化密度を表す。me ( r )は軌道磁化密度を表 し、その定義は 自己無撞着に計 算 した動径波動関数を用いて 、 me ( r )- ∑ n e z / α wn T e p (9 e n 仰( r ) 2 e e p , e-f e l l ; α( r ) 2 e p _E , _e+g n _ Tl ( r ) 2 e p _A _I , _e -1 - f _ n T i a l ( r ) 2 e L P . 1 , e .1+2 9 e n 仰( r ) g n _ ? h a l ( r ) e e P , _A _1), ( 3 7) のよ うに与えられ るo ここで 、行列 e :, a ,は式 ( 2 4)の uKPを使いっぎのよ うな関係式で与えられ る : ・ x 鮎 E , I ,- 2だK,6pp, - 豊 訪 ( ( 3 8) …:::≡ K -a-1 さらに 、L と Sの定義式か ら最低エネルギー状態での全角運動量 Jは l L ∞ d r(-2 ( r , ・響 ) J ( 3 9) によ り計算できる。 表 2において、ランタノイ ド系列の 3価のイオンに対す る L、S及び Jの計算値を示 した。フン ト則が満たす基底状 態の J多重項は ( 2S+1 ) LJ の記号で表 し、表 2にそれぞれのイオンに対す る基底状態を示 したOフン ト則 と S PCD の計 算値 との L、S及び Jを比較す ると、これ らの値はすべてのイオンに対 して良 く一致 していることがわか る。従 って、 SPCD 方程式の基底状態はランタノイドにおけるフン ト則を再現す る。観測 され る磁気的な量 、例えば 、有効ボアー磁 子数 p-gJJ( J+1) 【 33]は g因子 と Jを含む。 この g 因子は 9-1+ J( J+1 )+S( S+1 )-L( L+1 ) 2 J( ∫+1) - 3 37 一 ( 4 0) 講義 ノー ト 4r ( 2 J +1 ) LJ L SS PCDe J qua ti oJI g S LSPDD e qua J t . i o n9 8 7 La 3 + o l so 0 . 0 5 8 Ce 3+ 5 8Pr3 + 1 2FS/ 2 2 3H4 2. 9 8 0. 4 8 2. 5 0. 86( 0. 8 6) 2. 86 0. 36 2. 5 0. 9 4. 97 0. 9 7 4. 0 0. 81( 0一 80) 4. 5 7 0. 5 7 4. 0 0. 9 5 9Nd 3 + 3 6 0Pm3+ 4 5 I 4 5. 97 1. 47 4. 5 0. 7 3( 0. 7 3) 5. 1 4 0. 64 4. 5 0. 9 5 _ 97 1 . 9 7 4. 0 0. 61 ( 0 . 6 0) 4. 5 7 0. 5 7 4. 0 0. 9 6 l Sm3 十 5 6H5′ 2 6 7Fo 4. 9 7 2. 47 2. 5 0. 2 9( 0 . 2 9) 2. 8 6 0. 36 2. 5 0. 9 2. 9 7 2. 97 0, 0 0. 0 0( 0 . 0 0. 0 0 0. 0 0 0. 0 0. 0 7 8S7/ 2 8 7F6 0. 0 3 3. 47 3一 5 2. 0 0( 2. 3. 0 0 0 , 5 0 3. 5 1. 1 3. 0 4 2. 9 6 6. 0 1. 5 0( 1 . 5 0) 5. 1 4 0. 8 6 6. 0 1. 1 9 8 H15 / 2 5 . 0 4 2. 45 7. 5 1 一 33( 1 . 3 3) 6. 42 1 . 07 7. 5 1. 1 6. 05 1 . 9 4 8 . 0 1 . 2 4( 1 . 2 5) 6. 8 5 1 . 1 4 8 . 0 1 . 1 6 2 Eu3+ 6 3 Gd3+ 6 4 Tb 3 + 6 5 Dya+ 4I 9/2 0. 0 0. 0 0. 0( 0. 0 )0.00 0. 0 0 0. 0 0. 0 ) 0) 6 6Ho3 + 1 0 51 8 6 7Er3 + 11 6 8Tm3+ 1 2 3H6 6. 0 5 1. 45 7. 5 1 . 1 9( 1 . 2 0) 6. 4 2 1 . 07 7. 5 1 . 1 5. 0 2 0. 97 6. 0 1 . 1 6( 1 . 1 7) 5 . 1 4 0. 86 6. 0 1. 1 6 9Yb 3 + 1 3 3. 0 0 0. 5 0 35 1 . 1 4( 1 . 1 4) 3. 00 0. 5 0 3. 5 1. 1 4 71 5 ′ 2 2FT / 2 表 2:S PCD と SPDD 方程式におけるランタノイド系列の 3価の イオンの基底状駄 4fnは 4f軌道の占有数であ り、記号 ( 28+1 ) LJ はフン ト則で示す最 も低いエネルギーの多重項を表すO括弧の 9の 値は ( 28 +1) LJ での見積 りを示す [ 22 ] o で与えられ る LS結合におい るいわゆるランデ ( La nd6 )因子である.表 2に SPCD 方程式によって見積 もられた 9の値 PCD を示 し、括弧の中のフン ト則の値 と並べて書いてある。明らかに、これ らの値はほとんど同じで、ランタノイ ドの S 方程式の磁気的性質はフン ト則に対応す る原子の状態を再現してい る。 PDD 方程式の L と S はフン ト則の期待値か らはずれて 、また gの値 もずれてい るOつ これ に対して 、表 2にある S Jが保存量で同じであっ ま り、経験的にランタノイドで良い近似 と考えられ るフン ト則に従 う原子状態を再現 しないC( ても磁気モー メン トの大きさなどが合致 しない。)La 3 +、Eu 3+及び L u3+の gの値は J-0のために計算できないが 、 SPDD 方程式か ら見積 られ る 9の値はほとんど 1の定数である。S と Lの値は正常ゼーマン効果に従った値であること PCD と S PDD 方程式の対照的性質か ら、SPCD 方程式において式 ( 19) ( 22)に存在す る j-2士1 / 2 が理解できるoS 状態の間の混合効果が 正しいブン ト則に合致す る基底状態を斗き、いわゆ る異常ゼーマン効果を生み出す起源になって いる。 同様に、アクチナ イド系列に対す る 3価のイオンの L、S及び Jと g因子を表 3に示 した。表 2のランタノイドの計 算値 と比較す ると、これ らの値はフン ト則に従 う Lや Sか らかな りずれている.また 、表 3のア クチナイ ドの 9は括弧 の中のフン ト則の値 より小 さくなってい る。ランタノイドと比べて完全ではないけれ ど 、S PCD 方程式におけるア クチ ナイ ドの磁気的性質はほ とんどフン ト則に従 うが 、相対的には中間結合的な性質 も強 くな ると言 うことができる。図 5 か ら理解できるよ うに、この よ うな僚 向は 5J電子のスピン ・軌道分裂 とスピン分裂 との中間的な関係による。 式( 1 5 )か ら外部磁場をゼ ロとした相対論的ハ ミル トニアンは全角運動量 と交換す るが、全スピンモー メン トと軌道モー メン トとは独立に交換 しないOしか しなが ら、最終的な結果では全スピンモーメン トと軌道モー メン トは LS結合におけ る良い量子数であるよ うに見える。この原因は △r。1と △exのサイズ効果にある。つま り、ランタノイドとア クチ ノイド 系列のほ とんどすべてイオンが内部磁場に関して相対論的極限に近いa l次の近似で 、スピン ・軌道相互作用は無視す ることができ、その結果 として Z軸上に射影 した軌道角運動量 とスピンモー メン トは保存 してい るO このことは 、強磁 3 4 ト この現 場の中のエネルギー準位の分裂が全角運動量の代わ りに軌道角運動量 とスピンで記述できることと対応 し [ 3 5 ] O 象はパ ッシェンバ ック効果 と一般的に呼ばれ る 【 非相対論的な形式か らフン ト則を理論的に導 くには、ハー トレ一一 フォツクエネルギーの配置間効果が用い られ 、スレ 36,37 】 。その起源はフォツク項におけるスピン平行で異なった軌道の間の相互作用である。この 一 夕一に より行われた 【 相互作用か ら導かれ る非局所ポテンシャルは軌道依存のエネルギーを与え、最小のハー トレ一一 フォツクエネルギーはフ PCD 形式では内部磁場の起漁は交換 ・相 関効果であるが 、フン ト則 ン ト則に対応す る L と S の値を導いた.一方 、S に対 して重要な異方的な軌道依存性は相対論的効果か ら由来してい る。両者の形式はフン ト則を説 明す るけれ ども、そ PCD 方程式は局所的な方程式であ り、その電子配置は全エネルギーが最小にな るよ うに 自動的 の起源は一見異なる。S に決まるC 自己無撞着な計算か らフン ト則に従 う基底状態の波動関数を作 ることができ、応用範囲が広い。 -3 3 8- 「第4 4回 物 性 若 手 夏 の 学 校 」( 1 9 99年度 ) 1 3 F5/2 2 3 H4 2 ・ 95 0・ 4 5 2 ・ 5 0・ 8 7( 0 ・ 8 6 ) 4 . 9 0 0, 9 0 4. 0 0. 8 2( 0. 80 ) 3 4 I9/ 2 4 4 5I 5 1 8 6 1 ・ 3 6 4・ 5 01 75( 0・ 7 3) 5 . 82 1 . 82 4. 0 0. 64( 0. 6 0) HS/2 5 8 6 7Fo 4・ 7 9 2・ 2 9 2. 5 0. 3 4( 0・ 2 9) 2 . 7 8 2 . 7 8 0. 0 . 0 0( 0. 00) 57/, 7 8 8 7F8 0・ 1 9 3・ 31 3・ 5 1 ・ 9 4( 2 ・ 0) 3 . 2 5 2. 7 5 6. 0 1 . 4 6( 2. 0 0) H15/2 9 8 1 0 S I B 5・ 27 2・ 2 3 7・ 5 1 ・ 3 0( 1 1 3 3) 6. 2 3 1 . 7 6 8. 0 1 . 21( 1 . 2 5 ) l l 4 7. 与/2 1 2 3∬6 6・ 1 6 1 1 34 7・ 5 11 1 7( 1 ・ 2 0 ) 5 . 07 0. 9 3 6. 0 1. 15( 1 . 17) 1 3 2F7/2 1 4 1 so o . 0 0 3・ 0 0 01 5 0 3・ 5 1・ 1 4( 1 ・ 1 4) o・ 0 0 0. 0 . 0 0( o・ o o) 0 表3 :SPCD方程式におけるア クチナ イ ド系列の 3価のイオンの基 底状駄 5 f nは 5 f軌道の 占有数 を示す。記号 則 の示す多重項 を表す。括弧の中の 9の値は ( 2S +1 ) LJ はフン ト ( 28 +1 ) LJ か ら見積 り を示す 【 2 2 ] 。 第 4節. 相対論的バンド理論 §4. 1 全電子相対論的スピン分極 LAPW 法 孤立原子系で説明 した S PCD 方程式をどの よ うに応用 して固体のバ ン ド構造や磁性体における磁気モー メン トを計算 す るのか解説す る。固体の結晶構造は 1つの格子に帰着す ることので きる原子の集 ま り ( 単位構造)が周期的にい ろいろ な型の空間格子 ( 体心立方格子 、面心立方格子など)を構成 してい るとみなす ことができる [ 3 8 ] 。 さらに、回転対称性な どによ りその結晶構造は空間群で分類 され る。特に、相対論的理論ではスピン ・軌道相互作用に よ りスピン と軌道の回 転換作はお互いに独立ではな く、従属 した関係で結ばれ てい る。 この回転対称性は二重空間群 と呼ばれ る群で記述 され る【 3 9 ] 。実際に、二重空間群 に よる相対論的波動関数の対称化はバ ン ド計算では有効な方法であるが 、ここでは話 を簡 略す るために省略 し、周期性 に よる並進対称性のみを考慮 して解説す る。二重空間群の対称化について興味のある方は 4 0 ]を参考に して もらいたい。 論文 【 並進対称性 に よ り、固体の波動 関数はブ ロッホの定理 Q , ( k, r+R)-e i kR 申( k, r ), ( 41 ) を満た さなければ な らない。R は固体の周期性 を示す並進ベ ク トルであ り、kは第-ブ リルアン ・ゾーン内のある波数 ベ ク トル を意味す る。 この周期性 を満たす もの として相対論的平面波 . 冗( m) 4 , .( k, m; r )- e xp【 i k・ r ] 宗 詰 ( 4 2 ) x( -) を使 って定義す ると、波動関数は -∑ ∑ U( k, ・ , m)4 , .( k, ・ , m; r ), q t ( k, r ) ( 4 3 ) kJ m-土1 /2 と書かれ るOただ し 、kj は逆格子ベ ク トル G3 ・を使い 、kj -k+Gj に よって定義 され る。U( kJ ・ , m)は相対論的平面 4 2 )の m o は静止質量であ り、koはベ ク トル kに関す る相対論的エネル ギー 波の展開係数で ある。式 ( たO-c v/ ( hk) 2+( moc 2 ) 2, ( 4 4) を表す。相対論的平面波は完全系を形成 してい るので 、無限個の t k3・)で展開すれば 、理論的にどんな波動関数 も表現す ることが可能である。た とえば 、図 2の よ うに局在 した形状をもつ波動 関数で も表現で きるはずで ある。 しか し、現実 - 3 3 9 - 講義 ノー ト A a A B . 図 8 :図 7の ABAB線上におけるマフィンー テ インポテン 図 7:基本並進ベ ク トル α1と α2により示 された 2次元面上 の単位格子。 シャル。 には有限個の t k3・)による展開でしか計算できないために、有限個の基底による展開で可能な限 り正しい電子構造を計算 W 法、 できるような工夫が必要である。そのため、いろいろなタイプのバンド理論 ( KKR法 、APW 法 、LMTO法 、AS 偽ポテンシャル法など)[ 41 ] が存在する。もし平面波で簡単に計算できれば 、バンド理論における多彩な方法論は存在 し なかったかもしれない。ここでは さまざまな種類のバンド理論の紹介はやめて、バンド理論の中の一つである相対論的 Re l a t i vi s t i cLi ne a iz r e dAug me n t e dPl neWa a ve :RLAPW)法 【 4 2 〕をスピン分極理論に拡張し 線形化補強された平面波 ( た、全電子相対論的スピン分極 LAPW 法 【 4 3 】について紹介する。実際の計算式や導出は紙面をかな り必要 とするので、 かな り一般的な記述でこのバンド理論の基本をおさえることにす る。 まず最初に、ブ ロッホ関数を定義す る空間を図 2のよ うな原子的波動関数を解 としてもつ空間と平面波的なものを解 としてもつ空間とに分ける。図 7は原子 A と原子 B の二種類の原子か らなる単位構造をもつ固体の 2次元面上の様子 を示したものである。原子的な振 る舞いはそれぞれの原子核を中心 とした球のなかで生じている。そのため、原子核を 中心にお互いが重ならない球で原子的な空間を定義す る。その球をマフィンー チイン ( Ml 瓜 nt i n:MT)球 と呼ぶ。その半 径を MT 半径 と呼び、原子の種類 p に対応して Rpと書 くことにす る。球間のそれ以外の領域を中間領域 と呼ぶO図 7 では原子 A と B の MT 半径が Rlと R2 とで異なる場合が示 されてあ り、ABAB線上のポテンシャルの形状の様子を 図 8で示した。MT球内での結晶のポテンシャルは相対論的密度汎関数法に基づき、原子の種類に依存 した原子的ポテ ンシャルで定義し、中間領域では一定のポテンシャル として近似す る。長距離のクーロン相互作用はマ-デル ングポテ ンシャルで考慮す る。このよ うに定義 され た MTポテンシャルを使い 、MT球内と中間領域の波動関数の振 る舞いをよ く表現 した最適の基底関数でブ ロッホ関数を定義する。 4 3)のよ うに相対論的平面波 4, .( k, m; r )を基底関数 としてブ ロッ 中間領域では一定のポテンシャルであるので、式 ( ホ関数を定義す る。一方 、p番 目の MT球内の基底関数は式 ( 1 9) ( 22)の SPCD 方程式の解である式 ( 1 8)の波動関数 滞 ( r・【 E】 )を展開関数 とした場合を考えてみ る・ ・ 蝿p w( k, m; r:l E] )∑∑∑ Ae a p P( k, m)輯 ( r:l E] )・ ど 〟 ( 4 5) α つま り、式 ( 43)の相対論的平面波 4, 0 ( k, m. ・ r )を p番 目の MT球内では 蝿 p w( k. m, ・ r:l E] )と置き換えることによりブ r:l E] )には MT ポテンシャルの違いを区別するため 、pのインデ ックを ロッホ関数を定義 し、平面波を補強す るo滞 ( a p P( k, m)は MT球上で式 ( 4 2 )の相対論的平面波 との接続条件により決定 され るo ここで定義 加えてあるQ展開係数 Ae RAPW)法 【 4 4 ] のスピン分極版である。このバンド したブ ロッホ関数を使 ったバンド理論は相対論的補強 された平面波 ( 理論では hspD 申( k, r )-E( k)g( k, r )で求めたいエネルギー固有値 E( k)が 砿 p w( k, m; r. ・l E] )の中に含まれている ために、展開す る波動関数のエネルギーと求めたい固有エネルギーが一致す るようにエネルギーに関して非線形方程式 を数値的に解かな くてはいけない。複雑な電子構造になるにつれて、非常に計算時間と手間7がかか る方法である。 この困難を取 り除 くために 、MT 球内の基底関数 pL a p P( r:l E] )のエネルギー依存性を次の ようなェネルギーに関す る 展開で線形化す る : pL a p P( r:l E] )- p e a p P ( r:[ 環] )十( E-E L a p P ) qP( r:[ 環] ) 7それ以外に対数微分の発散による開度 もある。 - 3 40 - ( 4 6) 「第4 4回 物 性若手夏 の学校 」( 1 9 9 9年度 ) ただ し、ドッ ト関数 ¢ L a p P ( r:l E L a p P ] )は p e a p P ( r:l E] )のエネルギー導 関数 環 p( r:[ E e ap P ] )- を意味す る。固定 したエネルギー 、 E e a E] ) ∂環 ( r:l ( 4 7 ) 環はそれぞれ の軌道に依存す るCエネルギー固有値 引 ま波数 kに対応 して変化す るが p Pを基底 関数 滞 ( r:l E] )に対応す るエネルギーバ ン ドの分布の中心に設定すれば 、よい近似 とな るO この中心 の位置は実際にバ ン ドの分布 を計算 しな くて も、MT球 内の対数微分 D( E ,-R p篇 -a- 1 , 若 ( 4 8, が -( e +1)とな るエネルギー Eか ら見積 ることができる。U(kj,m)を変分係数 として hspDQr ( k, r)-E( k)g( k, r )を 解 くと, ] U ( [H( ki l n; kj , -)-E( k)0( ki ・ n; k, ・ , -) ( 4 9 ) kj , -)-0 , のよ うな線形方程式が導かれ 、数値計算では一般化 固有値問題に帰着す ることができる。そのため、ひ とつの波数 kに 対 して一回解 くだけで 占有状態か ら非 占有状態までの固有状態 と固有関数が求まる。 a p P( r:【 E e a p P ] )と pe a p P( r:[ 瑚 )は直交関数であることを利用 して、ブ ロッホ関数を展開す るも う1つ 実際の理論では 、Qe の基底 関数 として用いる。つま り,p番 目の MT球内の基底 関数は ∑∑∑[ Be a p P ( k , m)p e a p P( r:l e e a p P ] ) IBe a p p ( k, m)i e a p P( r:l E F p P ] ) ], UL AP W( k, m; r ) ( 5 0 ) e I L α として定義 され 、その展開係数 Be a p P( k, m)と Be a p( k, m)は相対論的平面波の基底関数がMT球上で滑 らかに接続す る条 4 9 )の H( ki, n; k j, m)と 0( k i , n; k j, m)の行列要素はそ 件 よ り決め られ る。 この基底 関数 を使 うとそれ に対応 した式 ( れぞれ H( ki , n; k, ・ , m)- ( 4 , . ( k, m; r ) IhspD l 4 , .( k, m; r) ) 和+∑ 購 APW(k,m;r)lhspD fV, P L AP W( k, m; r ) ) MT, , ( 51 ) P と o( ki,n;k, ・ , m)-( 4 , .( k, m; r ) 1 4 , . ( k, m; r ) ) 中 間+∑ (4, E APW( k, 帆; r ) 幌 APW( k, m; r ) ) MT,, P ( 5 2 ) MTp"はそれぞれ 中間領域での積分 と p番 目の MT球内の積分を と書 くことがで きるC上の式で使われ てい る"中間"と" 意味す る。 この行列要素を用いて式 ( 4 9 )を解 くと、それぞれ の kに対す るエネルギー固有値 E入( k)とそれに対応 した ブ ロッホ関数 中人( k, r )を求めることができ る。 これか ら、電荷密度 n( r)は n( r)-∑ 可 ( k, r ) gA( k, r )0( EF - EA ( k) ), ( 5 3 ) 入k と計算で き、スピン磁化密度 m( r )は m( r )-∑ 頃 ( k, r ) PJz恥 ( k, r )0( EF-EA( k) ), ( 5 4 ) 入k によ り求めることがで きる。0 ( I )は階段関数であ り、EF はフェル ミエネルギーを表す。式 ( 5 3 )と ( 5 4 )の和はバ ン ドの 指標 人と波数 kに関す る占有状態に対す るもので ある。n( r )と m( r )が求まれば 、スカラーポテンシャル と内部磁場が 相対論的密度汎 関数法に従い計算で きる。そのポテンシャルか ら新 しい基底 関数を定義す ることができる。 この方法を APW( SPRI J APW)法 と呼ぶ。詳 しい表式は文献 【 4 3 ] を参考に して くだ さい. この方法で スピン分極 した相対論的 L は、コア電子 も S PCD方程式を基にして、自己無撞着に電子密度 と磁化密度 を計算す ることがで きる。 コア電子は MT 球内にのみ分布す る局在 した電子 として定義で きるため 、MT球の半径 R p上で存在確率がゼ ロの電子である。そのた め、孤立原子の計算 と同様な境界条件で解 けば 、エネルギー準位 、電荷密度 、磁化密度を求めることがで きる。 コア電 子を含 めたすべての電子を 自己無撞着に計算す る方法 を全電子のバ ン ド理論 と呼び 、それ に対 して価電子のみを 自己無 撞着に計算す る近似 を凍結 コア近似 と言 う。最後に 、KKR法 としたバ ン ド理論が存在す ることだけを明記 してお く。 【 4 5 】や L MTO法 【 4 6 ]において S PCD方程式を基底 悶数 -3 ′ 4 1I 講 義 ノー ト §4. 2 ノンコリニア一系への拡張 実際の磁性化合物は強磁性状態 、反強磁性状態のよ うなスピン量子化軸が結晶全体で同じ方向を持 った もの以外に、量 子化軸が一定の方向を持 たず 、それぞれ のイオンの位置で異なった量子化軸をもつ化合物が存在す る。 こ. の よ うな もの をノンコ リニアー な磁気構造 と言 う。強磁性体などのコ リニア-な磁気構造は ノンコ リニア-な磁気構造の量子化軸の そろった特殊な もの として位置付 け るこ とがで きる。 この よ うな磁気構造をもつ化合物を相対論的バ ン ド理論か ら計算 す るための処方等を示す。 量子化軸を結晶の Z軸に設 定 して 、前の章で紹介 したバ ンド理論をそのままノンコ リニア-な系に適用 した場合 、磁 気モー メン トが Z軸以外に向いてい ると、内部磁場 との非対角なスピン相互作用に よ りさまざまな状態 と結合 してその 波動関数 を数値的に計算す ることは困難 になる。 さらにブ ロッホ関数を展開す る基底関数 として も遠 さな くな る。 した が って、発想 を変えてそれぞれ の MT球内でそのスピン磁気モー メン トの方向を量子化軸に とり、局所的波動 関数の性 質をまず正 し く導入す る。バン ド構造は結晶全体の性質であるので 、共通の量子化軸にそ ろえてバ ン ド計算 を試みれば よい ことにな る。基本 的にはその よ うな取 り扱いをすれば よいが 、相対論的バ ン ド理論での ノンコ リニア一系-の拡張 にはスピンと軌道空間の変換性について理解 してお くことが必要 とな る。 まず 、局所的な磁気モー メン トを定義す るために 、それぞれ の MT 球内の領域では磁化が同じ方向に向いてい ると考 える.p番 目の MT球の領域 np でのスピンモー メン トはその領域でのスピン磁化密度 pf p i n- ms ( r )の積分 、 dr 頃( k, r )P6g ^( k, r )0( EF- EA( k) ) u ( 55) p か ら見積 ることがで きるo亀 i nの方 向は極座標での角度 o pと ¢pに よ り規定す ることがで き、そのそれぞれ の角度は p O - a r c t a n ( 56) ; p ( fL i n) a と ・p--ctan l 濃 封 , ( 5 7 , で与え られ る。ただ し、( pf , i n) x、( F L f p i n) y、及び ( 挽 i n) Zはそれぞれ pT p i nの 結晶学的な大域的座標での X、y及び Z成 p≦ 7 Tと 17 T≦ 4 ・ p≦ 汀 の範 囲内で定義 されてい るo従 って 、np内の I L S , i 。の方 向に 分を表す. これ らの極角は 0≦ O 沿った磁化密度の大 き さは ( p( r )-∑∑ 可 ( k, r )66 z POA( k, r )0( EF-EA( k) ), k ( 5 8 ) 入 によって表現できる。6z Pは大域的座標 を O pと 4 ・ pの角度の回転で指定 され る局所的座標における 4×4のパ ウ リ行列の Z 成分を意味 し、それ は 、 z crp の 2×2のパ ウ リ行列を用いて - C o sOp e x p( -i 毎) s i nO p e xp( 梅 )s i nOp -c o sOp q z P 0 6 ぎ 0 J P (z ( 5 9) ( 6 0) に よ り定義 され る。バ ン ド計算の時に使われ る大域的座標での 1電子方程式は hG 中( k, r )- E( k)せ( k, r ), ( 6 1 ) と表 し、大域的座標での p番 目の MT 球内のスピン分極 したデ ィラ ックハ ミル トニアン H Gは、 hG-a kin+VP ( r )+卵 z P BP ( r ), ( 62) と定義 され る。ただ し、上式の h ki n は相対論的運動エネルギーに対応 したハ ミル トニアン h ki n- C α・p - +(β-I )mc2 3 4 2 ∼ , ( 6 3) 「第4 4回 物性若手夏の学校」 ( 1 999年度 ) である。式 ( 62)のスカラーポテンシャル VP ( r )は vp( r )- ve g -( r). 2/oar ,苦 + 謡 ( 6 4) , と表 され 、磁場 BP ( r )は BP( r )- Be g -・蔑 , ( 65 ) と与えられ る。ここでは式 ( 1 5)のスピンと相互作用す る外部磁場の項だけを考慮 し、β‰ は 〝㌫nの方向に射影 された 外部磁場 B。xt の成分である。 p番 目の MT球の領域で、大域的座標で記述 された式 ( 6 1 )の方程式を局所的座標での方程式に変換す る。それにより、 式( 62)の 6z Pのスピン演算子は局所的座標で対角化 され 、その変換 され た方程式は数値的に解 くことができる。 この導 k, r)に対す る回転演算子の性質を明らかにしてお く。デ ィラック方程式にお 出の前に、デ ィラック方程式や波動関数 せ( けるある回転 R に関す る全回転演算子 ∂( R)は 03 +群における軌道回転演算子 ∂1 ( R)と SU( 2)群におけ るスピン回転 ( 氏)【 47 ]の直積で表 され る : 演算子 ∂2 ( 6 6) o( 氏)- ∂1 ( 氏)㊨ ∂2 ( 氏). xyz系に対す る 3×3の回転行列 R を大域的座標での Cと 中の極角を用いて表す と、 R - 氏( ♂, ¢)- ( 6 7) と定義でき、デ ィラック波動関数 申( k, r )に対す る 01 ( R)の演算は ∂1 ( A)中( k, r )- 申( k, ∂1 ( A)r∂王 ( 氏) )- 申( k, a( 棉 ) -1・ r ), の規則で行われ るO-方 、∂2 ( a)は全回転演算子 ∂( a)が式 ( 63)の hki n と交換す る条件 ( 6 8) [∂( a) ,耳ki n]-0よ り決 47 ,4 0 ]: める。これか ら次の よ うな関係式が導かれ る 【 3 ∑ [ R] v pPαp - ∂2 ( A) Iβαvd2 ( a), 〟 -1 β - ∂2 ( 氏) Iβ∂2 ( 氏). ( 6 9) ( 7 0) R は式 ( 6 7 )の回転行列であ り、α〝はデ ィラック演算子 αの 〃番 目の成分を表す。式 ( 6 9 )において 、∂2 ( 氏)が解のひ とつであるとす ると、-∂2 ( 氏)も R に対す るも うひ とつの解である。つま り、∂2 ( 氏)は二重空間群の性質をもつ。R を 6 9)と ( 7 0)の連立方程式の解は 固有回転のみで表すな らば 、式 ( 02 ( 氏)- D( 氏) (D' 3 ,( o R,) , ( 71 , で与えられ る 【 4 0 】 。D( a)はスピン1 / 2の回転行列である。式 ( 7 0)の関係式によ り、02 ( 氏)の行列には非対角項が存在 ( 氏)の回転に対 して小 さい成分 と混 じることはない。 しない。その性質に より、デ イラック波動関数の大 きい成分は ∂2 R が式 ( 67 )で示 した βと 少の極角で定義 されているので 、その D( 氏)の表式は D( ♂, め) e xp( 圭i Q)c os喜O e xp( -喜i d , )s i n喜0 (-exp(喜ib)sin喜Oexp(一書i4,)cos喜o) , ( 7 2 ) と記述 され る。ここで 、01 ( 氏)と 02 ( R)の極角は同じであることに注意すべきである。 以上の回転演算子の性質 より、p番 目の MT棟内での式 ( 6 1 )のデ ィラック方程式を大域的座標か ら局所的座標に書き ( O p , 4 , p)により次のよ うに対角化 され る : かえる。式 ( 62)の演算子 6君は 02 ∂2( O p, bp )6z P∂圭 ( o p , 4 ・ p )- - 3 4 6乞 3- - ( 73) 講 義 ノー ト 6 4)の スカラーポテ ンシャル VP( r)と式 ( 65)の磁場 BP ( r )は 6名は 4×4のパ ウ リ行列の Z成分で あ る。一方 、式 ( ∂1 ( C p, 毎)の演算に よって、それぞれ ∂1 ( O p , 毎)VP( r )∂壬 ( o p, Qp )- VP( 氏( O p , 4 ・ p ) -1・ r ), ( 7 4) 01 ( O p, 毎)BP( r )∂王 ( o p, Q p )- BP( a( O p, 毎) -i・ r ), ( 75) と とに変換 され る。MT球内での n ( r ) や( p( r )の軌道空間分布が球対称であること 8を考慮 して式 ( 7 4)と ( 75)の変換関係 69)と ( 70)の関係式か ら、式 ( 61)のデ ィラック方程式は局所的座標で表示 したハ ミル トニアン 乱 と式 ( 身L - a ki n +Vz P( r )+P6乞Bz P( r). ( 7 6) を使 った形式では 、 h L を( k, r )- E( k)魯( k, r ), ( 7 7) と書かれ る。その ときの局所的座標系におけ る波動関数 宙( k, r )は大域的座標系での波動関数 せ( k, r )と次のよ うな関係 で結ばれ る、 魯( k , r )-02 ( O p, 毎)Q r ( k , r )・ ( 7 8 ) 式( 77)の局所座標での方程式を解 くことによ り、コ リニア-なバン ド計算のよ うに確定した量子数で定義 された 宙( k, r ) が局所的に定義できる。固体のバン ド構造の計算のために、式 ( 7 8 ) の変換によ り大域的座標によるブ ロッホ関数 申( k, r ) を求めることができる。 次に、前の章で説明したスピン分極 した相対論的 LAPW 法をノンコ リニア一系に拡張する。式 ( 77)に対応 した S PCD 方程式の解 を 環 ( r:[ E L a p P ] )とす ると、その ときの大域的座標での LAPW 関数は式 ( 7 8 )の関係 を考慮 して r ) -∑∑∑ 亀 pw( k, m; E F L a 【Be a p P( k, m)∂2 -1 ( C p ・ 毎)環 ( r:【 E T p P ] ) +B e a p p( k, m)a , -1 ( o p , i p ) 環 ( r:[ 環] )] ,( 7 9) と定義すれば よい。対応す る式 ( 4 9)の行列要素 H( ki , n; kj , m)と 0( ki , n; kJ ・ , m)は式 ( 51 )に式 ( 7 9)のノンコ リニア一 4 9)の線形方程式を解 くことに より、バン ドエネルギー β 入( k) 系の LAPW 関数を代入することに よって得 られ る。式 ( とそれに対応 した固有関数が求ま り、次の 自己無撞着な計算のための電荷密度 とスピン密度が計算で きる。同様に 、式 ( 5 6)と ( 5 7)か らそれぞれの MT球内のスピンモー メン トの方向を 自己無撞着に決めることができる。 さらに磁気モー メ ン トの方向も p冨r b -u dr Of A( k, r )β 2 -恥 ( k, r )0( EF - E^ ( k) ), ( 8 0) , の計算から得 られ る。このバン ド理論をノンコリニアースピン分極した相対論的 I J APW ( NSPRLAPW )法 と呼び 、ス ピンモー メン トと軌道モー メン トの和である磁気モー メン トは各 MT球毎に異なった方向を持 ち得 るベ ク トル量 として 決めることがで きる。 第 5軒 . 国体の相対論的電子状態と磁性 §5. 1 バ ンド構造における相対論的効果: 非磁性ウラン化合物 第 3節で孤立原子系での相対論的効果は J軌道の電子状態に非常に特徴的な変化を与えることを説明した。相対論的 48,24】 。ま 効果が実際に固体の電子状態にどのよ うに反映しているのか UCのバンド計算結果を例に明らかにしてお く 【 た、非磁性の ウラン化合物のなかで相対論的バ ンド理論から計算 したフェル ミ面が dHvA 効果振動数ブ ランチの起源を よく説明できた最近の結果 として UB2について紹介す る 【 49 1 . ウランの孤立原子系か ら理解 した よ うに、相対論的遮蔽効果は f軌道や外殻の d軌道の電子分布を広 くし、特に局在 的な電子分布 をもつJ軌道は隣の原子の最外殻軌道 との重な りが大き くなる。 ウラン化合物の J軌道はバン ド的な性格 8 この仮定を取 り除いた歩合は MT球内の軌道空間分布の対称性を考慮して ある。 - 3 44 - j i Gが 01 ( A)に対して可換な大域的座標をまず設定してお く必要が 「第44回 物性若手夏の学校 」 (1999年度 ) Z q A XW L A r XK ′ V′ l . / /一 ! ′ ∑ r (Aa)昏 a t I 叫 / /I 7 : = j S 、苧 ' lJヽ く ヽ \ , / 8 6 4 2 0 」 1 6 一 0 l _ =ヽ ヽ ヽ / つ エ 0 0 0 1 1 0 (J ( ¥)岳JaZ t 叫 っん 1 l 1 ′ 0 4 1 1 3 1 (盆 ) 由 a Jt I H 0. 8 25 ▼ ン't V 8 :、 ヽ , 一一 ヽ I ヽ ′ ヽ ヽ ヽ P S 良 A A T ∑ K H L A r KM r 図 9:UC のフェル ミ準位近傍のバン ド構造。実線は相対論 0:UB2 の相対論的バ ン ド構造o破線はフェル ミエネル 図1 ギーを表す。 的バン ド理論計算結果であ り、点線はスピン ・軌道相互作用 のない相対論的計算である。 αB: ボーア半径 )であるので 、図 2のウラ が一般的に強 くなる。/電子系化合物の原子間距離の半分の長 さは大体 3αB( f軌道の電子分布か ら重な り合いの度合いは約 2倍 くらいになることがわか る.また 、e≧1の軌道に働 くスピン ・ ンの 5 軌道相互作用によるエネルギー分裂はバ ンド構造をかな り変化 させ る。図 9に UC のフェル ミ準位近傍のバン ド構造を 示す。UC は NaCl型の結晶構造をもち、この図はブ リルアン ・ゾーンの対称点 と対称軸に沿って計芽 した電子エネル ギー状態を表す。実線は相対論的な計算で 、破線はスピン ・軌道相互作用のみを無視 したバ ンド計算による結果である。 平行に引かれた破線はフェル ミエネル ギー ( EF)を示す。 実線 と破線 を比較す ると、スピン ・軌道相互作用によりエネルギーの縮退9が解け、バ ンド構造の変化の大きさを見る ことができる。特に EFでのバン ド構造の変化はフェル ミ面の体積や形状の変化を与えるOフェル ミ面 とはエネルギーバ ン ド E( k)の中で E( k)-EFを満たすブ リルアン ・ゾーン内の等エネルギー面を言 う。実線では Ⅹ 点を中心 としたホー ル面があ り、W 点には電子面が存在す ることがわか り、両方のフェル ミ面は閉じた形状を持っている。しか し、スピン ・ 軌道相互作用のない破線のバ ンド構造では Ⅹ 点まわ りのフェル ミ面が非常に小 さくなることがわか る。実際に 、UC の フェル ミ面の形状や大きさは ド ・ハースー アル フェン ( dHvA)効果の実験 【 5 0 ]か ら知 ることができる。実線の相対論的な 4 8 ] .つま バンド計算か ら得 られたフェル ミ面は dHvA の振動数の角度依存性を定量的に説明す ることが知 られてい る 【 り、観測量か らスピン ・軌道相互作用が実際に重要性であることが示 されている。 B2 の結晶構造をもつパ ウリ常磁性体である。その相対論的 次に 、UB2の計算結果の紹介に移 る。UB2は六方晶の AI バン ド構造は図 1 0で示 した。水平に引かれた破線はフェル ミエネルギー ( EF)を表す。EF の直上にある平 らなバ ンド fバ ンドである.EFより下の大きな分散をもつバ ン ドは、図 10の第 1番 目にある Bの 2 8バ ン ドを除き 、B の 2 p は5 軌道か ら由来したバ ンドである。2 pと 5 Jの混成による大きな分散をもつバ ンドがフェル ミ面を作 る。図 1 0で下か ら数 1 えて 6番 目と 7番 目のバ ンドが g F を横切 り、それぞれホール面 と電子面を作 る。そのホール面 と電子面の形状を図 1 と図 1 2で示 した。 フェル ミ面の形状は dHvA効果の振動数の観測量と比較することができるO 、 外部磁場 H に対して Vocs∝S n( i 2qpF/ H+¢) のよ うな振動現象が磁化などに観測 され 、dHvA 振動数 F は H に垂直な面内で切ったフェル ミ面の極値断面積 A と F-& A ・ ( 81 ) のよ うな比例関係があ り、定量的に比較す ることができる。また 、VocSの振幅の温度変化 より、サイクロ トロン有効質 量 m 芸が軌定でき、計算ではエネルギーに関す る A の変化量 -;- 芸 芸 9群論の吾兼では、普通の空間群か ら二重空間群に変化したことによるものである。 - 3 45 - ( 82) 講義 ノー ト ( 9 0) b t ta n b K H 1:UB2 の H 点を中心に描い 図1 図1 2:UB2 の たホール 面。 た電子面O 7 0 - J i V ^H P a K 9 0 6 03 0 0 0 3 06 09 0 [ 0 0 01 】 [ 1 0 70 日1 1 20 ] [ 0 0 01 ] Fi e l dA ng le( De gr e e s ) H r点を中心に描い 3:UB2 における dHv A 振動数の角 図1 度依存性。実線は計算で見積 られ たブ ラ ンチであ り、○は観測 され た dHvA振動 数で ある。 H/ /[ 11 叫 H/ / [ 1 0 i o 】 t f / /[ ( X氾1 】 47 9 4. 6 9 2. 70 41 1 7 31 0 5 4・ 1 7 表 4:dHv A 振動数 F とサイクロ トロン質量 9 61.糾 79.5. 4 4 1 0 E く The or y F( ×107 oc) ∩:( T no ) F( xlO7 oe) 7 n:( . no ) i. 4. 72 1 . 82 1 9 0 3. 08 8 . 31 4. 8 2 Exper i me t l t . Jく り 5. 0 6 1 ■ ヽ U 8 0 1 3 9. 4 9 6. 5 8 6 8 6 5 0 F( xl O7oe) m;( mo 20 . 47 6. 90 人 〃- 7 F( ×1 0 7oe ) m;( † no ) 20. 4 7. 6 5 9 1 β The or y 0 6 6 0 α Exr 杷r i men t Exf N 皿 ent The or y F( ×1 0 7oe ) mc '( mo ) F( xlO7 oe) m;( mo) 5. 6 6 4. 4 2 4. 6 8 m ;の測定値 と計算値 か ら見積 ることがで きる10。フェル ミ面か ら計算 した極値断面積 と d HvA 振動数の磁場に対す る角度依存性 を図 1 3で示 した。実線は計算値であ り、○は dHv A 振動数の観卸値を表すC実線のギ リシャ文字で示 したブ ランチが フェル ミ面のど 2において示 してある。相対論的バ ンド理論か ら計算 したフェル ミ面は観測 され の軌道か ら由来してい るかは図 11と図 1 た角度依存性を良 く説 明し、そのブ ランチの起源を与えてい る。一方 、サイクロトロン有効質量はブ ランチ と磁場 H の方 向に対 して表 4で示 した。同様に、対応す る dHvA振動数 F の値 も表に載せてある。表 4か らわか るよ うにサイクロ トロ ン質量の大きさも定量的に比較す ることができる。EF での状態密度か ら、UB2の電子比熱係数 Tband は 7 . 29mJ / K2・ mo l であ る。測定か ら 9・ 88mJ / K2・ mo lの電子比熱係数 ≠ x。が 見積 られ てい るので 、質量増強因子 入- % Xp/Tband - 1が 0. 1と非常に小 さい ことがわか る。UB2 の小 さな 人はサイクロ トロン質量が定量的に比較で きることと対応 してい る。 1、UC 相対論的バ ン ド計算に よ り dHvA 振動数の解析が行われ た非磁性 の ウラン化合物におけ る 人は UB12 で は 0. では 3. 2、そ して UPt 3では 38. 0であ る。そのた め、質量増強の起源は ウランの 5f電子 と混成す る B や C の p電子や Ptの d電子に依存 して大き く変化 してい ることが予測 され る。 § 5 . 2 スピン秩序系 :BCC Feの計算 多体効果は密度汎 関数法に取 り込 まれ てい るもの とす ると、磁性化合物の電子状態や磁性は格子 、電荷 、スピン、及 び軌道の 4つの 自由度に対す る 自己無撞着の計算か ら導かれ るもの と考え られ る。前の章で紹介 した非磁性 ウラン化合 1 0 dHvA 効果の詳細については文献 [ 51 】を参考にしてもらいたい。 - 3 46 - 「第44回 物性若手夏 の学校 」( 1 9 99年度 ) Me t ho d Lat t i c ec o n s t a nt Spi nmome nt Or bi t dmome nt Bu lkmodu lt B Cohe s i v eEne r g y ( h r b a r ) (e V) ( a. u・ ) (F L B) (F A B) 5 , 3 3 2. 1 2 0. 057 2. 45 5. 4 8 SPRLAPW 2・ 0 8 2・ 2 0 2. 2 2 2. 1 9 0. 0 56 0・ 04 3 0. 0 4 0. 049 FLAPW【 56 】 PWt l do po t e nt i a l l 5 7 1 5・ 2 3 5. 1 7 2・ 0 6 1 . 7 2 2 ・ 4 0 1 . 72 ASW[ 5 8 】 KKRl 5 9 ] KKRASA【 6 0] Expe r i me nも 5・ 3 3 5. 2 7 51 2 8 5 . 41 2・ 1 8 2. 1 5 2・ 1 7 2. 1 3 2・ l 2・ 1 7 2・ 6 0 1 . 68 -1. 73 0. 0 80 表5 :さまざまな方法 と実験によって得 られた BCC 強磁性の 2・ 43 6 11・-5 6・ 1 は ( 5・ 2 7 ) ( 5・ 41 ) ( 5. 41 ) ( 5. 41 ) l竺 52 】 SPRXKRl SPRLMTO【 5 3 】 LMTO【 5 4 1 FPLMTO【 55 】 Fe に対す る平衡格子定数 、ス ピンモー メン ト、軌道モー メン ト、体積弾性率及び凝集エネルギーの比較。括弧で示 された格 子定数は計算で仮定した格子定数を意味す る。 仰 30 )V J S 山鳥 l S ) a te 60 50 ( 倉t u O 0 H G NDp 20 1 l S J 0倉s u a G ) 由 Ha tIE ( > 3 0 (倉 ) 0 0 B Ja u 3 rA Fe l i . .. . L t ヽ I lE ′ l ∫ ・ F: ∫ II J q l L J 一 I l 1 . t . i l t L_ _ _ 0 . 30 . 40 . 50 . 60 . 70 . 80 . 91 . 0 E n e r g y( Ry) 0. 2 ^ r∑N 図1 4:BCC Fe の強磁性状態での相対論的バ ン ド構 造C破線はフェル ミエネルギーを表すC 図1 5:BCCFe の平衡格子定数での状態密乱 物は 、結晶構造 と原子核のクー ロンポテンシャルを与える格子 と電子の電荷密度の 2つの 自由度での 自己無撞着な相対 論的バ ン ド計算か ら導かれた電子構造である。次に、軌道モー メン トが消失した場合の格子 、電荷及び スピンの 3つの PRLAPW 法の計算結果を締介す る。多 くの詳細な実験結果 とさまざまなタイプ 自由度で制御 されたスピン秩序系での S のバン ド計算による結果が存在す るためにスピン秩序系の典型例 として、体心立方格子 ( BCC)の結晶構造をもつ鉄 (Fe) を取 り上げ る。BCCFe は良 く知 られた 3d電子系の強磁性体であ り、スピン分極 した相対論的バ ンド理論の非相対論的 極限での有効性 も示す ことができる。 。 まず 、S PRLAPW 法により格子定数に関する全エネルギーの計算を行 う。全エネルギーが最小になる平衡格子定数 α を見積 り、その平衡格子定数でのスピンモー メン ト、軌道モー メン ト、体積弾性率及び凝集エネルギーを計算 した。その 計算値はほかの さまざまな方法で得 られた計算値や実数値 とともに表 5で示した。格子定数の欄で括弧でかこまれた値 はそれぞれのバ ン ド理論で得 られた平衡格子定数ではな く、計算で仮定 された格子定数を表すoSPRLAPW 法の計算結 果は全体的に他の結果 よりも実験をよく説明している。 図1 4で平衡格子定数での BCCFe のプ リルアン ・ゾーンの対称軸に沿ったバン ド構造を示す。EFはフェル ミエネル N( E )-NT( E )+Nl( E )と磁化分布 M( E )-NT ( E ) -Nt( E )としてスピン ・ア ップ状態 NT( E )とスピン ・ダ ウン状態 Nt ( E )を射影す ることできる。その射影 ギーを示す。相対論では独立にスピン状態を識別す ることはできないが 、電荷分布 した状態密度 ( de ns i t yo fs t a t e s ‥ DOS)を図 1 5で示 した。3d状態のスピン ・軌道分裂は非常に小 さいので 、DOS形状は 5 6 ]のもの と良く一致 している。EFの DOSか ら電子比熱 スピン ・軌道相互作用のないスカラーの相対論的バ ンド理論 [ 係数 Tbz u. dは 2 ・ 7 8 6m J/K2・m ole と見積 らる。一方 、実験値 7e。x は - % xp/7band- 1 )は 0・ 7とかな り小 さい。 量増強因子 入( - 3 47 - 4. 7 5 5m J/K2・m ole [ 61 ]と測定 されているので 、質 講 義 ノー ト N つ ー 0 l ( D∑ )Lut la ■'' l ■●l l Fel ( ーl α 0 l V^Hp F r 19nbaJd 〇〇〇d 〇 〇〇〇〇 ≦ 軸 0 〇0 〇〇 〇〇 〇 〇γ 曲 図1 6:FLAPW 法によるスピン ・ 図 1 7:SPRLAPW 法による平衡 軌道相互作用のない場合の Feの 格子定数での Feのフェル ミ面の フェル ミ面の断面図。 断面図o C \ ・ . . . . . I. . -壬 ビ α g九 8 ち h〇 〇〇 ■ l q p 一 l 冊 0 45 3 01 50 1 53 0456 07 59 0 【 01 1 】 【 0 01 ] 【 1 1 01 Fi e l dA ng lePe ge e s ) 図 1 8:BCC 強磁性 Feの dHvA 振動数o実 線はフェル ミ面の極値断面積か ら計算 した理論 的ブ ランチであ り、○は dHvA効果の観軌値で ある。 4でわかるよ うに 、10番 目か 1 5番 目までの 5つのバ ンドが EFを横切 りフェ 次に、Feのフェル ミ面を調べてみる。図 1 6にスピン ・軌道相互作用を無視 したスカラーの相対論的方程式を基にした FLAPW 法 ル ミ面を作る。比較のために、図 1 7に示 した。図 1 6の FI . APW による計算でのフェル ミ面の断面を示 した.SPRLAPW 法による対応す る計算結果を図 1 法ではスピンは良い皇子数であるので 、上向きスピンのフェル ミ面は実線で表 してあ り、下向きスピンのフェル ミ面は 6と図 1 7とを比較す ると、スピン ・軌道相互作用により上向きスピン と下向きスピンの状態の 破線で示 している。図 1 7では形状の異なるフェル ミ面が現れている。図 1 7での SPRLAPW 法のフェル ミ面か ら極値 間に分裂が起 こ り、図 1 8で示 した。実線は計算による dHvA振動数の角度 断面積の計算を行い、dHvA 振動数の測定値 と比較 した結果を図 1 依存性 を示 し、○は dHvA 振動数の測定値 [ 62,63,6 4,65,66 ]である。アル ファベ ッ トで示した理論的ブ ランチの詳細 43 ]を参考に して もら うことにして、全体の振 る舞いをよく説明している。図 1 4の対称軸上のバ ン ド構造の形 は文献 【 状や図 1 5の DOSの性質はスピン ・軌道相互作用の影響をほ とんど受けていない よ うに見えるが 、ブ リルアン ・ゾーン d電子系で も大きく、フェル ミ面の形状に反 の対称面上では上向きスピンと下向きスピンとの間のスピン ・軌道分裂が 3 映していることが理解で きる。 §5. 3 スピン軌道秩序系 :磁性ウラン化合物の計算 /電子系で Gd金属のよ うな 1 4個の J軌道に半分の電子が詰まった系などを除き 、4才軌道 もつ ランタノイド系列や 5才軌道をもつア クチ ノイド系列のほ とんどの原子は有限の軌道モー メン トをもち、その大きさはスピンモー メン トより も大 きい。 したが って 、これ らの系列の原子を含む化合物の磁性は軌道モー メン トが支配 してい ると考えることができ 3 及び UR1 1 2S i 2 の磁性 ウラン化合物について紹 る。このよ うな軌道秩序系の電子状態 と磁性の例 として 、USb,UPd2A1 介す る。特に 、USbの磁気構造は ノンコ リニア-であるので 、NSPRLAPW 法の適用例 として解説す る。 bは NaCl型の結晶構造をもち、中性子散乱の測定か らネ ール温度 TN-214I (以下で ウランモ ノプニ クタイ ト US ri T pl e kの磁気構造をもった反強磁性体であることが知 られてい る [ 67 1 。図 1 9で Type Ⅰ型の 3種類の磁気構造の様子 ri pl e k磁気構造は ( C )であるC実験で観測 された電子比熱係数は 4. 36mJ/ K2・ mo l eである。他のウランモ を示 した。T 9( a)の Si ngl e kの磁気構造をもち、それ らの恵子比熱係数は UN に対 して 25. 8 ノプニクタイ ト UN、UP、UAsは図 1 mJ/ K2・ mo l e、UP に対 して 32・ lmJ/ K2・ mol e、UAsに対 して 53・ 2mJ/ K2・ mo l eである 【 6 8 ] 。USbの電子比熱係数のみ が非常に小 さいことか ら、USbの 5 f状態がフェル ミ準位にほ とんど存在 していないことが期待 され る。横磁気抵抗の汎 - 3 48- 「第4 4回 物性若手夏 の学校 」 ( 1 99 9年度 ) Ty pe Ima g n e t i cs 加c t u r e a) t ipl r e A ( ≠ 寺 図1 9:Type Ⅰの磁気構造。 Ⅹ r M R X 図 20:ni pl e kの磁気構造での USbのフェル ミ準位近傍の 相対論的バ ン ド構造。 定 [ 69 】か ら、USbは半金属であることが明 らかにな ってい る。 まず 、図 1 9の Si ngl e k、Doubl e k、T ri pl e k磁気構造に対 して式 ( 56)と ( 57)によ り角度を設定 し、NSPRLAPW 法 e kの磁気配置でエネル に よる 自己無撞着な計算 を実行 した。それ らの全エネルギーの比較か ら実験で示唆 され る Thpl ri pl e kでの EF近傍 のバ ン ド構造を示す ギーが最小にな ることが得 られ た。図 20では T 【 7 0 】 cEFは水平な破線で示 し てある。図 21には 0. 1Ryか ら 0. 6Ryまでの範囲での DOSを示 した。図 20で見 られ るフェル ミエネルギーの近傍のほ 才バ ン ドであ り、スピン分極 とスピン ・軌道相互作用による分裂のために図 21で とんど分散をもたないバ ン ドは U の 5 はスパ イク状の DOSが見 られ る00. 35Ry以下に Sbの 5 pバ ン ドが あ り、それ 以上の分散 をもつバ ン ドは U の 6 d軌道 に由来す る。5 fバ ン ドが EFか ら離れ た位置に存在す るため 、EF上の DOSは小 さくな る.その DOSか ら計算 した電 子比熱係数は 4 . 9 2mJ / K2 ・ mo l eと見積 られ 、実験結果 と-鼓 した値である05fバ ン ドの分裂 と 6d5 f混成効果によ り、 5才バ ン ドはエネルギー的に局在 してい る。このバ ン ド構造は最近測定 された高分解能角度分解光電子分光の測定 【 71,72 ] に よ り観測 され た分散の振 る舞いを定性的に説 明してい る。 自己無撞着な計算か ら、スピンモー メン トの方向と軌道モーメン トの方向はどちらもそれぞれのウランの位置で Tr i pl e k の磁気構造が示す [ 111 ]に沿 った方向に収束す る。そのスピンモー メン トは -1・ 91 〝Bで 、軌道モー メン トは 3・ 43〃Bも . 52〝Bで 中性子散乱の測定か ら観測 され た 2. 8〝B よ り小 さい。それ に対応 してか 、 大きさを もつ。磁気モー メン トは 1 図2 0のバ ン ド構造か ら求めた フェル ミ面は現在の ところ dHvA 効果で測定 され た振動数の角度依存性 【 69 ]を完全には 説明す ることはできない。磁気モー メン トの大きさの改良と相 関があるもの と考えてい る。 ㈹ 1 EF ㈹ s G )玉 8 ヽ ■ ( 音 UPd2A l3 a I l0. 1 0 -2. 7 3 0. 0 5 3. 66 0. 88 s u a p 棚 20。 0m S )S at 。 1 SJ0倉 S p i n Or b i t , l a 1 bt a l Ex pe ime r n t O・ 85 j = 0・ 03【 7 3,7 6 】 URu 2 S i 2 a I 10. 01 -0. 7 5 -0. 01 0. 86 0. 0 9 0. 04土0. 01[ 77 ] 表 6:UPd2 A13 と URu2 S1 2に対す るウランの位置での スピンモー メン ト、軌道モー メン ト及び磁気モー メン ト の実験値 との比較。スピンモー メン トと軌道モー メン ト 0. 2 0. 3 0. 4 05 . に対す る d成分 と f成分の寄与を示す。すべては pBの 単位で表 した。 0 . 6 Ene r g y(Ry) ri pl e kUSbにおけ る状態密度。 図 21:T 最後に 、UPd2 A1 3 と URu 2 Si 2の磁気モー メン トの大きさについて紹介 してこのセ ミナーを終わ ることにす る。UPd2 A1 3 と URu2 Si 2は小 さな磁 気モー メン トをもつ反強磁性体で あ り、かつ超伝導を示す ウラン化合物 として知 られ てい る。 - 3 49 - 講義 ノー ト UPd2 A1 3は Pr Ni 2 A13型の六法晶の結晶構造を持ち、TN - 1 4K の以下で反強磁性に転移す る 【 7 3 】 oUPd2 A13の磁気モー 1 1 5 0 ]方向に強磁性的な配向し、[ 0 0 01 ]方向に沿って反強磁性的配列をしている。一方 、URu2 Si 2は TN以下で メン トは [ 2 Si 2の結晶構造をもち、 Type Ⅰ型の反強磁性を示す [ 7 4 】 。NSPRLAPW 法で UPd2 A1 3と UR1 1 2 Si 2に 立方晶の ThCr 対応す る反強磁性の磁気配置について 自己無撞着に計算 した 【 7 5 ] 。 ウランの位置でのスピンモー メン トと軌道モー メン "と' ' f " はスピンモー メン トと軌道モーメン トにおける d成分 と f成分を表す0Upd2 A13 トを表 6に示した。 この表で"d と URu2S i 2の磁気モー メン トの寄与はほ とんど J成分である。スピンモー メン トと軌道モー メン トは大き く、しか し大 きさはほとんど同じである。" To t a l ' ' の欄の磁気モー メン トは中性子散乱で観測した小 さな磁気モー メン トの値を説明す る。 この計算か ら、スピンモー メン トと軌道モー メン トの相殺が小 さな磁気モー メン トが現れ る原因 と考えることがで 1 2 Si 2での反強磁性転移前後の比熱の変化は相対論的バン ド理論か ら解釈す ることができている。′ J 、 さな磁気 きる。UR1 モー メン トの解釈は確定 したものではないが 、いろいろな実数 との比較か ら明らかになるであろ う。 謝辞 この研究は平成 6年度か ら発足 した重点領域 「 重い電子系の物理」での研究を通じてはじめた もので 、東北大学大学 院理学研究科の小松原武美先生には研究の機会を与えていただいたことを感謝 します。 ド ・--スー ファン ・アル フェン 効果のフェル ミ面の研究では、大阪大学大学院理学研究科の大貫惇睦先生 、稲 田佳彦 さん 、 日本原子力研究所の芳賀芳 弘 さん 、山本悦司 さん 、博士研究員の本間徹生 さんにお世話にな りました。東北大学大学院理学研究化の高橋隆先生 と 組頭広志 さんには USbの角度分解光電子分光のデーターを見せていただき、有意義な議論をして頂きました。 相対論的スピン分極バ ンド理論はアレキサンダー ・フォン ・フンボル ト財団の奨学研究員 として 、ドイツのダル ムシュ o f .I.K也bl e rと Dr .L. M.Sa nd r a t s ki iには有意義 タット工科大学での研究の機会を与えて頂いた結果です。その際 、Pr な指摘をして頂きました。また 、相対論的バ ン ド理論の研究は博士課程在学中において新潟大学理学部の長谷川彰先生 にきっかけを与えて頂きました。 ここに感謝の意を表 します。東北大学大学院理学研究科 ( 現在 、東京都立大)の酒井 拾先生にはこの冊子を読んでいただき、貴重な指摘を頂きました。最後に、このテキス トをまとめる機会を与えて くれ た東京理科大学の薄 田学君 と浜 田典昭先生に感謝 します。 参考文献 l l ]A・K Ra j a g o pa la ndJ・Ca l l a wa y・Ph ys ・Re v・B7( 1 9 7 3 )1 91 2 ・ 【 2 ]酉島和彦:相対論的量子力学 ( 新物理学シ リーズ 13 :培風館) ・ [ 3 1M.Ro s e :Re l a l i v i s f i cEl e c t r o nThe o r y( Addi s o nWe s l e y ,1 9 61 ) ・ 【 4 】P・Hohe n be r ga ndW・Ko hn:Pb ys ・Re v・136( 1 9 6 4)B8 6 4・ m [ 5 ]W・Ko h a ndL・J・S ha : Phys ・Re v・140( 1 9 65 )Al 1 3 3・ 】た とえば 、f電子系のバ ン ド計算 としては L S e v e r i n,M・S・S・Br oo k sa ndB・J o ha ns s o n:Ph ys ・Re v・Le t t ・71 【 6 ( 1 99 3)321 4;L M.Sa ndr a t s kii a ndJ IKt i bl e r :Ph ys .Re v・L et t ・75( 1 9 95 )9 4 6・ ( 7 ]H・Es c hi rg,G・Se i er f ta n dP・Zi e s c he :So l i dSt a t eCo mmu n ・56( 1 9 85)7 7 7・ 【 8 1K・Ca pe l l ea ndE・Ⅸ・U・Gr o s s ‥Phy s ・Re v・Le t t ・78( 1 9 97)1 87 2・ 【 9 ]M・Hi g uc bia ndA・Ha s e ga wa:J・Phy s ・So c ・J pn・66( 1 9 9 7)1 49;67( 1 9 9 8)2 0 3 7・ c t ur e so nQua nねm Me c ha ni c s( 1 9 6 9 )( Be n j a m血,Ne wYo r k)pp5 5 2・ [ 1 0 ]G・Ba ym:Le [ 1 1 ]A.H.Ma c Do na l da ndS.H.Vo s k) :J・Ph ys .C12( 1 9 7 9)2 97 7 . [ 1 2 ]A・H・Raj a g o pa l :J・Phys .Cll( 1 9 7 8)L9 4 3・ [ 1 3 ]M・Ⅴ・Ra ma naa ndA・K.Ra j a g o pa l :J・Pb ys ・C12( 1 97 9 )L8 4 5・ - 35 0- 「 第44回 物性若手夏 の学校 」 ( 1 9 99年度 ) [ 1 4 ]A・HIMa c Do na ld:J.Ph ys .C16( 1 9 8 3)3 8 6 9. a g o pa l andM.V.Ra ma na :I.Ph ys .C17( 1 9 8 4)1 3 3 9 . [ 1 5 ]B・X・Xu,A・K.Raj [ 1 6 ]U・v o nBa r t ha ndL He di n:I.Ph ys ・C5( 1 97 2)1 6 2 9. ys ・B52( 1 9 8 3)31・ [ 1 7 ]R・Fe de r ,F・Ro s i c k ya ndB・Ac k e r ma nn:Z・Ph [ 1 8 ]B・Acke r ma nna ndA.Fe de r :So l i dSt a t eCo mmu n .49( 1 9 8 4)4 8 9. [ 1 9 ]P・St r ng a e ,J・St a nt u o na ndB.L・Gy o r fy ,J.Ph ys .C:So l i dSt a t ePh ys .17( 1 9 8 4)3 3 5 5 . [ 2 0 ]P・Co r t o na,S・Doni a c ha ndC.So mme r s :Ph ys .Re v.B31( 1 9 8 5 )2 8 42 . ndP.St r ang e :I.Phys . :Co nde n s .Ma t t e r6( 1 9 9 4 )3 4 9 9 . [ 21 ]A.C.J e nki ns a i ,A・Mavr m o ma r o usand∫.Ki i bl e r :I.Ph ys . :Co nde ns .Ma t t e r9( 1 9 9 7 )1 0 8 81. [ 2 2 ]H.Ya ma ga [ 2 3 ]H,Ebe r t :J・Ph ys . :Co nde n s .Ma t t e r1( 1 9 89 )9111. [ 2 4 ]山上浩志:博士論文 ( 新潟大学 1 9 91 ) . [ 2 5 ]J・H・Wooda ndA・M.Bo ing:Ph r ys ・Re v.1 8( 1 9 7 8 )2 7 01. [ 2 6 ]D.D.Koe l 止nga ndB.N.Ha r mo n:J.Ph y s .C:So idSt l a t ePh ys .10( 1 9 7 7 )31 07. ys i kB32( 1 9 7 8)43・ [ 2 7 】T・TA ke da:Z・Ph [ 2 8 ]AIH・Ma c Do na ld,W.E.Pi c k e t ta ndD・D.Ko e l l i ng:I.Phys ・C:So l i dSt a t ePh ys .13( 1 9 8 0)2 67 5. [ 2 9 ]ランダ ウ ・リフシ ッツ:理論物理学教程 量子力学 1 ( 東京図書) ・ [ 3 0 ]R・J・El l i o t ‥Ma g ne t i cPr o pe r t i e so fRa r eEar t hMe t al s( Pl e nl l m Pr e s s ,Lo ndo na n dNe wYo r k,1 97 2 ) ・ c ki nt o s h:Ra r eEar t hMa 9 ne l i s m( Cl a r e ndo n,oxf or d,1 9 91 ) [ 31 ]I.J e n s e na ndA・RIMa s hc r of ta ndN.D.Me r m i n:So l i dSt a l ePh y s i c s( No l t S a 1 nde r s ,1 9 81 ) ・ [ 3 2 ]たとえば,N・W.A [ 3 3 ]R・Kuboa ndT・Na ga i ya:So m l i dSt a t ePhy s i c s( Ma c Gr a wHi l l ,Ne wYo r k,1 9 6 9)pp451・ [ 3 4 ]ランダ ウ ・リフシ ッツ:理論物理学教程 量子力学 2( 東京図書)§ 1 1 3pp4 2 7. ndo na ndG.H.Sho r t l e y:TheTheo r yo fAt o mi cSp e c t r a( Ca m br i dg e ,1 97 0 ) . 【 3 5 ]E・U.Co 【 3 6 ]∫.C.Sl a t e r :Phys .Re v.34( 1 92 9)1 2 9 3・ r yO fMo l e c ul e sa ndSo l i d s( Mc Gr a wHi l l ,Ne wYo r k,1 9 6 3) ・ [ 37 ]J.C.Sl a t e r :Qua n九m The o 1たとえば 、キ ッテル [ 38 固体物理学入門上 宇野良清、津屋昇、森 田章、山下次郎共訳 ( 丸善). 【 3 9 】たとえば 、犬井鉄郎、田辺行人、′ J 、 野寺嘉孝 :応用群論 ( 裳華房) ・ 【 4 0 ]H・Ya ma g a i a m ndA・Ha s e g a wa:J・Ph ys .Soc .J pn.60( 1 9 9 1 )9 8 7 ・ t s ne l s o n,V.S.St e pa n yuk,A.I .Sz a s z ,0.V.Fa r be r o vi c h:Co mpu i at i o na ZMe t ho d si nCo n[ 41 ]たとえば 、A・A.Ka de ns e dMa t t e r JEl e c t r o ni cSl r ui ur e( AI P,Ne wYo r k,1 9 9 2) ,日本語では、和光信也:コンピューターでみる固体の 中の電子 ( 講談社サイエンテ イフイク) . 【 4 2 ]0・Ⅸ・Ande r s e n:Ph ys ・Re v.B12( 1 97 5)3 0 60. 【 4 3 ]H.Ya ma g ami :∫.Ph y s .Soc .J pn.67( 1 9 9 8)31 7 6. ー 351- 講義 ノー ト 【 4 4 ]T・L Louc k s :^u 9 me nt e dPl a neWa v eMe t ho d( Be n j a i n,1 m 9 67 ) . ,R・CIAl be r t s ,A.M・Bo r i nga ndP.We i nbe r g e r :Ph y s .Re v.B35( 1 9 87 )43 2 4. [ 4 5 ]G・Sc hl ade r [ 4 6 ]So l o v ye vIV,Li c h t e ns t e i nAI ,Gu ba no vVA,A nt r o po vVPa ndAnde r s e n0 K 1 9 91Ph y s .Re v .B431 441 4 【 47 】D・F・J o hn 5 t O n,Pr oc .氏.Soc .Londo nA243( 1 9 59 )5 46. [ 4 8 ]A・I I a s e g a waa n dH.Ya ma ga i :J.Ph m ys .Soc .J pn.59( 1 9 9 0 )2 1 8. [ 4 9 ]E.Ya ma mot o,Y.Hag a,T.Ho nma,Y.I na da,D.Ao ki ,M.He do,Y.Yo s h i da,H.Ya ma g a i a m ndY.6nu ki :I. ・ Ph ys ・Soc ・Jpn・67( 1 9 9 8)31 71 [ 5 0 ]Y.On uk i ,Ⅰ .Ume ha r a,Y.KWO S a Wa,K.Sa t o ha ndH.Ma t s ui :J.Ph ys .Soc .J pn.59( 1 9 9 0)2 2 9. g ne t i co s c i l l a t i o nsi nme t a l s( Ca mbr i dg eUni v e r s i t yPr e s s ,Ca mbr idge ,1 9 8 4) . [ 5 1 ]D.Shoe n be r g:Ma [ 5 2 ]H・Ebe r t ,P・St r a ng ea ndB.L.Gyo r fy:J.Ph ys .F:Me t a lPh ys .18( 1 9 8 8)L1 3 5. r t ,W・M・Te mme ma r na ndP・J・Du r ha m:Ph ys ・Re v・B50( 1 9 9 4)3 8 61. [ 5 3 ]G・Y・Guo,H・Ebe [ 5 4 ]0・Er iks s o n,B・J o ha n s s o n,RIC・Al be r s ,A・M・Bo r i ngandM・S・S・Br oo k s . ・Ph ys .Re v.B42( 1 9 9 0)2 7 07. yg g,BIJ o ha n s s o n,0・Er i ks s o na ndJ・M・Wi l l s :Ph ys ・Re v・Le t t ・75( 1 9 9 5 )2 8 7 1・ [ 5 5 ]JITr [ 5 6 ]K・B・Ha t ha wa y,H・J・F・J a n s e na ndA・J・F t e e ma n :Ph ys ・Re v・B31( 1 9 85 )7 6 0 3. 【 5 7 ]H.S・Gr e e ns i dea ndM.A.Sc hl i i t e r :Pb ys .Re v・B27( 1 9 8 3)3111, [ 5 8 ]J・Kt i bl e r :Ph ys ・L et t l81A ( 1 9 81 )81・ [ 5 9 ]I.F・Jana ka ndA.a.Wi ui a ms :Ph ys ・Re v・B14( 1 9 7 6 )41 9 9・ [ 6 0 ]0.K・Ande r s e n,J・Ma d s e n,U・K・Po ls u e n,0・Je ps e na ndJ・Ko nar:Ph ysi ca86 88B ( 1 9 7 7 )2 4 9. [ 61 ]M.Di xo n,FIE.Hoa re ,T.M.Ho l de na ndD・E・Mood y:Pr oc ・R・Soc ・Lo ndo nSe r ・A285( 1 96 5)5 61・ [ 6 2 ]A.V.Go l d,L Hodg e s ,P.T.Pa no us i sa ndD.氏.St o ne :I nLJ・Ma g n・2( 1 9 71 )3 5 7. [ 6 3 ]D・ RIBa ra f f :Ph ys ・Re v・B8( 1 97 3)3 43 91 [ 6 4 ]M.A,Ang ad i ,E.Fa wc e t ta ndM・RB S O l t :Ca n J.Ph ys .53( 1 9 7 5 )2 8 4l l 6 5 ]G・G・Lo nz a ic r hEl e c i r 1 0 nSa lt heFe l T niSur f a c e ,e d・M・S pr ng i f o r d( Ca m br idg eUm ive r s i t yPr ess ,Ca mbr i dg e , 1 9 8 0) . 】R・Ⅴ・Col e ma n,W・H.Lo wr e ya ndJ・A・Po l o,J r ・ :Phys ・Re v・B23( 1 9 81 )2 4 91・ 【 6 6 [ 6 7 ]I.Ro s s a t Mi g nod,P.Bl l r l e t ,S・Que z e la ndO・Vog t :Ph ys i c aB102( 1 9 8 0)2 3 7・ t ・a ndO・Vo g t :Ph ys ・Re v・B32( 1 9 85 )45 82 ・ [ 6 8 】H.Rudi g i e r ,H・氏.Ot O , H・ Ao k i ,0・Sugi e ,M・Suz u ki , A・Sa wa da,N・Sat o,T・ Kom a t s uba r a, A・Odl i i,T・Sl a 滋uk i , K・ Suz u k i , [ 6 9 ]A・ I s h i g l l r M.Hi guc hia ndA・Ha s e ga wa:J・Ph ys ・Soc ・J pn・66( 1 9 9 7 )27 6 41 【 7 0 ]H・Ya ma g a I 血 Ph ys c aB259 261( 1 9 9 9)2 3 6・ s i ,H・Km i g a s hi r a,T・I t o,A・A s hi ha r a,H・D・Ki n,H・Aok i ,A・Oc hi ia a ndT・Suz u k i :J・El e c t r o n [ 71 ]T.Ta k a ha Spe c t r o s c ・92( 1 9 98 )6 5・ 4巻第 5号 日本物理学会誌 pp3 6 4. [ 7 2 ]組頭広志 、高橋隆 :第 5 - 3 52 - 「第44回 物性若手夏 の学校 」 ( 1 999年度 ) [ 7 3 ]A・Kr i mme l ,P・ Fi s he r ,B・Ro s s l i ,H.Ma l e t t a,C.Ge i be l ,C.Sc ha n k,A・Gr a ue l ,A・Loi dla ndF.St e g l i c h:Z.Ph ys . B86( 1 9 92)1 61 ・ [ 7 4 ]T.T.Pa l s t r a,A.A.Me no vs kya ndI.A.Mydo s h:Ph ys .Re v.Le t t .55( 1 9 85 )2 7 2 7 . 【 7 5 ]H.Ya ma g a mi :JJ APS e r i e sll2 0 6. [ 7 6 ]N・Sa t o,T.Sa l( o n,K.I ma mu r a,Y. I na da,H・Ao noa ndT.Ko ma t s u ba r a :Ph ys i c aB186-188( 1 9 9 3)1 95 ・ m,H.Li l n,P. T.Ma t t he ws , T. E.Ma s o n, W.I. L Buy e r s ,M. F.Co l l i n s , A・ A.Me no vs ky ,I.A.Mydo s h [ 7 7 ]C.Br o ho a nd∫.氏.Kj e ms :Pl 汀s .Re v.B43( 1 9 91 )1 2 8 09. - 3 53-
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