ESMO 2016

ESMO 2016
FIRE-3試験のセツキシマブ+FOLFIRI療法における左側病変と
右側病変の転帰の比較
Tumor
Location
V. Heinemann et al. (ESMO2016)
FIRE-3(RAS wt)
結 論
●
●
●
●
●
背景と試験デザイン
FIRE-3試験では、右側病変群は予後不
良であることが示された。
●
病変部位と治療効果の有意な交互作用
は全生存期間(OS)では認められたが、
全奏効率
(ORR)
、無増悪生存期間
(PFS)
では認められなかった。
●
RAS 野生型左側病変群では、セツキシ
マブ+FOLFIRI療法は、ベバシズマブ
+FOLFIRI療法よりも大きく優れていた。
●
右側病変群では、ベバシズマブ+FOLFIRI
療法例は統計学的に有意ではないものの
数値的に大きな利益
(ベネフィット)
を示した。
●
RAS 野生型例とRAS/BRAF 野生型例の
臨床効果は同程度であった。
右側病変
・ 原発巣が虫垂、盲腸、上行結腸、肝湾曲部、
横行結腸にある場合に右側病変 mCRC と
分類した。
左側病変
・ 原発巣が脾湾曲部、下行結腸、S 状結腸、直腸
にある場合には左側病変 mCRC と分類した。
右側病変
(n=88)
セツキシマブ+
ベバシズマブ+
セツキシマブ+
ベバシズマブ+
FOLFIRI療法
(n=157)
FOLFIRI療法
(n=149)FOLFIRI療法
(n=38)FOLFIRI療法
(n=50)
37(24)
年齢中央値、年
64.0
ECOG PS、n(%)
0
64(41)
2
≦中央値
>中央値
65(44)
31(20)
32(21)
59(38)
肺のみ
5(3)
15(39)
18(36)
47(32)
12(32)
15(30)
6(16)
6(12)
1(3)
1(2)
3(8)
17(11)
3(6)
31(82)
118(80)
100
21(42)
44(88)
50
25
セツキシマブ+FOLFIRI 療法
PFS
右側病変(n=38)
:7.6ヵ月
左側病変(n=157)
:10.7ヵ月
ハザード比=2.00
(95%信頼区間:1.36-2.93)
p=<0.001
0.75
0.50
0.25
0.00
1.00
OS
右側病変(n=38)
:18.3ヵ月
左側病変(n=157)
:38.3ヵ月
ハザード比=2.84
(95%信頼区間:1.86-4.33)
p=<0.0001
0.75
0.50
0.25
0
12
24
36
48
60
左側病変 157 60
17
10
6
4
右側病変 38
10
右側病変群
(n=38)
・セツキシマブ+FOLFIRI療法例では、PFSは右側病変群7.6ヵ月、左側病変
群10.7ヵ月(p<0.001)で、OSは右側病変群18.3ヵ月、左側病変群38.3ヵ
月だった(p<0.0001)。
1.00
68.8
52.6
0
0
0
0
72 期間(月)
0
0
0.00
24
36
48
60
左側病変 157 131 77
38
23
6
右側病変 38
12
24
10
4
1
1
72 期間(月)
0
0
p値 = 0.18
75
61.7
50
50
25
0
左側病変群
(n=157)
右側病変群
(n=50)
左側病変群
(n=149)
・ ベバシズマブ+FOLFIRI療法例では、PFSは右側病変群9.0ヵ月、左側
病変群10.7ヵ月(p=0.06)で、OSは右側病変群23.0ヵ月、左側病変群
28.0ヵ月だった(p=0.04)。
ベバシズマブ+FOLFIRI 療法
PFS
右側病変(n=50)
:9.0ヵ月
1.00
左側病変(n=149)
:10.7ヵ月
ハザード比=1.38
(95%信頼区間:0.99-1.94)
p=0.06
0.75
0.50
0.00
1.00
OS
右側病変(n=50)
:23.0ヵ月
左側病変(n=149)
:28.0ヵ月
ハザード比=1.48
(95%信頼区間:1.02-2.16)
p=0.04
0.75
0.50
0.25
0.25
0
オッズ比 =1.61
100
p 値 = 0.09
75
0
● PFS・OS
ベバシズマブ+FOLFIRI 療法
オッズ比 =1.98
)
19(12)
129(82)
セツキシマブ+FOLFIRI 療法
1(2)
72(48)
10(7)
・ セツキシマブ+FOLFIRI療法例のORRは、右側病変群52.6%、左
側病変群68.8%だった(p=0.09)
。ベバシズマブ+FOLFIRI療法
例のORRは、右側病変群50%、左側病変群61.7%だった
(p=0.18)。
22(44)
16(42)
*横行結腸病変
(3%)
は
右側病変群に含めた
● ORR
)
肝臓と肺のみ
何らかの後治療を受けた患者、n(%)
1(3)
27(54)
22(58)
33%
ORR %(
肝臓のみ
1(1)
66.0
76.5%
治療群別の有効性
ORR %(
転移、n(%)
15(39)
71(45)
66(42)
術後補助化学療法施行、n(%)
82(55)
22(44)
68.0
66(44)
2(1)
病変の最長径、n(%)
14(37)
63.0
91(58)
1
45(30)
44%
FIRE-3 試験の RAS 野生型対象者(n=400)
・ 右側病変:88 人(22%)
・ 左側病変:306 人(76.5%)
・ 病変部位未定:6 人(1.5%)
・右側病変群でECOG PSが0であった患者は、
セツキシマブ+FOLFIRI
療法例39%、
ベバシズマブ+FOLFIRI療法例54%だった。
女性、n(%)
*
22%
病変が両側にあり、どちらが原発巣であるか
不明確である場合には、病変部位未定とし、
解析対象から除外した。
患者背景
左側病変
(n=306)
FIRE-3における右側
または左側病変の分布
0
12
24
36
48
60
左側病変 149 56
13
7
2
0
右側病変 50
16
1
0
0
0
72 期間(月)
0
0
0.00
0
12
24
36
48
60
左側病変 149 120
76
31
11
3
右側病変 50
37
この資材は学会の最新情報を掲載しており、日本国内での承認内容と異なる薬剤の情報が含まれています。ご使用にあたっては各薬剤の添付文書をご参照ください。
16
7
1
0
72 期間(月)
0
0
ESMO 2016
病変部位別の有効性
● ORR
・ 右側病変群のORRは、セツキシマブ+FOLFIRI療法例52.6%、
ベバシズマブ+FOLFIRI療法例50%だった(p=0.833)。
左側病変群のORRは、セツキシマブ+FOLFIRI療法例68.8%、
ベバシズマブ+FOLFIRI療法例61.7%だった(p=0.230)。
・ 左側病変群のOSは、セツキシマブ+FOLFIRI療法例38.3ヵ月、
ベバシズマブ+FOLFIRI療法例28.0ヵ月だった(p=0.002)。
S. Kasper, et al.(ESMO2016, 508P)
右側病変
セツキシマブ+
FOLFIRI療法
(n=38)
ORR(%)
52.6
50.0
11.1
p値
68.8
0.23
9.0
1.44
p値
10.7
18.3
ハザード比
p値
38.3
23.0
1.31
● PFS・OS
ハザード比=1.44
(95%信頼区間:0.92-2.26)
p=0.11
0.2
0
38
12
24
36
48
60
72
16
1
0
0
0
0
10
50
ベバシズマブ+
FOLFIRI 療法
0
0
0
0
ハザード比=0.90
(95%信頼区間:0.71-1.14)
p=0.38
0.4
0.2
0
セツキシマブ+
157
FOLFIRI 療法
ベバシズマブ+ 149
FOLFIRI 療法
12
24
36
48
60
72
56
13
7
2
0
0
60
17
10
6
4
0
期間(月)
病変部位評価対象
右側病変
(n=88)
22%
左側病変
(n=306)
77%
セツキシマブ+
ベバシズマブ+
セツキシマブ+
ベバシズマブ+
BRAF 野生型
BRAF 野生型
BRAF 野生型
BRAF 野生型
n=143
オッズ比
PFS(月)
FOLFIRI療法
n=139
RAS/BRAF 野生型の病変部位評価対象
OS(月)
ハザード比
n=13(26%)
RAS/BRAF 変異型の病変部位評価対象
ベバシズマブ+FOLFIRI 療法 (n=50):23.0ヵ月
0.6
ハザード比=1.31
(95%信頼区間:0.81-2.11)
p=0.28
0.4
0.0
セツキシマブ+
FOLFIRI 療法
0
12
24
36
48
60
72
50
37
16
7
1
0
0
38
24
10
4
1
1
0
左側病変 mCRC
セツキシマブ+FOLFIRI 療法 (n=157):38.3ヵ月
0.8
ベバシズマブ+FOLFIRI 療法 (n=149):28.0ヵ月
0.6
ハザード比=0.63
(95%信頼区間:0.48-0.85)
p=0.002
0.4
0.2
追跡患者数
0.0
期間(月)
左側病変 OS
1.0
0
セツキシマブ+
157
FOLFIRI 療法
12
24
120
76
131
77
36
48
60
72
31
11
3
0
38
BRAF 変異型
n=10(7%)
RAS野生型
セツキシマブ+
FOLFIRI療法 N=38
52.6
23
6
0
7.6
期間(月)
ORR(%)
オッズ比
BRAF 変異型
n=7(5%)
RAS/BRAF 変異型の病変部位評価対象
18.3
p値
1.44
1.31
47.4
68.8
8.0
9.0
18.9
23.0
0.90
0.63
1.70
1.31
10.5
23.6
61.7
RAS/BRAF 野生型
セツキシマブ+
FOLFIRI療法 N=143
67.8
ベバシズマブ+
FOLFIRI療法 N=139
1.26
62.6
0.38
10.7
11.1
0.89
11.1
0.37
0.38
38.3
42.0
0.34
0.23
10.7
1.37
0.046
ベバシズマブ+
FOLFIRI療法 N=149
1.37
ベバシズマブ+
FOLFIRI療法 N=37
0.61
RAS野生型
セツキシマブ+
FOLFIRI療法 N=157
p値
ハザード比
50.0
0.28
p値
OS(月)
1.11
RAS/BRAF 野生型
セツキシマブ+
FOLFIRI療法 N=28
0.11
左側病変群の臨床効果
パラメーター
ベバシズマブ+
FOLFIRI療法 N=50
0.83
p値
ハザード比
n=7(20%)
右側病変 mCRC
セツキシマブ+FOLFIRI 療法 (n=38):18.3ヵ月
0.8
0.2
追跡患者数
FOLFIRI 療法
右側病変 OS
1.0
p値
PFS(月)
BRAF 変異型
(n=149)
p値
ー 7人
FOLFIRI療法
ORR(%)
ハザード比
ー 3人
BRAF 変異型
(n=157)
ベバシズマブ+ 149
FOLFIRI 療法
パラメーター
病変部位評価対象
RAS/BRAF 野生型の病変部位評価対象
(n=50)
右側病変群の臨床効果
RAS野生型の
n=37
(n=38)
FOLFIRI 療法
・ RAS野生型群とRAS/BRAF 野生型群の両治療例の臨床効果は同程度であった。
FIRE-3
RAS野生型の
n=28
ベバシズマブ+
FOLFIRI 療法
BRAFステイタス別の有効性
RAS 野生型
FOLFIRI療法
セツキシマブ+
ベバシズマブ+
FOLFIRI 療法
ベバシズマブ+FOLFIRI 療法 (n=149):10.7ヵ月
(n=400)
FOLFIRI療法
期間(月)
左側病変 mCRC
セツキシマブ+FOLFIRI 療法 (n=157):10.7ヵ月
0.6
61.7
50
ベバシズマブ+
全生存率
追跡患者数
0
p=0.230
68.8
セツキシマブ+
左側病変 PFS
1.0
0.8
0.0
52.6
全生存率
ベバシズマブ+FOLFIRI 療法 (n=50):9.0ヵ月
0.6
セツキシマブ+
FOLFIRI 療法
無増悪生存率
対象の割り付け
無増悪生存率
・ 左側病変群のPFSは、セツキシマ
ブ+FOLFIRI療法例10.7ヵ月、
ベバ
シズマブ+FOLFIRI療法例10.7ヵ
月だった(p=0.38)。
左側病変例のOSは、
セツキシマ
ブ+FOLFIRI療法例38.3ヵ月、
ベバ
シズマブ+FOLFIRI療法例28.0ヵ
月だった(p=0.002)。
追跡患者数
右側病変 mCRC
セツキシマブ+FOLFIRI 療法 (n=38):7.6ヵ月
0.4
(95%信頼区間:0.85-2.19)
p=0.833
右側病変 PFS
1.0
0.8
0.0
(95%信頼区間:0.48-2.59)
FOLFIRI 療法
0.002
0.28
・ 右側病変群のPFSは、
セツキシマブ+FOLFIRI療法例
7.6ヵ月、ベバシズマブ+FOLFIRI
療法例9.0ヵ月だった
(p=0.11)。
右側病変例のOSは、セツキシマ
ブ+FOLFIRI療法例18.3ヵ月、
ベバ
シズマブ+FOLFIRI療法例23.0ヵ
月だった(p=0.28)。
0
28.0
0.63
オッズ比=1.37
25
0.38
0.11
OS(月)
50
10.7
0.90
75
左側病変
オッズ比=1.11
)
7.6
ハザード比
100
61.7
1.37
0.83
PFS(月)
右側病変
ORR %(
オッズ比
左側病変
ベバシズマブ+
セツキシマブ+
ベバシズマブ+
FOLFIRI療法
(n=50) FOLFIRI療法
(n=157) FOLFIRI療法
(n=149)
28.0
0.002
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38.7
0.62
28.6
0.002
2016年10月作成
EB053C1610PH576