WCGIC 2016 APEC 一次治療としてセツキシマブ+FOLFOXまたはFOLFIRI療法を受けた 野生型切除不能大腸癌患者における最大腫瘍縮小率と生存転帰: APEC試験 O-015 A.-L. Cheng, et al: WCGIC(ESMO-GI)2016,O-015 結 論 ● 野生型患者におけるOS中央値は28.4ヵ月で、セツキシマブ週1回投与+FOLFOXまたはFOLFIRI療法を検討した既報の主要試験の 結果と同様であった1-4。 ● セツキシマブ+FOLFOXまたはFOLFIRI療法の最大腫瘍縮小率(DpR)は大きく、その程度はCRYSTAL、OPUS、FIRE-3試験のセツキシ マブ週1回投与と、本試験のセツキシマブ2週1回投与で同様であった5,6。 ● DpRは無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)と関連し、セツキシマブ週1回投与を検討した主要試験の結果と同様であった5,6 。 野生型切除不能大腸癌(mCRC)患者において、セツキシマブ+FOLFOXまたはFOLFIRI療法を継続したほうが、治療を中断 する(例えばETSの際に)よりも、最大の腫瘍縮小効果を得ることができるケースがある。 ● APEC試験デザイン ● 本試験は 野生型mCRC患者の一次治療を検討した多施設、アジア-パシフィック地域、非ランダム化、第II相試験である。 ● 治療レジメンとして、化学療法は主治医がFOLFOXまたはFOLFIRIを選択した上で、セツキシマブ500mg/m2を2週間に1回投与した。 ● 主要評価項目は奏効率(ORR) (RECIST 1.0)、副次評価項目はOS、PFS、安全性とし、探索的にDpR、ETS、切除可能性を評価した。 本研究の目的 OS 野生型mCRC患者167人のうち159人で、DpRに ・ APEC試験の 関する探索的解析が可能であった。 DpRは最大腫瘍縮小効果(腫瘍最大縮小時の腫瘍径の合計÷ ベースラインの腫瘍径の合計)と定義し、%で表示した。 −8週毎にCT、MRI検査を行い、腫瘍径はRECIST 1.0で評価した。 腫瘍サイズ 長径または体積 DpR=A/B ETS=C/B 1.0 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0.0 セツキシマブ+FOLFIRI セツキシマブ+FOLFOX 療法群(n=57) 療法群(n=110) イベント数 35 OS中央値(月) 28.7 95% CI 23.1-37.9 C セツキシマブ +FOLFIRI 療法群 セツキシマブ +FOLFOX 療法群 0 3 6 9 12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60 追跡期間(月) 追跡患者数 セツキシマブ+FOLFIRI 療法群 57 57 54 49 46 43 38 36 32 28 24 22 20 15 12 4 セツキシマブ+FOLFOX 療法群 110 103 98 89 87 80 71 65 57 50 41 33 30 24 21 15 A 100 DpR ︵ ︶ % 治療期間 0 セツキシマブ +FOLFOX 療法群(n=103) DpRと腫瘍サイズ最小化までの期間 ・ DpRと腫瘍サイズ最小化までの期間には関連性があり、DpRが大きかった 群では小さかった群に比べて、腫瘍サイズ最小化までの期間が長かった。 DpR≦25% 25%<DpR≦50% 50%<DpR≦75% 75%<DpR≦100% (n=15) (n=34) (n=51) (n=50) 症例数 15 腫瘍サイズ最小化までの期間中央値(月) 2.1 1.8-4.5 95% CI 50 9.1 7.4-9.7 5.1-9.2 対象全体(n=159) 5.9 15 34 51 50 3 6 21 49 48 6 1 8 30 35 9 1 4 19 25 12 15 30 18 21 24 27 腫瘍サイズ最小化までの期間(月) 1 3 10 11 1 2 7 8 1 1 6 5 1 1 4 3 1 1 3 2 1 0 2 1 1 0 2 0 5.6-7.6 50%<DpR≦75% 75%<DpR≦100% 33 1 0 2 0 36 1 0 0 0 39 1 0 0 0 42 0 0 0 0 DpR 中央値 四分位範囲 62.2% 40.0%-80.7% セツキシマブ +FOLFIRI 療法群(n=56) 62.5% 38.1%-79.0% 対象全体(n=159) 62.2% 39.1%-80.0% ・ 病勢進行が認められない患者では、治療期間の延長とともに 腫瘍サイズは縮小した。 腫瘍径中央値 5.6-7.6 7.4 DpR≦25% 25%<DpR≦50% 0 0 1 腫瘍サイズ縮小と治療期間 ︵ベースラインからの変化率、%︶ 5.9 セツキシマブ +FOLFIRI 療法群(n=56) 0.1 症例数 DpR≦25% 25%<DpR≦50% 50%<DpR≦75% 75%<DpR≦100% 51 7.5 5.7-9.2 セツキシマブ +FOLFOX 療法群(n=103) 0.2 0.0 34 3.9 2.3-5.6 腫瘍サイズ最小化までの期間中央値(月) 95% CI 0.6 Kaplan- 0.5 Meier 0.4 推定値 0.3 0 2 セツキシマブ +FOLFIRI 療法群 セツキシマブ +FOLFOX 療法群 -200 0.7 0 3 腫瘍増大 -100 0.9 1 5 腫瘍縮小 増大 最小 0.8 2 7 ・ DpR中央値はセツキシマブ+FOLFOX療法群(103人)62.2%、セツキシ マブ+FOLFIRI療法群(56人)62.5%、対象全体では62.2%であった。 8週 1.0 71 27.8 23.2-31.8 最大腫瘍縮小率(DpR) ベースライン B APEC試験: 野性型 患者のOS 全生存率 野生型患者におけるDpRを調べ、OS、PFS ・ 第II相APEC試験の との関連性を検討すること。 mCRC患者ではセツキシマブ週1回投与+FOLFOXまたはFOLFIRI 療法で得られたDpRは長期転帰と関連することが示されている7,8。 ・ OS中央値はセツキシマブ+FOLFOX療法群27.8ヵ月、 セツキシマブ+FOLFIRI療法群28.7ヵ月であった。 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 セツキシマブ +FOLFIRI 療法群 セツキシマブ +FOLFOX 療法群 0 症例数 セツキシマブ+FOLFIRI 療法群 56 セツキシマブ+FOLFOX 療法群 103 8 56 103 16 24 治療期間(週) 48 84 41 78 32 40 35 61 文献 1. Van Cutsem E, et al. J Clin Oncol. 2015;33:692-700. 2. Bokemeyer C, et al. Eur J Cancer. 2015;51:1243-1252. 3. Heinemann V, et al. Lancet Oncol. 2014;15:1065-1075. 4. Lenz HJ, et al. ESMO 2014: Abstract 501O. 5. Mansmann UR, et al. ASCO-GI 2013; Abstract 427. 6. Stintzing S, et al. ESMO 2014: Abstract LBA11 7. Mansmann UR, et al. ASCO-GI 2013; Abstract 427. 8. Stintzing S, et al. ESMO 2014; Abstract LBA11. この資材は学会の最新情報を掲載しており、日本国内での承認内容と異なる薬剤の情報が含まれています。ご使用にあたっては各薬剤の添付文書をご参照ください。 2016年7月作成 EB031C1607PH576
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