PowerPoint プレゼンテーション

*グローバル投資環境 No.1527 *
ご参考資料
髙木証券投資情報部
インフレ見通しの悪化を受けて3会合連続で50ベーシ
メキシコの金融政策~ スの利上げを実施。米国の利上げに追随の側面も
2016年12月16日作成
メキシコ中央銀行は15日に金融政策会合を開催し、政策金利を
*5.25%から5.75%に引き上げることを決定した。利上げは9月29
日開催の前々回、11月17日開催の前回会合での各50ベーシス
以降、3会合連続である。
▼メキシコと米国の政策金利(%)
(米国はFF金利誘導目標の上限を示す)
メキシコ
5.75%→
*同中銀は、同国のインフレを高める要因である通貨ペソの下落を
促す材料として、米国の利上げに対して一貫して警戒感を示して
おり、昨年12月15~16日のFOMCで実質ゼロ金利政策が解除さ
れたことに対しては、その直後の12月17日の金融政策会合におい
て政策金利を3.00%から3.25%に引き上げたが、通貨ペソは今年
の早い時期には原油安に連動して下落した後、4月にかけては原
油の反発に連れて上昇したものの、それ以降は、11月の米大統領 ▼CPIの推移
選挙で勝利することになるトランプ氏のメキシコに対する強硬姿勢
に対する懸念から、原油価格とは無関係の動きを示す中、昨年12
月以降はFRBが追加の利上げを見送り続ける一方で、メキシコ中
銀は通貨防衛策の色彩が強い利上げを、時には休止をはさみな
がら実施してきた。
米国
0.75%
↓
11月
3.31%
利上げの理由について声明文はインフレ見通しの悪化を挙げて
*
いる。11月のCPIは前年同月比+3.31%と2014年12月以来の高
い伸びを示しており、メキシコ中銀は、今後数ヶ月の間にインフレが
目標レンジの上限である4%近くまで上昇した後、2018年には2~ ▼メキシコペソとWTI原油先物
4%のレンジに戻ることを見込んでいるが、通貨ペソは米大統領選
WTI
挙直後に急落して過去最安値を大きく更新した後、足下ではいく
(ドル/バレル、右軸)↓
ぶん落ち着いている状況下での今回の利上げは、去る13日から
14日にかけて開かれたFOMCで1年ぶりの利上げが実施されたこと
に対応した形にもなっており、米国の金融政策正常化に追随した
利上げで米国との金利差を保つことによってペソの下落を防ぐとい
う、当初の基本線に戻ったともいえそうだ。
ペソ/米ドル
(左軸)→
*第2四半期に前期比マイナス成長に転落したメキシコ経済は、第
3四半期にはプラス成長に戻ったが、メキシコ中銀は11月23日に
公表した四半期レポートにおいて、従来1.7~2.5%としていた
2016年の成長見通しのレンジを1.8~2.3%へ狭めるとともに、
2017年の成長見通しを2.0~3.0%から1.5~2.5%へ引き下げた。
また、大手格付け会社のフィッチは12月9日に、経済見通しに対す
るダウンサイドリスクが増していることと、それが公的債務負担の安 ▲▼GDP成長率(%)
定化に向けた困難さを増す可能性を理由に、同国の格付け
「BBB+」の見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げたが、同
社は2017年の成長見通しを2.%以下とした上で、なおダウンサイド
リスクが根強いと述べている。
*トランプ次期米大統領のもとでの、NAFTA再交渉や移民政策な
どを取り巻く不透明感が、現在のメキシコにとって最も大きなリスク
とみられる一方、OPEC、非OPEC双方の減産への取り組みによって
原油価格のダウンサイドリスクが低下していることは同国経済への
追い風になるとみられるが、少なくとも国内需要の点からは、昨年
12月以降の累計で275ベーシスに達する利上げが抑制要因にな
る可能性には注意を払っておく必要がありそうだ。
前期比↑
3Q +1.0%
↓前年同期比
3Q +2.0%
▼格付け一覧
ムーディーズ
S&P
フィッチ
外貨建
A3
BBB+
BBB+
自国通貨建
A3
A
BBB+
見通し
ネガティブ
ネガティブ
ネガティブ
(文責:勇崎 聡)
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(メキシコ中央銀行・統計局、Bloombergデータより髙木証券作成)
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