DNW-14024 の概要 - 国立研究開発法人日本医療研究開発機構

DNW-14024 の概要
課題番号 :DNW-14024
課題名
:トランスポータータンパク質を標的とした自己免疫疾患治療薬の
探索
主任研究者(Principal Investigator):
反町
典子(国立国際医療研究センター研究所)
課題番号 DNW-14024 では、アミノ酸/オリゴペプチドトランスポーターSLC15A4 を標
的として、新たな全身性エリテマトーデス(SLE)および炎症性腸疾患(IBD)治療薬の創
出に取り組んでいる。

創薬コンセプト:
免疫細胞に優先的に発現する SLC15A4 蛋白質の阻害剤は、TLR7/9 依存的なサイト
カインおよび I 型インターフェロン産生、さらに TLR4 を介する I 型インターフェロ
ン産生を抑制することにより、SLE 疾患モデルにおいて自己抗体産生を抑制する。一
方で、阻害薬は、B 細胞の初期分化、生存、BCR シグナルに影響を与えないことから、
安全性の高い新たな自己免疫疾患治療薬となりうる。

ターゲットプロダクトプロファイル:
対象疾患は、SLE(全身性エリテマトーデス)、クローン病および潰瘍性大腸炎など
の自己免疫疾患。
B 細胞および樹状細胞の免疫応答を抑制する、安全性の高い自己免疫疾患治療薬(低
分子化合物)

創薬コンセプトの妥当性を支持するエビデンス:
以下のことが PI らにより報告されている。
1) SLC15A4 蛋白質が、B 細胞および樹状細胞による TLR7/9 依存性 I 型 IFN の産生
制御に重要な役割を果たしていることを確認した。
2) SLC15A4 蛋白質が、TLR のシグナル下流で mTOR 機能を制御し、転写因子 IRF7
の翻訳制御を介して I 型 IFN 産生を媒介することが、B 細胞による病原性抗体産生に
必須であることを確認した。
3) SLC15A4 ノックアウト SLE モデルマウスでは、
抗核抗体を含む自己抗体の産生、
特に病態の進行に深く関わる免疫グロブリンのサブクラス IgG2a(C57BL/6 マウス系
統では、サブクラス IgG2c)の自己抗体の産生が顕著に抑制された。
また、以下のことを創薬ブースター支援により明らかにした。
4) SLC15A4 のリソソーム局在に必要なアミノ酸配列を同定し、変異を導入すること
で細胞表面局在型変異体の作製を行い、この変異体を用い、pH 依存的な基質取込活性
測定手法を開発した。

創薬に向けたアプローチ:
1) 既存物質との比較による妥当性評価:シーズ化合物探索に応用することを目的に、
シクロフォスファミド等の既存物質と SLC15A4 阻害のサイトカイン産生抑制効果比
較による妥当性評価を実施した。
2) 生物スクリーニング系の確立:SLC15A4 発現細胞による蛍光標識基質取込アッセ
イ、プロテオリポソームによる蛍光標識基質取込アッセイを確立し、化合物評価を実施
した。
3) In silico ホモロジーモデルの作製:In silico ホモロジーモデルを作製し、市販化合物
などから有望化合物の検索選択に利用した。

知財対応:
特許出願未対応

最終目標:
リード候補化合物またはリード化合物の取得。
有望化合物を用いた POC in animal の取得など、創薬コンセプトの証明。
テーマに関するお問い合わせは下記までお寄せください。
Principal investigator へのお問い合わせはご遠慮くださるようお願いいたします。
(問合せ先)
国立研究開発法人日本医療研究開発機構 創薬支援戦略部
E-mail:[email protected]