DNW-14026 の概要 - 国立研究開発法人日本医療研究開発機構

DNW-14026 の概要
課題番号 :DNW-14026
課題名
:組織再生に向けた表皮幹細胞制御分子発現調節剤の探索
主任研究者(Principal Investigator):
西村 栄美(東京医科歯科大学 難治疾患研究所)
課題番号 DNW-14026 では、表皮基底細胞や毛包幹細胞のマーカーおよび分化マーカー
の発現を指標として、上皮系の組織再生を目指した治療薬の創製に取り組んでいる。

創薬コンセプト:
皮膚や毛包などの上皮系組織の幹細胞においてその維持制御において鍵となる分子
が、加齢やストレスによってその発現を失い分化することが想定される。表皮幹細胞の
維持および分化に関わる分子を制御する化合物は、残存する組織幹細胞を維持・増幅さ
せその質と量を保つことにより上皮系組織の再生を促す新たな疾患治療薬となりうる。

ターゲットプロダクトプロファイル:
褥瘡などの難治性の皮膚潰瘍、広範囲重度熱傷、及び抗がん剤や放射線治療による脱
毛治療薬(低分子化合物、局所塗布剤)
皮膚などの上皮系組織の欠損および創傷治癒不全などの病態を組織の再生により改
善する治療薬

創薬コンセプトの妥当性を支持するエビデンス:
以下のことが PI らにより報告されている。
1) 毛包幹細胞マーカーである COL17A1 は、毛包のバルジ領域に存在する毛包に特異
的に発現し、それらの細胞を基底膜に係留することで幹細胞性を維持している。
2) マウスモデルにおいて COL17A1 の欠損によって、毛包幹細胞が分化・消失する。
3) 早老症モデルマウスや放射線照射されたマウスでは、脱毛が観られると共に表皮で
の COL17A1 の発現低下が認められる。
4) COL17A1 強制発現のトランスジェニックマウスと野生型マウスの比較より、
COL17A1 発現量と創傷治癒スピードの関連性を示す初期データを取得した。

創薬に向けたアプローチ:
1) 角化細胞を用い幹細胞マーカーおよび分化マーカーの発現を指標とした In-Cell
Western 法やハイコンテンツアッセイ法にて、HTS(high throughput screening)系
を構築中。
2) 2 次スクリーニング系として、ヒト 2 次培養角化細胞を用いた in vitro 評価系は構
築済みである。
3) マウス皮膚を用いた創傷治癒アッセイ系も構築済みである。

知財対応:
以下の特許は出願済み。
1)「XVII 型コラーゲンに関する異常分化抑制剤」
(特開 2009-035514)
2)「Methods for inhibiting hair depigmentation and hair loss」
(US2009-0215685)
3)「脱毛の抑制方法および毛髪の脱色素化の抑制方法」
(WO/2009/016855)
4)「脱毛および白毛化を抑制もしくは改善するための組成物ならびに」(特願 2015230477)

最終目標:
リード候補化合物またはリード化合物の取得。
有望化合物を用いた POC in animal の取得など、創薬コンセプトの証明。
テーマに関するお問い合わせは下記までお寄せください。
Principal investigator へのお問い合わせはご遠慮くださるようお願いいたします。
(問合せ先)
国立研究開発法人日本医療研究開発機構 創薬支援戦略部
E-mail:[email protected]