USIndicators

U.S.Indicators
マクロ経済指標レポート
米国 消費の大幅上方改定で景気に
消費の大幅上方改定で景気に安心感
景気に安心感(
安心感(16年7-9月期実質
月期実質GDP
実質GDP:
GDP:2次推計)
次推計)
発表日:201
発表日:2016
2016年11月
11月30日
30日(水)
~12月利上げを後押しも
12月利上げを後押しもFOMCによる
月利上げを後押しもFOMCによる17
FOMCによる17年の利上げ
17年の利上げ予想の
年の利上げ予想の変更はトランプ政権発足後
予想の変更はトランプ政権発足後~
変更はトランプ政権発足後~
第一生命経済研究所 経済調査部
主任エコノミスト 桂畑 誠治
0303-52215221-5001
実質GDP(Gross Domestic Product)
実質GDP
名目GDP
個人消費
住宅投資
設備投資
在庫投資
政府支出
純輸出
GDP
デフレーター
輸出
輸入
2009
▲2.8
▲1.6
▲21.2
▲15.6
(+0.16)
+3.1
(+1.06)
▲8.8
▲13.7
▲2.0
+0.8
2010
+2.5
+1.9
▲2.5
+2.5
(+0.76)
+0.1
(▲0.58)
+11.9
+12.7
+3.8
+1.2
2011
+1.6
+2.3
+0.5
+7.7
(+0.20)
▲3.0
(▲0.03)
+6.9
+5.5
+3.7
+2.1
2012
+2.2
+1.5
+13.5
+9.0
(▲0.42)
▲1.9
(+0.25)
+3.4
+2.2
+4.1
+1.8
2013
+1.7
+1.5
+11.9
+3.5
(+0.62)
▲2.9
(+0.38)
+3.5
+1.1
+3.3
+1.6
2014
2015
+2.4
+2.6
+2.9
+3.2
+3.5
+11.7
+6.0
+2.1
(▲0.17)
(▲0.11)
▲0.9
+1.8
(▲0.55)
(▲0.68)
+4.3
+0.1
+4.4
+4.6
+4.2
+3.7
+1.8
+1.1
15/1Q
+2.0
+2.4
+13.4
+1.3
(+1.01)
+2.6
(▲1.65)
▲5.8
+5.6
+2.1
▲0.1
15/2Q
+2.6
+2.9
+14.8
+1.6
(▲0.52)
+3.2
(▲0.08)
+2.8
+2.9
+4.9
+2.3
15/3Q
+2.0
+2.7
+12.6
+3.9
(▲0.57)
+1.9
(▲0.52)
▲2.8
+1.1
+3.2
+1.3
15/4Q
+0.9
+2.3
+11.5
▲3.3
(▲0.36)
+1.0
(▲0.45)
▲2.7
+0.7
+1.8
+0.8
16/1Q
+0.8
+1.6
+7.8
▲3.4
(▲0.41)
+1.6
(+0.01)
▲0.7
▲0.6
+1.3
+0.5
16/2Q
+1.4
+4.3
▲7.8
+1.0
(▲1.16)
▲1.7
(+0.18)
+1.8
+0.2
+3.7
+2.3
16/3Q
+3.2
+2.8
▲4.4
+0.1
(+0.49)
+0.2
(+0.87)
+10.1
+2.1
+4.6
+1.4
(注 )数字 は前 期比 年率 伸び 率。但 しカ ッコ 内は 対実 質GD P寄 与度 (前 期比 年率ベ ース )
7-9月期の実質GD
P成長率は前期比年率
3.2%に
%に上方
上方修正
+3.2
%に
上方
修正
16年7-9月期の実質GDP成長率(2次推計)は、前期比年率+3.2%と1次推計
の同+2.9%から上方修正された(市場予想同+3.0%、筆者予想同+3.1%)。設備投
資が前期比年率+0.1%(1次同+1.2%)、政府支出が前期比年率+0.2%(1次同+
0.5%)、在庫投資の寄与度が前期比年率+0.49%(1次同+0.61%)と下方修正され
た一方で、個人消費が前期比年率+2.8%(1次同+2.1%)、住宅投資が前期比年率▲
4.4%(1次同▲6.2%)、純輸出の寄与度が前期比年率+0.87%(1次同+0.83%)に
上方修正された。
実質GDP成長率が上方修正されたほか、国内最終需要は前期比年率+1.7%(1次
推計同+1.4%)、民間最終需要は前期比年率+2.1%(1次推計同+1.6%)に上方改
定されており、国内需要の堅調さを確認させる改定となった。
7-9月期のインフレ関連の指標(前期比年率)では、PCEデフレーターが+
1.4%(1次推計+1.4%)、PCEコアデフレーターが+1.7%(1次推計+1.7%)と
変更なし。前年同期比でも、PCEデフレーターが+1.0%(1次推計+1.0%)、PC
Eコアデフレーターは+1.7%(1次推計+1.7%)と変わらなかった。
以上のように、7-9月期の実質GDP成長率が個人消費などの主導で上方修正さ
れており、12月の利上げをさらに後押しする改定となった。ただし、17年のFOMC参
加者の利上げ予想の変更は、トランプ政権発足後の政策運営を見極めるまで先送りされ
る公算が大きい。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
1
以下で前期からの動きをみる。7-9月期の実質GDP成長率(2次推計)は、前
7-9月期の実質GD
P成長率は前期比年率
3.2%(
%(4
+3.2
%(
4-6月期同
1.4%)と
%)と加速
+1.4
%)と
加速
期比年率+3.2%(4-6月期同+1.4%)と加速した。7-9月期には、輸出が大豆の
大幅な増加により高い伸びとなったことで純輸出の寄与度がプラス幅を拡大したほか、
在庫投資が前期の大幅な減少の反動でプラス寄与に転じた。また、政府支出が増加に転
じたこと等を背景に、実質GDP成長率は比較的高い伸びに加速した。
しかし、個人消費は悪天候の影響や前期の高い伸びの反動で減速したほか、住宅投
資は悪天候や人手不足等を背景に減少した。また、建設投資が増加に転じたものの、知
的財産投資が鈍化したほか、機械設備投資が減少を続けたことで、設備投資は小幅のプ
ラスに鈍化した。このため、民間需要の基調を示す民間国内最終需要が前期比年率+
2.1%(4-6月期同+3.2%)、国内需要を示す実質国内最終需要は同+1.7%(4-
6月期同+2.4%)とともに減速した。
3四半期移動平均でみても、7-9月期の実質GDPは前期比年率+1.8%(4-6
月期同+1.0%)、国内最終需要が前期比年率+1.8%(同+1.7%)と加速したものの
緩やかな伸びにとどまった。
以上を勘案すると、米国経済は引き続き緩やかな拡大基調にあると判断される。
(%)
(図表)実質設備投資の内訳別寄与度(前期比年率)
(図表)実質GDPの項目別寄与度(前期比年率)
(%)
7
個人消費
政府支出
実質GDP
6
住宅投資
在庫投資
設備投資
純輸出
25
20
5
15
4
10
3
5
2
1
0
0
-5
-1
-10
増産
輸送機械
その他
設備投資
-2
-15
-3
-20
1Q2Q3Q4Q1Q2Q3Q4Q1Q2Q3Q4Q1Q2Q3Q
情報化
構築物
知的財産
-25
13
14
15
16
-30
(出所)米商務省
08
09
(出所)米商務省
(%)
(%)
10
11
12
13
14
15
16
(図表)実質国内最終需要の推移(前期比年率)
(図表)実質GDPの推移(前期比年率)
5
5
4
4
3
3
2
2
1
1
0
0
通常
▲ 1
通常
3四半期移動平均
3四半期移動平均
▲ 1
▲ 2
10
10
11
12
13
14
15
11
12
13
14
15
16
16
(出所)米商務省
(出所)米商務省
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
2
前年同期比では、7
前年同期比では、
79月期の実質GDP成
長率は+1.
1.66%(4
%(4--6
長率は+
1.
月期同+1.3
1.3%)と小
月期同+
1.3
%)と小
幅加速も低い伸び
幅加速
も低い伸び
前年同期比では、16年7-9月期の実質GDP成長率(2次推計)は、+1.6%(4
-6月期同+1.3%)と加速したものの、低い成長率にとどまっている。
(%)
10
実質GDPの推移
8
6
4
2
0
-2
-4
前期比年率
前年同期比
-6
-8
-10
92
94
96
98
00
02
04
06
08
10
12
14
16
7-9月期のインフレ関連の指標(前年同期比)では、GDPデフレーターが+
インフレ率は7
インフレ率は
7-9月
前年同期比+2%
期も前年同期比+
2% 1.3%(前期+1.2%)、PCEデフレーターが+1.0%(同+1.0%)、PCEコアデフ
レーターが+1.7%(同+1.6%)と、需給ギャップ率がマイナスにとどまる中で、イン
を下回る伸び
フレ目標の2%を下回る水準での推移を続けており、インフレ環境の安定を示している。
(%)
5
(%)
8
GDPデフレーターの推移
6
4
前期比年率
前年同期比
(図表)需給ギャップ率とPCEコアデフレーターの推移 (%)
14
需給ギャップ率(左)
PCEコアデフレータ(前年同期比、右)
12
4
10
2
3
2
0
8
-2
6
-4
4
1
-6
2
-8
0
-10
5961636567697173757779818385878991939597990103050709111315
(出所)CBO、米商務省
(注)シャドー部は需要が供給を上回っている期。
▲ 1
93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16
10-
月期の実質G
10
-12 月期
の実質G
DP成長率は
DP成長率
は小幅鈍化
する見込み
する
見込み
10-12月期には、景気拡大に伴う雇用増加と緩やかな賃金上昇が続くほか、消費者マ
インドの改善、借入基準の緩和、良好な金融環境を背景に、個人消費は前期程度の伸び
になると予想される。また、住宅販売が雇用・所得の改善等により回復傾向を辿ると見
込まれることに加えて、在庫水準が低い状況が続くこと等から、住宅投資は拡大に転じ
よう。さらに、設備投資は原油価格の小幅上昇、企業収益の改善で、小幅加速すると予
想されるほか、政府支出は暫定予算を受けた緩やかな拡大が見込まれる。一方で、在庫
投資は前期に最終需要の減速のなかで増加した影響もあり、10-12月期に増加ペースが
鈍化すると予想される。また、輸出が前期の大豆輸出の急増の反動で鈍化するとみられ、
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
3
0
純輸出はマイナス寄与に転じよう。以上を勘案すると、10-12月期の実質GDP成長率
は、前期比年率+2%台前半に減速する公算が大きい。
【米国経済見通し】
(%)
6
(%)
10
(図表)米国実質GDP成長率(前期比年率)
(図表)実質GDP成長率の推移
ITバブル
予測
5
8
4
6
予測
純輸出
3
4
在庫投資
2
2
政府支出
1
0
設備投資
0
-2
住宅投資
-1
個人消費
-4
実質GDP
-6
-2
前期比年率
前年同期比
-3
不動産・金融バブル
-8
-4
10
11
12
13
14
15
16
17
18
-10
19
87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19
(出所)米商務省、予測は当社。
(出所)米商務省、予測は当社。
(図表)米国経済見通し(前年比、%)
名目GDP
実質GDP
暦年
予測
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
個人消費 設備投資 住宅投資
▲2.0
3.8
3.7
4.1
3.3
4.2
3.7
2.9
4.2
4.1
▲2.8
2.5
1.6
2.2
1.7
2.4
2.6
1.6
2.5
2.4
内需
(▲3.9)
(3.0)
(1.6)
(2.1)
(1.5)
(2.5)
(3.3)
(1.6)
(2.7)
(3.0)
▲1.6
1.9
2.3
1.5
1.5
2.9
3.2
2.7
2.6
2.5
▲15.6
2.5
7.7
9.0
3.5
6.0
2.1
▲0.6
4.0
6.2
▲21.2
▲2.5
0.5
13.5
11.9
3.5
11.7
4.6
3.8
4.8
在庫
(▲0.8)
(1.4)
(▲0.1)
(0.1)
(0.2)
(▲0.1)
(0.2)
(▲0.4)
(0.1)
(0.1)
外需
政府支出
(1.1)
(▲0.4)
(▲0.0)
(0.1)
(0.2)
(▲0.1)
(▲0.7)
(▲0.0)
(▲0.2)
(▲0.5)
輸出
▲8.8
11.9
6.9
3.4
3.5
4.3
0.1
0.6
2.0
2.2
輸入
▲13.7
12.7
5.5
2.2
1.1
4.4
4.6
0.7
2.5
5.0
S&P
500
(年平均)
3.1
0.1
▲3.0
▲1.9
▲2.9
▲0.9
1.8
0.8
0.8
0.7
10年国債
WTI
利回り
(ドル)
(年平均) (年平均)
946.6
1139.5
1268.3
1378.7
1641.7
1930.7
2061.1
2106.0
2321.9
2527.5
3.3
3.2
2.6
1.8
2.5
2.5
2.2
1.7
2.2
2.9
61.9
79.6
95.1
94.2
98.0
93.0
48.8
42.6
48.0
50.9
(出所)米商務省、予測は当社
(注)図中カッコ内は寄与度。
【1次推計】
実質GDP(Gross Domestic Product)
実質GDP
名目GDP
個人消費
住宅投資
設備投資
在庫投資
政府支出
純輸出
GDP
デフレーター
輸出
輸入
2009
▲2.8
▲1.6
▲21.2
▲15.6
(+0.16)
+3.1
(+1.06)
▲8.8
▲13.7
▲2.0
+0.8
2010
+2.5
+1.9
▲2.5
+2.5
(+0.76)
+0.1
(▲0.58)
+11.9
+12.7
+3.8
+1.2
2011
+1.6
+2.3
+0.5
+7.7
(+0.20)
▲3.0
(▲0.03)
+6.9
+5.5
+3.7
+2.1
2012
+2.2
+1.5
+13.5
+9.0
(▲0.42)
▲1.9
(+0.25)
+3.4
+2.2
+4.1
+1.8
2013
+1.7
+1.5
+11.9
+3.5
(+0.62)
▲2.9
(+0.38)
+3.5
+1.1
+3.3
+1.6
2014
2015
+2.4
+2.6
+2.9
+3.2
+3.5
+11.7
+6.0
+2.1
(▲0.17)
(▲0.11)
▲0.9
+1.8
(▲0.55)
(▲0.68)
+4.3
+0.1
+4.4
+4.6
+4.2
+3.7
+1.8
+1.1
15/1Q
+2.0
+2.4
+13.4
+1.3
(+1.01)
+2.6
(▲1.65)
▲5.8
+5.6
+2.1
▲0.1
15/2Q
+2.6
+2.9
+14.8
+1.6
(▲0.52)
+3.2
(▲0.08)
+2.8
+2.9
+4.9
+2.3
15/3Q
+2.0
+2.7
+12.6
+3.9
(▲0.57)
+1.9
(▲0.52)
▲2.8
+1.1
+3.2
+1.3
15/4Q
+0.9
+2.3
+11.5
▲3.3
(▲0.36)
+1.0
(▲0.45)
▲2.7
+0.7
+1.8
+0.8
16/1Q
+0.8
+1.6
+7.8
▲3.4
(▲0.41)
+1.6
(+0.01)
▲0.7
▲0.6
+1.3
+0.5
16/2Q
+1.4
+4.3
▲7.8
+1.0
(▲1.16)
▲1.7
(+0.18)
+1.8
+0.2
+3.7
+2.3
16/3Q
+2.9
+2.1
▲6.2
+1.1
(+0.61)
+0.5
(+0.83)
+10.0
+2.4
+4.4
+1.5
(注)数字は前期比年率伸び率。但しカッコ内は対実質GDP寄与度(前期比年率ベース)
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
4