ブラジル中銀は2会合連続で0.25%の利下げを決定

2016年12月2日
投資情報室
(審査確認番号H28-TB232)
新興国レポート
オーストラリア経済とリート市場の動向につい
ブラジル中銀は2会合連続で0.25%の利下げを決定
 ブラジル中銀は政策金利を13.75%へ0.25%引き下げる決定を下す。利下げは10月に続いて2会合連続となる。
 中銀は利下げ決定の背景として、①景気回復の遅れ、②インフレ環境の改善、③財政改革審議の進展、を挙げる。
 10月のインフレ率は前年比+7.9%へ鈍化。中銀は2017年末に前年比+4.4%へインフレ率が鈍化すると予想。
 上院は11月29日の第一回投票で歳出上限法案を可決。閣僚辞任問題も財政改革審議への影響は限定的。
インドが追加利下げ 今年4回目
ブラジル中央銀行は政策金利の引き下げを決定
ブラジル中央銀行は11月29-30日(現地時間)の金融政
策委員会(COPOM)で、政策金利を13.75%へ0.25%引
き下げる決定を下しました。利下げは前回10月19日の
COPOMに続いて2会合連続となります。ブラジル中銀は
利下げ決定の背景として、①景気回復の遅れ、②インフレ
図1:ブラジル中銀の政策金利とインフレ率
(%)
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8
ブラジル中銀はインフレ環境の改善に言及
6
インフレ動向に関して、ブラジル中銀は声明文において、
4
食品価格の下落や幅広い品目にインフレ鈍化の兆しがみら
2
れることから、最近のインフレ指標は予想以上の改善がみ
0
費者物価指数(IPCA)伸び率は前年比+7.9%へ低下して
います(9月は前年比+8.5%)。COPOM声明文で示され
たブラジル中銀のインフレ見通し(基準シナリオ)では、
IPCA伸び率は2017年末が前年比+4.4%、2018年末が前
年比+3.6%へ一段と鈍化が予想されています(図1)。
ブラジル上院は歳出上限法案を大差で可決
財政改革に関しては、11月29日、財政再建のカギを握る
テメル政権が進める年金改革などの他の財政健全化策にも
受けて、テメル大統領は11月27日に緊急会見を開き、政
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15
16
3.6%
4.4%
3.0%
下限 2.5%
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(年)
(出所)ブラジル中銀、ブラジル地理統計院(IBGE)
(期間)政策金利:2013年1月1日∼2016年11月30日
拡大消費者物価指数(IPCA):2013年1月∼2016年10月
(注)基準シナリオは政策金利とレアル相場を一定と仮定した見通し。
インフレ見通しは11月30日時点。
図2:テメル政権発足後の主な政治イベント
日付
主な出来事
5月12日 テメル暫定政権の発足。
8月31日
弾劾裁判でルセフ大統領の失職が決定。
テメル暫定大統領が正式に大統領へ昇格。
10月2日
地方選挙(第一回投票)で連立与党であるブラジル民主運動党
(PMDB)とブラジル社会民主党(PSDB)が躍進。
10月10日
ブラジル下院が歳出上限法案を大差で可決(第一回投票)。
賛成366票、反対111票、棄権2票。
10月25日
ブラジル下院が歳出上限法案を大差で可決(第二回投票)。
賛成359票、反対116票、棄権2票。法案を上院へ送付。
治家の過去の汚職への恩赦は容認しない姿勢を改めて表明
しました。今回、上院で歳出上限法案が大差で承認された
6.0%
インフレ目標(中心=4.5%)
弾みがつくと期待されます(図2)。
また、足元ではテメル政権の閣僚辞任が続いていることを
ブラジル中銀
インフレ見通し
(基準シナリオ)
上限 6.5%
歳出上限法案が上院で可決されました(賛成61票:反対
14票)。次回12月13日の上院の最終投票で可決されれば、
13.75%
インフレ率
(IPCA、前年比)
10
環境の改善、③財政改革審議の進展、を挙げました。
られるとの指摘をしました。実際、2016年10月の拡大消
ブラジル中銀
政策金利
12
11月9日
ブラジル議会がブラジルの深海油田(プレサル)開発に関わる規制
緩和を承認。
ことは、与党内部の一部政治家の汚職問題による財政改革
審議への影響は限定的に留まっていることを示唆していま
11月29日
ブラジル上院が歳出上限法案を大差で可決(第一回投票)。
賛成61票、反対14票。上院の最終投票は12月13日の予定。
す。
(参照レポート)「ブラジル下院が歳出上限法案を大差で可決」(10月13日) (出所)各種報道
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