Market Flash 選挙が終わり 在庫調整が終わり 利上げが始まる 2016年11月8日(火) 第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト 藤代 宏一 TEL 03-5221-4523 【海外経済指標他】 ・9月ユーロ圏小売売上高は前月比▲0.2%と市場予想(▲0.3%)を僅かに上回った。前年比では+1.1%と 安定的に増加し、消費者信頼感や小売業PMIと概ね整合的な結果となった。圏内の消費は雇用環境が改 善する下で息の長い回復が続こう。 0 消費者信頼感・小売売上高 (前年比、%) 4 小売売上高(右) 3 -5 2 -10 1 -15 消費者信頼感 0 -1 -20 -2 -25 -3 -30 -4 10 11 12 13 14 15 16 (備考)Thomson Reutersにより作成 小売 太線:3ヶ月平均 【海外株式市場・外国為替相場・債券市場】 ・前日の米国株は急反発。大統領選を巡る不透明感が後退、幅広い銘柄に買いが入り、NYダウは2%強の 上昇。WTI原油は44.89㌦(+0.82㌦)で引け。OPECを中心とする減産協議が難航するとの見方に変わり はないものの、市場参加者がリスク選好に傾斜する下で買い戻し優勢。 ・前日のG10 通貨は資源国通貨(AUD、CAD、NZD)の強さが目立った一方、JPY、EURなど調達通貨の弱さが 目立った。前者は資源価格上昇、後者は大統領選を巡る不透明感後退が背景。USD/JPYは日本時間に103近 傍から104半ばまで上伸。EUR/USDは1.10割れを窺う展開となった。 ・前日の米10年金利は1.828%(+5.0bp)で引け。クリントン氏追訴見送りのヘッドラインを受けて逃避需 要が後退。欧州債市場(10年)はコア軟調、周縁国堅調。市場参加者がリスクオンに傾斜する下でドイツ (0.154%、+1.9bp)が僅かに金利上昇となり、反対にイタリア(1.706%、▲4.9bp)、スペイン (1.244%、▲2.4bp)、ポルトガル(3.231%、▲6.0bp)は金利低下。周縁3ヶ国加重平均の対独スプレ ッドはタイトニング。 【国内株式市場・アジアオセアニア経済指標・注目点】 ・日本株は欧米株ラリーに追随して高く寄り付いた(9:10)。日経平均は前週後半の下落の過半を取り戻し ている。 <#大統領選 #初期反応 #グローバルPMI #製造業 #在庫調整完了> ・7日の日本時間早朝には「FBI、クリントン氏訴追求めず」とのヘッドラインが流れ、金融市場はリス クオン。為替市場ではJPY、EURなど調達通貨が売られ、株式市場ではアジア株が全面高となったほか、欧 米株も急上昇。市場は選挙戦結果の判明を前に、かなりの部分クリントン氏の当選を織り込んだ模様。目 先的には利益確定売りが膨らんでも不思議ではない。 ・大統領選を通過した後、市場の関心は再びマクロ経済に向かうことになる。そこでグローバルPMIに目 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内 容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。 1 を向けると、10月の総合PMIが14ヶ月ぶり高水準に回帰したことが注目される。内訳は、先進国・新興 国を問わず、あるゆる項目が改善傾向にあり、年前半の苦境から立ち直った様子が見て取れる。ここ2年 程度、世界経済の足かせとなってきた製造業に目を転じると、グローバル製造業PMIは52.0と約2年ぶ りの水準を回復している。エネルギー関連の復調、中国の景気刺激策が寄与したほか、より重要なことと して在庫サイクルの好転がある。実際、製造業の新規受注・在庫バランスは米国を筆頭に改善傾向を辿り、 目下の水準は在庫調整が完了しつつあることを示唆する領域にある。これは向こう数ヶ月の生産活動が活 発化する兆候と見做すべきだろう。当然のことながら、FEDの追加利上げを正当化する有力な根拠にも なる。 グローバル総合PMI 60 65 グローバル製造業PMI 60 総合 55 先進国 55 50 50 新興国 45 45 40 40 35 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (備考)Markitにより作成 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (備考)Markitにより作成 グローバルPMI (%) 30 65 60 25 サービス業 20 55 15 10 50 45 グローバルPMI新規受注・在庫バランス 5 製造業 0 40 -5 35 -10 10 11 12 13 14 (備考)Thomson Reutersにより作成 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (備考)Markitにより作成 15 16 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内 容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。 2
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