平成二十八年度 はか 児童・生徒の学力向上を図るための調査 調査票 先生から「始め」の合図があるまでは、中を開けないでください。 国語 調査票に地区番号、学校番号、組、出席番号、氏名を書いてください。 ⑴ 吉崎さんが発表した内容をまとめたものとして最も適切なものを、次のアからエまでの中から一つ選び、記号で答えな イ ア 江戸時代のように看板に目だつ文字やはでな色を使う工夫は、現代の日本の看板にも受けつがれている。 江戸時代の看板のようなちょっとしたおかしさやおもしろさを生かせば、日常生活も楽しくなるはずだ。 江戸時代の看板のようにしばらく考えなければ意味が分からないものは、現代の生活にふさわしくない。 さい。 ウ 江戸時代の看板に使われている判じ絵を現代の看板に生かすことで、地域の生活がよりよくなるはずだ。 吉崎さんの発表した内容をさらに深めることにつながる質問として最も適切なものを、次のアからエまでの中から一つ 【話す能力・聞く能力】① エ ⑵ もし学校の中で「わいた」 、 「ぬいた」の看板を使うとしたら、どこで使うことができると思いますか。 やたらに目だつ文字を使った看板やはでな色の看板が増えてきたのは、いつごろからだと思いますか。 江戸時代の人々は、二枚の看板を見て「わいた」、「ぬいた」と読み分けることができていたのですか。 選び、記号で答えなさい。 イ ア ウ 【話す能力・聞く能力】② − 320 − 学校の中で江戸時代の人々のような遊び心を生かすとしたら、どのような取り組みが考えられますか。 ―2― ―3― エ これから流れる音声を聞いて、あとの⑴から⑸までの問いに答えなさい。 国語の授業で、「日本の伝統文化のおもしろさ」というテーマについて、調べたことをもとに自分の考えをまとめ、資 たが 料を見せながら発表することになりました。聞き手は、左の【聞くときのポイント】に沿って発表を聞きます。これか らグループの中で発表のリハーサルをし、よりよい発表にできるよう互いにアドバイスをする活動を行います。あなた 指示があるまで、次のページを開いてはいけません。 「判じ絵」 はん 昔のなぞなぞ もグループの一員になったつもりで次の音声を聞き、あとの問いに答えなさい。 【聞くときのポイント】 く ふう 伝えたいことを、分かりやすく伝えられるように、 話の組み立てが工夫できているか。 大川くんの使う資料 中学校第二学年 1 解答用紙に地区番号、学校番号、組、出席番号を書いてください。 おおかわ 注 意 2 答えは、すべて解答用紙に記入してください。 調査の時間は、四十五分間です。 問題 は 、音声を聞いて答える問題です。メモをとってもかまいません。 4 5 答えは、特別の指示があるもののほかは、各問のアからエまでの中から、最も ど 3 6 終わったら、見直しましょう。 適切なものをそれぞれ一つ選んで、その記号を書きなさい。 先生から「終わり」の合図があったら、書くのをやめてください。 江戸の遊び心 え 7 8 9 吉崎さんの使う資料 ―1― 1 よしざき 名 氏 出席番号 組 学校番号 地区番号 1 ―1― ⑸ あなたが、他の人の発表を聞くとしたら、どのようなことに注意して聞きますか。次のアからエまでの中には適切なも のがいくつかありますが、あなたの考えに最も近いものを一つ選び、記号で答えなさい。 げんこう ア 話す速度や声の大きさが聞きやすいか、分かりやすい言葉で話しているかに注意して聞く。 ウ 考えたこととして話された内容が、調べたことにもとづいているかどうかに注意して聞く。 イ 自分の発表する原稿を音読し、正しい言葉の使い方ができているかどうかに注意して聞く。 エ 話し手の考えと自分の考えを比べ、似ている点やちがう点があるかどうかに注意して聞く。 【国語への関心・意欲・態度】⑤ ⑶ 吉崎さんと大川くんの発表を【聞くときのポイント】に沿って比べたものとして最も適切なものを、次のアからエまで の中から一つ選び、記号で答えなさい。 ア 吉崎さんの発表のほうが、話の組み立てが明確で調べたことと考えたこととが整理されている。 イ 大川くんの発表のほうが、自分の考えが明確に述べられていて内容が分かりやすくなっている。 ウ 吉崎さんの発表のほうが、例が多く挙げられていて聞き手に興味をもたせるようになっている。 エ 大川くんの発表のほうが、話す速さや間の取り方が工夫されていて聞き取りやすくなっている。 【話す能力・聞く能力】③ 【話す能力・聞く能力】④ ⑷ 【聞くときのポイント】に沿って、大川くんの発表がよりよいものになるようアドバイスをしたものとして最も適切な ものを、次のアからエまでの中から一つ選び、記号で答えなさい。 ア 言葉だけでは伝わりにくいところがあったので、聞き手に判じ絵を見せながら話すとよい。 イ 発表の中に難しい言葉がたくさんあったので、分かりやすい言葉に置きかえて話すとよい。 ウ 考えたことが発表されていなかったので、昔のなぞなぞのおもしろさについて話すとよい。 エ 自分で考えた新しい判じ絵を資料で示して、どのような工夫をしたかについて話すとよい。 「村上くんは、『五輪』という言葉を聞いたことがありますか。」 むらかみ 次の会話文を読んで、あとの⑴から⑶までの問いに答えなさい。 なんだろう……?」 「さすがですね。では、 『五輪』と『春風』の共通点は分かりますか。」 A 村上くん 「もちろんです。オリンピックのマークで、『五つの輪』という意味です。」 先生 先生 B 』も同じ仲間ですね。」 熟語ですね。」 「よく分かりましたね。他にも区立学校の『区立』のように、上の漢字と下の漢字とが主語と述語の関係に どちらも 「じっくりと、それぞれの熟語の組み立てを考えてごらん。」 村上くん 「『五輪』と『春風』の共通点ですか? 先生 先生 村上くん 「熟語の組み立てですか……。あ、分かりました! なっている熟語もありますね。」 「そうですね。他の熟語の組み立てについても、ぜひ考えてみてください。」 村上くん 「『区立』ですか、なるほど。あ、『 先生 イ ア 組み立てを 熟語の それぞれの 町のはずれに、古い西洋風の家屋が建っている。 駅前の大きな通りに沿って、商店が並んでいる。 【言語についての知識・理解・技能】⑥⑦⑧ 【言語についての知識・理解・技能】⑫ じっくりとが直接かかっている部分として最も適切なものを、次のアからエまでの中から一つ選び、記号で答えな 村上くん 「はい。」 ⑴ ウ 考えてごらん さい。 エ ⑴ を付けた漢字の読みをひらがなで書きなさい。 ⑵ どの案を採用するかの判断を、委員長に委ねた。 次の⑴から⑶までの ⑶ かいしょ 【言語についての知識・理解・技能】⑨⑩⑪ を付けたカタカナの部分を漢字に直し、楷書で書きなさい。 進路についての三者メンダンの時刻に合わせ、再登校をした。 実験がうまくいかなかったので、別の実験方法をココロみた。 次の⑴から⑶までの ⑵ 図書館で、ほ乳類の進化についてのセンモン的な本を探した。 ⑴ ⑶ − 321 − ―6― ―4― ―7― ―5― 4 2 3 ―4― ―2― ―5― ―3― みなと が おか くら もと あゆむ 次の文章を読んで、あとの⑴から⑷までの問いに答えなさい。なお、*印の付いている言葉には、本文のあとに【注】 ふく おか があります。 福岡県にある 港 ヶ丘高校の一年生、倉本歩 は、陸上部に入部し、高校駅伝で全国大会に出場することを目指して、 はた や みず き ちゅうばん つぶ すご け が おどろ がん ば 掲載許可が得られていませんので、書名・著者名を示しせま とす うち。 日書 々名 練】 習に 【 「は 襷げ をん 、で 君い にる 。。 」競技経験を積むために「九州瀬戸内駅伝大会」に出場することにした陸上部では、部員全員 蓮ル 見を 走 恭り 子、そのタイムで大会の登録選手八名を決めることになった。 【 】ト で著 三者 千名 メー かわい スタートした後は、内に包まれないように、外目の位置に付いた。 なんばら 見ると、河合さんが先頭を走っていた。意外な人が先頭を走っていたから 驚 く。 かのじょ に だれ 彼女には南原さんや畑谷さん、瑞希のような凄みはない。怪我から復帰して、真面目にコツコツと頑張っているけど、部 。 ぜ つ * ひんけつ 夏の間は貧血もあって、あまり本格的な練習ができなかったのに、感 触 は悪 かんしょく 内でも地味で目立たない人だ。多分、最後は潰れる。だが、分かっていても、誰かが飛び出すと追いかけたくなるようで、 いつもよりペースが速い。 ふ だん 歩は な 普段の練習ならペースが落ちる中 盤も速いまま。河合さんは、このまま逃げ切るつもりなのだろうか? * 不思議ときつくなかった。何故だろう? くなかった。 い いける! 今日のうちは調子がいいっちゃ。 」と思いながら走っていたら、タイムを縮める事ができた。ただ、今回は 以前にも「この楽な感じが何時まで続くのか。 こわ プレッシャーがある。そのせいか、残り千メートルになっても飛び出す決心がつかなかった。 怖かった。 たら、どうしよう。 ①飛び出して潰あれ し おそ なかほど 行きたがる脚と恐れる気持ちで、心と体がばらばらになった。中程の位置を走ったまま、最後の一周になる。先頭集団が ペースを上げるタイミングになり、ようやく歩もペースを上げた。 今日は余力があった。 A イ ア 乗車 落下 未来 市営 しゅうしょく に入る二字熟語として最も適切なものを、次のアからエまでの中から一つ選び、記号で答えなさい。 【言語についての知識・理解・技能】⑬ に入る熟語の組み立ての説明として最も適切なものを、次のアからエまでの中から一つ選び、記号で だが、残り三百になっても飛び出せない。 ⑵ 答えなさい。 ア 同じような意味をもつ漢字を重ねている つい イ 反対の意味や対になる漢字を重ねている ウ 上の漢字が下の漢字を修 飾 している ウ B エ 上の漢字が下の漢字の意味を打ち消している ⑶ エ 【言語についての知識・理解・技能】⑭ せんぱい 呼ばれたのは二年生の先輩の名前だった。 目の前が真っ暗になった。 ひび つきそい とびら おうえん お か ひね た も 歩はふらふらとよろめき、倒れ込むようにトイレの 扉 を押した。蛇口を捻り、洗面器に水を溜める。いつもは足を冷や じゃぐち 「……以上、八名。メンバーに選ばれなかった者も、付添や応援で同行する事になるから、体調管理にはくれぐれも気をつ けて。」 後藤田コーチの声が高らかに響き、その日の練習は終わった。 が まん すのに使う洗面器に、歩は顔をつけた。 「ぷはぁっ。」 すいてき く 息を止め、限界まで我慢した後で顔を上げる。 苦しい。 顔から水滴を垂らしながら浅い呼吸を繰り返す。必死で酸素を吸う。 ③ 嗚咽が止まらない。蛇口の水を勢い良く流しながら、声を殺して泣いた。 お えつ 「うぅっ……。」 今回は本番ではない。まだ、次がある。一旦は、そう気持ちを切り替えていたのに、いざ、メンバーから漏れるとショッ 初めて三十秒台で走れたし、今日は調子が良かったのだ。 クだった。 何故、もっと早い時点で飛び出さなかったのか? こうかい 何故、あのタイミングで河合さんと接触したのか? いきなり扉の向こうから声をかけられたから、飛び上がりそうになる。 悔ばかりが押し寄せる。 後 「まだ、誰かいるの?」 畑谷さんだった。 と じま 「あ、すみません。すぐに出ます。」 ぬぐ こう い しつ うかが おく 慌てて顔を拭い、更衣室へと走る。外から 窺 うと、中に人がいた。声が聞こえる。 あわ 「早く着替えてね。警備員さんが戸締りに来るから。」 様子がおかしい。 まだ、まだ。 第三コーナーが見えてくる。 ぬ 先頭を走るのは南原さん、畑谷さん、瑞希。先頭集団の中からも、やがて遅れ始める人が出てきた。河合さんが下がって みのり ため いったん かっこう きて、背中が近くなる。前半、力を温存していた自分の方が勢いがある。コーナーに入る前に抜かしたかったが、前には 稔 がいたし、二人を抜かす為には一旦、外に出る必要があった。 決断できないままコーナーを曲がる。 残り二百。 えいきょう ようやく外に回り、前が開いたところでラストスパート。三人で並んで走る恰好になった。 はば 一番内側に稔、真ん中に河合さん。一番外が歩だ。 おおがら ふ 向かい風に阻まれて、思うように進めない。体重の軽い稔も風の影 響 を受けて苦しそうだ。 そして、三人の中で一番大柄な河合さんが抜け出そうとした。追おうとした時に、横風が吹いた。 ひょう し 風でバランスを崩した歩は、内側によれ、河合さんにぶつかった。その拍 子に、河合さんが転びそうになる。だが、す くず 「あ!」と思わず声を出してしまった。 もど ② ようやく歩がバランスを取り戻した時には、後ろを走っていた選手に抜かれていた。必死で追いすがる。四、五人で団子 ぐに立て直して走り出す。 こ しばら こし 状になってゴールラインを通過した。歩は遠ざかる河合さんの背中ばかり見ながら走っていた。追いつくことはできなかっ た。 たお 「倉本、十分三十五秒。」 あせ あご そのまま倒れ込みたかったが、後ろを走ってくる人がいたから、 暫 く走った後で止まる。腰を折って呼吸を整えている 後藤田コーチが名前を呼んでゆく。 ご とう だ と、汗がこめかみや顎を伝って地面に落ちた。 南原さん、畑谷さん、瑞希、河合さん。稔も呼ばれている。 最後の一人になった。 後藤田コーチは周囲を見回し、誰かを探している。 。 こちらを向いたから胸が高鳴る。 だが − 322 − ― 10 ― ―8― ― 11 ― ―9― ―8― ―6― ―9― ―7― 5 【注】 ① うち……わたし。 あいしょう いいっちゃ……いいわ。 おそ ホナ……河合さんの愛称 。 あし 切なものを、次のアからエまでの中から一つ選び、記号で答えなさい。 ア 走ることの心地よさと抜かれてあせる思いを、反復表現を用いて読者の印象に残るように表現している。 ふく せいぞろ 国語の授業で、次の文章を読み、「見方を変えれば見え方が変わる」というテーマについて、他の資料や自分の経験を たお おも しろ まるで、木が道の両側に倒れて、台風のあとみたいに見えます。砂場の中は、子 どもがみな倒れてねころがっているみたいです。だから非常に不完全だと思うとい えが うわけです。ところがそれは、大人の見方からみているわけで、子どもは子どもな りに、ある種の描き方の論理があるのではないかというのです。つまり、大人にと って、絵を描く時にいちばん重要なことは、視覚、つまり目で見て、どう見えるか ということです。それでいちばん典型的には、自分の視点をあるところに決めて、 そして遠くのものは小さく、近くのものは大きく、見えないものは描かないように する。そういうふうに、視覚中心で描くということを覚えているわけです。それに 対して、また別な絵の描き方があり得るわけで、つまり、目に「見える」ものを描 くのでなくて、そのものについて自分の「知っている」ことを描くという描き方で き みょう す。たとえば、ピカソなどの絵を見ますと、女の人の顔の見えないはずの向こうの 部 分 が 正 面 に く っ つ い て い て、 何 か 非 常 に 奇 妙 な 形 で 描 か れ て い る こ と が あ り ま ウ イ ア 自分が駅伝のメンバーに選ばれなかったことになっとくができず、いかりのあまり冷静な判断ができない様子。 いつもより速いペースで走ったため呼吸がおさまらず、水で体を冷やしながら必死に息苦しさをこらえる様子。 他の人に気付かれないように水音にまぎらせてこらえながらも、あふれる感情をおさえることができない様子。 【読む能力】⑰ 先輩に心配をかけないために早く気持ちを切り替えようと、無理やり全ての感情をはき出そうとしている様子。 裏方として、先輩方の最後の大会をお手伝いさせてもらおう。とあるが、このときの「歩」の気持ちとして最も適切な ④ ウ イ ア 自分に足りないものに気付いて結果を素直に受け止め、できることをしっかりやろうとするおだやかな気持ち。 自分が選手として失格だと思い知らされ、そんな自分に裏方として先輩を手伝える自信がもてず不安な気持ち。 自分には来年もあるのだから今年は先輩にゆずろうと思いながらも、大会に出られないことがさびしい気持ち。 三年生たちの団結の強さに感動し、そんな先輩たちから裏方として自分が認められたことがほこらしい気持ち。 【読む能力】⑱ エ ものを、次のアからエまでの中から一つ選び、記号で答えなさい。 ⑷ エ なものを、次のアからエまでの中から一つ選び、記号で答えなさい。 蛇口の水を勢い良く流しながら、声を殺して泣いた。とあるが、この表現から読み取れる「歩」の様子として最も適切 ③ ましょう。 す。一般的には子どもの絵の場合、大人の絵に対して、不完全な絵というふうに考えがちです。たとえば、次の絵を見てみ いっぱん 名も 】の 池と 上し て 嘉評 彦価されている本です。これを見ますと、子どもの絵についていろいろ面白いことが書いてありま の【 古著 典者 的な 掲載許可が得られていませんので、書名・著者名を示します。 リ書 ュケ のば 書 いこ たと 『ば 子の どふ もし の絵 【 名と 】い 「う ふフ しラ ぎン なス こ人と ぎ』 」という本は一九二〇年代にかかれたずいぶん古い書物ですが、この方面 子どもの絵のことを少しとりあげてみます。 えなさい。なお、*印の付いている言葉には、本文のあとに【注】があります。 もとにして学級で発表することになりました。このことをふまえて、次の文章を読み、あとの⑴から⑶までの問いに答 6 ⑶ さい イ プレッシャーに負けている自分への絶望を、慣用句を用いて読者に映像的に伝わるように表現している。 ウ 調子のよさと先が見えずに不安な思いを、たとえを用いて読者の心情にうったえるように表現している。 エ 今まで感じたことがないほど激しい興奮を、体言止めを用いて読者にたたみかけるように表現している。 【読む能力】⑮ 【読む能力】⑯ 歩は遠ざかる河合さんの背中ばかり見ながら走っていた。とあるが、 「歩」が「遠ざかる河合さんの背中ばかり見」て ② うず 。 くさ みな 雪合戦をしている子どもたち(9歳の子どもの作品) ⑴ 行きたがる脚と恐れる気持ちで、心と体がばらばらになった。とあるが、この表現について説明したものとして最も適 ⑵ いたわけとして最も適切なものを、次のアからエまでの中から一つ選び、記号で答えなさい。 ア 自分の不注意で河合さんを転ばしそうになったことが申し訳なく、一刻も早くあやまりたかったから。 イ 自分の方が勢いがあるはずなのに、なぜ河合さんに追いつくことができないのか分からなかったから。 ウ 自分を転ばそうとした河合さんの行動に腹が立ち、追い抜き返すことで見返してやろうと思ったから。 うめ エ 河合さんのタイムと自分のタイムとの差を計ることで、本番までの自分の課題を見つけたかったから。 ひそ たち ぼそぼそと声を潜めて話す合間に、呻き声が聞こえる。歩と同じようにメンバーに選ばれなかった人が泣いてるんだろう か? 南原さんの声だった。 いっしょ こ しゅうねん 音をさせないように扉を開くと、集まっていたのは三年生の部員達だった。南原さんも含めて、四人が勢揃いしていた。 輪の中心でタオルに顔を埋めているのは 河合先輩だった。 * だ 」 「ホナは、高校に入ってから、怪我に泣いたもんね。腐らずに、よく頑張った。 きわ 河合さんはタオルに顔を埋めたまま、感極まったように南原さんに抱きついた。 「ナンちゃん、ありがと。みんなも……。 」 」 「頑張ろう。一緒に頑張ろうね。 そのまま立ち尽くす。 つ 「最後の年だもん。 」 ど 自分と河合さんとの差が分かった気がした。 しぼ 」と考えている自分と「今年で最後。」と 執 念を燃 大会にかける思いの強さだ。何処かで「まだ次がある。来年がある。 ずいぶん き はく たすき (蓮見恭子「 襷 を、君に。」による) 。誰よりも入念にストレッチや体幹トレーニングをこなしていたのも、怪我を用心しての事だった。 復 帰 し て か ら の 河 合 さ ん は 本 当 に、 こ つ こ つ と 練 習 し て い た。 皆 が 走 り 終 え た 後 も、 一 人 だ け 残 っ て 練 習 し て い た 改めて見ると、体も随分と絞れている。 やす最上級生。 り 。 恐らく、復帰前から補強やストレッチなど、かなり熱心にやっていたのだろう。 いや その差はおのずと、走る時の気迫に現れていた。 頑張ってサポートしないと。 ④ 裏方として、先輩方の最後の大会をお手伝いさせてもらおう。 しゅしょう 自然と殊 勝 な気持ちになっていた。 − 323 − ― 14 ― ― 12 ― ― 15 ― ― 13 ― ― 12 ― ― 10 ― ― 13 ― ― 11 ― 先の子どもの絵で、木が倒れていておかしいというのは、視点を固定した場合のみ、それがおかしいといえるわけで、あ ふ くまで大人の立場からみて、おかしいというわけで、もし子どものような見方を一つの異なった立場としてそれなりの価値 たピカソの絵の場合のように、実際にそういうことはおこっているわけです。 を持ったものとしてみますと、それ自体、決しておかしくないはずであるわけですし、大人の文化の中でも、さきほど触れ *だ せい このように見てきますと、子どもが私たちに対して、いろいろ提示しているものは、ある意味では、大人がすでに失って しまったもの、我々の心の深い所には何か残ってはいるけれども、日常生活の惰性にはばまれて出なくなってしまったもの を呼びおこしてくれる働きを持っていると考えることもできます。イギリスの有名な詩人ワーズワースは、次のようなこと TheChildisfatheroftheMan. ばを残しています。 * ワーズワース自身は、人間が大人になっていくにつれて、子どものころに持っていた純真な、自然なものの見方をだんだ (池上嘉彦「ふしぎなことば ことばのふしぎ」による 一部改編) ん失っていくという気持ちをこのように表現しましたが、これまでお話したような意味でも、「子どもは大人の父親である」 ということは言えるのではないかと思います。 かざ 屏 風 …… 和室などに立てて風をよけたり飾ったりする道具。 びょう ぶ 【注】 模写 …… 実物や手本をそのまままねて描くこと。 だ せい 惰性 …… 深く考えずにくり返されていること。 ……「子どもは大人の父親である。 」という意味。 TheChildisfatheroftheMan. す。本当は向こう側は見えないはずですけれど、実際にあるということは確実ですから、それも描く、つまり、目に「見え る」ものが描かれているのではなく、あるということを「知っている」ことが描かれているわけです。子どもの場合は、こ けいこう ういう傾向が非常に強いということです。たとえば、子どもが、自動車の絵などを描く場合、こちらから見ると、本当なら * 二つしか見えない車輪を四つ描いてみせる。どうしてかというと、 「車輪は四つあるもの」というわけです。 とくちょう 次の絵はこの特 徴 がよくでています。 ちが かく 下のほうの絵を見せて、それを子どもに模写させたら、上のような絵になったということなのですが、この二つの絵で非 なか の描いたほうにはやはり全部描かれています。また、建物の 上にステッキを持った人が横を向いて立っていますが、子ど もの描いたほうでは、それが正面向きになっています。正面 から描くというのは、多分、自分が知っていることがいちば んたくさん描けるということなのでしょう。 けいこう 先ほどもいいましたが、視点を固定するという傾向が、大 人の場合は非常に強いわけですから、写真が最も正確な絵だ というような発想もあり得るわけです。一方こういう見方に 対して、視点を固定しないで、自由に移動させて描くという * びょう ぶ え 描き方もあるわけです。別に、子どもだけではなく、日本の 昔の屏 風絵などで、たとえば、大きな茶会の様子が、近く のほうの人物も、遠くのほうの人物も同じような大きさで描 かれていることがあります。 B に入る語句として最も適切なものを、次のアからエまでの中から一つ選び、記号で答えなさい。 ア 「大人が知らない」ことを描く ② イ 「見えない」ものを描く ウ 「正面から見た」ものを描く 【必要な情報を正確に取り出す力】⑳ ⑴で整理した【見方1】と【見方2】とで、どのように見方が変わっているのかを説明したものとして最も適切なもの エ 「知っている」ことを描く ⑵ ア 子どもと大人とでは描き方がちがうという見方から、子どもも大人も描き方は同じであるという見方に変わった。 どちらの絵がすぐれているかという見方から、それぞれの絵のちがいに意味があるはずだという見方に変わった。 大人の絵のほうがすぐれているという見方から、本当は子どもの絵のほうがすぐれているという見方に変わった。 を、次のアからエまでの中から一つ選び、記号で答えなさい。 イ これまで整理してきたことをもとに、 「見方を変えれば見え方が変わる」というテーマについてこの文章から考えられ 【比較・関連付けて読み取る力】㉑ 子どもの絵から大人の絵になるという見方から、大人の絵が子どもの絵になることもあるという見方に変わった。 ウ エ ⑶ イ ア 子どもの視点や描き方は、あたりまえと思っている見方や考え方に疑問を投げかける価値をもっているとも言える。 子どもの視点や描き方が不完全なのは当然であり、大人の絵と比べること自体が意味のないことであるとも言える。 不完全に見える子どもの視点や描き方のほうが、大人より正確で見たままに近い絵を描くことができるとも言える。 ることとして最も適切なものを、次のアからエまでの中から一つ選び、記号で答えなさい。 ウ 絵を描く際の視点や描き方にちがいはあるとしても、純真な心をもっていれば価値のある作品を描けるとも言える。 子どもの絵 ・木が道の両側に倒れている ・子どもが倒れてねころがっている A 文章の内容を次のように整理しています。このことをふまえて、あとの①と②の問いに答えなさい。 【意図や背景、理由を理解・解釈・推論して解決する力】㉒ エ ⑴ 大人の絵 【見方1】 ・遠くのものは小さく、近くのものは大きく ・視覚中心 ・雲で見えない部分も描く ・視点を自由に移動させて描いている ◎ B 【見方2】大人の絵と子どもの絵は描き方の論理がちがう ・雲で見えない部分は描かない ・視点を固定して描いている ◎「見える」ものを描く ア 大人の絵より子どもの絵のほうが、完全 子どもの絵も大人の絵も、描き方は同じ 大人の絵は完全で、子どもの絵は不完全 【必要な情報を正確に取り出す力】⑲ に入る語句として最も適切なものを、次のアからエまでの中から一つ選び、記号で答えなさい。 イ A ウ 子どもの絵は、大人の絵より価値がある ① エ − 324 − ― 18 ― ― 16 ― ― 19 ― ― 17 ― ― 16 ― ― 14 ― ― 17 ― ― 15 ― 常に違いが出ている点は、もとの絵では飛行船の半分は雲の中に隠れて見えないのに、子どもの絵ではそれが全部描かれて さい いるということです。それからもう一つ、向こうに小さいほうの飛行船があって、お腹のあたりが消えていますが、子ども 6歳8ヵ月の子どもが描いた飛行船の模写 く ふう 作文から、「読み切り小説」として描きたい「あの一瞬」を取り出そう。 効果的な心情描 写を工夫して書く びょう し ゃ 「あの一 瞬 」を言葉で切り取ろう い っ しゅん 【吉崎さんのワークシートの一部】 ◆ 私は、これまでの練習の成果を全部出しきろうと、全力で歌いきりました。なの で、歌い終わった瞬間、なんだか自分が空っぽになったような気分でした。歌いきっ た余いんにひたりながら、ぼおっとしてしまって、たくさんのはく手が鳴っているこ 取り出した「あの一瞬」を、心理描写を工夫して書き直そう。 とにもしばらく気が付きませんでした。 ◆ 最後の歌詞といっしょに私の中身が全部出て行ってしまったようだった。ぽっかり ⑴ ピアノの最後の音が、ゆっくりと客席の上を流れていくのが見えたような気がした。の部分の表現の工夫とその効果に イ ア 心情を交えず実際に見た客席の光景を見えたままに表現することで、歌い終わった自分の姿を客観的に伝えている。 音を映像的にとらえたりわずかな時間の流れをていねいに表現したりすることで、余いんを味わい深く伝えている。 ピアノの音の大きさや客席の様子を実際よりも大げさに表現することで、全力で歌った達成感を力強く伝えている。 ついて述べたものとして最も適切なものを、次のアからエまでの中から一つ選び、記号で答えなさい。 ウ 細かなことは省略をして心の動きにしぼって表現することで、はく手に気が付かなかった理由を簡潔に伝えている。 【書く能力】㉓ エ ﹅や 。も字数に 鳴っていたの部分を、この学習の目的に応じて、より効果的な表現に書き直すとしたら、どのように書き直すか。「~ のように」、「~のような」のいずれかの表現を用いて、二十字以上、三十字以内で答えなさい。なお、 ⑵ 【書く能力】㉔ あなたが自分の体験をもとに「読み切り小説」を書くとしたら、どのようなことを意識して書きますか。次のアからエ 数えます。 ⑶ ア 登場人物の気持ちを効果的に伝えるために、たとえを用いるなど文章表現を工夫するように意識する。 小説らしくするために、自分の好きな小説の好きな場面の文章をそのまま取り入れるように意識する。 まとまりのある一つの物語にするために、起承転結など話の組み立てが効果的になるように意識する。 − 325 − と、私はステージに立っていた。ピアノの最後の音が、ゆっくりと客席の上を流れて ど の よ う な「 効 果 」 を ね ら い、 ど の よ う な 「 工 夫 」 を し た の か を 、 整 理 しよう。 ねらった効果 ワンポイントアドバイス イ までの中には適切なものがいくつかありますが、あなたの考えに最も近いものを一つ選び、記号で答えなさい。 ウ 楽しく読んでもらうために、読み手が興味をもちそうな話題やできごとを取り入れるように意識する。 【国語への関心・意欲・態度】㉕ エ ― 20 ― ― 21 ― いくのが見えたような気がした。ゆっくりと流れていって、やがて、消えた。気が付 くと、ホールいっぱいにはく手が鳴っていた。 よしざき 国語の授業で、合唱コンクールについて書いた作文を、 「読み切り小説」として書き直すことになりました。左は授業 く ふう ● 工夫したポイント ● 記入者( ) ● 工夫は適切か・効果は得られているか ◎ 「効果」や「工夫」を確かめ合おう。 ● ◆ で使うワークシートです。また、次のページには、【吉崎さんのワークシートの一部】を示しています。このことをふま びょう し ゃ 取 り 出 し た 「 あ の 一 瞬 」 を 、 心 理 描 写 を 工夫して書き直そう。 作文から、「読み切り小説」として描きたい「あの一瞬」を取り出そう。 効果的な心情描 写を工夫して書く い っ しゅん 「あの一 瞬 」を言葉で切り取ろう えて、あとの⑴から⑶までの問いに答えなさい。 ◆ ◆ ワンポイントアドバイス 記入者( ) ● 工夫は適切か・効果は得られているか ● ワークシート ― 20 ― ― 18 ― ― 21 ― ― 19 ― 7
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