レポート課題の解答と解説

レポート課題の解答と解説
(2012 年度 システム基礎数学)
レポート課題第 1 回【4/19 10:20a.m. 締切】
(1)
√
2 が無理数であることを示せ.
(
)
(
a 0
an
(2) A =
とするとき,任意の自然数 n に対して,An =
0 b
0
解答.
0
)
bn
が成り立つことを示せ.
√
√
(1) 背理法を用いよう. 2 が無理数ではないと仮定する.すなわち, 2 が有理数であるとする.こ
のとき,1 以外に公約数をもたない自然数 m, n が存在して,
と表される【有理数の定義と
√
√
m
2=
n
⃝
1
···
2 が正の数であることを使っています】.⃝
1 の両辺を 2 乗して
2=
m2
,
n2
∴
2n2 = m2 .
⃝
2
···
これは,m2 が偶数であることを示している.ゆえに,m も偶数である.
∵ m が奇数であるとすると,m2 も奇数となり矛盾する.ゆえに m は偶数である.
m が偶数なので,ある自然数 k を用いて m = 2k とかける.このことと,⃝
2 より
∴
2n2 = 4k 2 ,
n2 = 2k 2 .
これは,n2 が偶数であることを示している.すなわち n も偶数である.以上より,m も n も偶数とな
りこのことは,m, n が 1 以外に公約数をもたないことに矛盾する.
√
√
ゆえに,背理法の仮定「 2 が無理数ではない」は偽である.すなわち, 2 は無理数である.
(2) 証明すべき命題は
任意の自然数 n について An =
( n
a
0
0
bn
)
(P)
である.
数学的帰納法を用いて証明しよう.
(i) n = 1 のとき.A の定義より,命題 (P) は明らかに真である.
(ii) ある n で命題 (P) が真であると仮定する.このとき,
( n
)(
) ( n
) ( n+1
a
0
a 0
a · a + 0 · 0 an · 0 + 0 · b
a
n+1
n
A
=A A=
=
=
0 bn
0 b
0·a
0 · 0 + bn · b
0
( n+1
)
a
0
∴ An+1 =
.
0
bn+1
0
bn+1
)
.
これは,命題 (P) が n + 1 のときにも成り立つことを示している.
以上 (i),(ii) より,任意の自然数 n に対して命題 (P) は真である.
【補足】
「任意の自然数」という表現は,
「すべての自然数」と同意である.「任意」という言葉は大学の数学
で良く出てくるが,「その人の自由意思に任せる」という意味で,数学的には「無作為に選ばせること」.
1