はじめに 私たち、大津市消費生活審議会は、平成27年9月の委員改選で6名が交代し、新しい体制で大津 市の消費者行政に取り組むことになりました。これを機に、本審議会の今後の方針や課題を明確化す るとともに、消費者問題の複雑化・深刻化、また、近年の消費者教育の重要性を踏まえて、 「大津市に おける消費者教育の推進のあり方」について調査・検討を進めることになりました。 現在の消費者を取り巻く社会環境は、急速に進む少子高齢化やグローバル化、高度情報通信社会の 進展などによって、経済活動と消費生活の関係が非常に複雑なものになっており、地域社会で進むコ ミュニティの崩壊や核家族化は、より一層消費者問題を深刻なものにしています。 このような状況の下で、消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むためには、まずは、行政と 事業者がこれまで以上に消費者問題と真剣に向き合い、重大な事故などが発生したときには速やかに その情報を公表し、その被害救済に向けて全力をあげて取り組むとともに被害の拡大防止とその後の 再発防止のために厳格な対応を取っていかなければなりません。 消費者行政において最も重視されるべき法律である「消費者基本法」は、行政に対して「消費者の 利益擁護とその増進のため、消費者が自主的かつ合理的に行動することができるようその自立を支援 しなければならない」として、行政の役割を明確に規定しています。 他方で「消費者基本法」は、消費者の権利として「消費者の安全確保」、「商品及び役務についての 消費者の自主的・合理的な選択機会の確保」 、「消費者への必要な情報及び教育機会の提供」、 「消費者 意見の消費者政策への反映」、「消費者被害が発生した場合の適切かつ迅速な救済」を明記し、消費者 の役割も重視しています。さらに、消費者に「自ら進んでその消費生活に関して必要な知識を修得し、 必要な情報を収集する等自主的かつ合理的に行動するよう努めなければならない」としています。 このように消費者自身にも主体的、合理的な意思決定を行うことが求められ、消費生活におけるリ スクを認識した上で自らの努力によってその危機を回避し、被害にあった場合には速やかに対処でき る知識と能力を身に付けておくことが求められているのです。 また、こうした消費者の行動の前提として、平成24年に施行された「消費者教育の推進に関する 法律」においては、その基本理念として「消費者教育は、消費生活に関する知識を習得し、これを適 切な行動に結びつけることができる実践的な能力が育まれることを旨として行われなければならない」 とし、常に人の成長に伴って幼児期から高齢期まで各段階において不断に消費者教育が行われる必要 があることが示されています。これは「消費者基本法」の理念の具体化でもあります。 こうしたことから、私たちは、この大津市においても消費者の自立を支援するために消費生活に関 する知識の普及と情報提供などの啓発活動がさらに推進されることが重要であると考え、消費者の生 涯にわたって学習する機会が、学校、地域、家庭、職域、その他様々な場を通じて確保されるよう、 現在の大津市における消費者教育推進の現状と課題を分析した上で、私たちとして考える大津市にお ける消費者教育の推進の基本的な方向性をここに示すことにしました。 - 1 -
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