平成28年度 全国学力・学習状況調査の分析について

平成28年10月20日
保護者の皆様へ
福岡市立青葉中学校
校
平成28年度
長
扇
哲久
全国学力・学習状況調査の分析について(お知らせ)
晩秋の候,保護者の皆様におかれましては,ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。日頃より,本
校の教育活動に対し,深いご理解とご協力をいただき感謝申し上げます。
さて,4月19日(火)に行われました3年生を対象とした「平成28年度全国学力・学習状況調査」の
教科等に関する調査結果及び考察について下記のようにお知らせいたします。また,福岡市におきましては,
今回実施した調査結果の概要を福岡市教育委員会のホームページで公表しております。
この調査は,学校における生徒への教科指導や学習状況の改善等に役立てることなどを目的としています。
調査対象は3年生で,国語と数学の2教科が実施されました。国語と数学の2教科については,主に知識に
関する「A問題」と,主に知識を活用する力に関する「B問題」が実施されました。
本校では,教科に関する調査結果とその考察,ならびに指導方法を改善する取組をお知らせし,学校と保
護者や地域の方々がともに手を携えて,生徒の学力向上や学習環境などの改善に取り組んで参りたいと考え
ておりますので,ご理解とご協力をお願いします。なお,測定されたものは学力の一部であり,学校におけ
る教育活動の一側面に過ぎません。そのことを踏まえつつ,調査によって得られた課題を明らかにし,その
改善に全力を注ぐことが,調査本来のねらいであると考えています。調査結果の公表につきましては,福岡
市教育委員会の「公表ガイドライン」に沿った語句や文章表現で行っています。
今後は,対象となった3年生において,よりきめ細やかな指導ができるよう取り組みを進めるとともに,
学校全体として課題に応じた学力向上につながる具体的な指導法の工夫改善も図ってまいります。ご家庭に
おかれましても,以下の分析結果をもとに,今後の家庭学習の指針として,参考にしていただきますようお
願いいたします。尚,この結果は青葉中学校のホームページでもご覧になれます。
1.教科に関する調査結果について
(1)国
語
◎国語A(『知識・技能』に関する問題)は,全国平均と比べるとやや上回っている。
*国語の学習指導要領の領域等は,「話すこと・聞くこと」,「書くこと」,「読むこと」,「伝統的な言語
文化と国語の特質に関する事項」です。
~概況~
*(
)内は全国平均正答率との比較を示す。
領域別においては,「書くこと」に関する問題の正答率では,県平均を僅かに下回っていますが,他
の領域「話すこと・聞くこと」
「読むこと」
「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」に関する問
題の正答率は県・全国平均を上回っています。また,無解答率は,概ね全国平均より下回っており,積
極的に問題に取り組む姿勢が見られます。
[全国と比較して,正答率が高い問題番号・出題の趣旨]
・9三オ「語句の意味を理解し,文脈の中で適切に使う」
(+10.4)
・9-3「文脈に即して漢字を正しく書く」
(+7.8)
[全国と比較して,正答率が低い問題番号・出題の趣旨]
・9六「文字の形や大きさ,配列に注意して書く」(-9.1)
・2二「集めた材料を整理して文章を構成する」
(-4.3)
◎国語B(『活用』に関する問題)は,全国平均と比べるとやや上回っている。
~概況~
*(
)内は全国平均正答率との比較を示す。
領域別においては,
「書くこと」
「読むこと」に関する問題の正答率は,県・全国平均を上回っていま
す。また,無解答率は,概ね全国平均より下回っており,積極的に問題に取り組む姿勢が見られます。
[全国と比較して,正答率が高い問題番号・出題の趣旨]
・3三「本や文章などから必要な情報を読み取り,根拠を明確にして自分の考えを書く」
(+13.5)
・1三「目的に応じて必要な情報を読み取る」
(+6.9)
※全国と比較して,正答率が低い問題はありませんでした。
◆国語科における成果と今後の改善点について◆
○国語A
「書くこと」については全国平均正答率を僅かに下回っています。これは,伝えたい事柄が相手に効
果的に伝わるよう,根拠を明確にして書く力がまだ充分身についていないようです。今後は,文章を
読み返し,文の使い方などに注意して書く活動などを繰り返し実施していきます。また,
「伝統的な
言語文化と国語の特質に関する事項」については全国平均正答率を上回っています。これは,日頃か
らの意味調べや漢字学習の取組の成果と考えられます。今後は,さらにことわざや慣用句など語句の
理解や使い方の向上を目指します。
○国語B
「書くこと」では,必要な情報を読み取り,根拠を明確にして自分の考えを書く力が身についていま
す。今後は,課題を決め,それに応じた情報の効果的な収集方法を考えて書く活動を取り入れていき
ます。「読むこと」では,目的に応じて必要な情報を読み取り,文章の展開に即して内容を理解する
力が身についています。今後は,文章の中心的な部分と付加的な部分を読み分け,要旨をとらえて適
切に要約するなどの活動を行っていきます。
(2)数
学
◎数学A(『知識』に関する問題)は,全国平均と比べるとやや上回っている。
*数学の学習指導要領の領域等は,
「数と式」,
「図形」
,「関数」,
「資料の活用」です。
~概況~
*(
)内は全国平均正答率との比較を示す。
領域別においては,全ての領域「数と式」
,
「図形」,
「関数」,
「資料の活用」に関する問題の正答率は,
県・全国平均を上回っています。無解答率は,概ね全国平均より下回っており,積極的に問題に取り組
む姿勢が見られます。
[全国と比較して,正答率が高い問題番号・出題の趣旨]
・1(2)「自然数の意味を理解している」
(+14.7)
・2(1)「数量の関係を文字式に表すことができる」,7(3)「命題の逆を理解している」(+9.5)
[全国と比較して,正答率が低い問題番号・出題の趣旨]
・10(3)「一次関数のグラフから,x の変域に対応する y の変域を求めることができる」(-8.9)
・12(2)「測定値が与えられた場面において,近似値と誤差の意味を理解している」(-7.4)
◎数学B(『活用』に関する問題)は,全国平均と比べるとやや上回っている。
~概況~
*(
)内は全国平均正答率との比較を示す。
領域別においては,全ての領域「数と式」
,
「図形」,
「関数」,
「資料の活用」に関する問題の正答率は,
県・全国平均を上回っている。無解答率は,概ね全国平均より下回っており,積極的に問題に取り組む
姿勢が見られます。
[全国と比較して,正答率が高い問題番号・出題の趣旨]
・5(1)「資料の傾向を的確に捉え,判断の理由を数学的な表現を用いて説明することができる」
(+10.0)
・3(2)「グラフの傾きを事象に即して解釈することができる」(+9.6)
[全国と比較して,正答率が低い問題番号・出題の趣旨]
・2(1)「条件を基に,表から数量の変化や対応の特徴を捉え,x の値に対応する y の値を求めること
ができる」
(-6.8)
・4(1)「筋道を立てて考え,証明することができる」
(-2.1)
◆数学科における成果と今後の改善点について◆
○数学A
「資料の活用」では,近似値と誤差の意味を正しく理解できていませんでした。また,
「関数」では,
数量の関係を捉えることが苦手な生徒が多く見られました。比例と反比例の違いを考える活動やグラ
フと表の関係を考える活動を多く取り入れたり,日常生活で使われている数(例えば,速さ)がどん
な意味をもつのかを考えたりする活動を取り入れ,理解が深まるようにしていきます。
○数学B
「資料の活用」では,「必要な情報を選択し表現する」が,全国平均を上回りました。問題から必要
な情報を読み取り,式やグラフにするなどの活動を通して,表現力をさらに高めていきます。また,
「図形」では,図形の性質を利用し,筋道を立てて証明することに課題があります。証明の流れや要
点を確認し,根拠を明らかにしながら証明ができるよう,一人ひとりの証明の添削を行うなどの個別
指導をしていきます。数学を身近な問題として,具体的な事象と結びつけて考えることができるよう
に指導法を工夫していきます。基礎・基本については繰り返して学習し,一つひとつ問題に取り組み
ながら,達成感や成就感を持つことができるよう,きめ細かい指導を工夫していきます。
2.学習状況・生活状況等に関する調査結果について
「生徒質問紙調査」
(生活習慣や学習環境等に関する質問への調査) の結果については,85問の質問
項目(60項目(教科以外)+25項目(教科))がありましたが,生徒のよい面,前向きな姿勢が回答
に表れている項目がたくさんありました。ほとんどの項目で,県•全国平均の結果より良い回答率が得ら
れ,一般的には落ち着いた前向きな気持ちで学校生活や学習(勉強)ができていると考えられます。
(1)肯定的な回答率が県・全国を上回り,特に,好ましい状況にあると考えられる項目
*肯定的な回答とは,
「当てはまる」+「どちらかといれば,当てはまる」を含む。また,
(
)内の
表記は(県,全国)の比較を表す。
①県・全国のいずれかと20.0%以上の差がある項目
(46)
「「総合的な学習の時間」では,自分で課題を立てて情報を集め整理して,調べたことを発表
するなどの学習活動に取り組んでいますか」
78.8%(+30.9%,+21.1%)
(52)「1,2年生のときに受けた授業で,自分の考えを発表する機会では,自分の考えがうまく
伝わるよう,資料や文章,話の組み立てなどを工夫して発表していたと思いますか」
77.3%(+25.9,+19.6%)
(50)「1,2年生のときに受けた授業では,学級やグループの中で自分たちで課題を立てて,そ
の解決に向けて情報を集め,話し合いながら整理して,発表するなどの学習活動に取り組ん
でいたと思いますか」
87.1%(+23.7%,+17.8%)
(30)「学級会などの話合いの活動で,自分とは異なる意見や少数意見のよさを生かしたり,折り
合いをつけたりして話し合い,意見をまとめていますか」76.5%(+21.9%,+18.1%)
(7)
「友達の前で自分の考えや意見を発表することは得意ですか」71.2%(+20.1%,+21.0%)
②県・全国のいずれかと10.0%~20.0%未満の差がある項目(上位3位)
(51)
「1,2年生のときに受けた授業で,生徒の間で話し合う活動では,話し合う内容を理解し
て,相手の考えを最後まで聞き,自分の考えをしっかり伝えていたと思いますか」
88.6%(+19.6%,+16.2%)
(44)
「「総合的な学習の時間」の勉強は好きですか」
81.8%(+18.5%,+13.5%)
(35)
「地域や社会で起こっている問題や出来事に関心がありますか」
83.3%(+18.0%,+17.5%)
(2)肯定的な回答率が県・全国を下回り,今後,見直しや改善をしなければならない項目
(57)
「400字詰め原稿用紙2~3枚の感想文や説明文を書くことは難しいと思いますか」
56.1%(-7.5%,-6.7%)
(58)
「学校の授業などで,自分の考えを他の人に説明したり,文章に書いたりすることは難しい
と思いますか」
(3)肯定的な回答が高かった項目(上位3位)
59.8%(-3.6%,-3.0%)
※肯定的回答が80%以上は60項目中31項目
(4)
「ものごとを最後までやり遂げて,うれしかったことがありますか」100%(+6.1%,+5.7%)
(40)
「友達との約束を守っていますか」
100%(+3.0%,+2.8%)
(39)
「学校の規則を守っていますか」
99.3%(+5.2%,+4.6%)
(4)肯定的な回答が低かった項目(上位3位)
(37)
「新聞を読んでいますか」
21.9%(+7.1%,+3.6%)
(23)
「家で,学校の授業の予習をしていますか」
35.6%(+7.2%,+1.4%)
(21)
「家で,自分で計画を立てて勉強をしていますか」
46.9%(+4.3%,-1.5%)
(5)気になる項目
(9)「将来の夢や目標を持っていますか」
83.3%(+11.4%,+12.2%)
(4)「自分には,よいところがあると思いますか」
78.1%(+9.9%,+8.8%)
(11)~(14)
「普段(月~金曜日)家で,1日当たり3時間以上する。
」
・「テレビやビデオ・DVDを見たり,聞いたりする」
20.5%(-5.3%,-3.6%)
・
「テレビゲーム(コンピュータゲーム,スマートフォン等)をする」13.6%(-4.8%,-4.8%)
・
「携帯やスマートフォンで通話やメール,インターネットをする」16.6%(-1.0%,±0%)
・
「勉強する時間(学習塾で勉強している時間や家庭教師も含む)
」34.1%(-1.6%,-0.1%)
(16)
「学習塾(家庭教師を含む)で勉強している」
65.2%(+8.9%,+4.2%)
(26)
「学校に行くのは楽しいと思いますか」
87.8%(+6.1%,+6.4%)
(42)
「いじめは,どんな理由があってもいけないことだと思いますか」93.9%(-0.5%,+0.3%)
(6)各教科についての項目
○「国語の勉強は好き」で「国語の授業の内容がよく分かる」と「数学の勉強は好き」で「数学の授業
の内容がよく分かる」と回答した生徒は,県・全国を上回っています。
3.調査結果を受けて今後の取組について
生徒は学校に行くことを楽しく思っており,学校の規則をよく守り,家庭内での関係は良好で,落ち着
いた生活ができています。また,自尊感情に関わる部分では,人の気持ちを思いやれる優しい生徒が多く,
物事に取り組む際の力強さが順調に育ってきていると思います。このことは,これまでの2年間,本校の
道徳教育,総合的な学習の時間,人権教育等の実践や様々な学校行事や講演会では,地域•家庭と連携し
ており,地域全体での教育力の成果が上がっているからだと思います。また,将来へ向けての夢や希望と
いうところでは,学校においてのキャリア教育の取組が,生徒に浸透してきているからだと思います。
一方で,学力に関しては,家庭学習の習慣や自学自習のスタイルの確保が必要です。また,授業では,
各教科の基礎・基本の確かな学力を定着させることが大切です。さらに,学習活動において,アクティブ
ラーニングの実践を通して,自分の意見を発表することや仲間と交流し合う場面(ペア学習やグループ学
習等)を設け,学習内容が個々の中で深まる工夫をします。全ての教育活動を通じて,言語活動の充実を
図る学習活動を取り入れてまいります。