Economic Indicators 定例経済指標レポート

Market Flash
マイナス金利深掘りなしとの見方に自信を深めた
2016年10月19日(水)
第一生命経済研究所 経済調査部
主任エコノミスト 藤代 宏一
TEL 03-5221-4523
【海外経済指標他】
・9月米CPIは前年比+1.5%と市場予想に一致して8月から0.4%pt改善。ベースエフェクトの関係でド
ル安・原油高傾向になっていることからエネルギー(▲9.3%→▲2.9%)が下落幅を縮小。他方、コア物
価は前年比+2.2%と8月から0.1%pt減速。内訳は、コア財(▲0.5%→▲0.6%)が下落幅を拡大した反
面、コアサービスが+3.2%で変わらず。家賃は+3.7%と過去数ヶ月のレンジ内で推移、CPIの約4割
を占める住居費は+2.7%へと伸びを高めた。今回の結果は、少なくとも目先1回の追加利上げを正当化す
る。
・9月英CPIは前年比+1.0%と2014年11月以来の高水準となった。ベースエフェクトに加え、既往のGBP
安を通じた輸入物価上昇が押し上げに寄与。食料・エネルギー・アルコール(▲1.6%→▲0.8%)が下落
幅を縮小。コア物価も+1.5%へと8月から0.2%pt伸びを高めた。サービス物価(+2.8%→+2.6%)は
伸び率を縮小したものの、コア財(▲1.2%→▲0.3%)の下落幅縮小によって全体が押し上げられた。先
行きもGBP安、人件費の上昇を背景に緩やかな上昇傾向が続くだろう。
4 (前年比、%)
(%)
米 CPI
6
3
英
CPI
5
コア
4
2
3
1
2
コア
1
0
0
総合
-1
10
11
12
13
14
(備考)Thomson Reutersにより作成
-1
15
10
11
12
13
14
(備考)Thomson Reutersにより作成
16
総合
15
16
【海外株式市場・外国為替相場・債券市場】
・前日の米国株は反発。金融株の決算が予想を上回ったことが好感され、NYダウは一時150㌦程度上昇したも
のの高値警戒感もあり、引けにかけて上昇幅を縮小。WTI原油は50.29㌦(+0.35㌦)で引け。OPECを中
心とした産油国の減産を巡る報道を受けて一進一退。
・前日のG10 通貨はまちまちの動き。USDの強さは中位程度だったが、GBP、NZD、AUDといったプラス金利通
過が堅調でCHF、SEK、EUR、DKKといったマイナス金利通貨が軟調。USD/JPYは一日を通してみれば横ばいで
103後半での推移となっている。
・前日の米10年金利は1.738%(▲2.8bp)で引け。米CPIを受けて上下した後、ここもとの金利上昇を背景に
午後からは水準バイヤーの買いがみられた。欧州債市場(10年)は総じて堅調。ドイツ(0.035%、▲
2.0bp)、イタリア(1.382%、▲1.8bp)、スペイン(1.098%、▲1.5bp)、ポルトガル(3.245%、▲
0.7bp)が揃って金利低下。周縁3ヶ国加重平均の対独スプレッドはややワイドニング。
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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【国内株式市場・アジアオセアニア経済指標・注目点】
・日本株は米株高に追随して高寄り後、日経平均17000を目前にもみ合い(9:30)。
<#日銀マイナス金利深掘り #ユーロ圏銀行貸出態度 #伸びない貸出>
・目下、日銀の追加緩和を巡る思惑は政策金利(長短)の引き下げの有無に集中している。そうしたなかで
筆者は、日銀が行き過ぎた金利低下が懸念事項であること表明している以上、よほどの強い根拠と自信が
ない限り、マイナス金利の深掘りはできないと予想している。そうした観点から昨日発表されたECBに
よるユーロ圏の銀行貸出調査は、日銀やECBが主張するマイナス金利のベネフィットに疑問を投げかけ
る結果となり、筆者の予想をサポートした。同サーベイでは、過去3ヶ月に銀行の貸出態度は急激に厳格
化し、貸出態度DIは11四半期ぶりにプラス圏(厳格化している)に到達。先行きのそれも同じく11四半
期ぶりにマイナス圏(緩和的でなくなっている)を脱しており、銀行収益圧迫が融資基準厳格化に繋がる
との懸念が少なくとも一部で現実のものになっていることが示された。
・マイナス金利導入で先行するユーロ圏では、導入当初こそ貸出金利の低下が融資増加に繋がり、経済全体
でみれば、銀行の利鞘圧迫を非金融事業法人・家計の貸出アクセス改善が補うことでベネフィットが享受
できていた。しかしながら、最近は初期段階で掘り起こされた資金需要が一服する下、貸出残高の増加率
が2%程度で伸び悩み、銀行収益の圧迫が目立つなどコストが表面化している。今回の結果は、マイナス
金利のベネフィットを主張する日銀にとって都合の悪いデータとなっただろう。
80
70
60
50
40
30
20
10
0
-10
-20
ユーロ圏 銀行融資基準
50
40
30
20
10
0
-10
-20
-30
-40
-50
厳格化
融資基準
緩和的
今後3ヶ月
過去3ヶ月
03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17
(備考)Thomson Reutersにより作成 融資基準「厳格化」-「緩和」
ユーロ圏
(前年比、%)
ユーロ圏 企業の資金需要
今後3ヶ月
強
資金需要
過去3ヶ月
弱
03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17
(備考)Thomson Reutersにより作成
貸出残高
6
4
家計貸出残高
2
0
-2
-4
民間非金融法人貸出残高
-6
10
11
12
13
14
15
16
(備考)Thomson Reutersにより作成
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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