WCGIC 2016

WCGIC 2016
TAILOR
LBA005
野生型切除不能大腸癌の一次治療におけるFOLFOX-4±セツキシマブ療法:
オープンラベル、ランダム化第III相、TAILOR試験
S. Qin, et al: WCGIC(ESMO-GI)2016, LBA005
結 論
●
TAILOR試験は主要エンドポイントを満たし、セツキシマブと化学療法の併用は
一次治療における標準療法であることが確認された1-2。
野生型切除不能大腸癌(mCRC)の
●
中国の
野生型mCRC患者において、FOLFOXにセツキシマブを併用することで無増悪生存期間
(PFS)、全生存期間(OS)、
奏効率(ORR)を有意に改善し、その結果は既報の主要試験の結果と同様であった2。
●
安全性に関する新規または予想外の事象は認められなかった。
●
今後、進行中のサブグループ解析の結果を報告する予定である。
目 的
●
●
●
CRYSTALおよびOPUS試験の結果からは、セツキシマブ+化学療法(FOLFIRIまたはFOLFOX)は
療における標準療法であることが示された1-2。
野生型mCRCの一次治
野生型mCRC患者の一次治療におけるセツキシマブ+化学療法の有用性は前向きなランダム化第III相試験では検証されていなかった。
ランダム化第III相試験であるTAILOR試験の目的は、
野生型mCRC患者の一次治療において、セツキシマブ+FOLFOX-4
療法またはFOLFOX-4療法の有効性と安全性を確認することである。
方 法
●TAILOR試験デザイン
セツキシマブ +
FOLFOX-4 療法群
一次治療、
野生型大腸癌*
治療は
病勢進行または
許容できない
毒性の発現まで
継続
1対 1で
ランダム
割り付け
*EGFR検査は必須ではない
生存の
フォローアップ
FOLFOX-4 療法群
・ 主要評価項目:PFS(独立評価委員会がRECIST 1.0を基に評価)、目標はハザード比0.70
PDではない理由で治療を中止した場合には、腫瘍の評価を継続した。
・ 主な副次評価項目:ORR、OS、安全性/忍容性
・ 統計:検出力80%、有意水準(両側)5%で群間差を検出するのに必要なイベント数247
・ 試験登録番号:EMR62202-057、NCT01228734
・ 試験デザイン:オープンラベル、ランダム化、多施設、第III相試験
野生型患者であったが、集積されたエビデンスに基づいて2013年に対象は
・ 本試験のITT集団は
され、これをmITT集団とした。
試験薬投与量
・オキサリプラチン85mg/m 2 day1(2週毎)
・ロイコボリン200mg/m 2 day1および2(2週毎)
野生型患者のみにプロトコールが修正
・5-FU 400mg/m 2ボーラス投与後、600mg/m 2/日でday1および2に持続静注(2週毎)
・セツキシマブ400mg/m 2 day1、その後は250mg/m 2/週(セツキシマブ+FOLFOX-4療法群のみ)
患者背景
・ 対象はセツキシマブ+FOLFOX-4療法群(193例)、
FOLFOX-4療法群(200例)にランダムに割り付け
られた。
両群の背景に偏りはなかった。
mITT 集団
項目
性別、n(%)
年齢、年
ECOG PS、n(%)
化学療法
施行歴、n(%)
127(65.8)
139(69.5)
女性
66(34.2)
61(30.5)
中央値
範囲
56.0
56.0
21-83
21-78
0
63(32.6)
66(33.0)
1
130(67.4)
134(67.0)
すべての術後補助化学療法
51(26.4)
50(25.0)
術後補助オキサリプラチン療法
43(22.3)
41(20.5)
0
2(1.0)
術前補助化学療法
1(0.5)
2(1.0)
1
72(37.3)
80(40.0)
2 81(42.0)
63(31.5)
3
27(14.0)
36(18.0)
>3
肝転移、n(%)
FOLFOX-4 療法群
(n=200)
男性
転移治療
転移部位数、n(%)
セツキシマブ +FOLFOX-4 療法群(n=193)
13(6.7)
21(10.5)
52(26.9)
56(28.0)
1. Van Cutsem E, et al. J Clin Oncol. 2015;33:692-700.
2. Bokemeyer C, et al. Eur J Cancer. 2015;51:1243-1252.
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WCGIC 2016
有効性
●PFS
●OS
・ FOLFOX-4にセツキシマブを併用することで、主要評価項目である
独立評価委員会によるPFSは有意に延長した。
・ 現時点の解析では、FOLFOX-4にセツキシマブを併用することで、OSは臨
床的に意味があり、かつ統計学的に有意に延長することを示唆している。
主要評価項目:独立評価委員会によるPFS
1.0
0.9
0.8
0.6
FOLFOX-4 療法群
(n=200)
イベント数
135
119
中央値(月)
9.2
7.4
95%信頼区間
7.7-9.4
5.6-7.9
0.5
1.0
0.7
0.6
FOLFOX-4 療法群
(n=200)
イベント数
139
161
中央値(月)
20.7
17.8
95%信頼区間
15.9-22.1
14.9-19.6
0.8
ハザード比(95%信頼区間):0.69
(0.54-0.89)
= .004 (log-rank)
0.4
セツキシマブ +FOLFOX-4 療法群
(n=193)
0.9
全生存率︵%︶
無増悪生存率︵%︶
0.7
副次評価項目:OS
セツキシマブ +FOLFOX-4 療法群
(n=193)
0.5
ハザード比
(95%信頼区間):0.76
(0.61-0.96)
=.02 (log-rank)
0.4
0.3
0.3
0.2
0.2
0.1
0.1
セツキシマブ+FOLFOX-4療法群
FOLFOX-4療法群
0.0
0
3
6
9
12
15
追跡例
セツキシマブ+FOLFOX-4療法群
FOLFOX-4療法群
0.0
18
21
期間(月)
24
27
30
33
0
36
3
6
12 15 18 21 24 27 30 33 36 39 42 45 48 51 54 57 60
9
期間(月)
追跡例
セツキシマブ +FOLFOX-4 療法群 193
161
117
85
40
24
19
13
10
6
5
5
5
セツキシマブ +FOLFOX-4 療法群 193 183 166 151 118 97 87 76 62 56 54 50 44 39 25 20 15
9
7
5
3
FOLFOX-4 療法群
144
72
35
12
6
6
5
4
4
3
3
3
FOLFOX-4 療法群
7
7
4
1
200
200 195 172 149 121 97 83 63 51 39 34 28 26 25 17 12
9
●二次治療
●ORR
・ セツキシマブ+FOLFOX-4療法群のORRはFOLFOX-4療法群に比
べて有意に高かった。
セツキシマブ +FOLFOX-4 療法群
(n=193)、n(%)
試験薬中止後に化学療法 / 分子標的薬療法を施行した全例
副次評価項目:ORR
70
化学療法施行例
61.1%
60
オッズ比
(95%信頼区間):2.41(1.61-3.61)
< .001 (Fisher exact test)
奏効率
︵%︶
50
39.5%
40
30
分子標的薬療法
施行例
20
10
0
セツキシマブ +FOLFOX-4 療法群
(n=193)
FOLFOX-4 療法群(n=200)
90(46.6)
92(46.0)
オキサリプラチン
20(10.4)
19(9.5)
イリノテカン
66(34.2)
73(36.5)
Cape/5-FU/ テガフール
76(39.4)
81(40.5)
その他
34(17.6)
24(12.0)
セツキシマブ
2(1.0)
18(9.0)
パニツムマブ *
0(0.0)
11(5.5)
Nimotuzumab*
1(0.5)
2(1.0)
ベバシズマブ
7(3.6)
15(7.5)
Aflibercept*
6(3.1)
6(3.0)
レゴラフェニブ *
0(0.0)
2(1.0)
Fruquintinib/Famitinib*
4(2.1)
2(1.0)
その他
2(1.0)
0(0.0)
*中国で未承認
(他のランダム化臨床試験の非盲検で記録された安全性データを含む)
治療強度
治療強度(修正安全性解析集団)
セツキシマブ
・ 累 積 投与量 、治 療コース数 、
相対用量強 度(RDI)を表に
示す。
・ セツキシマブ+FOLFOX-4療
法群で化学療法の累積投与
量が多かったのは、PFSの長
さを反 映したものだと考え
られる。
セツキシマブ +FOLFOX-4
療法群(n=194)
累積投与量、平均値、mg/m 2
治療コース数、n
中央値
最小 - 最大
< 60%
RDI、n(%)
≧ 60% ∼ < 80%
≧ 80% ∼ < 90%
≧ 90%
オキサリプラチン
FOLFOX-4 療法群
(n=199)
セツキシマブ +FOLFOX-4
療法群(n=194)
5-FU
FOLFOX-4 療法群
(n=199)
セツキシマブ +FOLFOX-4
療法群(n=194)
FOLFOX-4 療法群
(n=199)
8240.4
912.2
743.6
23248.6
27
11
8
12
8
1-186
1-47
1-28
1-47
1-49
18571.0
5(2.6)
13(6.7)
10(5.0)
23(11.9)
12(6.0)
32(16.5)
59(30.4)
54(27.1)
84(43.3)
68(34.2)
46(23.7)
76(39.2)
68(34.2)
42(21.6)
50(25.1)
106(54.6)
46(23.7)
67(33.7)
45(23.2)
69(34.7)
5(2.6)
0
0
0
0
データなし
安全性
発現頻度>5%のグレード 3 以上のTEAE(修正安全性解析集団)
・ 治療関連有害事象(TEAE)として予想外の事象は認められなかった。
概要(修正安全性解析集団)
セツキシマブ +FOLFOX-4
療法群
(n=194)
すべての有害事象、n(%)
グレード 3 以上の有害事象、n(%)
FOLFOX-4 療法群
(n=199)
194(100.0)
194(97.5)
182(93.8)
148(74.4)
重大な有害事象、n(%)
37(19.1)
26(13.1)
セツキシマブ中止の原因となった有害事象 *、n(%)
31(16.0)
NA
化学療法中止の原因となった有害事象 *、n(%)
76(39.2)
54(27.1)
8(4.1)
5(2.5)
死亡に至った有害事象†、n(%)
FOLFOX-4 療法群
(n=200)
、
n
(%)
*化学療法とすべての投薬による有害事象を含む
†
試験薬に関連しない事象も含む全有害事象;セツキシマブ投与に特に関連した死亡例なし
MedDRA 分類
セツキシマブ +FOLFOX-4 療法群(n=194)
FOLFOX-4 療法群
(n=199)
好中球数減少 *
120(61.9)
86(43.2)
白血球数減少 *
52(26.8)
42(21.1)
皮疹
27(13.9)
0
疲労
25(12.9)
19(9.5)
低カリウム血症
20(10.3)
8(4.0)
血小板数減少
20(10.3)
13(6.5)
低マグネシウム血症
16(8.2)
2(1.0)
ざ瘡様皮膚炎
14(7.2)
0
口内炎
12(6.2)
1(0.5)
下痢
11(5.7)
4(2.0)
骨髄不全
9(4.6)
12(6.0)
50(25.8)
0
皮膚反応
複合分類
全皮疹
ざ瘡様皮疹
注入関連反応
†
46(23.7)
0
19(9.8)
12(6.0)
*好中球数減少および白血球数減少の発生率は、中国人を対象とした本試験の対照群では、他のグローバル試験でみられるより
も高かった。これは、セツキシマブ+FOLFOX-4療法群のFOLFOX-4累積投与量の多さを考慮すれば他の試験結果と矛盾しない。
†
FOLFOX-4療法群の注入関連反応が顕著であったことを考えると、セツキシマブ併用群の注入関連反応の発現状況は既報と同
程度だと考えられる。
この資材は学会の最新情報を掲載しており、日本国内での承認内容と異なる薬剤の情報が含まれています。ご使用にあたっては各薬剤の添付文書をご参照ください。
2016年7月作成
EB031C1607PH576