成形機械 事例2

特集
成形機械
鍛造・プレス加工を高度化する成形技術・機械の開発動向
事例 2
圧造成形における荷重低減の方法と
シミュレーションの活用
旭サナック㈱
森田
真*
縦型のプレス機と比較して横型の鍛造機である圧造
は、その強度計算の必要性を説明したうえで、金型負
機はその生産速度の速さから、特に数の多い自動車部
荷を低減するための技術について事例を交えて紹介す
品などの生産に適した設備と言える。図 1 のように、 る。
圧造機は生産性と省スペース化が最大限に考慮された
設備であり、金型のスペースに厳しい制限がある。そ
のぎりぎりのところで金型強度を満足させるため、常
に強度計算をしながら設計する必要がある。
ダイスの締めとその強度の限界
図 2 はニブを圧入したダイスの強度計算結果を模
式的に表したもので、圧入による締めがかかった状態
同じく、スペースの問題から金型部品は軸方向に細
に成形による内圧が付加された成形時の応力状態を計
長い形状で構成されることが多く、受圧したときのた
算、この最大値が金型材料の許容値を超えていないか
わみが大きいといった課題もあり、これを克服するため
で判断している。
にシミュレーションが活用されている。そこで本稿で
例えば図 3 のように、ある設備仕様で定められた
ダイス外径に対し、ダイスの中で密閉成形するときの
*
Makoto Morita:金型事業部 課長
〒488−8688 愛知県尾張旭市旭前町 5050
TEL(0561)
54−9703
ワークの大きさとかけられる内圧は、グラフのような
曲線で限界の上限を仕切ることができる。
図 1 圧造機に取り付いた金型の様子
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