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5.三次元地盤モデルの作成手順(例)と留意点
5.1 座標系と読み取り精度
5.1.1 座標系
(1)提案
座標系は「平面直角座標系(19 座標系)」とする。
「地質・土質調査成果電子納品要領(案)」では,ボーリングデータの座標系は緯度・
経度(JGS2000 あるいは JGS2011)と定められているが,三次元地盤モデル取り扱ったり,
三次元的に表現する場合には直角座標系の方が便利である。
(2)留意点
ボーリング交換用データの場合,孔口の位置は緯度・経度で記入するように指示され
ているため,CIM 対応とするためには「国土地理院測量計算サイト *」などを利用して,
緯度・経度から平面直角座標に変換する必要がある。
※国土地理院:http://vldb.gsi.go.jp/sokuchi/surveycalc/main.html
5.1.2 精度
(1)提案
ボーリング(モデル)と地質断面図(准三次元地盤モデル)の場合,位置座標の読み取り
精度は 0.3m 以内を目標とする。
サーフェスモデルのような三次元地盤モデルの場合には,対象とする範囲,地盤モデ
ルの施行段階,利用目的などを勘案して最も適切な精度を確保すること。
(2)留意点
「地質・土質調査成果電子納品要領(案) 付属資料 付 5-11 ページ
1)
」には,ボーリン
グ孔の位置精度は「小数点以下の精度は、必要に応じて 1/10∼1/10,000 の範囲とする。」
と記載されているが,具体的な目標値は示されていない。なお,この場合の小数点とは
度,分,秒で示される 60 進座標値の「秒の精度」のことである。
表-5.1.1 は,上記付属資料「表 2-4」を引用して修正加筆した結果である。平面直角
座標系の目標精度 0.3m を確保するためには,60 進の秒単位で 1/100 秒(0.01 秒),10 進
の度単位で小数点以下 6 桁の精度が必要となる。
表-5.1.1 緯度・経度の読み取り精度
精 度 (m)
推奨
精 度 (秒 :60進 )
精 度 (度 :10進 )
30m
約 1秒
約 0.0003度 (小 数 4桁 )
3m
約 1/10秒
約 0.00003度 (小 数5桁 )
0.3m
約 1/100秒
約 0.000003度(小数 6桁)
本章は,CIM 対応の三次元地盤モデルを作成手順(例)と留意すべき点について記載したが,作成手順
を(例)にした理由は,全ての作成方法を網羅しているわけでは無いためである。
- 75 -
よって,「同資料 付 5-12∼13 ページ」に,ボーリング位置の読み取りを 2 万 5 千分
の一地形図から読み取っても良いような表現があるが,CIM 対応ボーリングの精度とし
ては全く不足すると考えるので,十分留意されたい。
読 み 取 り 精 度 (度 ・ 分 ・ 秒 )
赤 ● : 1/100 秒
青 ● : 1/10 秒 (1m∼ 2m ず れ る )
緑 ● : 1 秒 (2 孔 が 同 じ 位 置 に )
茶 ● : 10 秒 (4 孔 全 て が 同 じ 位 置 に )
図-5.1.1 緯度・経度の読み取り精度について(模式図)。
図-5.1.1 は,読み取り精度による位置の差を模式的に表したものである。
・赤色マーカー(1/100 秒)と青色マーカー(1/10 秒)には,マーカー直径の半分程度の
差が見られる。この例よりも詳細な(設計)図面のことを考えると,最低でも位置の
決定精度は,1/100 秒は必要と考えられる。
・緑色マーカー(1 秒)では 4 孔のうち 3 孔しか表示されておらず,茶色マーカー(10
秒)では 1 孔しか表示されていない。これは,それぞれの桁数(精度)により複数孔の
位置座標が同じ値になったことを意味している。CIM のように,ボーリングデータ
を下流工程で再利用(リユース)する場合や地盤情報データベースを構築する際に重
大な支障となる事例である。
- 76 -
5.2 ボーリングモデル
5.2.1 属性データの作成方法(図-5.2.1 参照)
① 『地質・土質調査成果電子納品要領(案) 第 4 編 3-3-6 地質情報
2)
』に記載されて
いる「地質情報」に従って地質断面図を作成する。
② 地質断面図を作成するために使用した全てのボーリング柱状図に対して,「4.3.1
ボーリングモデル (4)簡易版の属性データ・・・」に記載した属性データ(見本,表
-4.3.1)とボーリングモデルを作成する。
③ 孔 口 の 位 置 が 地 質 断 面 図 か ら 離 れ て い て 断面 図 の 作 成 に 寄 与 し なか っ た ボ ー リ ン
グで地質断面図と同じ地質凡例が利用できる場合には,その地質凡例に基づく属性
データとボーリングモデルを作成する。
なお,DWG(Dynamic Waveform Matching)法など地層を自動的あるいは半自動的に区分
する方法については,CIM のように個々のボーリングデータを吟味する必要のあるケー
スには不向きであるため,検討の対象としなかった。
(左 )断 面 図 の 凡 例 見 本
(右 )土 質 (境 界 線 )に よ り 区 分 し た 属 性 デ ー タ (地 質 名 )を 作 成
図-5.2.1 ボーリングモデルの属性データ作成手順(イメージ)
5.2.2 層序判定における堆積環境の考慮について
OCU GeoModeller などを使用して地盤のサーフェスモデルを作成する場合,堆積環境
の変化による侵食の有無を把握した上で層序判定を行うことが最も重要となる。なお,
ここで言う層序判定とは「岩相層序区分」を判定することである。
堆積環境の把握については,ボーリングデータのみからでは判定できないことが多い
ため,既往資料や物理探査など他の調査結果を参照する必要がある。このため,事業開
始時など少ない知見で層序判定を行った場合には,より詳細かつ大規模な地質調査が行
われた時に随時改良できるようなデータ形式で納品することが求められる。
堆積環境の変化による侵食の有無の例を図-5.2.2 に示す。本例では,「b1 層と b2 層」
は整合,「b2 層と b3 層」は侵食により不整合となる。
サーフェスモデルを作成する場合,全て整合(単純堆積)にある場合と一部の地層が不
- 77 -
整合(侵食⇒堆積)である場合とでは後述する「論理モデル」が異なり,論理モデルの違
いがサーフェスモデルの形状に大きく影響するため,ボーリングモデルを作成する場合
にも,常に堆積環境について把握することが望ましい。
図-5.2.2 侵食面の確定(イメージ)
5.2.3 簡易版の属性データ(案)
簡 易 版 の 記 載 例 を 図 -5.2.2 に , 同 じ く 簡 易 版 ボ ー リ ン グ モ デ ル の 統 一 凡 例 を 図
-5.2.3 に示す。
<地層岩体区分>
<地層岩体区分_上端深度>0.00</地層岩体区分_上端深度>
<地層岩体区分_下端深度>2.00</地層岩体区分_下端深度>
<地層岩体区分_地層岩体名>B</地層岩体区分_地層岩体名>
</地層岩体区分>
<地層岩体区分>
<地層岩体区分_上端深度>2.00</地層岩体区分_上端深度>
<地層岩体区分_下端深度>5.00</地層岩体区分_下端深度>
<地層岩体区分_地層岩体名>M1</地層岩体区分_地層岩体名>
</地層岩体区分>
・・・・・・・・・・・・
<地層岩体区分>
<地層岩体区分_上端深度>35.30</地層岩体区分_上端深度>
<地層岩体区分_下端深度>39.70</地層岩体区分_下端深度>
<地層岩体区分_地層岩体名>G4</地層岩体区分_地層岩体名>
</地層岩体区分>
<フリー情報>地層岩体区分登録社:****(株)。同登録者:管理技術者
****。同登録日:2016年**月**日。層序表(属性データ)ファイル
:Class.xls。</フリー情報>
図-5.2.2 簡易版ボーリングモデルの記載例
- 78 -
地層
完
新
統
更
新
統
地質名
記号
色
埋土・盛土層
B
D9D9D9
第Ⅰ砂礫層
G1
99FF66
第Ⅰ粘性土層
M1
66CCFF
← Class.xls の例
第Ⅰ砂層
S1
FFFF99
・本例では地層記号を入力したが,地層
火山灰層
S1v
FF99FF
第Ⅱ粘性土層
M2
3399FF
第Ⅱ砂礫層
G2
339933
第Ⅲ粘性土層
M3
0066FF
侵食の歴史(堆積環境)」などを記載し
第Ⅱ砂層
S2
FFFF66
た (属 性 デ ー タ )フ ァイ ル 名 を 登 録 す
る。
第Ⅲ3砂層
S3
FFFF66
第Ⅲ砂礫層
G3
009900
第Ⅳ性土層
M4
0000FF
R
996633
軟岩層
名を直接入力しても良い
・<フリー情報>には「層序」や「堆積と
図-5.2.3 簡易版ボーリングモデルの統一凡例(イメージ)
- 79 -
5.3 テクスチャモデル
5.3.1 精密地形面の作成(図-5.3.1 参照)
DTM であるメッシュデータあるいは TIN(Triangulated Irregular Network=不整三角
形網)を用いて,対象地域の詳細な三次元地形モデルを作成する。
① 企画・計画段階:国土地理院から公開されている 5m や 10mDEM データを使用する。
② 調査段階:測量段階の成果品,あるいは調査に付随して実施した精密 DEM あるいは
DTM データを使用する。
③ テクスチャデータとして,対象区域をカバーする範囲の地質平面図などの平面図デ
ータあるいはイメージデータを用意し座標系を付与する。
④ テ ク ス チ ャ デ ー タ が 写 真 あ る い は ス キ ャ ナに よ っ て イ メ ー ジ 化 され た 図 面 の 場 合
は,オルソ処理を行って,形状データとの位置のずれが最小限に収まるよう十分注
意する。
⑤ 四角あるいは三角の面を平面図データでレンダリングすることにより,地形の三次
元的形状を表現することができる。 例を図-5.3.1 に示す。
(左 )地 形 の TIN モ デ ル
(右 )テ ク ス チ ャ モ デ ル
出典:(株)防災地質研究所(株)資料
図-5.3.1 テクスチャモデル(イメージ)
5.3.2 地質平面図(図-5.3.2 参照)
平成 20 年 8 月版の『地質・土質調査成果電子納品要領(案) 第 3 編』に従って,地質
平面図データ(SFX)を作成する。同データは電子成果品として提出する一方,テクスチャ
モデル用に以下の手順に従って必要な範囲を切り出したイメージデータを作成する。
① CAD ツールを使用して,必要な範囲を切り出す。実際に切り出す範囲は正方形や長
方形でなくてもかまわない。
② 切り出した範囲が真北に正対するよう,必要に応じて回転処理する。
③ 切り出した範囲を含む正方形あるいは長方形の作業範囲を設定する。
④ 作業範囲の境界座標(経度・緯度,平面直角座標)を別途調査して,下記仕様に従っ
て保存する。境界座標の精度は,平面直角座標で 1m 単位とし,経度・緯度の場合は
座標変換により 1m の精度を確保する。
⑤ 作業範囲の全域を対象として,解像度 200dpi∼300dpi のラスターイメージデータ
を作成する。
- 80 -
(上 )原 デ ー タ
(右 )処 理 後 の イ メ ー ジ
・必要な部分を切り出す。
・ 平 面 図 枠 の 縦 軸 を 真 北 に す る (回 転 )。
・必要な平面図枠を作成する。
・ 境 界 枠 の 座 標 を 読 み 取 る (四 隅 )。
図-5.3.2 テクスチャモデルの作成(イメージ)
5.3.3 スケッチ,ルートマップ,印刷済みの地質平面図等
スケッチ,ルートマップ等が既に CAD データ化されている場合には,
「① 地質平面図」
に準拠する。一方,紙で入手した図面の場合には,以下の手順に従って必要な処理を行
う。
① 解像度 200dpi∼300dpi のイメージスキャナを使用して,デジタルイメージデータ
を作成する。解像度は,対象とする範囲と必要とされるテクスチャモデルのサイ
ズにより適宜変更して良い。
② GIS ツールと十分な精度を有する地形図データを使用して,図面のゆがみを修正す
るオルソ処理を行う。
③ 以後は「5.3.2 地質平面図」に同じ。
5.3.3 空中写真,斜め写真等
空中写真等が既に CAD データ化されている場合には,「① 地質平面図」に準拠する。
一方,デジタルイメージデータの場合には,以下の手順に従って必要な処理を行う。
① GIS ツールと十分な精度を有する地形図データを使用して,写真のゆがみを修正す
るオルソ処理を行う。
② 以後は「5.3.2 地質平面図」に同じ。
- 81 -
5.4 准三次元断面図
5.4.1 地質断面図の作成(図-5.4.1 参照)
平成 20 年 8 月版『地質・土質調査成果電子納品要領(案) 第 4 編 3-3-6 地質情報』に
記載されている「地質情報」に従って地質断面図データを作成する。CAD ツールの仕様
によって,データフォーマットは以下に準ずる。
・三次元 CAD
:三次元座標値(平面直角座標値)を使用して,3D-CAD データとしての
准三次元断面図(データ)を作成する。
・非三次元 CAD:従来通り二次元ローカル座標値を使用して断面図データ(SXF)を作成
する。別途実空間座標値(平面直角座標値)との関係表を作成する。関
係表は別途 CSV ファイルにまとめる。
地質断面図の始点・終点及び全ての屈曲点の座標値は,公共測量に準じて現地測量が
望ましいが,次善の策として,本研究課題Ⅰで開発公開中の「位置座標の読み取りと確
認処理ツール」などを利用して,地質断面線の始点・終点と全 屈曲点 の 各座 標 値 (緯 度・
経度)を読み取ってもよい(図-5.4.1 参照)。
なお,読み取った座標値が緯度・経度である場合には,整理の段階で平面直角座標に
変換処理する。
A∼ B: 地 質 断 面 線 (屈 曲 )
注 1 こ の よ う な 屈 曲 断 面 図 (線 )の 場 合 は ,始
点 (A),終 点 (B)の 他 に 全 て の 屈 曲 点 の 座 標
値を読み取る。
注 2 見 本 の 図 は ,本 研 究 課 題 Ⅰ で 開 発 公 開 中
の「位置座標の読み取りと確認処理ツー
ル 」 を 使 用 し た (合 成 図 )。
注 3 平 面 直 角 座 標 値 は ,読 み 取 り 後 に 別 途 計
算する。
図-5.4.1 地質断面図の測線座標の読み取り(イメージ)
5.4.2 速度層断面図や地山条件調査結果図など
「5.4.1 地質断面図の作成」の作成手順に準じてそれぞれの図面データを作成する。
- 82 -
5.5 サーフェスモデル
5.5.1 形状データの作成方法(図-5.5.1 参照)
地層境界面(ユニット=層序)モデルを例として,サーフェスモデリングの手順を以下に
略記する。
改 良 ・ 開 発 し た ツ ー ル 類 の 使 用 説 明 を 10 章 に 記 載 し た 。
図-5.5.1 サーフェスモデリングの概略手順とそのイメージ
3)を基に作成
① 基礎データの収集・整理:地質調査によって得られた地下構造に関する基礎データ(ボ
ーリング柱状図,地表踏査結果や地質断面図など)を収集し整理する。
② 層序や地質構造の検討:当該区域の堆積環境などに留意しつつ,基礎データを元にし
て対象範囲に存在する地層の層序(岩相)を判定し,当該事業に係わる地質・地盤の全
体を表現できる「総合地質凡例」や「総合柱状図」を作成する(5.2.2 参照)。
③ 地質の論理モデルの推定:堆積環境を勘案して,各地層がどのような堆積と侵食の各
作用により出来上がったかを考察する。
④ 地層境界面の形状推定:最も適切と思われる曲面推定法を利用して,地層境界面の形
状を推定する。推定に当たっては,「本章」に記載した留意点を参照する。
⑤ 地層境界面の形状確認:①∼④で構築した地層境界面の形状が妥当であるかどうか,
三次元 CAD などを利用して視認する。特に,地層が交差する場合,その現象が妥当か
- 83 -
どうかを留意する。
⑥ サーフェスモデルの推定:②∼⑤で作成した中間データを利用してサーフェスモデル
を推定する。
⑦ 最適モデルの決定:得られた結果(本研究では,3D-DXF ファイル)を直ちに三次元 CAD
を利用して可視化し,視認により基礎データとの整合性などを検証する。疑問があれ
ば,①∼⑥のいずれかの段階に戻って再処理・推定を行う。
上記の各手順により最適なサーフェスモデルを推定するが,この場合の最適モデルと
は,曲面推定法における最小残差モデルではなく,地質や地盤技術者の想定したイメー
ジモデルに最も近いものが望ましい。
5.5.2 孔底の地層情報を境界面推定に生かす方法
ボーリングデータから地質断面図を作成する上で最も悩ましい事柄の 1 つに,ボーリン
グの孔底に存在する地層がどこまで続いているか,を推定することが挙げられる。
図-5.5.2 は,4 本あるボーリングのうち 1 本が b1 層を確認していない,という仮定で
作成した集合柱状図である。地層境界面の推定を行う場合,一般的な方法は上段のように
b1 層を確認できなかったボーリングでは,b1∼b2 境界の S1 面は不明であるとして扱う。
このようにすると,地層境界面の推定プログラム(のアルゴリズム)によっては,S1 面が孔
底よりも上に存在する,という推定結果が得られる場合があり,これは事実に反してしま
う。
上段は孔底の地層データを使用しないケース。
下段は使用するケース。
図-5.5.2 孔底の地層データを地層境界面の推定に利用する方法(イメージ)
- 84 -
一方,本研究で開発した「OCU GeoModeller」では,下段のように「S1 面は孔底よりも
下位にある」という情報を入力データに付記することによって推定計算を行う機能がある
ので,少なくとも S1 面は孔底よりも下に推定される。入力データの例を表-5.5.1 に示す。
表-5.5.1 地層境界面の推定に使用する入力データ(イメージ) 4)を基に作成
通常の入力データ形式
id
面の位置を指定する形式
id
lの説明
X
Y
Z
X
Y
Z
1
5350.9
62092.4
-19.8
1
5350.9
62092.4
-19.8
l
0
2
5378.8
62097.8
9e9
2
5378.8
62097.8
-20.2
-1
3
5401.0
62084.0
-19.8
3
5401.0
62084.0
-19.8
4
5360.2
62127.5
9e9
4
5360.2
62127.5
-19.7
5
5403.8
62107.5
9e9
5
5403.8
62107.5
-19.9
6
5417.7
62122.4
9e9
6
5417.7
62122.4
-19.7
7
9e9
9e9
9e9
7
9e9
9e9
9e9
-1:面がデータ点
の下を通る
0 l=
0:面がデータ点
-1 を通る
+1:面がデータ点
-1 の上を通る
-1
9e9
注 b2 層 の 下 端 深 度 が 不 明 な の で ,S1 面 は 孔 底 よ り 下 で あ る と す る が そ の 深 度 を 確 定 す る こ
と は な い 。 よ っ て , こ の 地 点 で の S1 面 深 度 は , 他 の 計 算 条 件 な ど に よ り 不 定 と な る 。
5.5.3 論理モデルの作成について(考え方)
(1)基本的な考え方
ここでは,以下の図-5.5.3 に示す地質構造(地質断面図)を例にとって,地層の論理モ
デルの作成方法について概説する。
b1∼ b3: 地 層 区 分 (一 般 的 に 最 下 位 層 が 1 番 )
S1∼ S3: 地 層 境 界 面
α:空中
図-5.5.3(図-5.2.2 再掲載) 地層の論理モデルの表現方法(例)。
地層境界条件は以下の通りである。
・境界 S1:初期地表面
・境界 S2:堆積・侵食面[地層 b2 が堆積後,侵食により S2 が構成された]
・境界 S3:現地表面=堆積・侵食面[地層 b3 が堆積後,侵食により S3 が構成された]
上記の条件を満たす論理モデルの例を表-5.5.2 に示す。
- 85 -
表-5.5.2 図-5.5.3 の地質構造を示す論理モデルの例
初期地形面
(S1)
堆積侵食面
(S2)
堆積侵食面
(S3)
地層1(b1)
-1
-1
-1
地層2(b2)
1
-1
-1
地層3(b3)
0
1
-1
上部空間1(α)
0
0
1
注 記 (1,0,-1)の意味
1:地層(空間)は境界面より上位
(b2はS1より常に上位,など)
0:地層(空間)は境界面と無関係
-1:地層(空間)は境界面より下位
(b3はS3より常に下位,など)
・「地層 b1」は「境界 S1」の下位にあるため,b1∼S1 の交差セルは「-1」とする。
・「地層 b2」は「境界 S1」の上位にあるため,b2∼S1 の交差セルは「1」とする。
・「地層 b3」と「地層 b1」は「境界 S1」で接していないため,b3∼S1 の交差セルは
「0」とする。
・「地層 b3」は「地層 b1」と「地層 b2」に対し「境界 S2」で上位になるため,b3∼
S2 の交差セルは「1」とし,b2∼S2 および b1∼S2 の交差セルはいずれも「-1」とす
る。
・「境界 S3」は全ての地層の上位であるため,b3∼S3,b2∼S3 および b1∼S3 の各交
差セルには全て「-1」とする。
・「空間α」は「地層 b3」の上位であるため,α∼S3 の交差セルは「1」とする。
・「空間α」は「境界 S1」と「境界 S2」とは接していないため,α∼S1(S2)の交差セ
ルは「0」とする。
(2)複雑なモデルの例
ここでは,図-5.5.4 に示す 2 種類の地質構造を例にとって,それぞれの論理モデルが
どのように推定されるかを例示する。同じ堆積環境のまま現在に至っているものをケー
ス 1 とし,「地層 b5」の堆積後,同層と「地層 b4」が共に侵食を受け,その後「地層
b6」が堆積して現在に至っているものをケース 2 とした。なお,両者とも「境界 S1」∼
「境界 S4」までは整合状態とし,現在の地表面は侵食状態にあるとする。
図-5.5.4 地盤モデルの例
- 86 -
推定した地質構造の論理モデルを表-5.5.3 に示し,ケース 2 についてのサーフェスモ
デルを図-5.5.5 に示した。
表-5.5.3 推定地質構造論理モデル
ケ ー ス -1
初期地形面
(S1)
ケ ー ス -2
堆積面
(S2)
堆積面
(S3)
堆積面
(S4)
堆積面
(S5)
初期地形面
(S1)
堆積面
(S2)
堆積面
(S3)
堆積侵食面
(S4)
堆積侵食面
(S5)
地層1(b1)
-1
0
0
0
-1
地層1(b1)
-1
0
0
-1
-1
地層2(b2)
1
-1
0
0
-1
地層2(b2)
1
-1
0
-1
-1
地層3(b3)
1
1
-1
0
-1
地層3(b3)
1
1
-1
-1
-1
地層4(b4)
1
1
1
-1
-1
地層4(b4)
1
1
1
-1
-1
地層5(b5)
1
1
1
1
-1
地層5(b5)
1
0
0
1
-1
上部空間1(α)
0
0
0
0
0
上部空間1(α)
0
0
0
0
1
不整合
可 視 化 : WebGL(Web)
可 視 化 : V-nas3DViewer
上 図 は 論 理 計 算 す る 前 の 形 状 で あ っ て , 地 層 が 交 差 し て い る 。 下 図 は 3D-DXF を 可 視 化 し た 。
図-5.5.5 ケース 2 のサーフェスモデル(例)
5.5.4 地層境界面の形状を推定する上での留意点
(1)ボーリングの数量と位置による影響
図-5.5.6 は,ボーリングの数量と配置が境界面形状に与える影響について,急崖部の
DEM を使用して推定してみた事例である。対象範囲は,南北(X)41 点×東西(Y)71 点の合
計 2911 点とし,間隔は共に 10m としたので,南北が 400m 東西が 700m であった。
以下は,各図についての説明である。
① 2911 点の全メッシュにそれぞれ標高を与えて作図したカラー等値線図であって,
この図が基本である。
② 40 点は,全メッシュ 2911 点の中から,無作為に抽出した「疑似ボーリング地点」
である。抽出した座標は 2911 点のメッシュ座標のどれかと同じになり,面の推定計
算に悪影響を与えると考え,10m 以下の乱数を発生させて加算してある。②の等値
- 87 -
線図は,この 40 点の X,Y,Z 値を Terramod_BS に入力して面の形状を推定した結果
である。図中のマーカーは,疑似ボーリング地点の位置である。
③ ①の標高データと②の推定データとの差である。
④⑤ ④は②の 40 地点を 20 地点に減少,⑤は同様に 10 地点に減少させた結果である。
⑥⑦ ①の標高データと④,あるいは⑤の推定データとの差である。
なお,二つの矢印は,①の左端から急崖部までを示す簡易的な物差しである。
図-5.5.6 三次元曲面推定におけるボーリングの位置による影響(イメージ)
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矢印を指標にして①②④と⑤の 4 者を比較すると,700m×400m 程度の範囲の基盤など
に急崖部あるいは遷急部が存在する場合,40 点程度のボーリングデータから推定した地
層境界面の形状には相当程度の誤差が含まれており,ボーリング地点が更に少ないほど
誤差は大きくなる,と考えねばならないことが判明した。
この事例から,遷急部を抱える地中の急崖部,埋没谷や凹地のような構造では,ボー
リング位置が極めて適切に配置されない限り,曲面推定法でこれらの部分に対する正し
い形状推定はかなり困難であると言えよう。
なお,全ての誤差図の中心からやや右に直線上の構造が見られるが,国土地理院から
提供を受けた①の等値線図にも現れている現象が表面化したものと考えられる。
(2)メッシュ密度による影響
サーフェスモデリングは,ボーリングデータの層序深度を固定点とした曲面推定法に
よって地層境界面の三次元形状を推定するものである。仮にボーリング箇所がランダム
配置であっても,推定結果である地層境界面の三次元形状は,メッシュ(直交格子)デー
タあるいは TIN(不整三角網)として計算される。このため,メッシュあるいは網の間隔
(一種の密度)の設定が,曲面形状にある程度の影響を与えることが予想される。
図-5.5.7 は,メッシュの間隔を変えて曲面形状を推定した結果の例であって,本図
200m×300m の 範 囲 内 に 7 本 の ボ ー リ ン グ 。 4 種 類 の メ ッ シ ュ サ イ ズ に よ る 曲 面 推 定 結 果 。
図-5.5.7 三次元曲面推定におけるメッシュ密度による影響(イメージ)
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は便宜上等値線として表現した。下段はボーリング箇所に等値線を表示した結果,上段
は更にメッシュ線を表示した結果である。 等値線の形状から,メッシュサイズの 2.5m
∼10m はほぼ同じ形状を呈していることがわかる。
これにより,200m 程度の範囲に 7 本のボーリングを配置した場合では,20∼30 分割(格
子数は 21∼31)のメッシュより細かな間隔の設定は不必要であることがわかる。言葉を
換えると,20∼30 分割のメッシュで得られた曲面形状より細かな形状(変化)は求めるこ
とができない,と言うことになり,これを解決するためには,より多くのボーリングが
必要となる。
図-5.5.8 は,図-5.5.7 の結果を TIN で表示した結果である(表示時に四角形のメッシ
ュを 2 分割して TIN を作成した)。メッシュの間隔が 1/2 になると言うことは扱う格子数
が 4 倍になり,結果的にコンピュータのメモリー資源を消費するため描画などの反応速
度が遅くなる,といった弊害も出やすい。
サーフェスモデルを推定する場合,入力データであるボーリングの数量と曲面形状を
推定する範囲(面積)を勘案して,最適なメッシュ間隔を設定すると良い。
格 子 数 64 倍
格 子 数 16 倍
格子数 4 倍
図-5.5.8 TIN の密度と三次元曲面推定結果(イメージ)
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格子数 1 倍
(3)ボーリングの配置が推定結果にあたえる影響
必要な対象範囲の周辺にもボーリングが存在する場合,それを使用する場合と使用し
ない場合について,結果への影響について比較した結果を示す。
・図-5.5.9(左):範囲外のボーリングを使用した結果
・図-5.5.9(右):範囲内のボーリングのみを使用した結果
図-5.5.9 ボーリングの配置が推定結果にあたえる影響(例)
両者を比較すると,赤枠内の等値線の形状が異なっていることが判明した。精度の高
い地層境界面の形状データが必要な場合には,周辺のボーリングを可能な限り利用すべ
きである。
(4)推定範囲の変化による影響
ボーリングの配置(分布)に対して過大な推定範囲を設定した場合,どのような推定結
果が得られるかという事例を図-5.5.10 に示す。
図-5.5.10 推定範囲を変化させた結果(例)
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図(左)は三次元曲面形状の推定範囲を適切に設定した例であり,図(右)は面積を約 9
倍と過大に設定した例である。 赤枠内は三次元曲面推定法における「内挿(補内)」部分
であり,その外側は「外挿(補外)」部分である。
図の結果から,推定範囲の設定面積によらず「内挿(補内)」部分の推定結果はほほ同
じであることが確認された。
(5)線状範囲による影響
道路構造物,特に高架橋構造物などの基礎地盤を三次元的に推定する場合,道路幅よ
りもある程度広い推定幅を設定することが多い。しかるに,多くのジオモデラーはボー
リング全体の範囲を囲むような範囲しか設定できないものが多い。例を図-5.5.11 に示
す。
① 南南西から東北東に延びる道路に対し,通常のメッシュ配置による基盤層の推定深
度分布(二次元表示)。
②②’ ①に対して方位を調整して設置したメッシュ配置。実際にはボーリングの位置
座標を回転させて基盤層を推定し(②),結果を逆方向に回転させてある(②’)。
③ ①の三次元表示。
④ ②の三次元表示。
①の推定結果のうち,道路幅である部分と,元々道路幅のみで推定した②’の間には
殆ど差が無いことがわかる。よって,①の状態で基盤など地層の曲面形状を推定した後
で,CAD により道路幅の部分を切り出しても,影響は最小に留まるようである。
図-5.5.11 線状範囲による影響(イメージ)
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5.5.5 現時点でサーフェスモデルの作成が難しいと考えられる地質構造の例
現時点でサーフェスモデルの作成が難しいと考えられる地質構造の例を図-5.5.12 に
示し,以下にその概要を略記する。なお,段落記号の①∼④は,図中の番号に対応して
いる。
出 典 : ① 5)② 4)④ 7)改 訂 地 質 調 査 要 領 (2015)
③ 8)神 戸 の 地 層 を 読 む (神 戸 市 教 育 委 員 会 )
図-5.5.12 現時点でサーフェスモデルの作成が難しいと考えられる地質構造の例(イメージ)
① 複雑な地層構造の例:A-SiT 層など赤枠の内部に存在する複雑な地層を区分して境
界面を推定するためには,多くのボーリング調査や横坑掘削・観察などと共に,
複雑な論理モデルが必要と想定される。
② 閉じた空間の例:赤枠内に示された 4 箇所の閉鎖空間を表現するためのサーフェス
モデル(あるいは 3D-CAD 上で直接作成したモデル)と,ダム軸の地質構造を示す
サーフェスモデルを別々に推定し,3D-CAD の仮想空間上で合成(処理)表示する,
といった複雑な処理が必要と想定される。
③ 指交関係(同時異相:インターフィンガー)の例:同じ時期に堆積した 2 種類の地層
が左右の手の指を重ね合わせたようになっている関係を「指交関係」と言う。こ
の構造を表現するためには,メッシュ構造の異なる複数のサーフェスモデルを推
定し,3D-CAD の仮想空間上で合成(処理)表示する,といった複雑な処理が必要
と想定される。
④ ブロック状構造の例:矢印で示したような物理探査結果が得られた場合,②と同じ
く閉鎖空間のみを表現するサーフェスモデルを複数作成し,3D-CAD の仮想空間
上で合成(処理)表示する,といった複雑な処理が必要と想定される。なお,三次
元物理探査が実施されている場合では,探査結果から直接ボクセルモデルを作成
する方がよいかもしれない。
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ここで記述した「難しい」という意味は,以下の各項を指している。これらが解決さ
れた場合には,サーフェスモデルが作成できる可能性がある。
・正確なサーフェスモデルを推定するには,ボーリングや地表踏査結果などの入力デ
ータの数が,極めて多く必要となる(図-5.5.6 参照)。
・複雑な地層構造の場合は,論理モデルの作成に多くの時間と手間が必要となる。例
えば,断層や大きな亀裂などが存在する場合では,断層等を境として二つの論理モ
デルが必要となる。合理的なモデルが出来上がるまでに,図-5.5.1 の手順②∼手順
⑥を何回も繰り返すことになりかねないからである。
・細かな構造を表現するためには,極めて高性能のコンピュータシステムが必要とな
ること。細かな構造や地層の厚さが薄い場合などでは,ワイヤーフレームのメッシ
ュ間隔をそれよりも細かくすることになるので,メモリーや HDD などの容量増に併
せ,演算が速くて並列処理の可能な CPU が必要となる。
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5.6 ボクセルモデル
5.6.1 形状データの作成方法(図-5.6.1 参照)
① 対象地域の三次元地形モデルを作成する。
② ジオモデラーによって,サーフェスモデルを作成する。 場合によっては,層序情報
を加味したソリッドモデルを作成する。
③ 3D-CAD において①と②を合成し,必要なボックスのサイズと範囲を設定する。
④ サーフェスモデルあるいはソリッドモデルの層序情報を元にして,各ボックスの属性
値を決定する。
図-5.6.1 ボクセルモデルの形状データの作成方法の一例
7)
5.6.2 ボクセルモデル作成に関する留意点など
(1)サーフェスモデルを基にしてボクセルモデルを作成する場合
・各ボクセルの重心位置が所属する地層の属性値をそのボクセルの属性値とすること
が多い。
・地層境界面の推定精度がボクセルの属性値に大きな影響を与えるので,慎重なモデ
ル作成が必要。
・サーフェスモデルの場合,地層間の属性値は一様であると仮定することが多いので,
場所(ボクセル)によって属性値が異なるようなモデルを作成する場合は,密度の高
いボーリング調査を併用するなど,必要な地質調査を行う。
(2)二次元物理探査結果を基にしてボクセルモデルを作成する場合
・測線下に位置する各ボクセルの重心位置が所属する物性値,あるいはそれから誘導
された地盤常数などをそのボクセルの属性値とすることが多い。
・物理探査の結果が属性値の精度に直接結びついているので,十分な精度で探査を行
うことが必要。
・測線から左右にずれている空間については,サーフェスモデルを推定して地盤の三
次元構造を参照するとよい場合がある(イメージ例 図-5.6.2)。
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図-5.6.2 二次元物理探査結果とサーフェスモデルによるボクセルモデル(イメージ)
(3)三次元物理探査結果を基にしてボクセルモデルを作成する場合
・各ボクセルの重心位置が所属する物性値,あるいはそれから誘導された地質常数な
どをそのボクセルの属性値とすることが多い。
・物性値やそれから誘導された地盤常数などの分布が三次元的に求まっているので,
地層境界は推定するが地層間の属性値は一様であるサーフェスモデルからのボクセ
ルモデルよりもより精度は高いと考えられるが,物理探査結果が属性値の精度に直
接結びついているので,十分な精度で探査を行うことが必要。
(4)共通(図-5.6.3
参照)
・ボクセル(立方体)ごとに属性データを与える必要があるが,継続性と連携性などの
利便性を図るため,属性データそのものは「属性データ」ファイルに保存する。
・ボクセルモデルの座標系は「平面直角座標系」を採用することになる。 同じ大きさ
の正方形(長方形)を多数作成できるという利点がある一方,地球は回転楕円体であ
ることから,広い範囲に適用しようとすると歪みが大きくなるという欠点がある。
対象範囲が隣接する座標系にまたがるような広範囲なボクセルモデルを作成する場
合には,十分留意する必要がある。
・ボクセルモデルを作成する場合,地層や物性値層の厚さや幅がボックスの大きさに
比べて狭いことがあり得る。よって,その地層や物性値層が持っている情報を消し
去らないよう,十分留意する必要がある。 図-5.6.3 を例として,以下に処理案を
示す。「A」と「B」では地層の占める面積の割合が異なるが,いずれもボックスを
代表する属性データとして採用する(案)。 「C」の場合,ボックス内での探査結果
が大きく変化しているため,ボックスを代表する属性データとしては平均値を採用
する(案)。このように,幅の狭い場合などでは,対象幅を十分代表できる小サイズ
のボックスを作成し,その部分をモデル化する(4.3.5 (7)形状データ 参照)などの
対処が必要であろう。 各ボクセルの重心位置の座標のみからピンポイントで基にし
たモデルの属性値を引き出す場合に特に留意すべきである。
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A: ボ ッ ク ス 面 積 の 1/2 以 下 , B: 同 じ く 1/2 以 上 , C: 値 の 変 化 が 大 き い
図-5.6.3 ボクセルモデルを作成する際の留意点
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5.7 柱状体モデル
5.7.1 形状データの作成方法(図-5.7.1 参照)
① セルごとに属性データを与える必要があるが,継続性と連携性などの利便性を図るた
め,属性データそのものは「属性データ」ファイルに保存する。
② 等面積のセル内に分布する複数のボーリング柱状データの中から,最も掘削深度が深
くかつ最も信頼性の高いと想定される柱状図データ 1 本を選定する。
③ 当 該 地 域 の 統 一 凡 例を 作 成 し , 選 択 し た ボー リ ン グ の ボ ー リ ン グモ デ ル を 作 成 す る
(5.2 ボーリングモデル 参照)とともに,柱状体としてのモデルを作成する。
④ 全てのボーリングモデルから,対象地域全体のサーフェスモデルを作成する。
⑤ ボーリングが存在しないメッシュの地層境界深度,各地層ごとの平均 N 値や S 波速度
値などを推定し,柱状体モデルの属性データを確定する。
⑥ ボーリングの存在しないメッシュについては,④の結果から各地層境界深度を,⑤の
結果から近隣の属性データを推定して属性データを推定する。
図-5.7.1 柱状体モデルの推定方法(イメージ)
5.7.2 柱状体モデルの精度
柱状体モデルでは,メッシュごとに地盤特性(属性)値を与えることになるため,ボー
リングデータから地盤特性(属性データ)を推定する場合には,その精度確保に十分留意
する必要があり,地盤特性(属性データ)の推定方法やその精度などをデータ標準に組み
込むことにする。
層序判定については,「5.2 ボーリングモデル」および「5.5 サーフェスモデル」を
参照のこと。
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5.8 パネルダイアグラム
5.8.1 形状データの作成方法(図-5.8.1 参照)
① 三次元地盤モデル(サーフェスモデルまたはソリッドモデル)を作成する。
② 切り出すパネルの始点と終点座標がパネルの形状データに反映されるよう留意して,
複数枚のパネルの形状データを三次元 CAD のデータ仕様に則って保存する。
③ 地層境界面が交差するサーフェスモデルの場合,交差の条件等によっては,断面図の
データがポリゴンではなく(断続した)ポリラインとして出力されることがある。この
場合は,三次元 CAD を使用してポリラインをポリゴンに修正すると共に,作成したポ
リゴンに属性データとのリンク用の「ID」を付加する。
④ ソリッドモデルでは,交差条件が成立しているため,このような不具合は起こりにく
い。
図-5.8.1 パネルダイアグラムの作成(イメージ)
図-5.8.2 WebGL によるパネルダイアグラムの表示例
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【5 章の引用・参考文献】
1)国土交通省,地質・土質調査成果電子納品要領(案) 付属資料 p.付 5-11.
2)国土交通省,地質・土質調査成果電子納品要領(案) 第 4 編「3-3-6 地質情報」
3)野々垣進,地質境界面を基礎とする国内外の地質モデリングシステム,地質と調査,2014
年第 1 号,pp.28-33.,2014
4)坂本正徳・野々垣進・升本慎二,Terramod-BS:BS-Horizon を組み込んだ地層境界面推定・
表示
Visual Basic プログラム,情報地質,Vol.23,No.4,pp.169.-178.,2012
5)(一社)全国地質調査業協会連合会編,図 2-9-3 第四期火山岩の不規則な分布,改訂 3 版 地
質調査要領,p.187,(一財)経済調査会,2015
6)(一社)全国地質調査業協会連合会編,図 2-9-7 地質区分図,岩級区分図,ルジオンマップ
の例,改訂 3 版 地質調査要領,p.198,(一財)経済調査会,2015
7)(一社)全国地質調査業協会連合会編,図 3-3-36 調査・対策事例 3,改訂 3 版 地質調査要
領,p.284,(一財)経済調査会,2015
8)神戸市教育委員会,神戸の地層を読む 1(7.地層は変化する),砂層と砂れき層の指交関係
http://www2.kobe-c.ed.jp/shizen/strata/tis1_org/12077.html
9)九鬼裕之・小林一郎・竹本憲充・上田誠,3 次元データを用いた立方体モデルの地山掘削
方法検討への適応について,G 空間 EXPO 学生フォーラム,2008,
http://gi-studentjp.org/s_forum/pdf/2008/20080111.pdf
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