教員の自己点検・自己評価報告書 所属学部 経営学部 所属学科 職 位 地域ビジネス学科 教授 最終学歴 中央大学大学院商学研究科博士課程後期修了 氏 名 山極 完治 学 位 専門分野 博士(商学) 商学 Ⅰ 教育活動 ○目標・計画 (目標)日本の会社は、良かれ悪しかれ、私たちの仕事と生活の中に深く根を張っている。学生た ちは、極めて大きな社会的影響力を有している会社を理解することで、自分たちがどのよ うな仕事に就き、いかなるライフスタイルを選択するのか、それらの判断力を身に付ける ことができる。国内外の市場環境が変質した経済停滞期にあっては、これまで有効とみら れてきた日本的な経営の革新が迫られている。日本的な経営・労働慣行とは異なる多様性 を活力に自立した個が協働する企業経営が求められる。持続可能な経済成長は、性別や年 齢別にとどまらず国籍や人種の違いを超え、マイノリティを受容できる新しいマーケティ ングや人事、企業組織に関する学びが今日的意義を有している。この時代性から見えてく る新しい有望な産業・企業は何か、どのような仕事と生活が期待されているのか、学生た ちに明快に示す。これらの問いかけに応えるために「稼ぐ、使い、活かす自分」をデザイ ンする新しい学びが、今日的な課題として浮上してきている。今年度の教育活動の目標は、 学生たちが日本の会社行動の特質を「やさしく、深く、愉快に」学ぶことができるようよ う教育能力を向上させることにある。 (計画)教員が教えているつもりでも、その教えが学生に届いているのか、学んだと実感できる学生が どれだけいるのかが、授業評価で一番問われなければならないことではないか。そのために企 業論は、何を学ぶのか、課題は何か、どのように解決していくのか、これらの課題学習を計画 的に実施する。 「稼ぐ自分」をデザインして自立した一人の働き手になること、そのために必 要な学習計画を建てる。15 回の授業を貫く筋道を説き、その下で 1 回 1 回の授業が他の回の授 業とどのような関連を持っているのか、を常に意識して講義していく。会社中心の日本社会に おいて生きていく学生たちだけに、株式会社のこと、経営管理手法など会社に関する経営学の 基礎的知識がいかに有効か、 「就職」も「就社」が現実になっているのだから、なおのこと自 分の未来をかけた順序だった学びとして「企業論」を位置づけ授業に臨む。 しかし、まだまだ、本学の学生たちに聞いてもらえるほどの授業になっていない一面がある。 現代企業の基礎を学ぶ大切さを、深く広く、理解できるように学生の目線に近い学びになって いるかどうか、の視点にたってわかりやすい授業をしていく。 そのために、素材に工夫をこらし、今後、映像を効果的使い、わかりやすい言葉、学びの小道 具などに工夫をこらし、学生への声かけなど個々の学生に密着した授業を計画していく。 ○担当科目(前期・後期) (前期)現代企業論入門、基礎演習Ⅰ、総合演習Ⅰ、専門演習Ⅰ、専門演習Ⅲ (後期)女性と企業社会、女性とビジネス、企業文化論、基礎演習Ⅱ、総合演習Ⅱ、専門演習Ⅱ、専門演 習Ⅳ ○教育方法の実践 学生たちが受けてきた教育や育った社会環境から学生たちがどのような知識や体験、感性 を持ち合わせてきたのかを想像しながら固有名詞を大事に講義した。それぞれの学生の 「稼ぐ力」に注目し、学生それぞれの未来を現実的にしてザインする作業を軸においた教 育を展開している。具体的には、会社で働くということはどういうことか、会社形態、経 営管理、中でもマーケティングや人事管理、経営組織、経営戦略などを学び、自分にとっ 1 て有望と思われる産業・企業とは何か、について自分に引きつけて考えられるようにして いった。自分は何ができるのか、との問いを基本に「稼ぐ力」を身につけるストーリー仕 立ての授業展開を試みている。また、一番伝えたいことを一つに絞ってわかりやすい講義 に努める。そして、教師の自己体験や生き方を裏づけに自分自身を語り、講義を聞くにた る教員なのかを自省しつつ、講義では表現力のある言葉、驚きの展開、印象度が高く、わ かりやすさを旨として、インターネットを活用して課題を掘り下げ、メリハリをつけるな どに創意と工夫をこらした講義に臨んだ。講義内容が、学生の今にヒットした問いかけに 満ちたものになるよう努めてきた。教育方法の実践として最も大事なのは、学生自身が学 ぶ意味を実感できるように学びを動機づけていくことにある。 ○作成した教科書・教材 先ずは、毎回の講義にそれぞれテーマを設ける。会社論が、学生の今につながり、新しい 自分を創る作業を併せ持つものとしてストーリーラインをデザインした教材を開発して いる。意識的に驚きの展開を織り込む。会社の存在理由、会社で働くということはどのよ うなことか、を理解できる。こうした狙いをもつ自前の教材開発を行なった。 ○自己評価 学生の日常の生活語に近い言葉を使い、教師の学生の琴線に触れる語りを織り交ぜ、わか りやすさに工夫をこらし、学生たちが次第に専門的知識を理解できるよう講義に臨んでい る。そうはいっても、講義は思うようにならず試行錯誤を続けてもいるものの、学生たち の授業評価アンケートでは、講義の臨む教員の意欲や熱意があり、授業に工夫をこらえた ものになっているとの回答を得ており、概ね、学生たちの総合的な評価は良好なものとな っている。 Ⅱ 研究活動 ○研究課題 1. 「女性活躍」の理論的・実証的研究は、内外の市場環境の激変に応えた、今後の日本企業 の経営を左右する決定的な課題である。この点にかかわる事例研究を進めている。いかな る取組みが進み、どのような成果があったのか、今後、どのような施策が求められるのか、 を明らかにしていく。 2.これからの新しい豊穣なライフスタイルを生み出す、等身大の地域生活圏(ライフエリア) とはどのようなものか、次世代をになう地域の産業・企業に焦点をあて、その事例研究を 進め、その上で魅力のある地域の仕事と生活を提案する。 ○目標・計画 (目標) 1.日本の「女性活躍」がなぜ進まないのか、どのようにしたら進むのか、これを基本ストー リーとして、女性を活かす企業が、女性自身はもちろん、男性にとっても社会にとっても 有益なことを論証し、社員と会社と社会の三者が相互に好循環をもたらす構図を描き出す 理論的・実証的研究を進める。 2.地域活性化を進めている事例研究を重ねる。なかでも、女性が主導する地域ビジネスが地 域活性化の要になっていることを論証する。 3.これらをわかりやすく深く学生たちに伝えていくにはどんな教育が求められるのか、教育 論としても追求していく。 (計画) 1.ジェンダー意識を変えていく現実的な体験や学びはどのようなものか、ジェンダーが根を張 2 る文化土壌を掘り下げ、その打開に筋道を立てる。⇒2.「女性活躍」を軸に据えた企業経営や 地域づくりの新しい事例に研究を重ねる。3.「女性活躍」が進む企業と地域は、私たちみんな にとって有効性があることを結論づける。 ○過去の研究業績(特許等を含む) (著書) ・山極完治「私の深みのある『心の豊かさ』―豊穣の心へ」 (パル 80 倶楽部『100 万人の人間 力 3』彩雲出版 2009 年 9 月) (学術論文) (学術論文) ・山極完治「新時代の育ちと育てーわたしたちの手で創る『子育ち』 」 (愛知東邦大学地域創造研 究所叢書『 「子育ち」環境を創りだす』No.10 唯学書房 2008 年 10 月 ) ・山極完治「水戸学の教育と学びの今日的意味」 (愛知東邦大学地域創造研究所叢書『ならぬこ とはならぬー江戸時代後期の教育を中心として』No.21 唯学書房 2014 年 3 月) ○所属学会 日本 NPO 学会、シニア社会学会、協同総合研究所 ○自己評価 研究テーマの縛り込み、基礎的資料データの蓄積とこれを基にした分析が進み、ロジックツリ ーと言われるものが漸く固まってきている。成果の公表が遅れていることを自省し、草稿段階 から成果物の公表に努める。 Ⅲ 大学運営 ○目標・計画 (目標)研究活動の向上 研究活動は、教育活動とは表裏一体の関係にあり、教育活動と統合した活動として大学教員にとっ て生命線である。本学での研究活動の充実に寄与していく。とりわけ、地域とともにある研究は本 学にとって独自性のある活動といえるだけに、地域創造研究所の活動にも力を注いでいく。そのた めの本学紀要の『東邦学誌』の編集充実を図っていく。 (計画) ・研究活動委員会の目的、役割を明らかにして、そのための年次計画を建て、これを執行し、成果 と問題点を検証していく。 ・科研費をはじめ外部資金獲得が基本となってきているだけに、その獲得をサポートする活動を強 化する。 ・本学の独自性の高い研究活動として地域創造研究所の研究がある。そのもとにある研究部会の充 実や研究所独自のテーマによる講演会やシンポを系統的な開催を計画していく。 ○学内委員等 研究活動委員会委員長、地域創造研究所所長、紀要編集委員会委員長、研究倫理委員会委員長 ○高大連携授業「化粧品の商品開発をさぐる」 ○オープンキャンパス 愛知東邦大学経営学部地域創造研究所模擬授業「次世代のビジネスってなんだ。これだ!」 ○自己評価 研究委員会委員長、地域創造研究所所長として地域とともにある大学の役割を果たしていく 活動の一端を担うことができた。知の拠点たる大学としての特色を実質化する地域創造研究 所のあり方はどのようなものか、より具体的には職業的・社会的に自立した学生を育てる取 り組みを研究活動委員会や地域創造研究所の活動の基本において進めてきた。 委員会や研究所スタッフの協力を得て、概ね良好な評価を得ていることは、アンケート調査 等で見ることができる。 3 Ⅳ 社会貢献 ○目標・計画 (目標) 大学が「知の拠点」として社会的な役割を果たし、社会からの評価が得られる大学にしていく 「社会的活動」を進める。 (計画) 社会的に有意義な目的を有する機関の役員を引き受ける。また、自治体や NPO などによる企 画にできるだけ協力していく。さらに、大学の地域連携学習に参画する。 ○地域連携・社会貢献等 地域創造研究所主催公演会「地球のステージ 4」および講演会‥シンポ「女性活躍推進企業」の開催 ○自己評価 大学の役割の一つとして社会貢献活動があり、社会貢献の内実を持つ取組みをしてきたといる。 しかし、分厚い成果といえるほどのものには至っていない。 Ⅴ その他の特記事項(学外研究、受賞歴、国際学術交流、自己研鑽等) 特になし Ⅵ 総括 4 つの活動領域全体として一定の評価ができるものの、なおその質・量において十分な成果と なっていない。今後、年度ごとに優先順位を定め、成果の実体となるものを残していきたい。 4
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