大阪労働局 Press Release 大阪中央労働基準監督署発表 平 成 28 年 9 月 23 日 墜落死亡災害を発生させた3現場の施工業者3社を 労働安全衛生法違反の疑いで書類送検 大阪中央労働基準監督署(署長 本廣澄夫)は、平成 28 年9月 23 日、本年3月から5 月の間に大阪中央労働基準監督署管内において解体工事中に発生した3件の墜落死亡災害 につき、それぞれの工事を施工していた別紙事案1∼3記載の建設業者3社を、労働安全 衛生法違反の疑いで大阪地方検察庁に書類送検した。 大阪中央労働基準監督署では、建設業において墜落による死亡災害が短期間に3件発生 したため、平成 28 年5月 20 日から8月 31 日までの期間、「緊急対策」として、現場パト ロールの強化のほか、安全な手すりの設置・安全帯の使用の励行等を内容とする「命綱 GO 活動」の積極的な取組を要請するなどの対策を行った結果、現在まで建設業における死亡 災害は発生していない(別添リーフレット参照)。 事案1 (建築物の解体作業において、直接作業指揮を行うことなく、高所作業をさせ た疑い) 1 被疑者 東大阪市大蓮東において建築物等の解体業を営む個人事業主A 2 違反条文等 労働安全衛生法違反 同法第 21 条第1項 同法第 27 条第1項 労働安全衛生規則第 529 条第 1 号(建築物等の組立て、解体又は変更の作業) 同法第 119 条第1号(罰則) 3 事件の概要 被疑者 A は,東大阪市大蓮東において建築物等の解体業を営む個人事業主で,被疑者 Aが請負った建屋解体工事現場の責任者として労働者を指揮監督するとともに労働者 の安全を管理するものであるが,平成 28 年3月7日,大阪市鶴見区所在の建屋解体工事 現場において,墜落により労働者に危険を及ぼすおそれがあったのに,作業を指揮する 者である自らが直接作業を指揮することなく労働者3名を本件解体作業に従事させ,も って解体の業務における作業方法から生ずる危険を防止するため必要な措置を講じな かったものである。 4 参考事項 (1) 平成 28 年3月7日、上記工事現場において、労働者Bが建屋の解体作業を行 っていた際、高さ 4.51 メートルのスレート波板を踏み抜いて墜落し、死亡する 災害が発生している。 (2) 適用法条文は別紙のとおり。 別紙 適用法条文(事案1) 労働安全衛生法 第二十一条 事業者は、掘削、採石、荷役、伐木等の業務における作業方法から生じる 危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。 2 事業者は、労働者が墜落するおそれのある場所、土砂等が墜落するおそれのある場所 等に係る危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。 第二十七条 第二十条から第二十五条まで及び第二十五条の二第一項の規定により事業 者が講ずべき措置及び前条の規定により労働者が守らなければならない事項は、厚生労働 省令で定める。 2 前項の厚生労働省令を定めるに当たっては、公害(環境基本法(平成五年法律第九十 一号)第二条第三項に規定する公害をいう。)その他一般公衆の災害で、労働災害と密接に 関連するものの防止に関する法令の趣旨に反しないように配慮しなければならない。 (罰則) 第百十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰 金に処する。 一 第十四条、第二十条から第二十五条まで、第二十五条の二第一項、第三十条の三第一 項若しくは第四項、第三十一条第一項、第三十一条の二、第三十三条第一項若しくは第二 項、第三十四条、第三十五条、第三十八条第一項、第四十条第一項、第四十二条、第四十 三条、第四十四条第六項、第四十四条の二第七項、第五十六条第三項若しくは第四項、第 五十七条の三第五項、第五十七条の四第五項、第五十九条第三項、第六十一条第一項、第 六十五条第一項、第六十五条の四、第六十八条、第八十九条第五項(第八十九条の二第二 項において準用する場合を含む。)、第九十七条第二項、第百四条又は第百八条の二第四項 の規定に違反した者 労働安全衛生規則 (建築物等の組立て、解体又は変更の作業) 第五百二十九条 事業者は、建築物、橋梁、足場等の組立て、解体又は変更の作業(作 業主任者を選任しなければならない作業を除く。)を行なう場合において、墜落により労働 者に危険を及ぼすおそれのあるときは、次の措置を講じなければならない。 一 作業を指揮する者を指名して、その者に直接作業を指揮させること。 二 あらかじめ、作業の方法及び順序を当該作業に従事する労働者に周知させること。 事案2 (建築物の解体工事現場で墜落防止措置等を講じなかった疑い) 1 被疑者 (1)株式会社田口建設工業 (以下、「被疑会社」という) 所在地 大阪府松原市天美北 事業内容 土木建築施工請負業 (2)同社現場責任者(以下「被疑者」という) 2 違反条文等 労働安全衛生法違反 同法第 21 条第2項 労働安全衛生規則第 519 条第2項 同法第 27 条第1項 同法第 119 条第1号(罰則) 同法第 122 条(両罰) 3 事件の概要 被疑会社は土木建築施工請負業を営む事業者、被疑者は被疑会社が請負った建屋解体工 事現場の責任者として労働者を指揮監督するとともに労働者の安全を管理するものであ るが、平成 28 年4月 12 日、大阪市中央区所在の建屋解体工事現場において、労働者Aに 深さ 3.45 メートルの掘削面に沿って手すりを設置する作業を行わせるにあたり、安全帯 を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなかったものであ る。 4 参考事項 (1) 平成 28 年4月 12 日、上記工事現場において、労働者Aが上記作業を行っていた 際、地上から深さ 3.45 メートルの掘削面に墜落し、死亡する災害が発生している。 (2) 適用法条文は別紙のとおり。 別紙 適 用 法 条 文(事案2) 労働安全衛生法第二十一条(事業者の講ずべき措置等) 事業者は、掘削、採石、荷役、伐木等の業務における作業方法から生ずる危険を防止するため必 要な措置を講じなければならない。 2 事業者は、労働者が墜落するおそれのある場所、土砂等が崩壊するおそれのある場所等に係る危 険を防止するため必要な措置を講じなければならない。 労働安全衛生規則第五百十九条(開口部等の囲い等) 事業者は、高さが二メートル以上の作業床の端、開口部等で墜落により労働者に危 険を及ぼすおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆い等(以下この条において「囲い等」という。) を設けなければならない。 2 事業者は、前項の規定により、囲い等を設けることが著しく困難なとき又は作業の必要上臨時に 囲い等を取りはずすときは、防網を張り、労働者に安全帯を使用させる等墜落による労働者の危険 を防止するための措置を講じなければならない。 労働安全衛生法第二十七条(労働者の遵守事項) 第二十条から第二十五条まで及び第二十五条の二第一項の規定により事業者が講ずべき措置及 び前条の規定により労働者が守らなければならない事項は、厚生労働省令で定める。 2 前項の厚生労働省令を定めるに当たつては、公害(環境基本法(平成五年法律第九十一号)第二条 第三項に規定する公害をいう。)その他一般公衆の災害で、労働災害と密接に関連するものの防止に 関する法令の趣旨に反しないように配慮しなければならない。 労働安全衛生法第百十九条(罰則) 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 一 第十四条、第二十条から第二十五条まで、第二十五条の二第一項、第三十条の三第一項若しく は第四項、第三十一条第一項、第三十一条の二、第三十三条第一項若しくは第二項、第三十四条、 第三十五条、第三十八条第一項、第四十条第一項、第四十二条、第四十三条、第四十四条第六項、 第四十四条の二第七項、第五十六条第三項若しくは第四項、第五十七条の三第五項、第五十七条の 四第五項、第五十九条第三項、第六十一条第一項、第六十五条第一項、第六十五条の四、第六十八 条、第八十九条第五項(第八十九条の二第二項において準用する場合を含む。)、第九十七条第二項、 第百四条又は第百八条の二第四項の規定に違反した者 二 三 四 略 略 略 労働安全衛生法第百二十二条(両罰) 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に 関して、第百十六条、第百十七条、第百十九条又は第百二十条の違反行為をしたときは、行為者を 罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。 事案3 (建築物の解体作業における作業計画作成及び作業主任者措置義務 違反の疑い) 1 被疑者 (1)株式会社ツバサ建業 (以下「被疑会社」という。) 本社所在地 大阪府大阪市西淀川区大和田 事業内容 解体工事業 (2)同社現場責任者(以下「被疑者」という。) 2 3 違反条文等 労働安全衛生法違反 同法第 21 条第1項 労働安全衛生規則第 517 条の2第2項第3号 同法第 14 条 労働安全衛生規則第 517 条の5第3号 同法第 119 条第1項(罰則) 同法第 122 条(両罰) 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 第 45 条第3項(以下「労働者派遣法」という。) 事件の概要 被疑会社は解体工事業を営む事業者、被疑者は大阪市浪速区所在の建築物の解体工事 現場(以下「本件工事現場」という。)の現場責任者であるが、平成 28 年5月9日、被 疑者は派遣労働者Aに、本件工事現場において解体していた高さ 26.88 メートルの建築 物の4階で、デッキプレートをガス溶断により切断する作業を行わせるにあたり、本件 工事現場にかかる作業計画に、作業に従事する労働者の墜落による危険を防止するため の設備の設置の方法を定めずに作業を行わせ、また、建築物等の鉄骨の組立て等作業主 任者をして、親綱及び安全帯の使用状況の監視を行わせるべきところ、これを行わせて いなかったものである。 4 参考事項 (1)平成 28 年5月9日、本件工事現場において、労働者Aが上記作業を行っていたと ころ、建築物の4階から1階まで墜落し、死亡する災害が発生している。 (2)法令では、骨組みが金属製の部材により構成される高さ5メートル以上の建築 物の解体作業を行うにあたり、あらかじめ、作業に従事する労働者の墜落による 危険を防止するための設備の設置の方法について示した作業計画を定め、当該作 業計画により作業を行わせるよう定めているが、被疑者は本件工事の作業計画に、 作業に従事する労働者の墜落による危険を防止するための設備の設置の方法を定 めずに労働者に解体作業を行わせていた。 (3)法令では、建築物の解体作業においても、建築物等の鉄骨の組立て等作業主任 者に、親綱及び安全帯の使用状況を監視させるよう定めているが、被疑者は本件 工事現場の作業員の親綱及び安全帯の使用状況を同作業主任者に監視させていな かった。 (4)労働者Aは被疑会社の下請業者に所属していたが、本件工事現場において被疑 会社の指揮下で作業に従事していたことから、実態としては下請業者から被疑会 社への労働者派遣の状態であった。労働者派遣の状態である場合、本件の労働安 全衛生法第 21 条、同法第 14 条に関しては、派遣先事業者に措置義務がある旨が 労働者派遣法に規定されている。 (5)適用法条文は、別紙のとおり。 別紙 適 用 法 条 文(事案3) 労働安全衛生法 第二十一条(事業者の講ずべき措置等) 事業者は、掘削、採石、荷役、伐木等の業務における作業方法から生ずる危険を防止するため必 要な措置を講じなければならない。 2 事業者は、労働者が墜落するおそれのある場所、土砂等が崩壊するおそれのある場所等に係る危 険を防止するため必要な措置を講じなければならない。 第十四条(作業主任者) 事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定 めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者 が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に 応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で 定める事項を行わせなければならない。 第百十九条(罰則) 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 一 第十四条、第二十条から第二十五条まで、第二十五条の二第一項、第三十条の三第一項若しく は第四項、第三十一条第一項、第三十一条の二、第三十三条第一項若しくは第二項、第三十四条、 第三十五条、第三十八条第一項、第四十条第一項、第四十二条、第四十三条、第四十四条第六項、 第四十四条の二第七項、第五十六条第三項若しくは第四項、第五十七条の三第五項、第五十七条の 四第五項、第五十九条第三項、第六十一条第一項、第六十五条第一項、第六十五条の四、第六十八 条、第八十九条第五項(第八十九条の二第二項において準用する場合を含む。)、第九十七条第二項、 第百四条又は第百八条の二第四項の規定に違反した者 二 略 三 略 四 略 第百二十二条(両罰) 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に 関して、第百十六条、第百十七条、第百十九条又は第百二十条の違反行為をしたときは、行為者を 罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。 労働安全衛生法施行令 第六条(作業主任者を選任すべき作業) 十五の二 建築物の骨組み又は塔であって、金属製の部材により構成されるもの(その高さが五メ ートル以上であるものに限る。)の組立て、解体又は変更の作業 労働安全衛生規則 第五百十七条の二(作業計画) 事業者は、令第六条第十五号の二の作業を行うときは、あらかじめ、作業計画を定め、かつ、当 該作業計画により作業を行わせなければならない。 2 前項の作業計画は、次の事項が示されているものでなければならない。 一 作業の方法及び順序 二 部材の落下又は部材により構成されているものの倒壊を防止するための方法 三 作業に従事する労働者の墜落による危険を防止するための設備の設置の方法 3 事業者は、第一項の作業計画を定めたときは、前項各号の事項について関係労働者に周知させな ければならない。 第五百十七条の四(建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者の選任) 事業者は、令第六条第十五号の二の作業については、建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者技能 講習を修了した者のうちから、建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者を選任しなければならない。 第五百十七条の五(建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者の職務) 事業者は、建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者に、次の事項を行わせなければならない。 一 作業の方法及び労働者の配置を決定し、作業を直接指揮すること。 二 器具、工具、安全帯及び保護帽の機能を点検し、不良品を取り除くこと。 三 安全帯及び保護帽の使用状況を監視すること。 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 第四十五条(労働安全衛生法の適用に関する特例等) (中略) 3 労働者がその事業における派遣就業のために派遣されている派遣先の事業に関しては、当該派遣 先の事業を行う者を当該派遣中の労働者を使用する事業者と、当該派遣中の労働者を当該派遣先の 事業を行う者に使用される労働者とみなして、労働安全衛生法第十一条、第十四条から第十五条の 三まで、第十七条、第二十条から第二十七条まで、第二十八条の二から第三十条の三まで、第三十 一条の三、第三十六条(同法第三十条第一項及び第四項、第三十条の二第一項及び第四項並びに第 三十条の三第一項及び第四項の規定に係る部分に限る。)、第四十五条(第二項を除く。)、第五十七 条の三から第五十七の五まで、第五十九条第三項、第六十条、第六十一条第一項、第六十五条から 第六十五条の四まで、第六十六条第二項前段及び後段(派遣先の事業を行う者が同項後段の政令で 定める業務に従事させたことのある労働者(派遣中の労働者を含む。)に係る部分に限る。以下この 条において同じ。) 、第三項、第四項(同法第六十六条第二項前段及び後段並びに第三項の規定に係 る部分に限る。以下この条において同じ。 )並びに第五項(同法第六十六条第二項前段及び後段、第 三項並びに第四項の規定に係る部分に限る。以下この条において同じ。)、第六十六条の三(同法第 六十六条第二項前段及び後段、第三項、第四項並びに第五項の規定に係る部分に限る。以下この条 において同じ。)、第六十六条の四、第六十八条、第七十一条の二、第九章第一節並びに第八十八条 から第八十九条の二までの規定並びに当該規定に基づく命令の規定(これらの規定に係る罰則の規 定を含む。 )を適用する。 (以下省略)
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