September 2016 化石燃料に関する支援施策目録:日本 OECD『化石燃料に関する支援施策目録』では、OECD 加盟国および主要なパートナーである 6 カ国 (ブラジル、中国、インド、インドネシア、ロシア、南アフリカ)における化石燃料の生産や消費に対する直 接的な予算面および租税支出による支援について特定、文書化、推定しています。 エネルギー資源と市場構造 日本にはエネルギー資源としての化石燃料はご くわずかしかなく、ほとんど完全に輸入燃料に依 存しています。2011 年の東日本大震災後に同国 の原子力発電所のほとんどすべてが運転を停止 したことにより、日本の一次エネルギーの総供給 水力 2% 量における原子力のシェアは 2010 年の 15%か ら 2013 年にはわずか 0%に急激に低下しました。 日本は米国および中国に次ぐ世界第 3 位の石油 地熱、太陽 光、風力 消費国であり、第 4 位の原油純輸入国で、LNG 1% の最大の輸入国です。 総合一次エネルギー供給 2014 天然ガス 24% 石油l 44% 石炭 27% バイオ燃 料・廃棄物 日本のエネルギー部門は国内の民間企業に支 2% 配されており、公共部門の所有権は数社の都市 Source: IEA ガスおよび電力会社だけに限定され、そのほとん どが小規模です。外国での石油の探査と開発は、2004 年に設立された独立行政法人石油天然ガス・金 属鉱物資源機構(JOGMEC)により支援されています。すべての日本の製油所は石油製品の流通機構 とともに民間が所有しており、近年は外国企業による市場への浸透が高まっています。天然ガス業界も また民間企業が主体であり、ガスの大半は発電用として電力会社が輸入しています。これらの公益事業 者と一部の大規模産業ユーザーは、都市ガス業界から独自にガスを購入しています。4 大ガス事業者、 すなわち東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、西部ガスはガス市場での供給量全体の約 4 分の 3 を占めて います。また約 1,400 社の小規模な簡易ガス事業者があります。日本のパイプラインの多くはガス会社 が所有していますが、一部の電力会社と国内のガス生産者もパイプラインを所有しています。 日本の電力分野は、東京電力(TEPCO)や関西電力(KEPCO)など発電事業・送配電事業・小売事業 を単独で行う旧一般電気事業者 10 社と、電源開発(J-Power)を含む多数の発電事業者、大小様々な 小売電気事業者から構成されています。最大の発電事業、小売事業を行う事業者は東京電力(TEPCO) です。日本では、1990 年代半ばから電力・ガスの市場改革が徐々に進められており、近年取り組まれて いるエネルギーシステム改革では、2016 年に電力小売が全面自由化され、2017 年にガス小売も全面 自由化されます。これは他の多くの OECD 諸国に比べて遅いペースであるとみなされています。 エネルギー価格および税 日本では石油製品や石炭に関する価格統制は行われていません。自由化されていない部門のガス料 金および自由化された部門の特定の電気料金は、自由化された部門において小売企業が支払うネット ワーク使用料と同様に規制されています。すべての燃料・エネルギーサービスは通常の消費税(8%)の 課税対象になり、燃料のタイプにより様々な税率の物品税およびその他の税の対象になります。石油石 炭税は原油、輸入石油製品、天然ガス、石炭に課されますが、ガソリン、ディーゼル燃料と LPG は追加 www.oecd.org/site/tadffss [email protected] @OECDtrade 日本における燃料タイプ別の化石燃料への支援(左)および支援指標(右) 注:CSE=消費者支援推定額、PSE=生産者支援推定額、GSSE=一般サービス支援推定額 の物品税の対象になります。国内の航空燃料は空港インフラの建設に関する資金等を調達するために 航空機燃料税が課されます。一般送配電事業者の送配電網を介して供給される電気には、発電施設 等の設置促進、運転の円滑化、利用促進、安全確保、電気の供給の円滑化等に関する資金を調達す るために電源開発促進税が課されます。 支援の最近の展開および傾向 日本はエネルギー研究開発の世界的リーダーであり、エネルギー研究に対する直接的な公的支出の対 GDP 比が OECD 諸国中最大です。2011 年の東日本大震災の後、研究への財政支援が拡充され、特 に南海トラフのメタンハイドレートからの天然ガス抽出に関連する技術開発のための財政支援が拡充さ れました。科学研究以外にも、政府は海外での化石燃料(特に 2011 年の福島での原子力発電所事故 後に重要性が高まっている天然ガス)の探索プロジェクトに参加している日本企業を支援すべく、直接 的および間接的に資金提供しています。 施策の例 大規模石油災害対応体制整備事業費補助金 (2007 年から) 石油製品品質確保事業費補助金 (2007 年から) www.oecd.org/site/tadffss この施策は、石油流出対策技術およびかかる装置の製造と 迅速な展開に関する調査を通じて、大規模な石油流出の可 能性に備えることを目指しています。2013 年、この施策は 8 億 3,000 万円に達しました。 この施策は、ガソリンスタンドで販売されている石油製品の分 析に、また「揮発油等の品質の確保等に関する法律」への準 拠状況を判断する上で用いられる分析技術の開発に十分な 助成金を支給するものです。2013 年、この施策は 16 億円に 達しました。 [email protected] @OECDtrade
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