フライデー・メール - アリアンツ・グローバル・インベスターズ

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グローバル・キャピタル・マーケット&テーマ・リサーチ
フライデー・メール
2016年8月26日
シュテファン・ショイラー
バイス・プレジデント
グローバル・キャピタル・マーケット&テーマ・リサーチ
政策の相違から財政規範まで
インド準備銀行の新しい総裁にウルジット・パテル博士が任命
そのため、財政出動を期待する声が、先進国で債務残高が高
され、インフレに対する政策の継続性や中央銀行の独立性が
水準になっているにもかかわらず、さらに大きくなっています。
保たれる中、日本と米国の金融政策は相反する方向に向かっ
低金利とマイナス金利環境が、政策立案者を財政政策へと駆
ているようです。
り立てています。例えば、日本はすでに景気刺激策を発表し、
このような意味において、黒田日銀総裁のハト派トーンは、来
また英国政府は英国のEU離脱決定に伴い、緊縮財政策を断
月の金融政策決定会合において追加緩和策が期待できるこ
念する可能性が高いと見られます。米国では、11月に行われ
とを示唆しています。ただし、想定される対策はこれまでの20
る大統領選挙の結果にかかわらず、2017年に財政出動が行
年、ほとんど効果が見られなかった通常の対策とみられ、「ヘ
われると見られます。他方ユーロ圏では、予算拠出の規制に
リコプターマネー」はありえません。他方、米連邦準備制度理
関して、かなり柔軟な解釈が行われる可能性があります。
事会(FRB)のスタンレー・フィッシャー副議長からは「FRBの目
今週は、米国において、物価上昇の指標としてFRBが注目す
標に近づいた」とし、金利引き上げの可能性は現実的であると
る、食品とエネルギーを除く個人消費支出の指標、いわゆる
するタカ派の意見が聞かれました。フィッシャー副議長の発言
PCEデフレーターの発表があります。週半ばには、シカゴ購買
は、これまでの数週間、ジョン・ウィリアムズ・サンフランシスコ
担当者景気指数(PMI、水曜)等いくつかの先行指標が発表さ
連銀総裁をはじめとする他の連邦公開市場委員会(FOMC)メ
れます。シカゴPMIはアメリカ全土の景気循環を占う指標とさ
ンバーから見られた同様のタカ派のコメントを繰り返す形とな
れるシカゴ地域の購買担当者指数です。また米供給管理協会
りました。その結果、2016年12月までにもう一段の利上げの可
(ISM)製造業PMI(木曜)なども注目されるでしょう。コンセンサ
能性が、再び50%を超えました。
スでは両指数とも若干低下し、消費者信頼感(火曜)も僅かに
低下することが見込まれます。これは7-12月期に米国経済が
“財政支出を期待する声が、先進国で債務残高が高
水準になっているにもかかわらず、さらに大きくなっ
ています。低金利とマイナス金利環境が、政策立案
者を財政政策へと駆り立てています。”
このような環境下、為替市場は中央銀行の発言にますます敏
感になっています。米ドル高によって、特に原油価格の下落を
促し、新興国市場通貨が下押し圧力を受けています。中国人
民銀行は米ドルに対する人民元相場を7月の半ば以来の最
安値に設定しました。金曜に、ジャネット・イエレンFRB議長の
ジャクソンホールでの講演が予定されています。市場は、更な
る金利正常化に向けFRBが年内にどのような金融政策を採る
か、あるいは直近の利上げの可能性があるかを示唆するガイ
ダンスが得られるか大いに注目しています。何年も続く大規模
減速傾向を見せる可能性を示唆しています。
ユーロ圏では、週半ばに8月の消費者物価に関する指標が公
表予定です。コモディティ価格が上昇傾向にあり、その押し上
げ効果が小さくないことから、消費者物価が若干上昇すること
が見込まれます。翻って、これが欧州中央銀行(ECB)の金融
政策の決断にどの程度影響を及ぼすかについて話題となって
います。次の金融政策会合が9月8日に予定されてお り、投
資家の質への逃避からECBの債券買い入れ可能な適格債が
逼迫するのではないかという懸念が再燃しています。一方、英
国では、GfK消費者信頼感指数(火曜)と製造業PMI (木曜)
に注目が集まるでしょう。景気後退を示す徴候が明らかとなる
と思われます。英国のEU離脱問題が大きく影響を及ぼすよう
になって来ました。
な異次元の金融政策によって、経済活動と物価上昇に及ぼす
金融刺激策の有効性がますますその限界に近づいているよう
に思われます。
Understand. Act.
アジアについては、中国で製造業PMI(火曜)が公表されます
が、直近発表された経済指標の多くが7-12月期の景気減速を
示しています。市場の注目は日本に移ると見られ、小売売上
高(月曜)と鉱工業生産指数(火曜)の他、7-9月期の企業収益
(水曜)が注目されます(今週のチャート参照)。日本の消費者
信頼感(金曜)や、円高が再び進行していることにも注意が必
要です。
たとえ強気相場筋が直近の市場をわずかに押し上げたとして
も、米個人投資家協会(AAII)は、市場の売買高が低水準で推
移していることから、投資を「決めかねている」投資家が相対
的に見て高い割合となっていることは明らかであるとしていま
す。さらに、ボラティリティの水準は30年平均以下の約40%と
なっており、特にジャクソンホールでのジャネット・イエレン議長
の講演内容が明らかになるまでは、「静観」する姿勢が見られ
るでしょう。
あなたのポートフォリオ戦略の一助となれば幸いです。
今週のチャート:円高が企業収益予想の下押し要因 -もう一段の刺激策の検討が続けられている
MSCI日本指数(配当込み)12ヵ月EPS予想、%、対前年比(左軸)
円/米ドル、%、対前年比、(右軸)
出所:Thomson Reuters Datastream、Allianz Global Investors Economics & Strategy。
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