2016年8月25日 - アリアンツ・グローバル・インベスターズ

Project M #21 FOCUS
年を取ってからのチャンス
ポール・アーヴィング氏は、年を取ることは哀れでも不安でもなく、喜ぶべき
ことだと力説しています。
少子高齢化による高齢者革命が、世界を変えつつありま
す。しかし、多くの人々はそのマイナス面ばかりに注目し、
人口動態の変化がもたらすチャンスに気付いていません。
高齢化未来研究所の所長で、著名人のエッセイ集「エイジ
ングのメリット(The Upside of Aging)」を編集したポール・ア
ーヴィング氏は、年を重ねた脳が持つ知性にチャンスがあ
ると主張しています。年を取ることは哀れでも不安でもなく
喜ぶべきことだと言うのです。
発行部数で米国第2位の新聞USAトゥデイ紙では、同書は
「定年後の生活に十分な貯蓄ができず、死ぬ前に蓄えが
尽きてしまうことが現実の不安となり、将来に希望の持て
ない人が多い昨今において、前向きで元気のあるアプロー
チ」と評されています。
アーヴィング氏によると、高齢化社会は課題よりも明るい
見通しの方が多いと言います。「今の高齢者は昔よりも健
康で活気にあふれています。年の功だけでなく、実際に役
に立つ経験や技を持っており、家庭や仕事、教育、社会を
豊かにすることができます。」
今の60歳は『新・50代』
この考え方は、アリアンツの最近の研究『60歳は新・50代』
とも一致しています。このレポートの著者で同社エコノミス
トのリチャード・ウルフ氏は、「余命で考えると、現在の60歳
は1950年代後半当時の50歳に近いと言えます」とみてい
ます。
実際、実年齢は適切な目安ではなくなってきているのかも
しれません。定年後を計画したり、教育や雇用の機会につ
いて決断したりするには、あと何年生きるのかということの
方が将来を測る目安としてより正確と言えます。
ウルフ氏は「余命を考慮すると、あと何年生きるかという見
方から今後数年または数十年が視野に入ってくる。」と、述
べています。
特に65~79歳層の高齢者は今後も働き続けることを望ん
でおり、平均余命がはるかに短かった時代に作られた退
職年齢という「荒唐無稽で時代遅れの」考え方を捨てるべ
きだ、とアーヴィング氏は主張し、「一人ひとりを潜在性の
ある資産として見てみてはどうでしょうか。勝手に定められ
た年齢に達したからと言って、自分は用済みだとは考えな
いことです。最終的には、まだ30年間は生き続けるわけで
すから。」と、述べています。
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確かに、年長者は職場で知恵と判断力、経験をもたらすこと
ができます。
「将来的には、先見の明のある企業は、30代のスタッフ2人
ではなく、30代と60代のスタッフのチームを組んで、問題の
解決にあたらせることとなるでしょう。」と、アーヴィング氏は
述べています。これによって、若年者の短期記憶力と活力、
そして年長者の成熟と大局観をうまく組み合わせることが可
能となるでしょう。
一般的な見方と異なり、年長者は必ずしも若年者の仕事を
奪うわけではありません。むしろ、消費者の需要を生み出し
新たな市場を開拓する手助けとなると、アーヴィング氏は考
えています。そして、この新たな消費者グループを「高齢経
済」と呼んでいます。「ビジネス面では、旅行や住宅、娯楽、
雇用の分野で、高齢層のための新たな製品やサービスやイ
ノベーションの潜在性を見いだし始めたところです。」
高齢でも社会との関わりを続けることにより、医療支出も削
減できます。ピーター・A・バース氏とアリソン・ガーディナー
氏(シェフィールド大学)は、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・
エイジング誌の記事(2005年)で、英国では、活動的な高齢
者は医薬品の服用量、医者や地区看護師への訪問回数、
在宅福祉サービスの利用回数が少ないと述べています。カ
ギは対人関係を維持することにあります。高齢者は家族や
友人とのつながりを保つことが必要です。このつながりを断
ち切ることは、逆効果であり、害しかもたらしません。
年を取るならどこの街?
アーヴィング氏らはこの目標の達成を手助けするべく、『老
後最も住みやすい都市ランキング』を作り、
市町村長や当局に対して、年長者の身体、社会、
経済的ニーズに合わせたまちづくりをするよう働き
かけています。高齢者に優しい街は、高齢者のた
めの住宅や社会サービス、教育や雇用、ボランティ
ア、社交の機会を提供しなければなりません。この
指数は、米国の都市を高齢者の考慮度に応じてラ
ンク付けしたもので、大都市ではユタ州プロボが首
位となっています。プロボは、医療センター7カ所が
整備されているほか、一人当たりのボランティア数
が上位であり、小規模の企業も増えています。また
小都市で首位のサウス・ダコタ州スーフォールズに
は、老齢医療サービスに特化した病院があり、好
景気で65歳以上の雇用率も高いことが理由となっ
ています。
しかし、さらに多くの都市が高齢化という新たな現
実への適応に取り組む必要があるとアーヴィング
氏は考えています。そのために挙がっているアイデ
アとしては、お年寄りと子どものペアを作り、お年寄
りが子どもに責任感を教えたり、勉強やしつけを手
伝う一方で、若い層は街のお年寄りの世話をしたり
家事を手伝うという案などがあります。この案は既
に試験的に実施されています。
教育も軽視すべきではありません。アーヴィング氏
は、大学は若者だけの場である必要はないと言い
ます。教育制度にも生涯学習の考え方を取り入れ
るべきです。その一方で私たちには学ぶべきことが
たくさんあります。年を取ることについて新しい見方
をすることもその一つです。
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