オーストラリアの投資環境 2016/12号

情報提供資料
オーストラリアの投資環境
2016年12月9日
~トランプ氏当選後の豪ドル相場~
全世界から注目を集めていた米国大統領選挙は、大方の予想に反し共和党のトランプ候補の勝利となりました。
選挙後の相場は、米国の大統領選挙という最大の不透明要因が払拭されたことや、今までマーケットに織り込ま
れていなかったトランプ氏の政策などのポジティブな面が意識されたことなどによって、米株、米金利、米ドル
などが大きく上昇する展開となっています。
トランプ氏の主な政策には①インフラ投資、②税制改革、③規制緩和などが掲げられています。今後、実際に策
定される政策次第で金融市場の「上昇が維持される」or「上昇が巻き戻される」、双方の可能性が残されており、
その内容には注意が必要ですが、少なくとも、現時点において考えられるトランプ氏の政策は、豪州にとってプ
ラスになる可能性が期待されます。
①インフラ投資
インフラ投資の推進によって資源の需要が増加すれば、資源価格の上昇に寄与することが想定され、交易条件
の改善などを伴って、豪州のファンダメンタルズにはプラスになることが考えられます。
②税制改革
税制改革では、中間層を中心にした減税が想定されています。米国の個人消費が拡大すれば、様々な製品の需
要が高まり、特に米国は、豪州にとって牛肉やワインの主要輸出先でもあることから、それらの輸出拡大に寄
与することが期待されます。
③規制緩和など
金融機関に対してリーマンショック以降とられてきた過度なリスク抑制姿勢が緩和された場合、企業への適切
な融資拡大が期待されます。結果として米企業の設備投資等が活発化すれば、最終的な建設需要につながり、
資源価格に寄与する可能性が考えられます。
移民政策に関しては、メキシコからの移民の抑制につながり労働力の減少が心配されます。ただし、人手不足
による賃金上昇なども否定できず、インフレ進行による米金利上昇の可能性もあります。米金利上昇は豪州金
利上昇にも寄与するため、金利水準の高い豪州への投資が注目されるかもしれません。
保護主義の高まりによって自由な貿易が見直された場合、今までと同様の経済成長は難しいかもしれません。
ただし、豪州は生産年齢人口の増加ペースが良好であることを背景として、労働力や内需に相対的な強みがあ
ります。海外の需要に期待せざるを得ない「人口減少が想定される国」よりもダメージが少ないと思われます。
外交政策などは、対中東やアジア地域が注目されます。軍需産業への寄与も考えられますが、地政学リスクの
高まりも心配されることなどから、相場の変動要因として注意が必要です。
基本的に急激な変動が落ち着いた後は、市場の注目は次第にファンダメンタルズに回帰していくことが想定され
ることから、底堅いファンダメンタルズを背景に、豪ドルは上昇しやすいと考えられます。また、トランプ氏の
政策がプラス要因になることを踏まえると、中長期的には上昇すると予想します。
主な先進国の生産年齢人口の推移
(1980年~2020年、年次)
200
180
豪州
ドイツ
国連予測
米国
日本
160
140
※国連による推計値。1980年を100として指数化。
※生産年齢人口は、15~64歳の人口。
出所:国連“Population Division World Population
Prospects 2015”が提供するデータを基にア
セットマネジメントOneが作成。
※上記グラフは、将来における主な先進国の生産年齢
人口の推移を保証するものではありません。
120
100
80
1980
1990
2000
2010
(年)
2020
商号等/
加入協会/
※巻末の投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項を必ずお読みください。
アセットマネジメントOne株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第324号
一般社団法人投資信託協会
一般社団法人日本投資顧問業協会
1
11月の豪ドル相場は、対米ドルで下落、対円で上昇
相場動向
11月の豪ドルは、対米ドルで下落、対円で上昇しました。豪州準備銀行(RBA)が金融政策を据え置く中、米
大統領選挙結果を受けた次期政権による政策への期待と、米国の年内利上げ観測の高まりが米ドル高豪ドル安の要
因となりました。対円では鉄鉱石価格の上昇や日豪の金利差などを背景に円安豪ドル高となりました。
今後の見通し
底堅い推移を予想
豪ドルは対米ドルで、底堅い推移を予想します。引き続き豪州の良好なファンダメンタルズなどが豪ドルの下値
を支える要因になると思われます。ただし、米国次期政権の拡張的な財政政策や、国内の追加利下げ観測などが
上値を抑える要因になると考えられます。
プラス要因
マイナス要因
・豪州経済の改善
・豪州経済のリバランス(鉱業輸出中心の経済から、
農産物・乳製品輸出などの拡大によるバランスのと
れた経済への移行)
・米国次期政権のインフラ投資と減税など拡張的な財
政政策
・消費者物価指数の低下による追加利下げ観測
・RBA当局者による豪ドル高牽制発言
図表2:中国向け鉄鉱石価格の推移
図表1:豪ドルの推移
(2013年11月29日~2016年11月30日:日次)
(2016年10月31日~2016年11月30日:日次)
(円)
86
豪
ド
ル
高
豪
ド
ル
安
(米ドル)
0.80
豪ドル/円(左軸)
豪ドル/米ドル(右軸)
(米ドル)
180
150
84
0.78
82
0.76
80
0.74
78
0.72
120
90
60
10月31日
11月10日
11月20日
11月30日
図表3:豪州実質GDP成長率
(2006年7-9月~2016年7-9月:四半期)
(前期比、%)
30
0
13年11月
図表4:豪州
(万件)
4
2.0
1.5
14年11月
3
15年11月
住宅着工許可件数と住宅ローン件数
(2011年10月~2016年10月:月次)
※住宅ローン件数は2016年9月まで
住宅着工許可件数(左軸)
住宅ローン件数(右軸)
1.0
0.5
0.0
16年11月
(万件)
8
6
2
4
1
2
▲ 0.5
06年9月
0
0
▲ 1.0
09年9月
12年9月
15年9月
11年10月
13年10月
15年10月
出所:ブルームバーグが提供するデータを基にアセットマネジメントOneが作成。
※上記グラフは、将来における豪ドルの推移、中国向け鉄鉱石価格の推移、豪州実質GDP成長率および豪州の住宅着工許可件数と住宅ローン
件数を示唆、保証するものではありません。
※巻末の投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項を必ずお読みください。
2
豪ドルの為替レートの推移
(円)
(2013年11月末~2016年11月末:月次)
110
(基準日:2016年11月末)
対円
対米ドル
(米ドル)
1.2
84.53
-
0.7385
-
79.76
(6.0%)
80.08
0.7610
(▲ 3.0%)
0.7234
(5.6%)
88.97
(▲ 5.0%)
93.31
(2.1%)
0.7227
(2.2%)
0.9108
16年11月末
豪
ド
ル
高
豪
ド
ル
安
100
1.1
90
1.0
80
0.9
6ヵ月前
70
0.8
1年前
豪ドル/円(左軸)
60
1ヵ月前
0.7
3年前
豪ドル/米ドル(右軸)
50
13年11月
14年11月
15年11月
4
※カッコ内は期間騰落率
16年11月
主な先進国の10年国債利回り
主な先進国の政策金利の推移
(%)
(▲ 9.4%) (▲ 18.9%)
0.6
(%)
4
(2013年11月末~2016年11月末:日次)
ニュージーランド(NZ)
(2016年11月末)
3.13%
3
3
2.38%
2.72%
2
2
豪州
1
米国
ユーロ圏
1.5
1
0
0.03%
日本
0
▲1
13年11月
0.28%
14年11月
15年11月
日本
16年11月
ドイツ
米国
NZ
豪州
※2013年4月の日銀金融政策決定会合以降、日本の金融市場調節の操作目標が無担保コールレート(翌日物)からマネタリーベー
スに変更されています。また、2016年1月の金融政策決定会合では、日銀の当座預金の一部に▲0.1%のマイナス金利の導入を
決定しました。
主な先進国のREIT指数の推移
主な先進国のREIT配当利回り
(2013年11月末~2016年11月末:月次)
6
豪州
160
140
(2016年11月)
(%)
180
4.89%
米国
日本
4
3.57%
4.05%
120
2
100
80
13年11月
0
14年11月
15年11月
16年11月
日本
米国
豪州
※主な先進国のREIT指数の推移は2013年11月末を100として指数化。
各国の指数はS&P各国REIT インデックス(現地通貨ベース、配当込み)を使用。
※主なREIT市場の配当利回りは、S&P各国REIT インデックス 平均配当利回りを使用。
出所:ブルームバーグおよびS&Pが提供するデータを基にアセットマネジメントOneが作成。
※上記グラフは、将来における豪ドルの為替レートの推移、主な先進国の政策金利、10年国債利回り、REIT指数の推移およびREIT
配当利回りを示唆、保証するものではありません。
※巻末の投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項を必ずお読みください。
3
オーストラリアのマクロデータ
(2013年11月~2016年10月:月次)
(前月比、千人)
100
雇用者数(左軸)
失業率(右軸)
80
(2013年11月~2016年11月:月次)
(%)(前年比、%)
7.5
10
7.0
60
6.5
40
6.0
20
5.5
0
小売売上高(前年比)(左軸)
130
ウエストパック消費者信頼感指数(右軸)
8
120
6
110
4
100
5.0
2
90
▲ 20
4.5
0
80
▲ 40
4.0
▲2
13年11月
14年11月
15年11月
13年11月
(2013年11月~2016年10月:月次)
ナショナル・オーストラリア銀行企業景況感指数
20
ナショナル・オーストラリア銀行企業信頼感指数
15
※小売売上高データは2016年10月まで
14年11月
15年11月
70
16年11月
(2013年10-12月~2016年7-9月:四半期)
(%)
4
インフレ率
インフレ率加重中央値
3
10
2
5
1
0
インフレ目標
2~3%
0
▲5
13年11月
14年11月
15年11月
13年12月
(2013年11月~2016年10月:月次)
(億豪ドル)
30
貿易収支
20
15年12月
(2013年11月~2016年11月:月次)
(10億豪ドル)
100
外貨準備高
80
10
0
60
▲ 10
40
▲ 20
▲ 30
20
▲ 40
▲ 50
13年11月
14年12月
0
14年11月
15年11月
13年11月
14年11月
15年11月
16年11月
出所:ブルームバーグおよびIMFが提供するデータを基にアセットマネジメントOneが作成。
※上記グラフは、将来におけるオーストラリアの各種経済指標の推移を示唆、保証するものではありません。
※巻末の投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項を必ずお読みください。
4
投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項
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