インドネシア:Adaro Energy 社 インドネシア電力部門に積極参入 2016 年 8 月 18 日掲載 8 月 8 日付けの地元報道によると、石炭大手 Adaro Energy 社は、石炭需要低迷の中、新成長分野を求 め、発電事業(2019 年まで 5,000 MW の火力発電計画)への参入を目指す。 インドネシアの一人当たりの電力消費量は 2025 年には倍増すると予想され、需要の充足率は約 90%。 大統領は、2019 年までに 35,000MW の発電能力増強を推進。だが、政府のみでは全増強能力を達成でき ず、70%は独立発電事業者(IPP)へ委託予定。海外事業者も含め、民間企業が電力市場への参入を準備して いる。 Adaro Energy 社は、現在、売上高の 90%以上は石炭採掘と石炭輸出であり、最高経営責任者(CEO)は、 石炭や物流と共に、発電事業を三本柱の一つと捉えている。中部 Java 州での 2,000MW 石炭火力発電所 建設は、用地取得問題の為、ほぼ 4 年間停滞、利益が出ない場合には見切りを付けるとした。また年末の Java 島および Sumatra 島での大規模発電所建設の入札にも参加予定であり、プロジェクト規模は約 60 ~70 億 USD、国際機関からの支援を得て、資金調達は問題ないとした。 Adaro Energy 社は、需要停滞により、2015 年度の販売量を削減、年間売上高は 30%低下した。しか し、国内最大級の石炭埋蔵量および供給網を有し、競合他社よりは優位であり、南 Kalimantan 州では約 11 万トン/日を生産、積み込み場へ運搬、さらに大型船に積載している。今後 25 年間、Java 火力発電所向 けに 150 百万トンを供給する。 現在は、海外市場への依存から、国内志向のビジネスモデルを追求している。収益減にも関わらず、Adaro Energy 社は、多くのライバル会社と比較しても、財務体質は良好であり、発電所建設の資金確保ではより 優位である。しかし、Adaro Energy 社は、石炭以外のノウハウに弱点がある。政府は天然ガスや再生可能 エネルギーの比率を拡大する計画であり、同社は、ガス火力発電所分野では、シンガポール企業との提携 を計画している。 (石炭開発部 辻 誠) おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確 な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとら れた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。なお、本資料の 図表類等を引用等する場合には、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願 い申し上げます。
© Copyright 2024 ExpyDoc