恵 子 さ ん の ミ ニ 講 座

恵 子 さん の ミ ニ 講 座
行動分析は好循環への近道
ここでもうひとつ注目したいのが、自分の働き掛けによってアキさんの介護
拒否を解決したことが陽介くんの喜びとなり、ほかのスタッフから注目を集め
ることにもつながったということです。つまり、喜びや注目が、陽介くんに
とっての好子となり、良質なケアという行動につながっていくのです。
良質なケアは、現場のスーパーバイザーによってマネジメントすることも可
能です。教育分野の応用行動分析では、好ましくない行動に対して叱ってばか
りでは、あまり効果がないと言われています。子育ても、スタッフ育成も、本
質は同じです。
陽介くんが自ら気付くことができるように、良質なケア行動のヒントを出す
こと(先行条件へのアプローチ)、陽介くんがアイデアを出したときや良質な
ケアを実施したときはすぐにほめること(結果へのアプローチ)などが効果的
です。
認知症介護現場のスーパーバイザーは、よく見て、よく考え、よく発言し合
えるよう、スタッフに考え方を伝えて導いていくことが大切です。
現場のスタッフ一人ひとりが、自分たちで気付きを出し合うことが、良いケ
アを長続きさせるコツです。
ぜひ、自分自身やスタッフの行動をマネジメントするために、応用行動分析
を活用してみてください。
恵子さんの
アドバイス 個人攻撃のワナに要注意!!
現場では「あの人のケアが至らないせいでBPSDが出現す
るのだ」と一蹴してしまうことも多いでしょう。しかし、
それは単なる個人攻撃的な発言で終わってしまい、ケアの
質的向上にはつながりません。それどころか、「あなたの
ケアのせいでこうなった」と言われ、どうしたらよいかの
説明がないままでは、嫌になって辞めてしまうスタッフも
いるかもしれません。
現場の観察を行い、分析し、みんなで話し合うことが大切
です
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自分が変わると、周りのスタッフも変わる
ケアが成功した
ことを正しく評価
皆でケアを共有し、
その行動をほめる
ケアの共有
環境を変える
ことに協力
環境を
変える
皆で注目する
望む行動を
探す
観察や気付きを
ほめる
行動と環境を
観察
会いに行った
ことに注目
利用者に
会う
まず、ほめる
目標を持つ
陽介くんの行動
周りのスタッフの行動
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