5・4 カルボン酸 カルボキシル基(-COOH)をもつ化合物を総称してカルボン酸といいます。 代表的なものはRがメチル基(CH3)の酢酸(acetic acid)があります。 なじみ深い香料の、フェニル酢酸、桂皮酸をあげておきます。 フェニル酢酸 5・5 桂皮酸 エーテル アルコールやフェノールの水酸基(-OH)の H がとれて、なにか(R)と反応して、酸素 原子の両側に炭素がつながっている(-C-O-C-)の構造をもった化合物をエーテル とよびます。 名前の最後が オール(-ole)や オキサイド(-oxide)で終わる名前で よばれます。 (最後がオールとなるアルコール類は英語表記で –ol となります。) アネトール アニスやフェンネルなどの精油の主成分です。 同類のスターアニス(八角)は中華の香辛料をしておなじみですね。 シネオール ローズマリーやユーカリなどの精油の香りは樟脳様の香りがしますが、その香りの特徴 成分がシネオールです。 ローズオキサイド ブルガリアローズ、ゼラニウム油などから発見されているフレッシュなケミカルグリー ンの香りです。 アネトール 1,8-シネオール ローズオキサイド ところでローズオキサイドの分子式にかかれている黒のクサビは何をあらわしているので しょう。 分子式は、便宜上、平面的に書きますが実際の分子は立体的なものです。 例えばメタンは ですが立体的に表現すると のようになります。 立体的にどうなっているのかがわかるように、 右図のように、手前にある原子と奥側にある原子 をクザビを使って表現する書き方が考案されて います。 5・6 エステル カルボン酸 R-COOH とアルコール (この反応を脱水縮合という)と R-OH とから 水 H2O がとれる形で結合する R-COO-R という構造をもった化合物ができ、これをエ ステルといいます。 エチルアルコールと酢酸から酢酸エチルというエステルができる化学式は、 エチルアルコール 酢酸 酢酸エチル 水 となります。 酢酸エステルは英語でアセテート(acetate)とよばれ、○○アセテートという香料はたく さんありますので憶えておいてください。 代表的なものとしては、ジャスミン系調合香料の基調となる香料、酢酸ベンジル(ベンジ ルアセテート)をあげておきます。 ベンジルアルコール 酢酸 ベンジルアセテート 水 複雑な構造ですが、メチルジヒドロジャスモネートというエステルがあります。 フィルメニッヒ社のドル箱香料である、ジャスミン様の香りのヘディオンがそれです。 ヘディオン Hedione(Firmenich) ジャスミン油の香気成分であるジャスモン酸のメチルエステルにヒドロキシ基(R-OH)が 導入された構造となっています。 環状の分子内のヒドロキシル基(―OH)とカルボキシル基(―COOH)から水がとれた形 のエステル(これを分子内エステルという)類をラクトン(lactone)といい、香料として、 食品添加物として広く用いられています。 代表としてγ-ウンデカラクトン通称 C-14アルデヒド を上げておきます。 ついでですが、ウンデカラクトンの前についているγは輪になっている構造を5個の原 子で構成していることを表しています。 5・7 ニトロ化合物 R-NO2 という構造をもった化合物をニトロ化合物といいます。 香料の例として インドール インドールとイソブチルキノリンを上げておきます。 Indole イソブチルキノリン Isobutylquinoline インドールは高濃度では不快な糞臭ですが、うすめるとフローラルな香気を放つ、ジャ スミンの調香には欠かせない香料です。 一方イソブチルキノリンは土臭い、タバコのような独特な香りで、調合香料に深みを持 たせる変調剤としても用いられます。
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