IUPAC 命名法(簡易版) 化学 II 加藤(20161014) 基本的な⼿順 1. 優先順位のもっとも⾼い官能基を⾒つけ、接尾辞を決める。 2. 主⾻格を⾒つけ、炭素に番号を振り、基本名を決める。 3. 1-2 を組み合わせて主⾻格名を完成させる 4. 置換基の名称を、位置を⽰す炭素番号と共に、主⾻格名の前にアルファベット順に付けくわえる。 5. 不⻫炭素がある場合は名前の最初に位置と共に加える(7 章 RS 表⽰法参照) 1.優先順位の最も⾼い官能基を⾒つけ、接尾辞を決める。 官能基を抜き出して表 1 に当てはめる。 表 1. 官能基の優先順位と接尾辞 優先順位 官能基 語尾辞 1 カルボキシ基 -oic acid 2 エステル結合 Alkyl* ‒oate 3 アミド結合 Alkyl* -amide 4 ニトリル基 -nitrile 5 アルデヒド基 -al 6 ケト基 -one 7 ヒドロキシ基 -ol 8 アミノ基 -amine *注:この Alkyl はエステルにおいて C(=O)O-R の R 部分を⽰す。名称は炭素数により変化する。表 2 の置換基の場合を参照 2.主⾻格を決め、炭素に番号を振り、基本名を決める。 2.1. 主⾻格を決める 優先順位の⾼い官能基の結合している炭素を含む最も⻑い連続した炭素鎖が主⾻格 カルボン酸、エステル、アミド、アルデヒド、ケト基は官能基を構成している炭素を含まなけれ ばならない。 2.2. 主⾻格の炭素に番号を振る 炭素の番号は主⾻格の端の⽅から、優先順位の⾼い官能基の番号が最も⼩さくなるようにつける。 官能基を構成している炭素も主⾻格の炭素数として数える。 注:カルボン酸、エステル、アミド、アルデヒドは官能基を構成している炭素が 1 番となる。 2.3. 基本名を決める。 表 2 に照らし合わせて主⾻格の炭素数から基本名を決める 尚、基本名は頭語+語尾(アルカン-ane、アルケン-ene、アルキン-yne)になっている。 アルケン、アルキンの場合は⼆重結合、三重結合の位置を⽰す炭素番号を頭語と語尾の間に“-(ハ イフン)”ではさんで記載する。尚⼩さい⽅の番号を使う。 (例:But-1-ene など) 表 2. 炭素数と主⾻格の基本名 炭素数 頭語 アルカンの場合 アルケンの場合 アルキンの場合 置換基の場合 1 Meth- Methane - - Methyl 2 Eth- Ethane Ethene Ethyne Ethyl 3 Prop- Propane Propene Propyne Propyl 4 But- Butane Butene Butyne Butane 5 Pent- Pentane Pentene Pentyne Pentyl 6 Hex- Hexane Hexene Hexyne Hexyl 7 Hept- Heptane Heptene Heptyne Heptyl 8 Oct- Octane Octene Octyne Octyl 9 Non- Nonane Nonene Nonyne Nonyl 10 Dec- decane decene decyne decyl 4.主⾻格名を完成させる。 (官能基がない場合は基本名そのままとなる) 「主⾻格の基本名から末尾の e をとり除いた名称‐優先順位の⾼い官能基の結合した炭素番号‐優先順 位の⾼い官能基の接尾辞」 優先順位の⾼い官能基の結合した炭素番号が 1 の場合は省略できる。 置換基が⼀つしかない場合(もしくは置換基の無いアルケン、アルキン)は番号を名前の頭に持っ てくることもある。 “-(ハイフン)”は数字や記号と⽂字をつなぐ場合に使⽤する。 *例外:優先する官能基が⼆つ以上ある場合は、接尾辞に di など数を⽰す⾔葉が加わる。その場合は基本 名末尾の e は取り除かない。 5.その他の置換基の名称と位置を名前の頭にアルファベット順に付けくわえる 「番号‐官能基の接頭語」とする。 複数官能基の場合はハイフンでつなぐ、主⾻格名と繋げる場合はいらない。 アルキル基の場合は表2参照 表 3. 官能基と接頭語 官能基 構造 接頭語 カルボキシ基 -COOH Carboxy- エステル結合 -C(=O)O- Alkoxycarbonyl アルデヒド基 -CHO Formyl- ケト基 -C(=O)- Oxo- ヒドロキシ基 -OH Hydroxy- アミノ基 -NH2 Amino- ニトロ基 -NO2 Nitro- シアノ基 -CN Cyano- ハロゲン -F, -Cl, -Br, -I Fluoro-, chloro-, bromo-, iodo- 6. 不⻫炭素がある場合は名前の最初に位置と共に加える(7 章 RS 表⽰法参照)
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