労働安全衛生法違反事件の送致について - 岩手労働局

厚生労働省
Press Release
二戸労働基準監督署
署
長
澤田 秀幸
監督課長
飯野 洋司
電 話 0195-23-4131
当
(夜間) 0195-23-4212
二戸労働基準監督署発表
平成 28 年 7 月 21 日
担
労働安全衛生法違反事件の送致
-車両系機械への立入禁止措置を講じておらず書類送検-
二戸労働基準監督署(署長
澤田 秀幸)は,本日,労働安全衛生法違反の容疑で,林
業を営む個人事業主を盛岡地方検察庁二戸支部に書類送検した。
1 被疑者
姉帯林業 代表者A(男性
2
68 歳)
所在地:二戸市浄法寺町端保
違反被疑条文
労働安全衛生法第 20 条第 1 号
労働安全衛生規則第 151 条の 95(車両系木材伐出機械等への接触防止)
同法 第 119 条第 1 号(罰則)
3
事件の概要
平成 28 年3月9日、岩手県二戸市浄法寺町柿の木平地内の山林で行われていた
立木の伐採作業現場において、枝払い後のナラの木の原木(直径約 30 ㎝、長さ約 16
m)を、車両系木材伐出機械である木材グラップル機で掴んで旋回した際、当該ナ
ラの木の原木が、玉切り作業中の作業員(男、当時 67 歳)の頭部に激突し、頭蓋骨
骨折により死亡するという労働災害が発生した。
この災害を受け、二戸労働基準監督署が捜査を行ったところ、車両系木材伐出機
械である木材グラップル機を用いて作業を行うに際して、労働者が車両系機械及び
当該機械が取り扱う原木に接触することによる危険の生じる箇所に、労働者の立入
を禁止する措置を講じていなかったため、書類送検したものである。
4
参考事項
二戸労働基準監督署管内における死亡労働災害は、平成 28 年7月 20 日時点で6
件となっており、過去の同時期の死亡災害発生件数と比較しても、最悪の状況とな
っている。
このような深刻な事態の下、二戸労働基準監督署では、今年6月 24 日に「死亡労
働災害多発非常事態宣言」を発令し、関係機関、関係団体等に対して、自主的労働
災害防止活動をより一層徹底するよう「要請書」を交付していたところである。
(「要請書」については末尾の資料をご参照ください。)
二戸労働基準監督署では、死亡労働災害を防止するため、監督指導、発注機関や
災害防止団体等と連携した安全パトロール、研修会等の集団指導を積極的に展開す
るとともに、死亡労働災害や後遺症を残すような重篤な労働災害が発生した場合に
は、司法処分も含め厳正に対処することとしている。
関 係 条 文
労働安全衛生法
第 20 条 (事業者の講ずべき措置等)
事業者は、次の危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
第1号
機械、器具その他の設備(以下「機械等」という。) による危険
(第2号から第3まで略)
第 119 条 (罰則)
次の各号のいずれかに該当する者は、6 月以下の懲役又は 50 万円以下の罰金に
処する。
第1号
第 14 条、第 20 条から第 25 条まで、
(~中略~)
の規定に違反した者
(第2号から第4号まで略)
労働安全衛生規則
第 151 の 95(接触の防止)
事業者は、車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、運転中の車両系木材
伐出機械又は取り扱う原木等に接触することにより労働者に危険が生ずるおそれの
ある箇所に労働者を立ち入らせてはならない。
死亡労働災害多発非常事態宣言
二戸労働基準監督署管内における本年の労働災害による死亡者数は、5月末現在で既
に4人にも上っています。
これは、昨年同時期における死亡者数は0人であったこと、さらに過去20年間の同
時期で比較した場合においても最も多い死亡者数となっており、きわめて憂慮すべき危
機的状況に陥っています。
この背景としては、安全に対する意識が事業者、労働者ともに稀薄になっていること
や効果的な安全教育が実施されていないことなどがその要因の一つとして考えられます。
二戸労働基準監督署では、これ以上管内における死亡労働災害や重大災害を発生させ
ないことが喫緊の課題であると受けとめ、各事業者に対して死亡労働災害撲滅への取組
みを緊急にお願いすべく、ここに『死亡労働災害多発非常事態宣言』を発令します。
つきましては、各事業者におきましては、経営トップ自らが「我が社では絶対に労働
災害を発生させない。」という固い決意の下、労働災害防止活動に強いリーダーシップを
発揮していただくとともに、現場管理者や労働者においても「我が現場(職場)からは
絶対に労働災害を発生させない。」との意志を強く持ち、両者が「安全第一」を最優先と
して下記重点事項等を的確に実施することにより、労働災害防止対策の強化の徹底を図
っていただきますようお願いいたします。
記
① 機械設備等による挟まれ・巻き込まれ等の災害防止措置の徹底及び点検の確実な実施
② 建設機械又は荷役機械等による災害を防止するため「安全最優先」の観点に立った作
業計画の策定及び関係労働者への周知、作業計画に基づく作業の実施
③ 関係事業者相互の作業打合せ・連絡調整の実施、労働者相互の連絡・合図の実施
④ 安全な作業の指示・指示に基づく作業の確実な実施、指差呼称など安全確認の徹底
⑤ 労働災害防止と健康確保に向けた安全衛生教育の充実・実施
⑥ 企業トップ及び全ての労働者が「安全決意宣言」を実施
平成28年6月24日
二戸労働基準監督署長
澤田
秀幸