労働安全衛生法違反事件の送致について - 岩手労働局

厚生労働省
盛岡労働基準監督署
Press Release
担
当
盛岡労働基準監督署発表
平成 28 年 11 月 1 日
副 署 長
兼平 寛
第 3 方面主任監督官 鳥谷 亘
電 話 019-604-2530
労働安全衛生法違反事件の送致
-死亡労働災害を発生させた木材伐出業を営む事業主を書類送検-
盛岡労働基準監督署(署長 安倍
賢)は、本日、労働安全衛生法違反の疑いで、下記
被疑者を盛岡地方検察庁に書類送検した。
1.被疑者
ふれさわ
觸 澤 林業
事業主A(男、52 歳、岩手郡葛巻町田部)
2.違反被疑条文
労働安全衛生法第 20 条第1号
労働安全衛生規則第 151 条の 95(接触の防止)
同法第 119 条第1号(罰則)
3.事件の概要
平成 27 年 10 月3日午前8時 30 分頃、岩手県岩手郡葛巻町葛巻第三十五地割2番
地1所在の木材伐出現場において、事業主A及び同労働者B他1名の計3名で集材
作業(チェーンソーを用いて切断した伐倒木を、車両系木材伐出機械「木材グラッ
プル機」でつかみ、集材車に積み込む作業)を行っていた時、事業主Aが運転する
木材グラップル機で、伐倒木をつかんで持ち上げ、旋回したところ、付近で作業し
ていた労働者B(男性、当時 57 歳)に激突、同労働者が斜面に墜落し、脳挫傷及び
頭蓋骨骨折等により死亡するという労働災害が発生したもの。
労働安全衛生法では、車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、運転中の
車両系木材伐出機械又は取り扱う原木等に接触することにより労働者に危険が生ず
るおそれのある箇所に労働者を立ち入らせてはならないことを規定しているが、当
署で捜査を行った結果、災害発生当時、被疑者は、当該危険箇所への立入禁止措置
を講ずることなく労働者を立ち入らせたことが判明したものである。
4.参考事項
⑴
岩手労働局管内で発生した労働災害による死亡者数は次のとおりとなっている。
全業種計
うち林業
平成 23 年
18 人
1人 ( 5.6%)
平成 24 年
16 人
1人 ( 6.3%)
平成 25 年
19 人
3人 (15.8%)
平成 26 年
26 人
0人 ( 0.0%)
平成 27 年
21 人
3人 (14.3%)
5年間合計
100 人
8人 ( 8.0%)
林業における平成 27 年の死亡労働災害は、最近5年間では、平成 25 年と並び最も
多い状況にあり、最近5年間で発生した林業の死亡者数8人は、業種別では 5 番目に
高い水準となっている。
(1 位建設業 37 人、2 位商業 12 人、3 位製造業 11 人、運輸交通業 11 人)
⑵
岩手労働局管内の労働災害による死傷者数(死亡を含む休業4日以上)に占める死
亡者数の割合は、全業種では 1.45%、林業では 2.48%となっている。
全業種計
林
業
死傷者数
死亡者数
死傷者数
死亡者数
平成 23 年
1,280 人
18 人
68 人
1人
平成 24 年
1,367 人
16 人
68 人
1人
平成 25 年
1,458 人
19 人
61 人
3人
平成 26 年
1,478 人
26 人
71 人
0人
平成 27 年
1,316 人
21 人
55 人
3人
6、899 人
100 人
(1.45%)
323 人
8人
(2.48%)
5年間合計
林業においては、過去 5 年間の労働災害による死傷者数に占める死亡者数の割合が
全業種の 1.71 倍となっており、業種別では 2 番目に高い水準となっている。
特に、平成 27 年の同割合は 5.45%と、業種別では最も高い水準となっていること
から、林業において、ひとたび労働災害が発生した場合には、死亡労働災害を含む重
篤な災害に結びつくおそれが非常に強い。
⑶
本年 9 月末時点における平成 28 年の林業の労働災害による死傷者数は 38 人(うち
死亡者数は 2 人、死傷者数に占める死亡者数の割合は 5.26%)と高い水準となってい
ることから、当署では、今後とも林業における労働災害防止のための指導を継続して
いくとともに、死亡災害等重篤な労働災害を発生させた事業場に対しては、業種にか
かわらず、司法処分も含め厳正に対処していく方針である。
関 係 条 文
労働安全衛生法(昭和 47 年法律第 57 号)(抄)
第 20 条 (事業者の講ずべき措置等)
事業者は、次の危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
1 機械、器具その他の設備(以下「機械等」という。
)による危険
(以下省略)
労働安全衛生規則(昭和 47 年労働省令第 32 号)(抄)
第 151 条の 95 (接触の防止)
事業者は、車両系木材伐出機械を用いて作業を行うときは、運転中の車両系木材
伐出機械又は取り扱う原木等に接触することにより労働者に危険が生ずるおそれの
ある箇所に労働者を立ち入らせてはならない。
労働安全衛生法(昭和 47 年法律第 57 号)(抄)
第 119 条 (罰則)
次の各号のいずれかに該当する者は、6 月以下の懲役又は 50 万円以下の罰金に処
する。
1
第 14 条、第 20 条から第 25 条まで、(-以下省略-)の規定に違反した者
(以下省略)
○「木材グラップル機」とは以下のような機械です。
(注:被疑者が使用していたものではありません。)