アナリストレポート:ダイト

2016 年 7 月 22 日
ダイト(4577)
担当 織田真由美
レーティング:
OUTPERFORM(2016/2/5)→
NEUTRAL
ジェネリック医薬品普及促進策を受けて業績堅調ながら成長率は鈍化。投資判断引き下げ。
売上高
(百万円)
連 13/5
28,956
連 14/5
31,196
連 15/5
34,058
連 16/5
36,370
連 17/5(予)
38,100
株価(2016/7/21)
発行済み株式数(16/5 末)
期末自己株式数(16/5 末)
時価総額
企業価値(EV)
ROE(16/5 実績)
予想配当利回り
予想 PER
BPS(16/5 実績)
PBR
CFPS(16/5 実績)
PCFR
EV/EBITDA(16/5 実績)
伸び率
(%)
営業利益
(百万円)
伸び率
(%)
経常利益
(百万円)
伸び率
(%)
純利益
(百万円)
伸び率
(%)
+6.6
+7.7
+9.2
+6.8
+4.8
2,678
2,938
3,518
3,555
3,700
2,611
12,519
4
32,687
41,759
11.5
1.1
12.6
1,850.47
1.4
235.6
11.1
6.9
+2.0
+9.7
+19.7
+1.0
+4.1
円
千株
千株
百万円
百万円
%
%
倍
円
倍
円
倍
倍
2,541
2,920
3,452
3,713
3,750
-1.2
+14.9
+18.2
+7.6
+1.0
1,786
1,811
2,246
2,566
2,600
+28.6
+1.4
+24.0
+14.3
+1.3
EPS
(円)
194.13
183.24
183.51
205.07
207.76
1 株配
(円)
30.00
30.00
30.00
30.00
30.00
株価チャート(週足:分割考慮後)
出所:ダイト、ブルームバーグ、今村証券
注)2015 年 4 月 1 日付で普通株式 1 株につき、1.1 株の割合で株式分割を実施。
医薬品の原薬製造販売や、製剤の製造受託が主力。原薬の製造・製剤の製造・原薬から製剤
までの一貫製造ができることが特徴で、後発医薬品(ジェネリック医薬品。以下「GE」。
)向け
が全体の 8 割近くを占める。
2016 年 5 月期連結決算は増収増益。厚生労働省のGEの使用促進強化を背景に市場が拡大、
業績は堅調を維持している。原薬が前期比 3.4%増の 216 億 87 百万円と堅調に推移したほか、自
社開発のGEの販売増加に加え、新薬や長期
収載品の製造受託や一般用医薬品の増加を受
けて製剤が前年同期比 12.7%増の 143 億 41 百
万円と伸長した。連結売上高は前期比 6.8%増
の 363 億 70 百万円と拡大し、過去最高を更新
した(資料1参照)
。期初見通しの 370 億円を
若干下回ったのは第4四半期に火災事故が発
生した影響によるものだ。利益面では、円安
に伴う原材料費上昇や減価償却費負担増、火
災の影響があったものの、営業利益、経常利
益、最終利益がともに過去最高益を更新した。
好業績のけん引役はGEの市場拡大だ。同社は売上の 8 割近くがGE向けで、その恩恵を受
けている。GEについて、政府は 2013 年4月に公表した「後発医薬品のさらなる使用促進のた
めのロードマップ」で「平成 30 年(2018 年)3 月末までにジェネリック医薬品の数量シェア 60%
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2016 年 7 月 22 日
以上」という目標を掲げたが、2015 年 6 月の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」
ではさらに進めて「2017 年央に 70%以上とするとともに、2018 年度から 2020 年度末までの間の
なるべく早い時期に 80%以上とする」との目標を掲げた。GEの供給は現在 550 億錠余りだが、
政府目標を達成するためには 1000 億錠が必要とみられ、GEメーカー各社は増産投資を急いで
おり、同社も積極的な設備投資を進めている。今期も 2014 年 5 月に竣工した子会社大和薬品工
業の第一原薬工場に約 8 億円を投じて生産ラインを増強する計画で、2017 年 7 月頃の生産開始
を見込んでいる。
半面、
積極的な設備投資が減価償却費の増加
などコスト増加要因につながっていることも
事実だ。加えて同社では、中長期的な成長に向
けて「高薬理物質への注力・拡充及び海外展開」
を掲げており、そのための投資にも積極的だ。
2014 年 12 月に竣工した高薬理製剤棟は今年暮
れに本格生産を開始する予定だが、新たに約
17 億円を投じ高薬理R&Dセンターを建設す
る予定で、研究開発費が増加傾向にあることも
コスト増加要因だ(資料2参照)
。
取り組みを進める海外展開については、米国でのGE販売を目指している。現状では 1 品目
を申請中で認可待ちの状態だ。また、中国子会社「大桐製薬有限責任公司」では製剤工場を建設
しており、当局の認可待ちだ。今年中にも認可がおりる見通しで、当面は日本での販売としてい
るものの、将来的には中国での販売も目論んでいる。とはいえ、海外展開による業績への寄与は
いまだ時間を要する印象だ。
今期業績予想は増収増益と過去最高の売上高、利益となる見通し。ただ、増益率は大幅に鈍
化する。今年度の薬価改定(資料3参照)でGEの初収載時の最高価格が先発品の 5 掛け(内服
薬で 10 品目超えの場合は 4 掛け)に引き下げられる影響から売上高は 5%程度の増収にとどま
り、利益面では減価償却費が 3 億円近く増加するほか、研究開発費が 2 億円程度増加するなど費
用の増加が利益を圧迫する。増産による増収効果から最高益は更新するとみられるが、利益率は
小幅に低下する見通しだ(資料4参照)
。今村証券では今期の営業利益は 1 億円程度の上ぶれの
可能性があるとみているものの、EPS は 212 円程度と試算される。今後もコスト増加によって利
益率は横ばいで推移するとみられ、成長率の鈍化は免れない印象だ。
業績は安定しており、堅調に推移すると見られるものの、成長率の鈍化を嫌気され株価は決
算発表後に売られた。成長率が鈍化する上、PER などのバリュエーションは妥当と見られること
から、投資判断をNEUTRALに引き下げる。
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2016 年 7 月 22 日
(参考)ジェネリック医薬品各社のバリュエーション(株価は 7 月 21 日終値)
売上高 伸び率 営業利益 伸び率 経常利益 伸び率 純利益 伸び率
(百万円) (%) (百万円) (%) (百万円) (%) (百万円) (%)
直近株価
4577
ダイト
2,611
4541
日医工
2,293
4553
東和薬品
5,540
4555
沢井製薬
7,980
16年5月期
17年5月期
16年3月期
17年3月期
16年3月期
17年3月期
16年3月期
17年3月期
36,370
38,100
143,513
159,000
82,115
93,500
123,492
143,000
+6.8
+4.8
+13.0
+10.8
+14.9
+13.9
+17.1
+15.8
3,555
3,700
12,910
14,200
11,134
10,500
23,185
25,000
+1.0
+4.1
+34.2
+10.0
+0.3
-5.7
+12.1
+7.8
3,713
3,750
12,289
14,200
10,157
10,350
23,025
24,700
+7.6
+1.0
+27.8
+15.5
-34.2
+1.9
+11.7
+7.3
2,566
2,600
11,031
9,000
7,684
7,450
17,155
18,500
+14.3
+1.3
+67.3
-18.4
-30.9
-3.1
+22.1
+7.8
EPS
(円)
205.07
207.76
184.45
157.37
462.57
454.18
465.57
502.05
配当金
(円)
BPS
(円)
予想
PER
(倍)
予想
配当
利回り
30.00 1,850.47
1.4
30.00
12.6
1.1%
30.00 1,377.53
1.7
30.00
14.6
1.3%
95.00 4,304.37
1.3
95.00
12.2
1.7%
120.00 3,405.20
2.3
130.00
15.9
1.6%
(上段は前期実績、下段は今期見通し。)
---------------------------------------------------------------------------------------------------------アナリストによる証明
本資料に示された見解は、言及されている発行会社とその発行会社等の有価証券について、各アナリストの個人的見解
を正確に反映しており、さらに、アナリストは本資料に特定の推奨または見解を掲載したことに対して、いかなる報酬
も受け取っておらず、今後も受け取らないことを認めます。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------レーティングの定義
O U T P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超上回ると予想される。
N E U T R A L:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。
U N D E R P E R F O R M:今後 12 ヶ月間のトータルリターンが TOPIX の予想リターンを 10%超下回ると予想される。
トータルリターン:株価変動率+配当利回り
目標株価は 12 ヵ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------本資料に記載された意見及び予想は、記載された日付における今村証券の判断であり、これらは予告なく変更される場
合があります。今村証券は本資料の記載された日付以降に内容の変更・修正を行う義務を負いません。本資料はお客様
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株式 、債券、 投資信託 の手数料 等および リスクに ついて
■
国内株式等の売買取引には、約定金額に対して最大 1.1799%(税込)(1.1799%に相当す
る金額が 2,565 円未満の場合は 2,565 円(税込))の委託手数料をご負担いただきます。
■
国内株式等を募集等によりご購入いただく場合は、購入対価のみのお支払いとなりま
す。
■
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■
外国株式(外国 ETF、外国預託証券を含む)の外国金融商品市場等における委託取引
にあたっては、売買金額(約定金額に外国金融商品市場における手数料と税金等を購
入の場合には加え、売却の場合は差し引いた額)に対し、最大 0.9720%(税込)の国
内取次手数料をいただきます。外国金融商品市場での取引にかかる手数料、税金等は
国(市場)により異なります。
■
外国株式の国内店頭取引にあたっては、取引価格に取引の実行に必要なコストが含ま
れているため、別途手数料は必要ありません。
■
外国株式(外国 ETF、外国預託証券を含む)の売買、配当金等の受取り等にあたり、
円貨と外貨を交換する際は、外国為替市場の動向をふまえて今村証券が決定した為替
レートを用います。
■
債券を募集・売出し等によってご購入いただく場合は、購入対価のみのお支払いとな
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■
債券は、市場の金利水準の変動等により債券の価格が変動しますので、損失が生じる
おそれがあります。さらに外国債券は、為替相場の変動等により元本損失を生じる場
合があります。また、倒産等、発行会社の財務状態の悪化により元本損失を生じる場
合があります。
■
投資信託は、主に国内外の株式や公社債等の値動きのある証券を投資対象とし投資元
本が保証されていないため、当該資産の市場における取引価格の変動や為替の変動等
により投資 1 単位当りの価値が変動します。したがって、お客さまのご投資された金
額を下回ることもあります。
■
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酬等の諸経費等をご負担いただきます。
■
株式、債券および投資信託のリスクにつきましては、上場有価証券等書面、契約締結
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金融商品取引業者 北陸財務局長(金商)第3号
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