【問題1】

2016 大阪大学理系
【問題 1】
1 以上 6 以下の 2 つの整数 a, b に対し、関数 fn (x)(n = 1, 2, 3, . . .) を次の条件
(ア),(イ),(ウ) で定める。
(ア) f1 (x) = sin (πx)
(
)
1 1
(イ) f2n (x) = f2n−1
+ −x
a b
(ウ) f2n+1 (x) = f2n (−x)
(n = 1, 2, 3, · · · · · ·)
(n = 1, 2, 3, · · · · · ·)
以下の問いに答えよ。
(1) a = 2, b = 3 のとき、f5 (0) を求めよ。
100
∑
(2) a = 1, b = 6 のとき、 (−1)k f2k (0) を求めよ。
k=1
(3) 1 個のさいころを 2 回投げて、1 回目に出る目を a, 2 回目に出る目を b と
するとき、f6 (0) = 0 となる確率を求めよ。
(1)
f5 (0) = f4 (0)
( )
5
f4 (0) = f3
6
( )
( )
5
5
= f2 −
f3
6
6
√
( )
(
)
( )
3
5
5 5
5
f2 −
= f1
+
= sin
π =−
6
6 6
3
2
(2)
c=
7
1 1
+ =
a b
6
とおく。
f2k (x) = f2k−1 (c − x) = f2(k−1) (x − c)
f2k (x) = f2 (x − (k − 1)c) = f1 (kc − x)
∴ f2k (0) = f1 (kc) = sin (πkc)
-1-
100
∑
k
(−1) f2k (0) =
k=1
100
∑
=
(
k
(−1) sin
k=1
100
∑
100
∑
(
k
(−1) sin
k=1
1
πk + kπ
6
7
πk
6
)
)
(
)
1
=
πk
sin
6
k=1
)
(
)
(
)
(
2
12
1
= sin
πk + sin
πk + · · · + sin
πk
6
6
6
+······+
(
)
(
)
(
)
(
)
97
98
99
100
+ sin
πk + sin
πk + sin
πk + sin
πk
6
6
6
6
√
√
3 √
1
3
3
= +
+1+
= + 3
2
2
2
2
(3)
f6 (0) = f5 (c − 0)
f5 (c) = f4 (−c)
f4 (−c) = f3 (2c)
f3 (2c) = f2 (−2c)
f2 (−2c) = f1 (3c) = sin (3cπ) = 0
となるのは、
3cπ = mπ ⇔ 3c = m(: m は整数)
このような (a, b) は
{a, b} = {1, 1} , {1, 3} , {2, 2} , {2, 6} , {3, 3} , {6, 6}
求める確率は、
2
8
=
36
9
-2-
【問題 2】
次の問いに答えよ。
(1) c を正の定数とする。正の実数 x, y が x + y = c をみたすとき、
)(
)
(
1
1
1+
1+
x
y
の最小値を c を用いて表せ。
(2) 正の実数 x, y, z が x + y + z = 1 をみたすとき、
(
)(
)(
)
1
1
4
1+
1+
1−
x
y
3z
の最大値を求めよ。
(1)
(
)(
)
1
1
1 1
1
1+
1+
=1+ + +
x
y
x y xy
c
1
=1+
+
xy xy
1+c
1+c
4(1 + c)
=1+
≧ 1 + c2 = 1 +
xy
c2
4
]
[
c2
√
x + y ≧ 2 xy ⇔ xy ≦
4
等号は x = y のときに成り立つ。
(2) xy = v とおくと、x + y = 1 − z, x > 0, y > 0 であるから、x, y は
t2 − (1 − z)t + v = 0
の2正解である。このためには、z > 0 の満たすべき条件は、
(1 − z)2 − 4v ≧ 0, 1 − z > 0, v > 0, z > 0
1
⇔ 0 < v ≦ (1 − z)2 , 0 < z < 1
4
ここで、
(
)(
)(
)
1
1
4
w = 1+
1+
1+
x
y
3z
-3-
とおくと、
(
)(
)
1+x+y
4
w = 1+
1−
xy
3z
(
)(
)
2−z
4
= 1+
1−
v
3z
ここに、
2 − z > 0, 1 −
4
<0
3z
であるから、w は v の単調増加関数。したがって、z を固定したもとでの w の
最大値 M は
(
)(
)
4 (2 − z)
4
M = 1+
1−
3z
(1 − z)2
(
)(
)
4
4
=
1−
2
3z
(1 − z)
=
(z − 3)2 (3z − 4)
3z (1 − z)2
ここに、
dM
3(z − 3)(2z − 3)(2x − 1)
=
dz
3(x − 1)3 x2
であるから、M の増減は下表のようになる。
z
···
1
2
···
M′
+
0
−
M
極大
よって、求める最大値は、
( 5 )2 ( 5 )
−2
−
125
Mmax =
( 1 )3 2 = −
3
3 2
-4-
【問題 3】
座標平面において、原点 O を中心とする半径 r の円と放物線 y =
は、ただ1つの共有点 (a, b) をもつとする。
√
2(x − 1)2
(1) a, b, r の値をそれぞれ求めよ。
(2) 連立不等式
a ≦ x ≦ 1, 0 ≦ y ≦
√
2 (x − 1)2 , x2 + y 2 ≧ r2
の表す領域を、x 軸のまわりに1回転してできる回転体の体積を求めよ。
(1) (a, b) での x2 + y 2 = r2 の接線の傾きと (a, b) での y =
きが等しいから、
√
a
−a
− = 2 2 (a − 1) ⇔ b = √
b
2 2 (a − 1)
また、(a, b) を共有するから、
√
b = 2(a − 1)2
b を消去すると、
√
−a
√
= 2 (a − 1)2
2 2 (a − 1)
⇔ 4a3 − 12a2 + 13a − 4 = 0
(
)
⇔ (2a − 1) 2a2 − 5a + 4 = 0
1
∴ a=
2
これより、
√
2
− 12
)=
b = √ (1
4
2 2 2 −1
1 1
6
+ =
8 √4
16
6
∴ r=
4
r2 =
-5-
√
2(x − 1)2 の接線の傾
(2) 連立不等式を表す領域は下図の斜線部分である。これを x 軸のまわりに回転
してできる立体の体積 V は
∫ 1 {√
∫ r
}2
{
}
2
V =
π
2 (x − 1)
dx −
π r2 − x2 dx
a
a
[
[
]1
]r
1 3
2
5
2
−π r x− x
=π
(x − 1)
5
3
a
a
{
}
2π
1
2
5
3
2
3
= − (a − 1) − π
r −r a+ a
5
3
3
(
√ )
6
19
−
π
=
120
16
y
√
2
4
( 12 ,
√
2
)
4
x
1
-6-
【問題 4】
正の整数 n に対して
Sn =
n
∑
1
k=1
k
とおき、1 以上 n 以下のすべての奇数の積を An とする。
(1) log2 n 以下の最大の整数を N とするとき、2N An Sn は奇数の整数である
ことを示せ。
(2) Sn = 2 +
m
となる正の整数の組 (n, m) をすべて求めよ。
20
(3) 整数 a と 0 ≦ b < 1 をみたす実数 b を用いて、
A20 S20 = a + b
と表すとき、b の値を求めよ。
(1)
[log2 n] = N ⇔ N ≦ log2 n < N + 1
⇔ 2N ≦ n < 2N +1
とおく。
An = (n 以下の奇数の積)
とする。この時、1 ≦ k ≦ n (k : odd) なる k に対して、
1
2N An = even
k
である。また、1 ≦ k ≦ n (k : even) なる k に対しては、
k = 2m K (m ≦ N, K < n, K : odd)
となる m, K が存在するから、m < N のときは、
1
2N An = even
k
であるが、m = N のときは、
1
2N An = odd
k
であるから、2N An Sn は奇数の整数である。
-7-
(2) Sn = 2 +
m
20
のとき、
(
m )
2N An Sn = 2N An 2 + 2
2 ·5
は奇数であるから、N = 2 であり、22 ≦ n < 23 である。また、n ≧ 5 である。
よって、n = 5, 6, 7 である。
137
17
S5 =
=2+
60
60
49
9
S6 =
=2+
20
20
363
83
S6 =
=2+
140
140
であるから、n = 6, m = 9 が求めるもの。
(3) 以下、
R (x)
を x の小数部分とする。
19
∑
1
A20
k
k:odd
は整数だから、求める b は
(
)
20
∑
1
b = R A20
k
k:even
A20 ≡ 1 (mod2) ,
A20 ≡ 1 · 3 · 1 · 3 · 1 · 3 · 1 · 3 · 1 · 3 (mod4) ≡ 3 (mod4)
A20 ≡ 1 · 3 · (−3) · (−1) · 1 · 3 · (−3) · (−1) · 1 · 3 (mod8) ≡ 3 (mod8)
A20 ≡ 1 · 3 · 5 · 7 · (−7) · (−5) · (−3) · (−1) · 1 · 3 (mod16)
≡ 9 · 25 · 49 · 1 · 3 (mod16) ≡ 3 (mod16)
A20
A20
A20
A20
≡ 1 (mod2) ,
≡ 1 (mod2) ,
≡ 1 (mod2) ,
≡ 1 (mod2) ,
3
5
7
9
A20
A20
≡ 1 (mod4) ,
≡ 3 (mod4)
3
5
であるから、
(
)
20
∑
1
1 1 1 1
1
1
1
1
1
1
A20
= A20
+ + + +
+
+
+
+
+
k
2 4 6 8 10 12 14 16 18 20
k:even
-8-
の小数部分は、
{
}
{
(
)}
20
∑
1 1 1 1
1
1
1
1
1
1
1
R A20
= R A20
+ + + +
+
+
+
+
+
k
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
( k:even
)
1 3 1 3 1 1 1
3
1 3
=R
+ + + + + + +
+ +
2 4 2 8 2 4 2 16 2 4
13
=
16
-9-
【問題 5】
円上の 5 点 A,B,C,D,E は反時計回りにこの順に並び、円周を 5 等分している。
−→ −
→ −→ −
→
5 点 A,B,C,D,E を頂点とする正五角形を R1 とする。AB = a , CD = c とお
−
→
き、 a の大きさを x とする。
−→
(1) AC の大きさを y とするとき、x2 = y(y − x) がなりたつことを示せ。
−→ −
→ −
→
(2) BC を a , c を用いて表せ。
(3) R1 の対角線の交点として得られる R1 の内部の5つの点を頂点とする正
五角形を R2 とする。R2 の一辺の長さを x を用いて表せ。
(4) n = 1, 2, 3, · · · · · · に対して、Rn の対角線の交点として得られる Rn の内
部の5つの点を頂点とする正五角形を Rn+1 とし、Rn の面積を Sn とする。
n
1 ∑
(−1)k+1 Sk
lim
n→∞ S1
k=1
を求めよ。
A
B
E
C
斜線部分が R2
-10-
D
(1)
−
→
a
AC と BE の交点を F とすると、
△ABC ∽ △AFB
F
B
であるから、
E
y
AB : AC = AF : AB
x:y =y−x:x
∴ x2 = y (y − x)
C
−
→
a
(1) より、
(y)
−
1=
x
x
( y )2 ( y )
−1=0
−
x
x√
y
1+ 5
∴
=
x
2
−→ y −→
BC = AG
x
y (−→ −→)
AB + BG
=
x(
y −→ −→)
=
AB + CD
x √
→ →
−)
1 + 5 (−
=
a + c
2
C
(3) FG=x + x − y = 2x − y である。これが R2 の一辺になる。
√
1+ 5
x
2x − y = 2x −
2
√
3− 5
=
x
2
√
3− 5
である。
(4) Rn と Rn+1 は相似でありその相似比は r =
2
Sn+1 = r2 Sn
-11-
A
F
B
D
−
→
c
(2)
( y )2
A
G
−
→
c
E
D
だから、
n
n
( )k−1
1 ∑
1 ∑
k+1
(−1)
Sk =
(−1)k−1 r2
S1
S1 k−1
S1 k−1
n
1 − (−r2 )
=
1 + r2
3 − √5 <1
2 だから、
√
n
3
+
5
1 ∑
1
lim
(−1)k+1 Sk =
=
2
n→∞ S1
1+r
6
k−1
-12-