学校保健研究部

学校保健研究部
地球規模での環境の変化や社会環境の変化は、今日の子どもたちの生活習慣に大きな影響を
及ぼし、子どもたちの健康課題は、ますます多様化しつつある。そこで、学校保健研究部では、
ひとりでも多くの子どもたちが健康な生活をおくれるよう、健康生活のための情報提供や具体
的な保健指導実践の工夫などについての研究を進めてきた。
1.歯と口の健康に関する保健指導
志村A地区
(1)主題設定の理由
長年にわたる学校・家庭・地域社会の歯科保健の取り組みにより、むし歯は減少し、健
全歯の児童が増えるなど成果が現れ、よい状況になっている。しかし、ここ数年は,児童
生徒の「歯周病」や「口の機能に関する課題」など、新たな健康課題がでてきている。こ
のような実情を踏まえ,歯・口の健康の大切さを認識し、自分の健康課題をみつけ、健康
行動を実践できる児童を育てたいと考え,本主題を設定した。
(2)研究の内容・進め方
・二つの分科会に分かれ、低学年は「むし歯予防」高学年は「歯肉炎予防」をテーマに指
導内容の検討、資料の作成、実践に取り組むことにした。
・教材として、紙芝居の他にパソコンを活用した指導資料の作成に新たに取り組んだ。
・児童が、自分の体や健康への関心が高まる発育測定の時間を利用して指導できる内容と
した。
(3)まとめと今後の課題
児童にとって,歯や口の健康は身近で関心の高い内容であることや、作成した紙芝居や
パソコンを使って提示した資料が、分かりやすく親しみやすいものであったようで、真剣
に保健指導を聞く様子が見られた。
自分の体や健康に関心が高まる発育測定の時間は、短い時間ではあるが保健指導を実施
しやすく、指導効果も期待出来る。今後も指導内容や教材の工夫を重ね、児童の健康づく
りに役立つ保健指導を行っていきたい。
2.心と体のつながりについての指導
志村 B 地区
(1)主題設定の理由
子どもたち同士で相手を傷つける言葉を発するなど、思いもよらない衝動的な行動をと
る場面を目にすることが多くなってきたように思われる。
子どもたちに、
“心と体は深く影響しあっている”ことを気づかせ、お互いを認め合いな
がら成長していってほしいとの願いから、昨年度は「脳のしくみや働き」
「心と体のつなが
り」について指導をおこなった。
今年度は、心と体のつながりからさらに、『心の健康』への取り組みを考えるとともに、
昨年度から継続している紙芝居を完成させ、実践に生かしたいと考え、本主題を設定した。
(2)研究内容・進め方
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①教材の工夫と活用
「紙芝居・心の健康」
②保健指導の工夫と実施
「思春期の心」
③特別支援教育についての研修とまとめ
(3)まとめと今後の課題
ブロック12校に実施したアンケートでは、どの学校の保健室からも、同じような子ど
もたちの実態が出され、この研究テーマが必要性の高いもので、生きた指導になると実感
した。どのような場面でも、どの学年でも活用できる、紙芝居が完成し、実践に生かすこ
とができた。また、「心と体のつながり」から「思春期の心」と継続した保健指導を実施し、
成果を得ることができた。
保健室での活動と平行して指導を行ってきたが、保健指導の時間確保が難しいというこ
とも事実である。しかし、繰り返しの指導が大切だということはいうまでもない。
今後もさらに研究を深め、保健指導の充実を目指していきたい。
3.「基本的生活習慣」を重点とした保健指導
~排便と健康~
板橋A地区
(1)主題設定の理由
規則正しい生活リズム・基本的な生活習慣は子どもの健康の基本となるものだが、近年
それが身についていないと思わる児童が少なくない。これまでも、基本的な生活習慣を身
に付け、自分の健康は自分で考え、実践できる児童の育成を目指し、「朝食」「睡眠」等の
研究を進めてきた。それらの成果を生かし、今年度は「排便」に関して研究を深めたいと考
え本主題を設定した。
(2)研究内容・進め方
①本地区1,2年生に実態調査を行い、分析考察をする。(調査時期…6月)
②本地区1,2年生保護者に実態調査を行い、分析考察する。(調査時期…10月)
③主に2学期の発育測定で排便に関する保健指導等を実施する。
④実施後、指導内容や指導方法について検討し、さらに保健指導の充実を図る。
(3)まとめと今後の課題
排便の実態調査から、毎朝、排便している児童は約 4 割だった。保健指導を実施するこ
とで生活習慣を整えると排便のリズムも整い、健康に過ごせるという意識付けができ、
「睡
眠」や「食事」などに気をつけ、良便を待ち望む姿が見られた。また、保護者へのアンケ
ートを実施したことで、家庭との連携が深まり、実践に協力してもらうなど指導の充実が
図れた。
今後は、排便をはじめ基本的生活習慣はそれぞれが、深く関わりあっているので、それ
らを充実させるために継続した指導が必要となる。また、排便を始めとする生活習慣は保
護者の協力が不可欠なので、連携を取りながら指導を進めたい。
4.生活習慣に関する保健指導~早起き・早寝・朝ごはん~
板橋 B 地区
(1) 主題設定の理由
昨年度、生活習慣の実態を知るため、3年生を対象にアンケートを実施した。その結果、
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生活習慣が身についていないことが分かった。今年度は引き続き、より良い生活習慣の定
着を図るために、全学年にアンケートを実施し各学年の実態に応じた、健康的な生活を送
るための手だてを考えていこうと本主題を設定した。
(2) 研究内容・進め方
4・5月
研究主題・研究方法の検討
6~8月
生活の様子アンケート内容検討・作成 教材の研究
9~11月 生活の様子アンケート実施とまとめ 教材作り 指導案検討
11~1月 指導案検討 実践 実践報告
2月
研究のまとめ
(3) まとめと今後の課題
アンケートを全学年に実施することで、生活習慣に関する各学年の実態を把握すること
ができた。アンケート結果を活用し、教材を工夫しながら各校で保健指導に取り組み、保
護者会、個人面談、各種おたより等の資料とすることで、保護者への啓発の機会となった。
今後も引き続き発達段階に応じた指導を継続、充実させていきたい。また様々な場面で繰
り返し働きかけることで、学校と家庭の連携を深め、意識の定着を図ることが大切である
と考える。
5.子どもの興味をひく教材つくり
上赤塚地区
(1) 主題設定の理由
上赤塚地区は比較的大規模校が多く、けがや体調不良を訴え保健室に来室する児童が多
い。そのため日常の様々な場面で、児童に対して保健指導の充実が不可欠であると感じな
がらも、実際には発育測定時の指導さえも、実施できない実情がある。
そこで保健に関する資料や情報を、保健室前の廊下や校内の人通りの多い場所、目につ
きやすい場所に提示してみたいと考えた。
資料や情報が、子どもの目にふれる機会を多くすることにより、子どもの保健に関する
興味・関心を引きだしていきたいと考え主題を設定した。
(2)研究内容・進め方
1学期
・研究テーマの設定と研究内容の検討
2学期
・月別担当者の決定と、資料情報の収集
・掲示物の作成
3学期
・研究のまとめ 研究集録作成 研究発表の準備
(3)まとめと今後の課題
① 作成した掲示物は、実際にさわったりできるなど体験できる物が多く、子どもたちは興
味をもって楽しく学習することができ好評だった。
②12か月分の掲示物を個人で作成するのは大変であるが、地区で分担することで楽に作
ることができた。また作成した掲示物は、部員の共有の資料として必要時には貸し借りす
ることで機会に応じた指導ができたり、指導内容を広めたりできた。
③資料は掲示にとどまらず、児童への指導につなげていけるよう、さらに工夫したい。
(研究推進委員)
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