Flyer re Title - みずほ投信投資顧問株式会社

お客様用
インベストメント・ストラテジー & エコノミクス
チーフ・エコノミスト シェーン・オリバー
Viewpoint
2016 年 8 月 2 日
豪州準備銀行が政策金利を 1.50%に引き下げ
豪州準備銀行(RBA)は 8 月 2 日(火)に開かれた定例理事会において、事前の市場予想通り政策金利を 0.25%引き下げ
過去最低の 1.50%とすることを決定しました。
利下げに対する事前の見方として、市場は 70%の確率で利下げを織り込んでおり、エコノミストの 80%が利下げを支持する
との見方を示していました。
RBA は利下げを決定した背景として、インフレ率が徐々に目標レンジへと戻る中で、豪州経済の持続的成長の見通しは金融
緩和によって改善するだろうと説明をしました。
RBA は、豪州経済について”緩やかなペースで経済が成長している”との見方を示しており、今回の利下げは、合理的な時
間軸のなかでインフレ率が 2-3%の目標レンジに戻ることを目指した期待インフレ率への働きかけと、米連邦準備制度理事
会(FRB)による利上げが遅れるなか、上昇圧力がかかっていた豪ドルの調整を狙ったものと見られます。
期待インフレ率の一層の低下は賃金上昇ペースの更なる鈍化を引き起こし、上昇ペースが過去最低を更新する水準まで落
ち込めば、インフレ率を 2-3%に戻すことは更なる困難を伴います。インフレ率が低水準に留まる時間が長いほどリスクが増
大するということは、他の先進国の過去数年の状況を見ても明らかです。
当資料は、投資の参考となる情報の提供を目的として、AMP キャピタル・インベスターズ・リミテッド(オーストラリアにおける登録番号:
AMP キャピタル・インベスターズ株式会社
ABN 59 001 777 591; AFSL 232 497)から提供された情報をもとに AMP キャピタル・インベスターズ株式会社が作成したものであり、特定の
登録番号: 関東財務局長(金商)第 85 号
有価証券への投資を勧誘する目的で作成したものではございません。当資料は、各種の信頼できると考えられる情報に基づいて作成されており
加入協会: 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会
ますが、情報の正確性、完全性が保証されているものではありません。当資料中のいかなる内容も将来の投資成果及び将来の市況環境の変動等
を保証するものではありません。当資料の記述内容、数値、グラフ等は作成時点のものであり、予告なく変更される場合があります。
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通貨という観点から見ると、観光や製造業、教育など、貿易と結びついたセクターについて、RBA は引き続きサポートをする
姿勢を示しています。問題は、米国における追加利上げの遅れをはじめグローバル経済における緩和的な金融政策が長引く
ほど、豪ドルは上昇圧力に晒されます。利下げの決定を受けて豪ドルは僅かに上昇しており、豪ドルへの上昇圧力が強いこ
とが改めて認識させられます。豪ドル高は豪州における経済の調整を遅らせる可能性があると RBA が懸念を示したように、
仮に利下げが見送られていた場合、1 豪ドル 0.78 米ドルか 0.80 米ドル程度まで上昇した可能性があります。
最後に、5 月の利下げを受けて、銀行による住宅ローン金利の引き下げの動きは、一部の大手銀行が 0.1-0.3%程度の引き
下げを行うに留まっています。これらは、主要銀行が、資本の維持という圧力と、より魅力的な定期預金金利を提示するため
の競争に晒されているということが背景にあります。このような状況を踏まえると、中小規模の金融機関が市場シェアを獲得
するために住宅ローン金利を引き下げる動きに出る可能性があります。
さらなる利下げはあるのでしょうか?
利下げ決定後の RBA による今後の金融政策の方向性についてのガイダンスからは、あまり明確なメッセージは発信されま
せんでした。金融政策を変更した後、将来の政策については一旦ニュートラルのスタンスになるとの市場の結論に行き着きま
す。しかしながら、7-9 月期のインフレデータは RBA が望むよりも低い水準に留まるとの見通しと、豪ドルに対する上昇圧力
が引き続き残るという見方を背景に、弊社では 11 月にもう一段の利下げを予想しています。
今回の RBA による利下げが、再びシドニーとメルボルンにおける住宅価格上昇の引き金になるリスクがあることは明らかで
す。しかし、最近は銀行が融資に対して一段と慎重な姿勢をとっていることや、かなりの数の集合住宅がこれから市場に供給
されることを勘案すると、RBA が住宅価格の上昇リスクに対して以前よりは楽観視していることは明白です。万が一住宅価格
の上昇リスクが顕在化するような状況になれば、RBA は豪州健全性規制庁(APRA)と協働してその抑制に努めることは確
実です。
銀行預金からの金利収入に依存している投資家にとっては、RBA の利下げはあまり歓迎すべき政策ではありません。とはい
え、一部の銀行では最近、預金金利をわずかでも引き上げて預金を集めようといった競争が見られています。問題は、預金
金利が依然として超低金利にあることです。現在、現金あるいは定期預金で運用する投資家にとって鍵となるのは、何が彼ら
にとって重要であるかと分析することです:元本の確保であるのか、それともある程度のボラティリティを許容してもより高く、
より安定した収入を獲得することであるのかです。これについては、いくつかの代替案があります。比較的高く安定した配当
利回りを提供する株式への投資や、商業不動産、社債、インフラ等への投資がそれにあたります。
当資料は、投資の参考となる情報の提供を目的として、AMP キャピタル・インベスターズ・リミテッド(オーストラリアにおける登録番号:
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