相対運動

2011 年度 3EC 応用物理 I (力学) 補助プリント No.20
非慣性系・回転座標系
群馬高専 一般教科 (自然科学) 小林晋平
2012. 2. 7.
講義のまとめ
1
• 相対速度が互いに等速であるような座標系:慣性系
→ 慣性の法則が成り立つ
• 相対速度が互いに等速でない,つまり加速度運動している座標系:非慣性系
→ 慣性の法則が成り立たない
→ ニュートンの運動の 3 法則とつじつまを合わせるためには慣性力の導入が必要
• 慣性力:質量 m の物体が大きさ a の加速度で動いている系に乗ると,加速度と逆向きに大きさ
ma の力(慣性力)を受ける.
• 慣性力の例:遠心力
• ターンテーブルのような回転している板に乗っている観測者
→ 速度は時々刻々変わっている,つまり加速度がある(中心方向)
→ 遠心力とコリオリの力という 2 つの慣性力を受ける
2
2.1
演習
加速度運動と慣性力
加速度 a で水平面上を直線運動する電車の天井に,質量 m のおもりを長さ l の糸で吊るしてある.
糸と鉛直方向とのなす角 θ を小さい角 θ0 にして手を離したら,おもりは動かなかった.重力加速度を
g として以下の問いに答えよ.
(1) tan θ0 の値はどれだけか.
(2) 次に,おもりを持って θ = 0 にして手を離したら,おもりは振動した.車内の人が観測する振動の
周期 T はどれだけか.
(3) 横軸に手を離してからの経過時間 t を,縦軸に θ をとってグラフを書け.振れ角 θ は常に十分小さ
いとしてよい.
(4) θ = θ0 の瞬間のおもりの速さと糸の張力を求めよ.
(解答:
a
(2) T = 2π
(1) θ0 =
g
√
√
l
g 2 + a2
(3) θ(t) = θ0 − θ0 cos
1
√
2π
t のグラフ (4) m g 2 + a2 (3 − 2 cos θ0 ) )
T
2.2
回転座標系・遠心力・コリオリの力
ある慣性系 S に対し,z 軸を回転軸として角速度 ω で回転している座標系 S’ を考える.それぞれの
座標を x, y, z ,x′ , y ′ , z ′ と表す.今,t = 0 でこれらの座標 x 軸と x′ 軸,および y 軸と y ′ 軸が一致して
いたとする.
(1) 時刻 t でのそれぞれの座標の関係が
x = x′ cos ωt − y ′ sin ωt
y = x′ sin ωt + y ′ cos ωt
となることを図を使って確認せよ.
(2) 上の結果を使い,d2 x/dt2 , d2 y/dt2 を x′ , y ′ などを使って表せ.
(3) S 系での力が F = (Fx , Fy ) であるとする.時刻 t での,S’ 系で見た力の成分 Fx′ , Fy′ は Fx , Fy , ω, t
を使うと
Fx′ = Fx cos ωt + Fy sin ωt
Fy′ = −Fx sin ωt + Fy cos ωt
であることを図を使って確認せよ.
(4) S 系での x, y 方向の運動方程式
d2 x
= Fx
dt2
d2 y
m 2 = Fy
dt
m
を使い,S’ 系の運動方程式を書け.
(5) S’ 系の方程式では,力 Fx′ , Fy′ 以外の項がいくつか現れる.それぞれが何を表すか説明せよ.
2