物理 復習プリント (物理・第1篇「力と運動」 その2 斜方投射詳説)

物理
復習プリント
(物理・第1篇「力と運動」 その2 斜方投射詳説)
Jul. 2016 ©T. Hasegawa
1. 斜方投射の式をしゃぶりつくす
図1
時間 t = 0 に、初速 v0、角度で物体を斜方投射したときの、物体の時間 t における位置は、以下の式で与えられ
る。
=
=
cos
sin
−
(1)
1
2
(2)
教科書等では、この物体が描く軌道が放物線であることについて簡単に触れているが、詳しくは説明されていな
い。せっかくの機会なので、様々な視点から、この斜方投射を調べてみることにする。
1 – 1 斜方投射の軌跡を求める
(1)、(2)式は、t を媒介変数として x、y が結び付けられていることを示している。t を消去すれば、y を x の関数
としてあらわすことができるだろう。まず、(1)式から、
=
を得る。この t を(2)式に代入して、
=
sin
cos
−
1
2
cos
cos
= tan
−
2
cos
を得る。この式は、x2 の係数が負であるので、上に凸の 2 次曲線であることが直感的にわかるだろう。グラフを
書くために、この式を平方完成する。
1
= tan −
=−
2
2
cos
−
cos
=−
2
=−
tan cos
−
cos
この最後の式、
=−
2
cos
+
cos sin
cos sin
−
cos
2
− tan
2
cos
+
+
2
cos
tan cos
sin
2
sin
2
が、平方完成した、斜方投射の軌跡を表す式である。この式より、軌跡の軸(x 座標)は、
cos sin
=
(3)
(4)
であることがわかる。この位置は、再落下位置のちょうど半分でもある。また、軸の y 座標(頂点)は、
sin
2
=
(5)
である。この頂点の x 座標、y 座標が、プリント 1-1 平面内の運動での(6-a)式、(6-b)式に一致することを確認して
ほしい。
1 – 2 斜方投射の式(3)で、水平投射を試してみる。
(3)式や、頂点の座標を表す(4)、(5)式は複雑で、本当にあっているかどうかよくわからない。そこで、極端な、わ
かりやすい例で、この式の妥当性を確認してみよう。
 = 0°の場合、頂点の位置は( x, y ) = (0, 0)となる。(∵(4)、(5)式で、sin  = 0 )。軌跡を示す、(3)式は、
=−
(6)
2
となる。この式は、原点を頂点に持つ、上凸の二次曲線である。すなわち水平投射に相当する。(6)式が、教科書
の水平投射の式(p17、(23)式)に一致することを確かめてみよう。なお、教科書の式は、y 軸を下向きに取って
いるので、上(6)式とは符号が逆になっていることに注意。
なお、 = 90°の場合は鉛直投げ上げになる。残念ながらこの場合、(3)式は使えない。右辺第一項が cos で割り
算されているが、この場合ゼロで割り算をすることになってしまうからである。
(この式の形では y の最大値が
であること以外は分からず、y の値を決定することはできない。
)
水平投射は、放物線を描いて物体が飛んで行くが、鉛直投げ上げは放物線を描かないので、しかし、頂点の座
標を求める、(4)式、(5)式は生きていて、頂点の x 座標はゼロ(鉛直投げ上げなので水平方向の移動は無い)
、y 座
標の値は、 =
2 である。この値が鉛直投げ上げの最高点と一致することを確かめてみよう。
2
2. モンキーハンティングを考える
図2
教科書「物理」p24 の問題 4 は、小球 1 を斜方投射し、自由落下する小球 2 に衝突させる場合の条件を求める問
題である(モンキーハンティングの問題)。図 2 が問題の状況である。教科書の順序に従って解いていこう。教
科書では、小球 2 の初期位置を( x0, y0 )としているが、ここでは ( l, h )と書き換えているので注意してほしい(x
や y がたくさん出てくるとややこしいため)
。
(1) 小球 1 が点 P の真下の点を通過するまでの時間 t を求めよ。
小球 1 が小球 2 の落下線上(図の縦の点線)に到達する時間を聞いている問題である。小球 1 がこのライン上に
到達したときに、両者が同じ高さ(y 座標)であれば衝突するわけである。
小球1の水平方向の初速は v0sin  であり加速度は働いていないから、速度は一定である。この速度で、l 進む
ための時間を求めればよい。すなわち、
=
である。
(7)
cos
(2) (1)のときの、小球 1 の y 座標 y1 と、小球 2 の y 座標 y2 を求めよ。
小球 1 が小球 2 の落下線上に到達したときの、各々の高さを聞いている問題である。小球 1 の y 座標は(2)式であ
り、小球 2 は初期位置 h から、初速ゼロ、重力加速度 g で落下しているのでそれぞれ、
=
sin
=
−
1
2
−
1
2
(2 再)
(8)
である。それぞれの式に、(7)式を代入して、小球 1 が小球 2 の落下線上に到達したとき、
=
sin
cos
−
1
2
= tan −
cos
3
2
cos
(9)
=
−
1
2
=
cos
−
2
cos
(10)
である。小球同士が衝突するのは、この y1 と y2 が同じ高さになるときである。(9)、(10)式が等しいとおくと、そ
れぞれの式の最後の項は同じであるから簡単になって、
すなわち、
= tan
tan
=
のときである。これは、何を意味しているのであろうか。
実は、この結果は、
「最初に、角度を tan  = h / l となるように合わせて物体を投射すれば、必ず、衝突する」と
いうことを表している。角度を tan  = h / l に合わせるというのは、原点から見て、小球 2 のスタート位置めが
けて投射を開始するということである(図 3)。この結果には速度の条件は入っていないので、速度が速いとか、遅
いは衝突の条件には無関係である。
(もちろん、速度が遅いと、小球が衝突する前に地面に到達してしまうという
ことはある。)
図3
(第 1 篇「力と運動」その 2 斜方投射詳説 おわり)
4