インド石炭産業 インドネシアの輸出に二重の打撃

インド:インド石炭産業 インドネシアの輸出に二重の打撃
2016 年 7 月 28 日掲載
7 月 14 日付けの地元報道によると、インド石炭産業の輸入国から潜在的な輸出国への変化は、資源依存
型経済であるインドネシアの石炭会社には打撃である。過去 5 年間、石炭価格は低下し、中国の購入量も
減少している。インドネシアはインドから二重の打撃を受けている。打撃は、主要な輸出市場が 2 年間で
輸入を徐々に終わらせることと、
インドネシアが優位な石炭市場へ、
輸出開始の準備を行なっていること。
インド石炭公社(CIL)は、首相からの 10 年間で生産量倍増に向けた環境整備、選挙公約の 13 億人への
電力供給の指示に従い、1 カ月に 1 炭鉱のペースで新規炭鉱開発および既存炭鉱の拡張を行なっている。
Sanaman Coal 社(南 Sumatra にて小規模・未稼動炭鉱を保有)の最高責任者は、インドネシアで、イン
ドの需要の変化を最も痛切に感じているのは、南 Sumatra 州の低品位炭石炭会社だとした。また、南
Sumatra 州、Jambi 州では、全てをインド市場向けとしていたため、閉鎖する石炭会社が多く、周辺の生
産炭鉱でも、悲惨な状況にあるとした。大手の Adaro Energy 社、Berau Coal Energy 社、PT BA 社でさ
え、インドとの長期供給契約が満了すると、仕事と生産量を削減せざるを得ないだろうとした。
インド石炭省幹部は、現状の高品位炭の低価格状況では、国内の低品位炭の販売は難しいと認めたが、
CIL はバングラデッシュへの石炭売り込みを行なっており、3 カ月以内の現場での活動を期待するとした。
Wood Mackenzie は、電力不足のバングラデッシュでは、石炭購入量は僅か 3 百万トン/年だが、今後、イン
ド・中国の援助による火力発電所計画(80 億 USD の投資)にて、石炭需要は 15 百万トンと見込んでいる。
インド沿岸部の火力発電所(高品位の輸入炭だけの使用で設計)の石炭輸入量は、2015 年度は 43.5 百万ト
ン(前年度比 3%増)。インド全体の 1 月~5 月石炭輸入量は 82.57 百万トン(前年度同期比 5.4%減)に低下。イ
ンドネシアは、まだ最大の供給者ではあるが、インド向けは 36.72 百万トン(前年度同期比 5%減)と減少、一
方、南アフリカは 16.58 百万トン(前年度同期比 25%増)と増加している。
(石炭開発部 辻
誠)
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