Q:演習問題2-1で、問題設定が真空膨張なので温度変化があるのではないでしょうか? A:まず、エントロピーは状態量なので、過程と関係ありません。最初と最後の状態だけ でエントロピー差が決定されます。また d'Q/T の積分は必ず可逆過程(準静的過程)で行 う必要があります。積分の際につかうこの過程と、問題中の真空膨張は関係ありません。 知るべきは、変化前の体積、温度と、変化後の体積、温度です。 この問題の場合、理想気体、とありますので、内部エネルギーは体積に依存しません。 (式で書けば(dU/dV)_T=0。) (統計力学によれば、1mol の単原子分子の理想気体では Cv=(3/2)R です。したがって、 U=CvT=(3/2)RT になります。) したがって、真空膨張の前後で温度は同じなので、等温変化で体積の変化する準静的過程 を考えて、d'Q/T を積分します。繰り返しますが、この過程と、問題設定の真空膨張は関係 ありません。 そういうわけで、 d'Q=dU+pdV かつ dU=0 から d'Q=pdV となり、 ΔS=∫pdV=RT∫(1/T)(1/V)dV=R∫(1/V)dV=R log(V2/V1) のようになります。
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