楽読 (ラクヨミ) 2016年7月20日 Vol. 1,122 中国のGDP成長率は巡航速度を保つ 中国の2016年第2四半期実質GDP(国内総生産)成長率は、政府が小康社会(ややゆとりある社会)を創るた めに設定した今年の経済成長率6.5~7.0%増の範囲内である、前年同期比6.7%増となりました。名目GDP の産業別比率では、製造業(第二次産業)は昨年末比約2%ポイント減の約39%となる一方、サービス産業 の産業別比率では、製造業(第 次産業)は昨年末比約2%ポイント減の約39%となる 方、サ ビス産業 (第三次産業)は同約4%ポイント増の約54%となり、政府が目指す製造業からサービス業への構造改革は、 着実に進んでいるとみられます。 なお、今回のGDP発表から研究開発費を固定資産として取り扱うこととなり、計算方法が見直されています。こ れにより、従来と比べて消費支出が減少し固定資産が増加するなどの影響が出ることになります。今回の見 直しは、習政権が経済政策の軸に据える企業のイノベーション促進を国際基準に合わせて反映する狙いがあ るようです。 16年1-6月の小売売上高は前年同期比10.3%増と2ケタの伸び率を維持し、中でもネット通販は同28.2%増と 高い伸びが続いています。また、輸出の前年同月比伸び率は、米ドル建ては減少傾向にあるものの、元建て では人民元安による輸出競争力の押し上げ効果などから増加が続いています。足元、米国の小売売上高が 3ヵ月連続で増加するなど、米国中心の消費拡大が中国の製造・生産を高め、今後は輸出ドライブがかかるこ とも期待されます。一方、固定資産投資では、民間部門の前年同月比伸び率は鈍化傾向ですが、公共工事な どを中心に国有部門は拡大傾向となっており、官主導で投資を下支えする構図にあるようです。 中国は、過剰生産設備などの解消や生産性向上を通じた供給サイドの改革、産業の高度化を図るなどして、 中国は 過剰生産設備などの解消や生産性向上を通じた供給サイドの改革 産業の高度化を図るなどして 構造改革を進めています。現状、この改革を遂行し経済を高度成長から安定成長へと移行する過渡期にある ことに鑑みれば、今年の経済成長率は、これまでのところ適度な範囲内にあるといえそうです。足元、政治面 で南シナ海問題などを抱えていますが、個人消費が堅調に推移し、外需の底打ちの兆しが見られることなどか ら、経済成長率は政府の成長目標の範囲内で巡航速度を保っていくとみられます。 輸出の伸び率(前年同月比)の推移 実質GDP成長率(前年同期比)の推移 (%) (2008年1-3月期~2016年4-6月期) 16 14 全体 第一次産業 第二次産業 第三次産業 12 政府成長率目標6.5~7.0% 10 8 (人民元) (2015年6月~2016年6月) (%) 30 20 10 0 ‐10 ‐20 ‐30 米ドルベース(左軸) 米ドルベ ス(左軸) 人民元ベース(左軸) 人民元ベ ス(左軸) 人民元安 参考:人民元(対米ドル)(右軸) 人民元高 15/6 15/9 15/12 16/3 7.0 6.8 6.6 6.4 6.2 6.0 5.8 16/6 (年/月) 固定資産投資の伸び率(前年同月比)の推移 6 (2011年1月~2016年6月) (%) 4 2 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年) (CEICデータをもとに日興アセットマネジメントが作成) 国有部門 40 30 20 10 0 ※上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。 11 12 13 14 民間部門 15 16 (年) ■ 当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘資 料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料作成 時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産に は為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。 投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご 覧ください。 1/1
© Copyright 2024 ExpyDoc