マレーシアの発行体格付A/A+[安定的]を維持

NEWS RELEASE
2016年07月05日
【格付維持】
マレーシア
外貨建発行体格付: A [格付の方向性:安定的]
自国通貨建発行体格付: A+ [格付の方向性:安定的]
外貨建短期債務: a-1
格付投資情報センター(R&I)は上記の格付を公表しました。
【格付理由】
原油価格下落にもかかわらず、存在感を増してきた内需が主導し経済は底堅く成長している。対外面
での安定感はかつてのように盤石ではないが、経常収支は一定程度の黒字を維持する見込みだ。政府は
財政規律を維持する制度を整えるなど財政健全化に注力しており、財政赤字は緩やかに削減されよう。
金融部門にも大きな問題はない。以上を踏まえ、外貨建及び自国通貨建発行体格付を維持した。格付の
方向性は安定的。
資源のみならず電気・電子機器を中心に多様な産業が育っている。こうした産業構造が対外環境の変
化に対する経済の耐性を支えている。2015年は、原油価格の急落を背景に輸出や公共投資の減速などの
逆風が吹いたものの、堅調な民間需要が経済を牽引。実質国内総生産(GDP)は5%の伸びを保った。家
計の債務負担の増加には歯止めがかかり、好調な雇用環境を背景に債務返済能力も保たれている。経済
の対外開放度は高く、中国や欧州経済、原油価格の動向には引き続き目配りが必要だが、外的ショック
が生じない限り、今後も4%程度の安定した成長は続けるとR&Iではみている。
2011年まではGDP対比で2桁に達していた経常収支の黒字幅は急速に縮小し、2015年は3.0%。主要な輸
出製品の一つである電気・電子機器の純輸出額は、堅調な米国経済と通貨安を背景に増加基調にあり、
引き続き貿易黒字を支えるとみられる。経常収支は今後も黒字を維持しよう。外貨準備高は財・サービ
ス輸入に対するカバー率や短期対外債務との見合いで十分な規模を保っており、短期的な流動性の懸念
は乏しい。2008年以降、おおむね国際投資ポジション(IIP)の資産は負債を上回っている。
政府は2013年から財政改革に乗り出しており、2020年の財政均衡を目標に掲げる。原油価格の急落は
財政運営に大きな影響を与え、総歳入に占める石油関連収入の割合はそれまでの3割強から2015年には2
割に減少した。政府は経常支出の見直しなどの歳出削減を実施し、同年4月から導入された物品・サービ
ス税(GST)収入にも支えられ、財政赤字はGDP比3.2%に抑制された。2016年についても、原油価格の一
段の下落を受けてマクロ経済前提を変更した上で、財政赤字目標はGDP比3.1%を堅持する修正予算を発
表している。経常支出の見直しと開発支出の合理化で歳出を抑制する一方、低中所得者を対象に消費の
下支えを図る措置も導入している。環境が変化する中、財政収支目標を堅持する修正予算を迅速に編成
した政府の姿勢はプラスに評価できる。
連邦政府債務残高は増加が続いており、2015年末時点でGDP比54.5%。所得水準や資本市場の発展度合
いに照らせば、現段階では過大な債務負担という訳ではない。ただ、非居住者がリンギ建国債の保有
シェアを高めるなど、従来とは市場環境に変化が出ている。財政規律に対する関心は従来より高まって
いる。今後、財政健全化の基調を保つことは、財政面での安定性維持という観点からこれまで以上に重
要な意味合いを持つ。
その点で、政府が2016年予算から、3年間の中期財政フレームワーク(MTFF)を導入し、支出に上限を
設け数年先までを見据えた財政運営を行う姿勢を示したことはプラスに評価できる。他方、2015年に表
面化した政府投資会社1MDBの不正疑惑と債務問題については、公企業のガバナンスにかかる問題である
とR&Iでは認識している。公企業も含めた財政運営への信頼感を高めるためには、政治と公企業の関係の
透明性を高める取り組みが不可欠だ。
■お問合せ先 :インベスターズ・サービス管理部 TEL.03-3276-3511 E-mail [email protected]
■報道関係のお問合せ先 :経営企画室(広報担当) TEL.03-3276-3438
株式
会社
格付投資情報センター
〒103-0027東京都中央区日本橋1-4-1 日本橋一丁目三井ビルディング http://www.r-i.co.jp
信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見であり、事実の表明ではありませ
ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に
際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ
き、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。
ⓒRating and Investment Information, Inc.
NEWS RELEASE
【格付対象】
発行者:マレーシア
名称
格付
格付の方向性
外貨建発行体格付
A(維持)
安定的
自国通貨建発行体格付
A+(維持)
安定的
名称
格付
外貨建短期債務
a-1(維持)
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ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に
際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ
き、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。
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NEWS RELEASE
信用格付に関わる事項
信用格付業者
登録番号
株式会社格付投資情報センター
金融庁長官(格付)第6号
直近一年以内に講じられた監督上の措置は、ありません。
主任格付アナリスト
原 一樹
信用格付の付与について
代表して責任を有する者
細田 弘
信用格付を付与した日
2016年06月28日
主要な格付方法
ソブリンの格付の考え方 [2012.03.16]
上記格付方法は、格付を行うにあたり考慮した他の格付方法とともに以下のウェブサイトに掲載して
います。
http://www.r-i.co.jp/jpn/cfp/about/methodology/index.html
評価の前提は、以下のウェブサイトの格付付与方針に掲載しています。
http://www.r-i.co.jp/jpn/ratingpolicy/index.html
格付符号とその定義は、以下のウェブサイトに掲載しています。
http://www.r-i.co.jp/jpn/cfp/about/definition/index.html
格付関係者
マレーシア
注 格付関係者は、金融商品取引業等に関する内閣府令第三百七条に基づいて、R&Iが判断したものです。
利用した主要な情報 政府を含む公的機関が作成した財政・経済資料
品質確保のための措置 政府を含む公的機関が作成した、またはそれに準じた信頼性が確保さ
れている資料であること。
情報提供者 -
信用格付の前提、意義及び限界
R&Iの信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定
通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見です。R&Iは信用格付によって、個々の債務等
の流動性リスク、市場価値リスク、価格変動リスク等、信用リスク以外のリスクについて、何ら意見
を表明するものではありません。信用格付は、いかなる意味においても、現在・過去・将来の事実の
表明ではありません。また、R&Iは、明示・黙示を問わず、提供する信用格付、又はその他の意見に
ついての正確性、適時性、完全性、商品性、及び特定目的への適合性その他一切の事項について、い
かなる保証もしていません。
R&Iは、信用格付を行うに際して用いた情報に対し、品質確保の措置を講じていますが、これらの
情報の正確性等について独自に検証しているわけではありません。R&Iは、必要と判断した場合に
は、信用格付を変更することがあります。また、資料・情報の不足や、その他の状況により、信用格
付を保留したり、取り下げたりすることがあります。
利息・配当の繰り延べ、元本の返済猶予、債務免除等の条項がある債務等の格付は、その蓋然性が
高まったとR&Iが判断した場合、発行体格付又は保険金支払能力とのノッチ差を拡大することがあり
ます。
信用格付に関わる留意事項
当該信用格付は、格付関係者からの依頼によるものではありません。
格付関係者から信用評価に重要な影響を及ぼす非公開情報は入手していません。
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