28期 山田智偉 カオスとは? カオスの数学的定義は、研究者ごとに違い、 統一的な見解は得られていないがとりあえず は次のような特徴があります。 決定論的方程式に従いながらランダムに見え る複雑な振る舞いが発生する 短期的(リアプノフ時間程度)な未来の予測 は可能だが、長期的には予測不可能 初期値のわずかな違いが未来の状態に大きな 違いをもたらす初期値鋭敏性がある 位相空間について 物理での位相空間は,運動の状態を一点で 対応させることが出来るように考えた高次元 空間のことです。 ※物理の位相空間のことを,数学者は『相空 間』と呼び,数学の位相空間と区別していま す。 ストレインジアトラクター アトラクターとは何かを引きつけたり、吸 い寄せたりすることを意味します。 散逸系のカオス軌道を位相空間とにプロッ トすると不思議な形に吸い寄せられますが、 これをストレインジアトラクターと呼びます。 蝶の羽のような形をしたローレンツアトラ クタ-は三次元の位相空間のなかでループやら せんが 決して合流せず、交わることがありま せん。 ローレンツ方程式 x 対流の強さに比例する量 y 対流で上下する二つの流れの温度差に比例する量 z 上下方向の温度分布の差の線形関数から離れている度合いを示す量 ローレンツ方程式の発見の歴史 ローレンツ・カオスとはMITの気象学者であるエド ワード・ノートン・ローレンツ(Edward Norton Lorenz) が、 1960 年に、初期変数を色々変えてコンピュータシミュ レーションによる気象モデルを観察していたところ、気 象パターンが初期値のごく僅かな違いにより大きく発 散することに気づいたことが始まりと言われています。 これによりコンピュータによる気象の正確な長期予報 が不可能であることが明らかになりました。この結果を ローレンツは「Deterministic Nonperiodic Flow (決定 論的な非周期の流れ)」として1963 年に気象学の学会 誌に発表しました。
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