日本離床研究会教育講座「早期離床実践セミナー」 メールマガジン「Early Ambulation Japan」バックナンバー 「Early Ambulation Japan」 vol. 1 (21 July 2006) 皆さん、こんにちは。 日本離床研究会の曷川です。いよいよ創刊号の配信です! このメールマガジンによって早期離床の概念が広がり、一人でも多くの患者さんの 役に立つことを願っています。 創刊号からの特集は「体位変換するとどうして呼吸が良くなるの?」です。 それでは、いってみましょう! ☆体位変換するとどうして呼吸が良くなるの? vol. 1 「実践!早期離床」セミナーの中で体位変換が肺の酸素機能を改善させることを学 んだのを覚えていらっしゃいますか? Stiller(2000)は背臥位よりも腹臥位や前傾側臥位のほうが酸素化に有利であると結 論づけています。1) では、どうして体位を変えると酸素化が良くなるのでしょうか? ここではセミナーのひとコマをより深く掘り下げていこうと思います。 仰向けからうつ伏せにするとどうして酸素化がよくなるのか? 皆さんの中には次のように考えている方も多かったのではないでしょうか? 「背臥位で寝ていると、痰をはじめとした分泌物が背側に貯留する。血液もまた重 たいので背中側に多く分布している。 背臥位という姿勢は分泌物で目詰まりした肺胞のまわりに多くの血流が存在する為 ガス交換の効率が悪い。 だからひっくり返して腹臥位にすれば重たい血液は腹側へシフトして、良い肺胞の まわりにたくさん存在するようになる。 反対に背側の貯蓄物は重力でドレナージされてきれいになる。このような作用で酸 素化が良くなるのだ。」 この説の論拠となっているのは1960年代の論文です。 1964年、WESTらは横たわって寝た時の下側肺の血流が増加することを報告し、 姿勢を変化させると肺の血流は重力の影響を受けるのではないかと、J. Appl. Physiol .誌に発表しました。2) その後、HUGHESら(1968)も重力が肺の血流分布を決定する重要な因子ではない かと報告しました。3) これ以来、肺の血流分布と重力は密接な関係にあり、体位を変えると酸素化がよく なる主原因と考えられてきました。 (次号につづく) -----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------1) Stiller K : Physiotherapy in intensive care. Chest 118:1801-1813, 2000 2) West JB, Dollery CT, et al : Distribution of blood flow in isolated lung, relation to vascular and alveolar pressures, J. Appl. Physiol 19 : 713724,1964. 3) Huges JMB, West JB, et al : Effect of lung volume on the distribution of pulmonary blood flow in man, Respiration Physiology 4: 58-72, 1968
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