感染症・がんの治療薬 抗寄生虫薬・抗真菌薬 世界の感染症の現状 全死因 感染症および寄生虫疾患 下気道感染症 下痢症 HIV/AIDS 結核 世界3大感染症 マラリア 髄膜炎 麻疹 B型肝炎 脳炎 百日咳 梅毒 推計値(万人) 685 320 189 159 98 59 41 17 14 9 9 9 割合(%) 12.6 5.9 3.5 2.9 1.8 1.1 0.7 0.3 0.3 0.2 0.2 0.2 2011年死因別死亡(WHO) 寄生虫感染症 原虫感染症 胞子虫類 マラリア クリプトスポリジウム症 根足虫類 アメーバ赤痢 鞭毛虫類 ジアルジア症 トリコモナス症 蠕虫感染症 線虫類 蟯虫症 回虫症 吸虫類 肝吸虫症 肺吸虫症 条虫類 エキノコックス症 有鉤条虫症 抗原虫薬 抗マラリア薬 N H3CO マラリアの治療 H HO N 作用機序:ヘム重合によるヘム無毒化機構阻害 解熱作用あり 副作用:頭痛,眩暈,吐き気,嘔吐,食欲不振,発疹 視神経障害,血液障害,腎障害 キニーネ(経口) 妊婦禁忌(流産,早産,死産,奇形) 併用禁忌:アステミゾール(QT延長,心室性不整脈 ) メフロキン CF3 N CF3 マラリアの治療または予防 キニーネ誘導体,解熱作用なし HO H N 副作用:眩暈,頭痛,ふらつき,吐き気,腹痛,発疹 併用禁忌:キニーネ(急性脳症候群,呼吸困難,貧血) メフロキン(経口) 抗マラリア薬(海外) Cl H3CO N N HN HN N CH3 NH2 CH3 CH3 CH3 クロロキン(経口) プリマキン(経口) 三日熱マラリア,卵形マラリア, 四日熱マラリアにおける急性期治療 三日熱マラリア,卵形マラリアの再発予防 熱帯熱マラリアの生殖母胎殺滅 抗マラリアの標準薬だったが, 熱帯熱マラリアはほぼ耐性化 グルコースー6-リン酸デヒドロゲナーゼ 欠損者では溶血性貧血 日本では薬害のため使用禁止 腎炎に適用 → 眼障害 抗マラリア薬(海外) H CH3 O O H3C O H H O H CH3 O O OH O アルテスネート(座剤) 熱帯熱マラリア 赤血球に結合し,原虫細胞内Ca2+の貯蔵を変化 副作用:胃腸症状,眩暈 妊婦禁忌 抗マラリア薬(海外) H H3C Cl CH3 O O O H N H O CH3 OH CH3 OCH3 Cl CH3 アルテメーター・ルメファントリン(経口) 薬剤耐性熱帯熱マラリア 副作用:頭痛,眩暈,胃痛,食欲不振など 併用禁忌:エリスロマイシン,ケトコナゾール,イトラコナゾール, シメチジン,フレカイニド,メトプロロール,イミプラミン, アミトリプチリン,クロミプラミン,HIVプロテアーゼ阻害薬 抗トリコモナス薬 CH3 N CH3 N OH N NO2 メトロニダゾール トリコモナス(経口,外用) アメーバ赤痢,ランブル鞭毛虫(経口) 副作用:食欲不振,胃の不快感,吐き気 末梢神経障害,痙攣発作 妊婦禁忌(経口薬) O N O S CH3 NO2 チニダゾール(経口,外用) トリコモナス 副作用:食欲不振,胃の不快感,吐き気 末梢神経障害,脳波異常,痙攣発作 妊婦禁忌(経口薬) 作用機序:原虫のニトロ還元酵素系によってニトロソ化合物に変化し,DNA鎖を切断する 抗蠕虫薬 抗線虫薬 COOH O O CH3 CH3 O H CH3 H N OH S N OH CH3 COOH サントニン(経口) ピランテル パモ酸塩(経口) 回虫 回虫,鉤虫,蟯虫,東洋毛様線虫 リン酸代謝,糖代謝,生体内酸化機構を阻害 虫体の神経-筋伝達を遮断 副作用:吐き気,腹痛,頭痛,眩暈 副作用:腹痛,吐き気,頭痛,眩暈 抗線虫薬 CH3 N N O N CH3 CH3 ジエチルカルバマジン(経口) フィラリア 副作用:過敏症 死滅したフィラリアに対するアレルギー反応 抗線虫薬 エバーメクチンB1a ↓ イベルメクチン Streptomyces avermitilis グルタミン酸作動性Cl-チャンネルを介した神経・筋細胞の過分極 抗線虫薬 CH3 H O H3C HO H3CO O H3C O H3CO CH3 O O O H3C O H O H O H CH3 OH イベルメクチン(経口) 糞線虫症 疥癬・・・ヒゼンダニ感染症 オンコセルカ症,リンパ性フィラリア症(海外) 副作用:吐き気,痒み,眩暈,過敏症 CH3 CH3 抗吸虫薬 O N N O プラジカンテル(経口) 肝吸虫,肺吸虫,横川吸虫 副作用(少ない):吐き気,嘔吐,腹痛,下痢,頭痛,発疹 併用禁忌:リファンピシン・・・プラジカンテルの効果減弱 抗条虫薬 H N H N COOCH3 NH N COOCH3 NH H3C S N O メベンダゾール(経口) アルベンダゾール(経口) 鞭虫 包虫(エキノコックス) 妊婦禁忌 妊婦禁忌 副作用:吐き気,眩暈,頭痛,発疹 肝障害 副作用:肝機能障害,血液障害 抗真菌薬 真菌感染症に対する化学療法 表在性真菌症 皮膚の角質層,毛,爪 白癬菌症 Trichophyton属 深在性真菌症 内臓,中枢神経系 Candida属,Aspergillus属,Cryptococcus neoformans 日和見感染 ステロイド,免疫抑制薬,抗がん剤の使用 放射線療法 糖尿病,AIDS 真菌細胞の表層構造 マンナンタンパク質 細胞壁 β-1,6-グルカン キチン β-1,3-グルカン 細胞膜 エルゴステロール 抗真菌抗生物質 OH H3C HO OH O O CH3 OH OH OH OH OH O H H3C H3C HO H2N OH O COOH O アムホテリシンB Aspergillus,Candida,Mucor,Cryptococcus,Blastomyces, Histoplasma,Coccidioides等による深在性感染症(注射) 消化管カンジダ症(経口) Streptomyces nodosusが生産するポリエンマクロライド 細胞膜エルゴステロールと結合し,細胞膜機能を障害 → 殺菌的に作用 深在性真菌症治療のゴールデンスタンダード 副作用:腎障害,皮膚障害 抗真菌抗生物質 OH H3C HO OH O O CH3 OH OH OH OH OH O H H3C H3C HO H2N OH O O ナイスタチン Streptomyces noursei 消化管カンジダ症(経口) 皮膚カンジダ症,外陰カンジダ症(外用) 副作用:皮膚障害 COOH アゾール系(イミダゾール系)抗真菌薬 Cl O Cl Cl N Cl N ミコナゾール Aspergillus,Candida,Cryptococcus,Coccidioidesによる深在性感染症(注射) 消化管カンジダ症(経口) 膣カンジダ症(外用) 白癬菌(Trichophyton),Candida,癜風菌(Malassezia furfur) による皮膚真菌症(外用) エルゴステロール生合成阻害 → 静菌的に作用 副作用:肝障害,腎障害 アゾール系(イミダゾール系)抗真菌薬 Cl O S Cl Cl Cl Cl Cl N N O Cl Cl N Cl N N エコナゾール スルコナゾール Cl N Cl N O オキシコナゾール Cl Cl N Cl N イソコナゾール N 白癬,カンジダ,癜風(外用) N ビホナゾール アゾール系(イミダゾール系)抗真菌薬 CH3 O SCH3 N N ネチコナゾール Cl Cl Cl CN S S CN S N H S N N N ラノコナゾール ルリコナゾール 白癬,カンジダ,癜風(外用) アゾール系(イミダゾール系)抗真菌薬 N N Cl N N O O N O N クロトリマゾール HIV感染症患者の口腔カンジダ症(トローチ) 白癬,カンジダ症,癜風(外用) Cl Cl ケトコナゾール(外用) 白癬,皮膚カンジダ症,癜風 癜風菌による脂漏性皮膚炎 COCH3 アゾール系(トリアゾール系)抗真菌薬 N F F N N F N F OH N N N OPO3H2 N N フルコナゾール(経口,注射) N N N ホスフルコナゾール(注射) Candida,Cryptococcus,Aspergillus による深在性感染症 Candida,Cryptococcus による深在性感染症 副作用:肝障害,腎障害,皮膚障害 フルコナゾールのプロドラッグ 溶解性の改善 併用禁忌:トリアゾラム,エルゴタミン, ジヒドロエルゴタミン 副作用:肝障害,腎障害,皮膚障害 併用禁忌:トリアゾラム,エルゴタミン, ジヒドロエルゴタミン アゾール系(トリアゾール系)抗真菌薬 N F N N F OH N H3C F N ボリコナゾール(経口,注射) Aspergillus,Candida,Cryptococcus,Fusarium,Scedosporium による深在性感染症 副作用:視覚障害,肝障害,皮膚障害 併用禁忌:リファンピシン,リファブチン,エファビレンツ,リトナビル,カルバマゼピン, ピモジド,シサプリド,エルゴタミン,ジヒドロエルゴタミン アゾール系(トリアゾール系)抗真菌薬 N N N CH3 O Cl O O O N N N N CH3 N Cl イトラコナゾール(経口) 皮膚糸状菌(Trichophyton等),Candida,Malassezia, Aspergillus,Cryptococcus等による内臓真菌症, 深在性皮膚真菌症,表在性皮膚真菌症 副作用:肝障害,鬱血性心不全 アゾール系(トリアゾール系)抗真菌薬 エフィコナゾール(外用) 皮膚糸状菌(Trichophyton属)による爪白癬 副作用は軽い(塗布部位の皮膚炎等) H コレステロール HO ラノステロール H H 14 HO アゾール系 抗真菌薬 HO ラノステロール14a-デメチラーゼ (P45014DM) HO H エルゴステロール アゾール系抗真菌薬の相互作用 アゾール系薬剤の標的であるP45014DMと似ているヒトのCYP3A4が強く阻害 されるためCYP3A4で代謝される他の薬物との相互作用が問題となる ピモジド(抗精神病薬)・・・QT延長,心室性不整脈等の心臓血管系副作用 テルフェナジン(抗ヒスタミン薬)・・・QT延長,心室性不整脈等の心臓血管系副作用 キニジン(ナトリウムチャンネル遮断薬)・・・QT延長 トリアゾラム(睡眠導入薬)・・・作用増強,作用時間延長 シンバスタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)・・・横紋筋融解症 アゼルニジピン(カルシウム拮抗薬)・・・血中濃度上昇 エルゴタミン,ジヒドロエルゴタミン(偏頭痛治療薬)・・・血管攣縮 バルデナフィル(勃起不全治療薬)・・・AUC増加,Cmax上昇 シサプリド(消化管運動賦活調整薬)・・・QT延長,心室性不整脈等の心臓血管系副作用 NH2 F N O フルシトシン(経口) N H シトシンパーミアーゼ 真菌細胞膜 O NH2 F N O N H 5-FC シトシンデアミナーゼ F HN O DNA合成阻害 N H 5-FU Cryptococcus,Candida,Aspergillus,Fonsecaea,Phialophora などによる真菌症 副作用:血液障害,腎障害,肝障害 併用禁忌:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤 耐性菌が出現しやすい アリルアミン・ベンジルアミン系抗真菌薬 CH3 CH3 CH3 N CH3 テルビナフィン(経口,外用) 皮膚糸状菌,Candida,Sporothrix, Fonsecaeaによる深在性および 表在性皮膚真菌症 CH3 CH3 CH3 CH3 N ブテナフィン(外用) 白癬,澱風 ベンジルアミン系 アリルアミン系 副作用:肝障害,血液障害 スクアレンエポキシダーゼを阻害することによりエルゴステロール生合成を阻害する チオカルバミン酸系抗真菌薬 CH3 CH3 N N O N S O S OCH3 CH3 トルナフタート(外用) 白癬,澱風 リラナフタート(外用) 白癬 スクアレンエポキシダーゼを阻害することにより エルゴステロール生合成を阻害する その他の抗真菌薬 OH CH3 O H3C H3C CH3 CH3 CH3 O N N CH3 アモロルフィン(外用) シクロピロクスオラミン(外用) 白癬,皮膚カンジダ症,澱風 白癬,カンジダ症 ステロールΔ14レダクターゼおよび ステロールΔ8,7イソメラーゼを阻害 細胞膜の輸送機能阻害 H アリルアミン系 ベンジルアミン系 チオカルバミン酸系 HO O 14 14 アゾール系 アモロルフィン HO HO HO H HO H H H 8 ラノステロール スクアレン-2,3-エポキシド スクアレン H H アモロルフィン HO HO エルゴステロール 真菌細胞の表層構造 マンナンタンパク質 細胞壁 β-1,6-グルカン キチン β-1,3-グルカン 細胞膜 エルゴステロール OH O HO OH O H H N H2N H N O H3C O H HO NH O HN HO O HO H3C H O OH N H NH OH H O O SO3Na CH3 OH NH O O N ミカファンギン(注射) Candida属,Aspergillus属による真菌血症,呼吸器真菌症,消化管真菌症 作用機序:βー1,3ーグルカン合成酵素阻害 副作用:静脈炎,発疹,アナフィラキシー様症状 Candida属(殺菌的),Aspergillus属(静菌的)に対して既存薬剤より強力な抗真菌活性 アゾールに低感受性の非albicans Candidaやアゾール耐性C. albicansに対しても有効 OH HO OH H H N H2N H O N O HO H NH O O HN HN O H2N HO H OH N O H NH OH H CH3 OH NH O H3C CH3 CH3 カスポファンギン Candida属,Aspergillus属による真菌感染症(注射) 作用機序:βー1,3ーグルカン合成酵素阻害 ニューモシスチス肺炎治療薬 CH3 O O S N H OCH3 H2N O N N 5 : 1 H2N N OCH3 NH2 スルファメトキサゾール・トリメトプリム(ST合剤) ニューモシスチス(Pneumocystis jirovecii)肺炎(注射) グラム陰性桿菌,腸球菌による上気道,尿路感染症(経口) 葉酸合成系を阻害 強い副作用:血液障害,アナフィラキシー OCH3 ニューモシスチス肺炎治療薬 O O H2N NH2 NH NH ペンタミジン ニューモシスチス(Pneumocystis jirovecii)肺炎(注射,吸入) グルコース代謝およびタンパク質合成阻害 副作用:白血球減少,腎障害,肝障害,低血糖,高血糖 併用禁忌 ザルシタビン(抗HIV薬)・・・劇症膵炎 ホスカルネット(抗ウイルス薬)・・・腎障害,低カルシウム血症 ニューモシスチス肺炎治療薬 アトバコン ニューモシスチス(Pneumocystis jirovecii)肺炎(経口) 副作用によりST合剤の使用が困難な場合に使用 ミトコンドリアの電子伝達系complex III阻害 副作用:悪心,発疹,下痢,頭痛,嘔吐・発熱 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),多形紅斑,肝障害
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