このような性質があれば、内積として使える。

フーリエ級数は線形代数だ!編
フーリエ係数の求め方をもう一度考えてみよう!
1
 a1cosx  a2cos2x  a3cos3x  a4cos4x......
2
 b1sinx  b2sin2x  b3sin3x  b4sin4x  ......
f ( x)  2a0

1
 2 a0
  (ancosnx  bnsinnx )
2 n 1
この形は、線形結合に似ている。
3次元のベクトル空間のおさらい
a3
z
a=a1e1+a2e2+a3e3
e3
e1
a1
x
e2
a2
y
e i  e j   i , j 正規直交基底
例えば座標は
a2  a  e 2  (a1e1  a2e 2  a3e 3 )  e 2
 a1e1  e 2  a2e 2  e 2  a3e 3  e 2  a2
次に、座標が定義できる線形空間をおさらいしよう。
計量ベクトル空間(ユニタリ空間)
長さを定義できる線形空間
内積が示す性質
a , b, c  V
 R
1) (a  b)  c  a  c  b  c
このような性質があれば、内積として使える。
適当な正規直交基底に対して座標も決まる。
2) b  a  a  b
3) (a)  b  a  b
4) a  a  a
2
n
ノルム v
a   ai e i ,
v  0, 正値性
i 1
ei  e j   i , j
v 0 v 0
V   v
u  v  u  v 三角不等式
uv
のようにベクトルが正
規直交系の線形結合
で表されていると、ベ
クトルの長さは
a  a12  a22  a32         an2
と表される。
v
u
フーリエ級数のように
cos や sin 関数を基底にするには
どのような内積を定義
すればよいかが次の問 題。
どうやって内積を定義するか
求めるべき内積では、
但し、 f  g  0を満たす必要がある。
sin( nx), cos( nx)の形の 2つのベクトルに対して
 0と任意のベクトルの内
実数を定義する。
らないといけない。
uv  R
すると、 としては掛け算 ()が適当
先ず、関数に実数を対 応させる操作を考えよ う。
積分区間は[a, b]は[ ,  ]とするのが
妥当であろう。
定積分
結局、内積としては、
b
 関数  R

f  g   f ( x) g ( x)dx
a

が使えそう。
を用よう。
内積とするには
(参考)実は以下のよう

b
a
積は0にな

f  g   xf ( x) g ( x)dx
f ( x)  g ( x)dx  R


のように f ( x)と g ( x)の演算を施す必要があ る。
f  g   e  x f ( x) g ( x)dx
演算 としては、加減乗除
f  g   e  x f ( x) g ( x)dx
(,,,)が考えられる。



2
なものでも本当は OK
正規直交性の確認

f  g   f ( x) g ( x)dx

の内積は以下の条件を 満たしており、
正規直交系を組める。
i) f  f  0, f  f  0となるのは


1
 cos nx   cos nxdx 


2
1

sin nx  0
 2n



 1
 0
1
 sin nx   sin nxdx  
cos
nx

 2n

2




f  0のときのみ
ii) f  g  g  f
iii) f  (g  h)  f  g  f  h
sin mx  sin nx   sin mx sin nxdx  m ,n
iv) (u  v)  (u  u )(v  v)
cos mx  sin nx   cos mx sin nxdx  0
2


cos mx  cos nx   cos mx cos nxdx  m ,n





結局、内積としては次
f g 
1

f ( x) g ( x)dx




式を用いる。
フーリエ係数の確認
1
 a1cosx  a2cos2x  a3cos3x  a4cos4x......
2
 b1sinx  b2sin2x  b3sin3x  b4sin4x  ......
f ( x)  2a0

1
 2 a0
  (ancosnx  bnsinnx )
2 n 1
1
1  1
 f(x)  
f ( x)dx
  2
2

1 1
 2 a0

  (ancos(nx )  1  bnsin(nx )  1)
2 2 n 1
 2 a0
a0 
1
2

  f ( x)dx

cos(mx )  f(x) 
 2 a0
1

f ( x) cos mxdx
 


1
 cos(nx )   (ancos(nx )  cos(mx )  bnsin(nx )  cos(mx))
2
n 1
 am
sin( mx )  f(x) 
結局
a0 
am 

1
2
1

 2 a0
 f ( x)dx

 f ( x) cos mxdx,

bm 
1


 f ( x) sin mxdx



  f ( x) sin( mx)dx


1
 sin(nx )   (ancos(nx )  sin(mx )  bnsin(nx )  sin(mx ))
2
n 1
 bm

1
パーセバルの恒等式
n
1
 a1cosx  a2cos2x  a3cos3x  a4cos4x......
2
 b1sinx  b2sin2x  b3sin3x  b4sin4x  ......
f ( x)  2a0

1
 2 a0
  (ancosnx  bnsinnx )
2 n 1
a   ai ei ,
i 1
ei  e j   i , j
のようにベクトルが正
規直交系の線形結合
で表されていると、ベ
クトルの長さは
a  a12  a22  a32         an2
と表される。
同じ事をフーリエ級数 に当てはめると
ベクトルの長さは
a  a02  a12  a22  a32         an2  b12  b22  b32       
と表される。
これより、
f ( x)  f ( x)  f ( x)  a02  a12  a22  a32         an2  b12  b22  b32      
2




f ( x) dx  2a   (an2  bn2 )
2
2
0
n 1
が成り立つ。これをパ
ーセバルの恒等式とい う。
スペクトル表示
• フーリエ級数展開は、任意の周期関数が様々な波長の波の重ね
合わせとしてかけることを意味している。
• 波動現象を、(i)振幅の時間変化f(t)としてみる視点と、(ii)様々振動
成分の強度amやbmに分解して見る視点とがある。
1
1
1
1
sin( x)  sin 3 x  sin 5 x  sin 7 x  sin 9 x
3
5
7
9
1
1
1
1
1
 sin 11x  sin 13 x  sin 15 x  sin 17 x  sin 19 x
11
13
15
17
19
1.5
line 1
1
0.5
bn
0
1.2
-0.5
1
-1
-1.5
-4
-3
-2
-1
0
1
2
3
4
bm
bn
0.8
0.6
bn
0.4
0.2
0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
n
m
色々な音のスペクトル
• ハーモニカ
• 鉄琴
• 波の音(1/fノイズ)
• などを見てみよう