sociology2011apendix

メディア社会学
付録
2.行為の意味
2.1ウェーバーの行為の4類型
• 目的合理的行為
• 価値合理的行為
• 伝統的行為
• 感情的行為
目的合理的行為
• 目的合理的行為・・・ある目的を達成するため
に最も合理的な(つまり自己利害にかなった)
手段を選択するような行為→「行為の意味理
解」の3水準の「動機」にかかわる。
• 名誉、地位、権力、お金等を求める行為など
価値合理的行為
• 価値合理的行為・・・行為が、その結果を顧慮
することなく、ある特定の価値--美的・宗教
的・倫理的など--に無条件に方向付けられ
ていることをいう。 →「行為の意味理解」の3
水準の「動機」にかかわる。
• お金よりは理想をという生き方など。もちろん
理想、価値の実現のためにお金、地位、権力
が必要な場合も
伝統的行為
• 伝統的行為・・・伝統的行為とは、ある刺激に
対して昔から続いてきた方法で習慣的に反応
する行為のことをいう。日常的行為のほとん
どはこれである→没意味性と有意味性の限
界線上にある行為類型
感情的行為
• 感情的行為・・・感情的行為とはある行為が
そのときどきの感情によって動かされている
ものをいうが、常に意味的に方向づけられて
いるわけではない。方向付けられていれば、
目的合理的行為や価値合理的行為に容易に
転化していく→意味ある行為とそうでなく意味
のない行為との境界事例
2.2見田宗介の行為類型
• 見田宗介(1937-)東大名誉教授。真木悠介
の別名での著書も多い。
• 甘粕正彦(大杉栄を殺戮した将校)の従兄弟
で著名なマルクス主義者甘粕石介の子供
• 『時間の比較社会学』
• コンサーマトリとインストルメンタル
『時間の比較社会学』
• 時間観念と行為類型を結びつけた
• インストルメンタル・・・道具的。将来を顧慮し、
現在という時間を、未来の犠牲にする生き方。
アリとキリギリスのアリに近い。
• コンサーマトリー・・・自己目的、自己完結。そ
れ自体を目的とすること。キリギリスに近い。
現在の時間をそれ自体で楽しむ生き方。
• インストルメンタル・・・プロ倫の行為類型、時
間観念に近い。近代資本主義社会
• また、ウェーバーの目的合理的行為に近い。
• コンサーマトリー・・・南米の行為類型、時間
観念など
• ウェーバーの感情的行為に近い。
2.3大塚久雄の理念と利害状況
• 理念と利害状況の組み合わせ
• 理念・・・価値合理的行為の目標、思想・宗教
• 利害状況・・・目的合理的行為の目標、経済
的状況
• シュパンヌング(双方が緊張感を保ちつつ、
影響を与え合う・反映論を否定)
大塚の示唆の発展型
• 短期的利害と長期的利害、個人的利害と集
団的(人類的)利害を組み合わせたマトリック
スの形成
行為と意味についての例
• スポーツとメダル、メダルと柔道、課長の地位
(「やっと俺も課長だ」という数年前のCMコ
ピー)、石を投げれば部長、課長に当たるとい
われた某大手広告代理店、紙幣と貨幣、同
棲とDINKSの夫婦(ブリトニー・スピアーズ)、
単位取得の集積と卒業、議員の大臣病と上
がりとポスト増、学歴・資格インフレ
• →希少資源としての地位・名誉等と地位・名
誉インフレ
• 制度の根拠の本質的恣意性、恣意性の中で
の意味づけ
3.属性的な類型
3.1属性的な類型立ての方法と有効性
• 「AよりもBの方がCである」についての復習
• 変数X(値AB)人口学的変数・属性・アンケート
調査のフェースシート。ほかに記憶や過去の
経験、性格もあり得るが
• 変数Y(値CD)意識・行動。意識・・・世界観、
行動の意味づけ、行動のもととなる規範・習
慣など。特に世界観はXとYの中間に入るもの
であるともいえる。
人口学的変数(属性)
• 上記の狭い意味でのXに相当する人口学的
変数(属性)ごとに、社会学上の問題を概説し
ていく。・・・重要な説明変数故
• 性別、年齢、学歴、職業、年収、居住地、家
族構成(本当は宗教、出生地、母語、国籍、
支持政党、家柄(親の属性)、財産等も)
• アンケートのフェースシート項目(上の括弧部
分以外は)
• 旧来、地位→地位に応じた役割取得→役割
演技→意識や行為パターン
• よって属性によって世界観や行動が明確に。
3.2属性の説明力の低下の理由
• 社会のボーダーレス化
• 属性が実体概念から機能(役割)・関係概念
に
社会のボーダーレス化①
• 経済のグローバル化→国境を越えた労働力
と資本と技術が往来→国籍のボーダーレス
化
• 国籍のグローバル化・ボーダレス化→宗教の
グローバル化・言語のグローバル化→文化
(生活様式・行動様式、およびそれの背景に
ある価値観)の多様性・雑居性→文化に伴う
価値や規範の変化→投票行動の変化
社会のボーダーレス化②
• 年齢のボーダレス化→終身雇用の崩れ・中
途採用の増加、学びの機会の多様化、初婚・
出産の時期の多様化、「年貢の収めどき」の
死語化
(矢印は実は双方向)
• 性別のボーダレス化→ユニセックスのファッ
ションの増加、女性の権利の自覚、同性愛の
社会的容認度の増加
3.2.2属性が実体概念から機能(役
割)・関係概念に
• 実体概念と機能概念
• エルンスト・カッシーラ
• 中井正一
3.2.2.1性
• 生物学的な性別→役割としての性・・・gender
概念
• 同性愛の容認
• 人類の歴史はすべてにおいて自由の獲得の
歴史
• 性愛についても、性役割分業についても、双
方について共に、自由の領域が拡大
3.2.2.2年齢
• アメリカでは定年制を年齢差別
• 実年齢とその人なりの年齢とを切り離す
• また肉体的にも肌年齢、精神年齢、腸年齢、
脳年齢、その他等々、諸々の事柄にそれぞ
れ「年齢」という被修飾語を充てる
• これらは実年齢の束縛からの自由と捉えるこ
とも可能(○○年齢は脅迫するようだが)
3.2.2.3学歴
• 良い学歴(学校歴)とは?
• 頭の良さ(あるいは悪さ)の指標→その人が
得た能力的な資格
• 専門大学院、社会人入学、編入→学歴が固
定的なものではなくなる
• 宿命的な枷としての学歴→我々の学びのグ
レードの証としての学歴(「自動車学校」の卒
業のようなもの)
3.2.2.4職業
• 終身雇用制の綻び、フリーターの増加
• 職業人に求められる技術が陳腐化、通用しな
くなる年数の早まり(←変化の早い世の中←
情報の速い伝達)→リカレント教育の必要性
の増大
• 年功序列→能力給、業績給に(正社員や公
務員も一部歩合制を加える)
• 終身雇用制→片道切符の出向、リストラ
3.2.2.5年収
• 機能概念化を実現するもの
• 他の属性における機能を手に入れる根拠。
• その意味ではこれだけは実体である側面は
強い。
• 一時的に大金もち気分を味わうには、クレ
ジットカードや、消費者金融がある。
3.2.2.6未既婚
• 昔は既婚の方は比較的固定的
• 今、未婚→既婚の5割の頻度で既婚→未婚
• 自由の増大=安定性、安心の欠落(デュルケ
ムが懸念した事態に)
• 同棲カップルと子供のいない夫婦との違いは
紙切れ一つ
3.2.2.7家族構成
• 家族の果たした機能のアウトソーシング化
• 衣食住、教育、性(生殖あるいは快楽として
の)、会話の機能
• 衣(裁縫・編み物)、食(外食・中食)、住(子供
のプチ家出、単身赴任)、教育(勉強以外の
社会生活上の教育も学校に頼る・塾通い)、
性(婚外セックス・不倫・代理母)、会話(「お
話し聞きます」ビジネス、テレビ、チャット)
3.2.2.8居住地
• 単身赴任、子供の進学等・・・住民票上の住
所と現実の住所とが一致しないケースの増大
• 職住接近→職住分離・・・昼間人口≠夜間人口
• 準拠集団が地域社会以外の集団に(特に欧
米諸国の教会のようなコミュニティが日本で
はないので)。
3.2.3貨幣(お金)の影響
• ジンメル『貨幣の哲学』、今村仁司『貨幣とは
何か』1995年、筑摩新書
• 従来、上下関係をコントロールするもの・・・広
い意味の権力
• 現代、貨幣が上下関係、支配・被支配の関係
をコントロールする
• 上下関係の性質の変化
• 固定的なもの→契約的なもの
ジンメルの貨幣論
• 主従関係・封建的隷従関係
• 貨幣を通じての関係でないので、四六時中、
上下関係が続く(「花輪君とひで爺」)→
• 貨幣を通じての、上司と部下
• 期間・時間限定の上下関係になる→役割・規
範も時間限定に→行動、意識も時間限定に
貨幣と機能としての属性
• 貨幣の力
• 従来「属性」実体的
• 貨幣時代の「属性」・・・時間限定のもの(全人
格的なものではなくなり)、機能・役割としての
み意味を持つ。
今村仁司の貨幣論
• 貨幣をコミュニケーション・メディアとして捉える
• 貨幣なき権力関係・・・剥き出しの暴力
• 例・・・ポルポト派、中国の文化大革命「貨幣なき
理想社会」→権力闘争、究極的に相手の死を望
む。異論の粛正
• 貨幣の媒介・・・貨幣の契約的性格(「金の切れ
目が縁の切れ目」)・・・権力に一定の枠を嵌め
る・・・権力の暴力性を和らげる
メディアとしての「貨幣」のデメリット
• 自我を統一するような規範が曖昧に
• ←役割が9時-5時で終わる。その「役割」を
演じるルールが「規範」
• 準拠集団が曖昧に
• すべての役割・機能が貨幣でのやりとりに
よってなされる→属性の機能の良い部分を金
で
属性の機能の貨幣でのやりとり
• 性(セックスの商品化、遺伝子の商品化、性
的魅力の商品化(化粧・整形))
• 年齢(上記、整形・化粧)
• 学歴(塾・家庭教師、私立中高)・・・「裏口」で
ない学歴も金次第
4.性別
4.1性の3つの位相
• Sex・・・生まれ落ちての性、「性別」
• Gender・・・社会的な性、後天的に獲得された
「性役割」
• Sexuality・・・性愛としての性、日本語の「セッ
クス」の語感に近い
3つの位相の関係
• Sex
• Gender・・・sexとしての性別の差(わずか)を、
より強化する
• Gender論の立場・・・genderとして性差を「社
会的に作られたものとして」減らそうとする
• Sexualityとしての女性「性」・・・アンチgender
論的な立場への逆作用
Genderとしての女性
• 生まれながらのものではない
• 役割期待で作られる
• tomboy、赤と黒のランドセル、女の子は赤系
統の服、男の子は青系統の服。女の子は長
い髪、男の子は短い髪、「女の子は脚を広げ
て座るな」、男の子はファミコンせずに外で遊
べ、女の子は人形やオママゴトや読書で家で
遊べ・・・家庭教育の場で、役割期待を刷り込
む
「サーチライト」としての新しい概念
• 苅谷剛彦『知的複眼思考法』講談社+α文
庫,2002年(苅谷は東大教育学部教授)
• ある概念の発見→今まで見えないものが見
える
• 「ジェンダー」概念の発見
• 「女性が子供を出産」・・・生物学的な身体の
違い
• 「女性が子育てする」・・・・「女性は子育てをす
るものだ」という社会の約束事あって成り立つ
4.2役割期待
• 役割・・・社会の中での地位に基づき、他者か
ら期待される行動様式や態度
• 役割規範・・・期待に背いた際には制裁が加
えられるようになると、そういった役割(期待)
を役割規範という
ミードによる説明①
• アメリカ社会学の古典とされるジョージ・ハー
バード・ミード『精神・自我・社会』
• ミード(1863-1931)のIとme
ミードによる説明②
• I・・・「主我」
• me・・・「客我」・・・子供は「重要な他者」(通常
は両親・母親)から、彼らの振る舞いを通じて、
また彼らから自分がどのように振る舞うかを
期待されているかを知ることによって(「役割
期待」)、「客我」を身につける。これは具体的
には良心とか規範とかいった、社会的な自我
である。
• 大人における重要な他者・・・準拠集団
役割と属性
• 役割(役割期待)→「らしく」振る舞う
• その年齢の人は、自分の年齢にふさわしく振
る舞うし、それぞれの職業、地位の人はそれ
ぞれの職業、地位にふさわしく振る舞うように
なる
役割と振る舞いの身近な実例
• 首相になると首相らしい顔つきに
• 女性は子供が生まれると母親の顔に一夜に
して変わると従来いわれた(フェミニストに怒
られるが・・・)「ヤンママ」は?
• ダライ・ラマ
• 小中高校大学それぞれの顔に、それぞれの
新入生は一年生の2学期頃に変貌する。
• 恋人同士の役を演じる女優と男優が本当に
恋人同士に
4.3役割期待の変化とジェンダー
• 母親における理想の女性像の変化
• (←結婚によって叶えられなかった「夢」)
• →娘への教育方針も従来と変化
• 「男性より高学歴だと結婚難に」という考えが
減る
• 女子の進路の変化
• 文学部・家政学部→医学・法学(男性と対等
に伍せる高度な資格系学部)
「女性は家庭に」という従来の考え方
の理由
• 避妊技術の不足→子沢山→子育て多忙
• 家電製品なし→家事労働重労働
• 労働は肉体を弄した・・・外での労働は男性の
専有物
• 貴族・武士を初め親の跡を継ぐ時代・・・「家」
の血統の証明大事・・・女性にのみ貞操を求
め、家庭に閉じこめる(cfフランス貴族)(長子
相続)
「女性は家庭に」という考え方からの
変化の理由
• 避妊技術の発展、少子化→夫婦とも子育て
に追われる部分が減る
• 家電の発達→専業主婦は「三食昼寝付き」と
いわれ、時間を持て余す→外で働こうか
• 労働の質の変化(←産業構造の転換、情報
処理的な仕事の増大(身体よりも頭を))→女
性が能力発揮できる職種の増大
• 継ぐものとしての「家」の崩壊→貞操は男女
等しく求められる(求められない)ものに
残業-男女共同参画社会の妨げ
• 職場での男女平等・・・家庭では不平等が残
存
• 男性・・・専業職業人
• 女性・・・専業職業人 兼 母・妻
• 残業・・・男性社員にのみ夜遅くまで頼むよう
に
• 残業多くする人が出世
4.4役割の変化とセクシャリティ
4.4.1ジェンダーがらみの変化
• 従来、家父長制・・・家父・家長の支配権を絶
対とする家族形態
• 家長権・・・家族制度において、家長が家族に
対して持つ支配権。古代・中世においては、
家族の生命、財産はその下に支配された(広
辞苑)
• 妻や娘は家長である父親が支配する。
• パターナリズム
パターナリズム①
• (国民や従業員に対する)父親的温情主義;[
けなして]家父長的態度;干渉政治」(『ジーニ
アス英和辞典』)
• 「温情的干渉主義と訳される。政治・経済・雇
用関係などにおいて、中央当局などが、父が
子に対するように各人の行うべき判断を代行
し、その判断を各人におしつけること」(金森
久雄ほか『経済辞典(新版)』(有斐閣、1986
年)
パターナリズム②
• 人間は基本、他人に迷惑をかけなければ自
由。何をしても良い。当人にとって不利益なこ
とでも。
• しかし未成年者へは親や社会が(他人に迷
惑をかけず、当人に不利益なことを)干渉す
るのはある程度、当然。
• 例・・・たばこ、お酒・・・嗜んでも当人が将来、
アル中や肺ガンになるだけ・・・しかし未成年
なので干渉する。「父親」の立場で。
パターナリズム③
• それでは未成年ではなく成人の場合は?
• パターナリズムが成人に対して認められるか
どうかという議論
• 麻薬や覚醒剤。お酒と違って当人を害する度
合いが著しい。他人を害さずとも、取り締まり
は是。
• シートベルトの着用義務
パターナリズムと性
• パターナリズム的な家父長支配の下、女性は
保護=干渉の対象
• 未成年、成人問わず娘のセクシャリティに、
父親は発言権があった。
• 「良妻賢母」の理想に娘を近づけるため。
• 父権の弱体化に伴って、娘への干渉は減る。
4.4.2 それ以外の変化の要因
• マス・メディアからの要因
• 医療技術上の要因
• 宗教の威信の相対的低下
• 一貫性、不変のものよりも変化しうるものをと
いう思考の志向性
マス・メディアからの要因
• エドガール・モラン『スター』・・・神話的世界の
人
• 「沈黙の螺旋階段」理論(ノエル・ノイマン)
• モランのいう「神話」が一般的な多数派として、
庶民にまで下降・普及
医療技術上の要因
• 避妊技術の向上・・・性と生殖の切り離し
• クローン人間、遺伝子工学、代理出産技術の
発展・・・性と生殖を論理的にも切り離す
宗教の威信の相対的低下
•
•
•
•
•
•
全ての宗教・・・性的禁欲・節制が戒律に
神の下での結婚の誓い
ところが宗教の威信低下
←「あの世」の生より「この世」の生
寿命の延びとまずまず豊かな暮らし
神秘現象の合理的説明可能性の向上
一貫性、不変のものよりも変化しうる
ものをという思考の志向性
• 宗教(一夫一婦制と天職を支持)の威信の低
下
• 商品を売るための流行(商品の「飽和状態」
避ける)
• ネット社会の情報摂取方法の非線形性
• 「大きな物語」の崩壊(ジャン・フランソワ・リオ
タール1924-98)
4.4.3 性的自由のメリット、デメリット
4.4.3.1 性的自由のメリット
• 結婚前に相手に対してより多く知る→ミスマッ
チ減る(就職についてのインターンシップのよ
うなもの)
• 女性が自立した存在に・・・男性と対等に振る
舞える
• 性的快楽をタブー視しなくなる
• 商品の購買意欲を喚起し、内需を拡大
性的自由のメリット(続き)
• 性や家庭、戸籍の国家管理が弱くなる→国家
から自立した意識の人間の増大
• 離婚、再婚を増やす→人類の種としての多様
性の実現
• 別れる可能性があるとの自覚→良い意味の
緊張感
4.4.3.2 性的自由のデメリット①
• 離婚率の上昇(←恋愛、同棲、結婚の境界不
明瞭性)→行為の意味の不在
• 若さ、美しさを一元的に称揚する価値観の支
配、正常性・規範性の美や肉体における支配
• 身体を自己の交換可能な部品のように考え
る
• 性の商品化を促進する
4.4.3.2 性的自由のデメリット②
• 家族の解体の一つの動因に(離婚というだけ
でなく、なかなか家庭をもとうとしない、家族と
の共有する時間がなくバラバラ等も含めて)
• 性的自由→離婚率の上昇→子供の教育が、
一貫性をもって行われなくなる
• 自由を享受できる人と不器用な人との格差が
顕在化する
セクシャリティとジェンダーの境界の
話題というか命題
• なぜデートの時に、男性が女性をおごるの
か?
• なぜ、両方とも免許や車を持っているとき、男
性の車で男性の運転でデートをするのか?
• なぜ、男性の方から告白することの方が比率
的に多いのか?
• なぜ自分より背の高い男性を女性はパート
ナーに選ぶべきという規範があるのか?
4.5 ジェンダーとセクシャリティの在
り方の変化の行き着く方向について
• Gender論(genderの動き)もsexualityの現状も、
最後は男女の生得的違いsexの領域を極小
化
• 近未来の我々・・・uni sex, homo sexuality を
目指す方向へ
• 機能としての性(パートナー)、機能としての
家族・・・異性の必要性ないし人の必要性な
い・・・ヴァーチャルな性
4.5②
• 性的魅力は、機能として必要なくなったもの
• 要するに職業上は男らしさ、女らしさは不要
に。
• しかしセクシャリティの領域では(セックスア
ピールとしては)男らしさ(強さ)・女らしさ(優
しさ)として残る
• ジェンダーの展開とセクシャリティの矛盾
4.5③
• 「女性の社会進出」と「女性の性的自由」の親
和性(因果関係ではない)
• 男性が性愛をプロの女性に委ねない→双方
の不倫の可能性→夫婦の恒久性が危うく
• 夫のリストラの可能性、年金受給年齢と退職
年齢とのつなぎの必要。熟年離婚の増大→
結婚=女性にとっての「永久就職」ではなくな
る→女性の経済的自立および女性としての
魅力の維持不可欠に
4.5④
• 子育て支援体制(夫の家事分担、社会の育
児休暇への温かい目、有償・無償のサービ
ス)の不足→働く女性が欧米先進国よりも子
供を作りにくい状況→少子化さらに進展
• {パートナーと別れる確率が高いことを前提と
した制度設計→社会全体で子育てをする仕
組み}→これがないので日本の少子化対策は
根本対策足り得ない
性と国家統合①
• 合衆国のような宗教国家・・・性的自由の問
題(中絶の是非、同性愛婚の合法化の是非)
が大統領選の争点に
• 性の問題は世界観に関わる(教義とも不可
分)
性と国家統合②
• 戸籍を管理することが、国家の国民への支配
の正当性の根拠←昔は、宗教の正当性の根
拠が神の下で結婚の誓いを立てさせることに
あった
• 結婚と同棲と恋愛の違いが紙切れ一切れ
に・・・戸籍管理の正当性が危うくなる
• 国際結婚の一般化・・・国民であることの条件
に「文化の共有」という部分が欠落する
まとめ
• ジェンダーからの自由とセクシャリティとして
の性の自由は対立する要素を孕みつつ、広
い意味で相関しうる。
• 両方の性の自由の増大は、必然的な流れで
あるし、メリットも大きいが、意味の喪失、国
家の統合の危機を招く可能性はある。
5.年齢
5.1世代(generation)と年代(age)
• 5.1.1世代
• 5.2.2年代
5.1.1世代
• 「世代」「生年・成長時期がほぼ同じで、考え
方や生活様式の共通した人々。またその年
代の区切り。ジェネレーション。「--の差」
「戦後--」」(『広辞苑』)
• 例)「安保世代」「団塊の世代」
• いつ頃生まれたかで人々を区分して、考え方
や行動の仕方の相違をみていく際に使われ
る言葉。
• ある世代の人・・・ある時は子供の年代であり、
ある時は青年の年代であり、ある時は中年に
「団塊の世代」
• 「団塊の世代」(「1947-49年のベビーブーム時
代に生まれた世代」『広辞苑』)
• 1960年には彼らは年代としては少年の年代
• 1970-80年頃までは青年の時代、
• 今は中年の年代になっている。現在、定年を
迎え、彼らの大量退職が技術の継承の可否
という観点から注目されている。
世代論と技術決定論
• 「太陽族」「新人類」(1960年生まれ以降)など。
• 「携帯電話世代」とか「オタク世代」
• マス・メディア、電気通信等のメディア環境の
変化→世代特有の行動様式(文化)を形作る
• しかしあまりにそこの部分を強調すると、技術
決定論やマス・メディア効果論の皮下注射モ
デルに陥ってしまう。
世代論の陥穽
• ①戦争や災害や技術などインパクトの大きい
事柄の説明力を必要以上に過大評価
• ②時代の最先端の人(若者)の行動のみに着
目しがちである
• ③いずれにせよ多数派は世代の特色を(少
なくとも当初は)備えていない
• ④報じられることで最先端が普通になること
はある(沈黙の螺旋状階段仮説)
5.1.2年代
• 「年代」「一生の一時期」(ジーニアス英和の
ageの説明の一つ)
• teenage 10代の(13-19歳)
• いつ生まれたかによる意識や行動様式の差
は「世代」のこととなるし、いつ生まれたかに
かかわりなく、若者には若者固有の意識や行
動があり、そちらに着目すると「年代」のことと
なる。
アンケート調査と世代、年代
• 実際には両者の影響は不可分的に混ざり
合っている。一度の時点でアンケートをしても、
両者は分離できない。
• 両者を区別する調査手法・・・コーホート分析
‘若者の保守化 改憲論議’
世代と年代のズレの例
• 従来 高齢者 保守的 /若者 革新的・・・
時代を問わず、ほぼ普遍的にいえた
↓
• 冷戦の崩壊(1990年前後)→保守、革新の枠
組みの崩れ。55年体制の崩壊→戦争を知ら
ない世代が政治の表舞台に
↓
• 従来の振り分けとある意味逆転している状況
5.2 年齢による意識の差の理
由・・・準拠枠組みの違い
• 「準拠枠組(frame of reference)」・・・「「認識
枠組」「関係枠組」ともいう。人間は外部から
の刺激を「知覚」するが、それをどのように
「認識」するかは、その人の持っている認識の
枠組によって異なり、同一の刺激が同一の認
識をもたらすわけではない。このように、外部
からの刺激に統一的な「認識」を与える枠組
みを準拠枠組という」
(倉沢進・川本勝『社会学への招待』ミネルヴァ書房1992,p.51)。
準拠枠組みの違いの生じる例①
親が子供に対して多く注意している事柄(倉沢進・川本勝
『社会学への招待』ミネルヴァ書房1992,p.50。オリジナルは、東京都『東京の子供と家庭』1985)。
• 1位 人に迷惑をかけないこと 46%
• 2位 言葉づかいや挨拶をきちんとすること
32%
• 3位 交通事故やけがに気をつけること
32%
• 4位 勉強すること 21%
②
子供が親から多く注意を受けている事柄
• 1位 勉強すること 43%
• 2位 言葉づかいや挨拶をきちんとすること
30%
• 3位 整理・整頓をすること
27%
• 4位 交通事故やけがに気をつけること
22%
③
• 親は社会的規則や通念をいっているつもり。
• 子供の方は具体的な生活上の事柄の注意が、
頭に残る。よって、のび太のママやしんちゃん
のミサエ(「おかたししなさい」)のような発言
が印象残る。
• →同一の事柄に対する意味付与・・・大人と子
供で異なってくる。つまり、「個々の行為とそ
の行為に意味を与えている価値や規範は違
うものであ」る(倉沢進・川本勝『社会学への招待』ミネルヴァ書房1992,p.52)。
④
• ・・・子供の方が生活世界が狭く、特に友達集
団でのつきあいが、自分の最も大切な集団と
なる。したがって友達づきあいを邪魔される
「宿題済ませたの?」は、子供にとって最も不
快で煩わしく、他の言葉よりも印象に残ること
になる。他方、親の方は生活世界が広いので、
地域社会あるいは将来の日本社会での子供
の正しい成長を願っての発言が多くなってい
ると感じている。
5.3 年齢と地位、役割
• 「年齢に比例して地位が上がる」・・・普通の
社会、あるいは従来の日本社会。いまは若干
変化している面もある。当然地位に応じて、
一般的には権力もふえるし、収入もふえる。
• 年功序列制であると、年齢とともに、会社の
中での地位が上昇することになる。経験が大
切な仕事であれば、年齢ととも実際に実力が
つく。そして年齢、実力に伴い、役割や地位も
大きくなる。
• 日本での社員の評価
・・・専門的な能力や独自の才能<<<会社内
での顔の広さ、人脈等
→年齢に応じて地位が向上することになる。し
かしそれも定年までの間のこと
• ▽山一証券「俺は部長なら得意だ」▽
地位の非一貫性・・・日本の特色
• 中小企業の部長と大企業の係長のどちらが
地位が上か?
• 社内では地位の上下は明確であり、そこで閉
ざされた地位のピラミッド型システムがあるが、
社会全体では?不明
• 職業上の地位だけでなく、財産や収入や学歴
その他諸々の要素が地位を構成している
• 学歴は地位の理由であると同時にそれ自体
地位・・・昔の本、「文学士誰それ著」
年齢と地位
• 儒教社会・・・年齢と地位とがすぐに結びつく
• しかし現代社会、定年制・・・60歳までの間で
の期限付き、「年齢に応じた地位」
• 江戸時代も「ご隠居」は自主的定年・・・でも隠
居後も「水戸のご老公」
• 会社社会でも役員(重役)は定年がない。よっ
て社長、副会長、会長と屋上屋が重ねられる。
5.4年齢につれての地位向上の機
会の減少という近年の状況
想定される諸要因
• マスメディアの影響・・・美男美女系(テレビ映
りの良い人)であれば若い人ほどメディア露
出しやすい
• 能力主義の傾向
• 稼ぎで全てを評価する傾向
• 価値と希少性の問題
マスメディアの影響
• 社会がテレビなどの影響を受けやすくなる→
若さが大切な仕事がスポットライトを浴びる→
年齢を経た者が高い地位を占めることへの
反感も強まる
• スターの若さ称揚→それが一般化→沈黙の
螺旋状階段(ノエル・ノイマン)
能力主義の影響
• 年功序列型と地位と賃金の配分→能力に応
じた地位と給料へ
• 創意工夫を重視する社会へ→長年の経験の
蓄積よりも新しいことを生み出す力を重視→
年を重ねることが優位性の根拠にならぬ
• スポーツの監督よりスター選手の方が多い年
俸、大きな発言力を
価値の希少性の減少の影響
• 少子高齢化→若者の数減少→相対的に若者
の稀少性が増大→従来以上に大切にされる
• 高齢者の増加→高齢者の有り難み減少
• 従来の年齢と地位との関係を問い直させる。
5.5 世代とカウンターカルチャー、
サブカルチャー
• 世代間の情報行動、消費行動の相違→世代
間の文化的な摩擦の原因に
• ギリシア時代から「今の若者はなっていない」
という言葉。
• 大人の価値・規範及びそれらが具体化した形
での行動様式(文化)≠若者のそれら
• 大人・・・自分たちの価値・規範に生きてきた
ことの意味づけ→若者の文化に不満
サブカルチャー②
• 若者・・・大人の価値・規範を継承するだけで
は、年の功のある彼らを抜けない→自分らの
レゾンデートル(存在意義)を示す必要→別の
文化(サブカルチャー、カウンターカルチャー)
を模索する
• サブカルチャーは「年齢高くなる=地位」とい
う見方を押しつける伝統的社会への反撥の
意味合いもあった(と思われる)
サブカルチャー③
• 学校教育で体現される価値や規範(既存文
化の側)とは別の規範→学校文化への反逆
(ex尾崎豊の「卒業」)
• ジーンズやロック・・・反戦のシンボルから商
品へ(体制の側に吸収される)
• 既存の価値や文化に対する若者の反逆を、
大人の側が商品とする
サブカルチャー③
• 市場の飽和状態を避ける→商品の差別化の
要請→この資本の側の要請に、若者文化、
サブカルチャーは応えてしまう。
• しかも世代、年代の問題が生じる。サブカル
世代が年齢を重ね、社会の主要ポストを占め
ていく。→二重の意味で体制に取り込まれる。
サブカルチャー④
• サブカルチュア・・・社会的逸脱の一つ
• 大人たちは、担い手に不良のレッテル貼り(ラ
ベリング)を
• しかし、その「不良」たちが社会の主流・中堅
どころといずれはなる
• 彼らの「逸脱した」行動様式の一部あるいは
ほとんどが、社会の主流の行動様式となる→
社会の文化そのものを組み替えていく。
サブカルチャー⑤
• 小説・・・詩と違って二流の文学と見なされて
いた
• その後、映画は小説や詩や演劇と違って、二
流の芸術とされた
• 漫画やアニメは二流の文化とされていて、今
でも図書館界の反発はあるが、次第次第に
漫画学会や大学の漫画学科ができて、主流
の文化で公認されるようになってきている
サブカルチャー⑥
• 不良の音楽とされていたビートルズやローリ
ングストーンズであるが、ビートルズは、イギ
リス女王によって1965年勲章をもらいマッ
カートニーは1997年貴族に列せられ、先頃
ミック・ジャガーも貴族になった。
• ジャズはむかしはクラシックに較べ低級文化
とされたが(アドルノという世界的な社会学者
など)、今は、クラシックファンとジャズファンは
結構被るとされている。
サブカルチャー⑥
• 教育界・・・正統文化が支配
• 現在の教育システムで、優れた能力をもつと
される人・・・新しい文化の基準においてはそ
うではない可能性も
• 未来の基準による「優等生」は、今ストリート
でダンスに興じているということも充分にあり
得る
5.6 年齢の説明力の変化
• 従来は、年齢の差は、性とともに大きい説明
力
• なぜなら職業上の地位の差、家庭での立場
の差←年齢の差
• ←終身雇用制(年功序列と定年制。ただし勤
め人。しかも大企業・公務員のみ)
• ←結婚(初婚)年齢がほぼ一定
• ←離婚率の低さ
年齢の説明力の低下
• 日本がアメリカ型の社会になる→年齢と地位
とが照応しにくくなってきている
• 社会のボーダレス化→年齢不明人増える
• 儒教道徳の衰え→年長者への尊敬の減退
• 終身雇用制(7.3.1参照)の崩れ。中途採
用の増加
• 定年制が年齢による差別とされる
年齢の説明力の低下②
• 未婚単身者(パラサイトシングル?)の増加と
初婚年齢の多様化、離婚率の上昇
• 結果(メリット、デメリット)
①人間の自由の増大
を見よ
属性よりもその人個人
②強い人間以外は孤独感が強まったり、意味
喪失に陥る
6.1 学歴についての予備的議論
6.1.1 学歴社会と学校歴社会
• 日本は、「学歴社会」というよりも「学校歴社
会」
– 「どんな教育を受けてきたか」よりも「どの学校を
出たか」
– 「学歴ロンダリング」、「学歴フィルター」なる用語
• 高学歴なはずの「博士」は就職難
– 理系修士は、就職がいい
– 文系修士は、就職難
6.1.2 達成価値と属性価値
• 学歴は、本来、達成価値であるが、属性価値
的な要素も強い。
– 18,9歳のときまでの頑張り次第で決まってしまう
ものだったので
アスクリプション(属性原理、属性主義)と
アチーブメント(業績、達成)の対比
• 業績主義
– 「地縁・血縁・家柄・性別・人種」といった個人に
とって変更不可能な属性によってではなく、その
人の能力・努力・実力に応じて、資源を配分した
り、地位を決定すること
• 属性主義
– 血縁・家柄などの属性によって地位を決定するこ
と
6.1.3 学歴インフレ①
• 学歴は、いろいろな属性に関係する
– 学歴→職業→収入→居住地、未既婚、家族構成な
ど、その他の属性に多く相関する
– 意識や行動様式を多く規定する
• そのため、親は子どもに良い学歴を望む
→ 世代交代を経るごとに学歴は良くなる傾向にある
→ 学歴インフレ
6.1.3 学歴インフレ②
• 文化的蓄積、知識の蓄積に伴い、一人前の
技術者や研究者になるために必要な年数が
増えている。
– 理系は、修士に進む学生が大半
– 薬学部では、6年制課程の設置がスタート
– 教員養成も??
• その意味で、高卒よりも大卒、大卒よりも院
卒が望まれる世界的な傾向がある
6.1.3 学歴インフレ③
• 学歴をアンケート調査で調べる際・・・
– 「学歴インフレ」の状況に考慮する必要がある
– つまり、学歴の要因を年齢で、コントロールする
• お金も資格も学歴も希少性があって初めて価
値を持つ
– 大卒の価値の低下
– 末は博士か大臣か
6.2 学歴と階層再生産
• ピエール・ブルデュー
(1930-2002)
• フランスの社会学者
• 階層再生産の議論
出典:藤原出版
よい学歴(学校歴)のある人の
DISTINCTION(卓越化)の構成要素
1. 能力そのものの差(頭の良さ、努力の結果の差)
– 立ち居振る舞い(ハビトス)の差(文化資本)
– ハビトスとウェーバーのエートス概念との類似性にブ
ルデュー自身が言及
2. 周囲の評価の差
3. ネットワーク、人脈の差(社会資本)
– 慶應義塾大学の人脈力
階層再生産①
• 高学歴(支配階級)の親の戦略
→ 子どもに対する階層再生産戦略を施す
→ 良い学校に入れ、よい就職をさせる
→ つまり、教育投資
• 学校教育が、子どもに求める能力
→ 支配階級の好む文化、知識、教養
• そのため、支配階級の文化に接して育った子ど
もは、学校教育についていきやすい
階層再生産②
• その結果・・・
1. 学歴が階層流動化の要因ではなく、階層再生
産の道具としてのみ機能するようになってしまう
2. 同じ一流とされる学校の卒業生において、親が
一流の職業に就いている人の方が、早く高い地
位に就ける
→ 学歴が専門的能力の証明であるよりも、教養
の高さ、文化資本の伝達・授受の証拠に使われ
る
日本でも言えること、言えないこと
1. 東大・早慶の学生の親の年収は、他大学よ
り高い
– 東大と慶應の隔世遺伝
2. 日本では、階層の格差がフランスなどに比
べ少ないという説と、日本でも階層の格差が
あるという説がある。
3. 芸術等の趣味という意味での文化資本のあ
るなしは、社会的地位に関係しない
– 階層による違いというよりも、世代による違い
文化資本①
• 文化の持つ社会的な価値の側面、親から子
へと相続される側面を強調した用語。
– 流暢な標準語、クラシック音楽への素養
• 家庭生活を通じて、親から子へと受け継がれ
る場合が多く、文化資本をより多く持った家の
子どもはやはり優位な位置に立つ
– ブルデューの「階層再生産」
文化資本②
• 文化資本は必ずしも金銭的な資産に比例す
るものではない
– 経済資本○ 文化資本×
– 経済資本× 文化資本○
• ブルデューは、文化資本の中身を「身体化さ
れた様態」、「客体化された様態」、「制度化さ
れた様態」の3つに分類した。
文化資本③
1. 身体化された様態
– 話し方や立ち居振る舞いなど
2. 客体化された様態
– 物としてのピアノ、百科事典など
3. 制度化された様態
– 学歴や資格など
ブルデューの議論
• フランス、ヨーロッパ型の階級社会を前提
→ 日本にそのままの形ではあてはまらない
が、それに類するものは日本でも存在してい
る
6.3 学歴の高低と権威主義①
• 低学歴のものほど、権威主義的な性格
• 進学校の生徒ほど、上下重視態度が弱く、権
威主義的でない
⇔ 親が高学歴の子どもほど、上下重視態度
が強いとも
6.3 学歴の高低と権威主義②
• 学歴の低い人ほど、日常生活上の不満を自
国への誇りで解消させようとする傾向
→ 高学歴者よりも権威主義になりやすいという指
摘
6.3 学歴の高低と権威主義③
• 従来、高学歴な者ほど、政治的にリベラルある
いは、左寄り
– 岩波書店、朝日新聞
• 低学歴な者ほど、保守的(なおかつ、保守的)
• しかし、今日では、このような分け方が成り立た
なくなっている
– 朝日新聞、日経新聞の両紙を購読
– 若い高学歴層は、反朝日、反テレ朝、反中国、反韓
国
7.職業
7.1職業の多様な次元の種別
• 業種(大きく分ければ第一次産業か第二次産業
か第三次産業か。勤め先の業種)「業種」「事業
や営業の種類」(『広辞苑』)
• 仕事の内容(勤め先の業種が製造業であっても、
事務的な仕事もあるし、営業的な仕事もある。他
方、製造業の根幹に関わる開発・技術部門や行
員として実際の製造に携わる人も多い)
• 従業上の地位(平から係長・課長・部長・役員・
社長等)
7.2日米の雇用形態・職業意識の違
い
• 就職と就社
• ジェネラリストと専門職
• 企業内組合と同業者組合
7.3日本的経営
• 終身雇用制
• 年功序列制
• 配置転換による雇用調整とジェネラリストの
養成
• 御神輿型の意志決定と人の和の強調
• 丸抱え的システム
7.3.1終身雇用制
• ・・・(中途採用の少なさ、学歴よりも学校歴重
視の理由、就職よりも就社となることの理由)
• メリット・・・首切りの少なさであり、社員の愛
社精神を強くし、仕事へのモチベーションを高
める。
• デメリット
①不採算部門に人をいつまでも残しておいたり
不景気になっても人減らしができない→日本
の企業の国際競争力を弱くする(構造改革論
者)
7.3.1終身雇用制②
②成果→好条件での転職というモチベーション
が働かない→独創性を阻む企業風土
• この終身雇用制の反対がいわば「リストラ社
会」とでもいえる。
③「会社人間」を作り出す・・・家庭を顧みない人
生・・・定年後の生き甲斐のない状態
7.3.2年功序列制①
• (就社ゆえ、社内の人脈が大切になる)
• 賃金や地位が勤続年数(=年齢・・・中途採
用が少ないので)に応じて決まる・・・横並び
の昇進・昇級→社員の間での対立や嫉妬心
が生まれにくい。社員の創意工夫を殺ぐとい
う批判もある。
• 独創性よりも調整力を重んじる(山一証券倒
産時のエピソード)。7.3.3のジェネラリスト
ゆえこのような社内の人脈を重視する人間が、
エリートとしてのさばる。
7.3.2年功序列制②
• 中途採用や、新卒でない者の採用が不利に
なる。
• 日本が学校歴社会に留まり、学歴社会になら
ない理由でもある。
• 現実にはポストは上に行けば行くほど限られ
る。・・・出向、課長「級」のようなポストの用意
• 右肩上がりの時代は、上記の問題はあまり
目立たず巧くいった。
7.3.2年功序列制③
• 住宅ローンや退職金、年金等、ライフプランそ
のものが日本では、年功序列制を前提として
いた。
• それに併せて結婚年齢、子供の生まれる年
齢その他も、人による違いが従来は少なかっ
た。
• ライフスタイルの多様化(≒属性の説明力の
減少)により、年功序列制の意義も薄らぐ
7.3.3配置転換による雇用調整と
ジェネラリストの養成①
• (就社であるがゆえに、不採算部門をレイオ
フしなくて済む)
• メリット
①首切りの少なさ・景気の変動・人気商品の変
化に対応できる
②社内の事情に通じた人物が幹部として育つ
(「幅広い」視野)
7.3.3配置転換による雇用調整と
ジェネラリストの養成②
• デメリット
• 専門職が育たない、専門的能力を評価できな
い
• 会社の外に人間関係の広がりを育もうとしな
い人が増える
7.3.4御神輿型の意志決定と人の
和の強調
• ・ボトムアップ的な意志決定
• メリット・・・末端の社員も会社の方向を左右
する重要なアイデアを出す機会があり、モ
ラール(士気)が高まる。
• デメリット
• 1.責任が曖昧になる(日本の社会は無責任
の体系が支配するということは丸山真男その
他が指摘するとおり)。
• 2.意志決定に時間がかかる。
7.3.5丸抱え的システム
• コンピュータ、英会話等、自分をスキルアップ
するための研修費用も会社持ち
• 社員食堂、社宅その他、福利厚生を会社が
面倒見る
• お茶くみ専門の一般職の女子社員を大量に
採用し、幹部候補生の男子社員の結婚相手
の候補として、それでも売れ残った人にはお
見合いの話を紹介する。
• 社員旅行、接待ゴルフ、社内の飲み会等、社
員運動会等、社員および家族の娯楽
丸抱えシステムのメリット
• 1.会社に対する愛情や忠誠心がわき、仕事が生
き甲斐になる。その結果、モラール(士気)が高ま
り、仕事上の効率は増える。
• 2.9時-5時で職業人としての意識が途絶えない
だけに、職業上の地位が、その人の役割や規範を
そのまま規定することになり、人格上の統合の矛
盾が生じにくい。
• 3.名目上の給料よりも実質上の給料は高くなる
が、それによって社員が支払うべき税金(所得税)
は、相対的に低くて済む。(民間企業よりも公務員
に関して宿舎等々についてこの利得はある)。
丸抱えシステムのデメリット①
1.娯楽、余暇活動が仕事の延長になる。カラオケ
に行っても、飲み屋に行っても上司の顔を見る
んでは、部下はストレス発散できません。結局ジ
ンメルのいうような貨幣的人間関係が構築され
ず、相対的に下の立場の人間の自由が得られ
ない状況であるといえる。
2.事実上の就業時間の延長。会社に余暇や娯楽
の面倒をみて貰うということは、逆にサービス残
業をすすんで受け入れる下地にもなる。
丸抱えシステムのデメリット②
3.地域社会への繋がりができない理由にも。
ただし会社と家族しか濃密な人間関係を築く
ネットワークができないため、会社での立場
が悪くなり、家族ともしっくりいっていないばあ
いには、逃げ場や相談相手がなくなる恐れも
ある。
• ※会社がゲゼルシャフトではなく、擬似的な
ゲマインシャフトとして機能するといわれる。
ライフサイクルと職業①
• 人生の一部の時間のみ「職業人」
• 80年のうちの22-60歳の38年
• しかも余暇が増えて、この38年のうちの何割
かのみが職業に充てる時間
• ただし22歳までは「職業」という「夢」の実現
のための投資期間ともいえる
• また生き甲斐も職業と併せて考えられている。
ライフサイクルと職業②
• とはいえ余暇時間の充実を支える
• お金と肩書きも職業が規定する。
• 自分の子どもへの教育投資も、職業を念頭に
置いている・・・その意味では社会学上の多く
の「属性」が職業を巡って、廻っている
• 職業・「再生産」(マルクス・ブルデュー的な)
をキーワードすると、人間の諸活動のほとん
どがその中あるいは周辺に関連づけられる。
ライフサイクルと職業③
• ただし普通の意味の学歴が関係する職業は、
全職業の一部だし、花形職業は学歴不問で
あったり(スポーツ・芸能・ファッション)、学歴
は要するがさらに驚異的な競争率であったり
する(マスコミ産業等)
• 「職業-学歴-再生産」の軸が社会を大きく
規定するが、それを外すと何が残るか、そこ
に自明性を越えた眼を向けたい。