メディア社会学2009/11/10 年齢・学歴 5.年齢 5.1世代(generation)と年代(age) • 5.1.1世代 • 5.2.2年代 5.1.1世代 • 「世代」「生年・成長時期がほぼ同じで、考え 方や生活様式の共通した人々。またその年 代の区切り。ジェネレーション。「--の差」 「戦後--」」(『広辞苑』) • 例)「安保世代」「団塊の世代」 • いつ頃生まれたかで人々を区分して、考え方 や行動の仕方の相違をみていく際に使われ る言葉。 • ある世代の人・・・ある時は子供の年代であり、 ある時は青年の年代であり、ある時は中年に 「団塊の世代」 • 「団塊の世代」(「1947-49年のベビーブーム時 代に生まれた世代」『広辞苑』) • 1960年には彼らは年代としては少年の年代 • 1970-80年頃までは青年の時代、 • 今は中年の年代になっている。現在、定年を 迎え、彼らの大量退職が技術の継承の可否 という観点から注目されている。 世代論と技術決定論 • 「太陽族」「新人類」(1960年生まれ以降)など。 • 「携帯電話世代」とか「オタク世代」 • マス・メディア、電気通信等のメディア環境の 変化→世代特有の行動様式(文化)を形作る • しかしあまりにそこの部分を強調すると、技術 決定論やマス・メディア効果論の皮下注射モ デルに陥ってしまう。 世代論の陥穽 • ①戦争や災害や技術などインパクトの大きい 事柄の説明力を必要以上に過大評価 • ②時代の最先端の人(若者)の行動のみに着 目しがちである • ③いずれにせよ多数派は世代の特色を(少 なくとも当初は)備えていない • ④報じられることで最先端が普通になること はある(沈黙の螺旋状階段仮説) 5.1.2年代 • 「年代」「一生の一時期」(ジーニアス英和の ageの説明の一つ) • teenage 10代の(13-19歳) • いつ生まれたかによる意識や行動様式の差 は「世代」のこととなるし、いつ生まれたかに かかわりなく、若者には若者固有の意識や行 動があり、そちらに着目すると「年代」のことと なる。 アンケート調査と世代、年代 • 実際には両者の影響は不可分的に混ざり 合っている。一度の時点でアンケートをしても、 両者は分離できない。 • 両者を区別する調査手法・・・コーホート分析 ‘若者の保守化 改憲論議’ 世代と年代のズレの例 • 従来 高齢者 保守的 /若者 革新的・・・ 時代を問わず、ほぼ普遍的にいえた ↓ • 冷戦の崩壊(1990年前後)→保守、革新の枠 組みの崩れ。55年体制の崩壊→戦争を知ら ない世代が政治の表舞台に ↓ • 従来の振り分けとある意味逆転している状況 5.2 年齢による意識の差の理 由・・・準拠枠組みの違い • 「準拠枠組(frame of reference)」・・・「「認識 枠組」「関係枠組」ともいう。人間は外部から の刺激を「知覚」するが、それをどのように 「認識」するかは、その人の持っている認識の 枠組によって異なり、同一の刺激が同一の認 識をもたらすわけではない。このように、外部 からの刺激に統一的な「認識」を与える枠組 みを準拠枠組という」 (倉沢進・川本勝『社会学への招待』ミネルヴァ書房1992,p.51)。 準拠枠組みの違いの生じる例① 親が子供に対して多く注意している事柄(倉沢進・川本勝 『社会学への招待』ミネルヴァ書房1992,p.50。オリジナルは、東京都『東京の子供と家庭』1985)。 • 1位 人に迷惑をかけないこと 46% • 2位 言葉づかいや挨拶をきちんとすること 32% • 3位 交通事故やけがに気をつけること 32% • 4位 勉強すること 21% ② 子供が親から多く注意を受けている事柄 • 1位 勉強すること 43% • 2位 言葉づかいや挨拶をきちんとすること 30% • 3位 整理・整頓をすること 27% • 4位 交通事故やけがに気をつけること 22% ③ • 親は社会的規則や通念をいっているつもり。 • 子供の方は具体的な生活上の事柄の注意が、 頭に残る。よって、のび太のママやしんちゃん のミサエ(「おかたししなさい」)のような発言 が印象残る。 • →同一の事柄に対する意味付与・・・大人と子 供で異なってくる。つまり、「個々の行為とそ の行為に意味を与えている価値や規範は違 うものであ」る(倉沢進・川本勝『社会学への招待』ミネルヴァ書房1992,p.52)。 ④ • ・・・子供の方が生活世界が狭く、特に友達集 団でのつきあいが、自分の最も大切な集団と なる。したがって友達づきあいを邪魔される 「宿題済ませたの?」は、子供にとって最も不 快で煩わしく、他の言葉よりも印象に残ること になる。他方、親の方は生活世界が広いので、 地域社会あるいは将来の日本社会での子供 の正しい成長を願っての発言が多くなってい ると感じている。 5.3 年齢と地位、役割 • 「年齢に比例して地位が上がる」・・・普通の 社会、あるいは従来の日本社会。いまは若干 変化している面もある。当然地位に応じて、 一般的には権力もふえるし、収入もふえる。 • 年功序列制であると、年齢とともに、会社の 中での地位が上昇することになる。経験が大 切な仕事であれば、年齢ととも実際に実力が つく。そして年齢、実力に伴い、役割や地位も 大きくなる。 • 日本での社員の評価 ・・・専門的な能力や独自の才能<<<会社内 での顔の広さ、人脈等 →年齢に応じて地位が向上することになる。し かしそれも定年までの間のこと • ▽山一証券「俺は部長なら得意だ」▽ 地位の非一貫性・・・日本の特色 • 中小企業の部長と大企業の係長のどちらが 地位が上か? • 社内では地位の上下は明確であり、そこで閉 ざされた地位のピラミッド型システムがあるが、 社会全体では?不明 • 職業上の地位だけでなく、財産や収入や学歴 その他諸々の要素が地位を構成している • 学歴は地位の理由であると同時にそれ自体 地位・・・昔の本、「文学士誰それ著」 年齢と地位 • 儒教社会・・・年齢と地位とがすぐに結びつく • しかし現代社会、定年制・・・60歳までの間で の期限付き、「年齢に応じた地位」 • 江戸時代も「ご隠居」は自主的定年・・・でも隠 居後も「水戸のご老公」 • 会社社会でも役員(重役)は定年がない。よっ て社長、副会長、会長と屋上屋が重ねられる。 5.4年齢につれての地位向上の機 会の減少という近年の状況 想定される諸要因 • マスメディアの影響・・・美男美女系(テレビ映 りの良い人)であれば若い人ほどメディア露 出しやすい • 能力主義の傾向 • 稼ぎで全てを評価する傾向 • 価値と希少性の問題 マスメディアの影響 • 社会がテレビなどの影響を受けやすくなる→ 若さが大切な仕事がスポットライトを浴びる→ 年齢を経た者が高い地位を占めることへの 反感も強まる • スターの若さ称揚→それが一般化→沈黙の 螺旋状階段(ノエル・ノイマン) 能力主義の影響 • 年功序列型と地位と賃金の配分→能力に応 じた地位と給料へ • 創意工夫を重視する社会へ→長年の経験の 蓄積よりも新しいことを生み出す力を重視→ 年を重ねることが優位性の根拠にならぬ • スポーツの監督よりスター選手の方が多い年 俸、大きな発言力を 価値の希少性の減少の影響 • 少子高齢化→若者の数減少→相対的に若者 の稀少性が増大→従来以上に大切にされる • 高齢者の増加→高齢者の有り難み減少 • 従来の年齢と地位との関係を問い直させる。 5.5 世代とカウンターカルチャー、 サブカルチャー • 世代間の情報行動、消費行動の相違→世代 間の文化的な摩擦の原因に • ギリシア時代から「今の若者はなっていない」 という言葉。 • 大人の価値・規範及びそれらが具体化した形 での行動様式(文化)≠若者のそれら • 大人・・・自分たちの価値・規範に生きてきた ことの意味づけ→若者の文化に不満 サブカルチャー② • 若者・・・大人の価値・規範を継承するだけで は、年の功のある彼らを抜けない→自分らの レゾンデートル(存在意義)を示す必要→別の 文化(サブカルチャー、カウンターカルチャー) を模索する • サブカルチャーは「年齢高くなる=地位」とい う見方を押しつける伝統的社会への反撥の 意味合いもあった(と思われる) サブカルチャー③ • 学校教育で体現される価値や規範(既存文 化の側)とは別の規範→学校文化への反逆 (ex尾崎豊の「卒業」) • ジーンズやロック・・・反戦のシンボルから商 品へ(体制の側に吸収される) • 既存の価値や文化に対する若者の反逆を、 大人の側が商品とする サブカルチャー③ • 市場の飽和状態を避ける→商品の差別化の 要請→この資本の側の要請に、若者文化、 サブカルチャーは応えてしまう。 • しかも世代、年代の問題が生じる。サブカル 世代が年齢を重ね、社会の主要ポストを占め ていく。→二重の意味で体制に取り込まれる。 サブカルチャー④ • サブカルチュア・・・社会的逸脱の一つ • 大人たちは、担い手に不良のレッテル貼り(ラ ベリング)を • しかし、その「不良」たちが社会の主流・中堅 どころといずれはなる • 彼らの「逸脱した」行動様式の一部あるいは ほとんどが、社会の主流の行動様式となる→ 社会の文化そのものを組み替えていく。 サブカルチャー⑤ • 小説・・・詩と違って二流の文学と見なされて いた • その後、映画は小説や詩や演劇と違って、二 流の芸術とされた • 漫画やアニメは二流の文化とされていて、今 でも図書館界の反発はあるが、次第次第に 漫画学会や大学の漫画学科ができて、主流 の文化で公認されるようになってきている サブカルチャー⑥ • 不良の音楽とされていたビートルズやローリ ングストーンズであるが、ビートルズは、イギ リス女王によって1965年勲章をもらいマッ カートニーは1997年貴族に列せられ、先頃 ミック・ジャガーも貴族になった。 • ジャズはむかしはクラシックに較べ低級文化 とされたが(アドルノという世界的な社会学者 など)、今は、クラシックファンとジャズファンは 結構被るとされている。 サブカルチャー⑥ • 教育界・・・正統文化が支配 • 現在の教育システムで、優れた能力をもつと される人・・・新しい文化の基準においてはそ うではない可能性も • 未来の基準による「優等生」は、今ストリート でダンスに興じているということも充分にあり 得る 5.6 年齢の説明力の変化 • 従来は、年齢の差は、性とともに大きい説明 力 • なぜなら職業上の地位の差、家庭での立場 の差←年齢の差 • ←終身雇用制(年功序列と定年制。ただし勤 め人。しかも大企業・公務員のみ) • ←結婚(初婚)年齢がほぼ一定 • ←離婚率の低さ 年齢の説明力の低下 • 日本がアメリカ型の社会になる→年齢と地位 とが照応しにくくなってきている • 社会のボーダレス化→年齢不明人増える • 儒教道徳の衰え→年長者への尊敬の減退 • 終身雇用制(7.3.1参照)の崩れ。中途採 用の増加 • 定年制が年齢による差別とされる 年齢の説明力の低下② • 未婚単身者(パラサイトシングル?)の増加と 初婚年齢の多様化、離婚率の上昇 • 結果(メリット、デメリット) ①人間の自由の増大 を見よ 属性よりもその人個人 ②強い人間以外は孤独感が強まったり、意味 喪失に陥る
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