sociology20091027

メディア社会学
2009年10月28日
2.行為の意味
2.1ウェーバーの行為の4類型
• 目的合理的行為
• 価値合理的行為
• 伝統的行為
• 感情的行為
目的合理的行為
• 目的合理的行為・・・ある目的を達成するため
に最も合理的な(つまり自己利害にかなった)
手段を選択するような行為→「行為の意味理
解」の3水準の「動機」にかかわる。
• 名誉、地位、権力、お金等を求める行為など
価値合理的行為
• 価値合理的行為・・・行為が、その結果を顧慮
することなく、ある特定の価値--美的・宗教
的・倫理的など--に無条件に方向付けられ
ていることをいう。 →「行為の意味理解」の3
水準の「動機」にかかわる。
• お金よりは理想をという生き方など。もちろん
理想、価値の実現のためにお金、地位、権力
が必要な場合も
伝統的行為
• 伝統的行為・・・伝統的行為とは、ある刺激に
対して昔から続いてきた方法で習慣的に反応
する行為のことをいう。日常的行為のほとん
どはこれである→没意味性と有意味性の限
界線上にある行為類型
感情的行為
• 感情的行為・・・感情的行為とはある行為が
そのときどきの感情によって動かされている
ものをいうが、常に意味的に方向づけられて
いるわけではない。方向付けられていれば、
目的合理的行為や価値合理的行為に容易に
転化していく→意味ある行為とそうでなく意味
のない行為との境界事例
2.2見田宗介の行為類型
• 見田宗介(1937-)東大名誉教授。真木悠介
の別名での著書も多い。
• 甘粕正彦(大杉栄を殺戮した将校)の従兄弟
で著名なマルクス主義者甘粕石介の子供
• 『時間の比較社会学』
• コンサーマトリとインストルメンタル
『時間の比較社会学』
• 時間観念と行為類型を結びつけた
• インストルメンタル・・・道具的。将来を顧慮し、
現在という時間を、未来の犠牲にする生き方。
アリとキリギリスのアリに近い。
• コンサーマトリー・・・自己目的、自己完結。そ
れ自体を目的とすること。キリギリスに近い。
現在の時間をそれ自体で楽しむ生き方。
• インストルメンタル・・・プロ倫の行為類型、時
間観念に近い。近代資本主義社会
• また、ウェーバーの目的合理的行為に近い。
• コンサーマトリー・・・南米の行為類型、時間
観念など
• ウェーバーの感情的行為に近い。
2.3大塚久雄の理念と利害状況
• 理念と利害状況の組み合わせ
• 理念・・・価値合理的行為の目標、思想・宗教
• 利害状況・・・目的合理的行為の目標、経済
的状況
• シュパンヌング(双方が緊張感を保ちつつ、
影響を与え合う・反映論を否定)
大塚の示唆の発展型
• 短期的利害と長期的利害、個人的利害と集
団的(人類的)利害を組み合わせたマトリック
スの形成
行為と意味についての例
• スポーツとメダル、メダルと柔道、課長の地位
(「やっと俺も課長だ」という数年前のCMコ
ピー)、石を投げれば部長、課長に当たるとい
われた某大手広告代理店、紙幣と貨幣、同
棲とDINKSの夫婦(ブリトニー・スピアーズ)、
単位取得の集積と卒業、議員の大臣病と上
がりとポスト増、学歴・資格インフレ
• →希少資源としての地位・名誉等と地位・名
誉インフレ
• 制度の根拠の本質的恣意性、恣意性の中で
の意味づけ
3.属性的な類型
3.1属性的な類型立ての方法と有効性
• 「AよりもBの方がCである」についての復習
• 変数X(値AB)人口学的変数・属性・アンケート
調査のフェースシート。ほかに記憶や過去の
経験、性格もあり得るが
• 変数Y(値CD)意識・行動。意識・・・世界観、
行動の意味づけ、行動のもととなる規範・習
慣など。特に世界観はXとYの中間に入るもの
であるともいえる。
人口学的変数(属性)
• 上記の狭い意味でのXに相当する人口学的
変数(属性)ごとに、社会学上の問題を概説し
ていく。・・・重要な説明変数故
• 性別、年齢、学歴、職業、年収、居住地、家
族構成(本当は宗教、出生地、母語、国籍、
支持政党、家柄(親の属性)、財産等も)
• アンケートのフェースシート項目(上の括弧部
分以外は)
• 旧来、地位→地位に応じた役割取得→役割
演技→意識や行為パターン
• よって属性によって世界観や行動が明確に。
3.2属性の説明力の低下の理由
• 社会のボーダーレス化
• 属性が実体概念から機能(役割)・関係概念
に
社会のボーダーレス化①
• 経済のグローバル化→国境を越えた労働力
と資本と技術が往来→国籍のボーダーレス
化
• 国籍のグローバル化・ボーダレス化→宗教の
グローバル化・言語のグローバル化→文化
(生活様式・行動様式、およびそれの背景に
ある価値観)の多様性・雑居性→文化に伴う
価値や規範の変化→投票行動の変化
社会のボーダーレス化②
• 年齢のボーダレス化→終身雇用の崩れ・中
途採用の増加、学びの機会の多様化、初婚・
出産の時期の多様化、「年貢の収めどき」の
死語化
(矢印は実は双方向)
• 性別のボーダレス化→ユニセックスのファッ
ションの増加、女性の権利の自覚、同性愛の
社会的容認度の増加
3.2.2属性が実体概念から機能(役
割)・関係概念に
• 実体概念と機能概念
• エルンスト・カッシーラ
• 中井正一
3.2.2.1性
• 生物学的な性別→役割としての性・・・gender
概念
• 同性愛の容認
• 人類の歴史はすべてにおいて自由の獲得の
歴史
• 性愛についても、性役割分業についても、双
方について共に、自由の領域が拡大
3.2.2.2年齢
• アメリカでは定年制を年齢差別
• 実年齢とその人なりの年齢とを切り離す
• また肉体的にも肌年齢、精神年齢、腸年齢、
脳年齢、その他等々、諸々の事柄にそれぞ
れ「年齢」という被修飾語を充てる
• これらは実年齢の束縛からの自由と捉えるこ
とも可能(○○年齢は脅迫するようだが)
3.2.2.3学歴
• 良い学歴(学校歴)とは?
• 頭の良さ(あるいは悪さ)の指標→その人が
得た能力的な資格
• 専門大学院、社会人入学、編入→学歴が固
定的なものではなくなる
• 宿命的な枷としての学歴→我々の学びのグ
レードの証としての学歴(「自動車学校」の卒
業のようなもの)
3.2.2.4職業
• 終身雇用制の綻び、フリーターの増加
• 職業人に求められる技術が陳腐化、通用しな
くなる年数の早まり(←変化の早い世の中←
情報の速い伝達)→リカレント教育の必要性
の増大
• 年功序列→能力給、業績給に(正社員や公
務員も一部歩合制を加える)
• 終身雇用制→片道切符の出向、リストラ
3.2.2.5年収
• 機能概念化を実現するもの
• 他の属性における機能を手に入れる根拠。
• その意味ではこれだけは実体である側面は
強い。
• 一時的に大金もち気分を味わうには、クレ
ジットカードや、消費者金融がある。
3.2.2.6未既婚
• 昔は既婚の方は比較的固定的
• 今、未婚→既婚の5割の頻度で既婚→未婚
• 自由の増大=安定性、安心の欠落(デュルケ
ムが懸念した事態に)
• 同棲カップルと子供のいない夫婦との違いは
紙切れ一つ
3.2.2.7家族構成
• 家族の果たした機能のアウトソーシング化
• 衣食住、教育、性(生殖あるいは快楽として
の)、会話の機能
• 衣(裁縫・編み物)、食(外食・中食)、住(子供
のプチ家出、単身赴任)、教育(勉強以外の
社会生活上の教育も学校に頼る・塾通い)、
性(婚外セックス・不倫・代理母)、会話(「お
話し聞きます」ビジネス、テレビ、チャット)
3.2.2.8居住地
• 単身赴任、子供の進学等・・・住民票上の住
所と現実の住所とが一致しないケースの増大
• 職住接近→職住分離・・・昼間人口≠夜間人口
• 準拠集団が地域社会以外の集団に(特に欧
米諸国の教会のようなコミュニティが日本で
はないので)。
3.2.3貨幣(お金)の影響
• ジンメル『貨幣の哲学』、今村仁司『貨幣とは
何か』1995年、筑摩新書
• 従来、上下関係をコントロールするもの・・・広
い意味の権力
• 現代、貨幣が上下関係、支配・被支配の関係
をコントロールする
• 上下関係の性質の変化
• 固定的なもの→契約的なもの
ジンメルの貨幣論
• 主従関係・封建的隷従関係
• 貨幣を通じての関係でないので、四六時中、
上下関係が続く(「花輪君とひで爺」)→
• 貨幣を通じての、上司と部下
• 期間・時間限定の上下関係になる→役割・規
範も時間限定に→行動、意識も時間限定に
貨幣と機能としての属性
• 貨幣の力
• 従来「属性」実体的
• 貨幣時代の「属性」・・・時間限定のもの(全人
格的なものではなくなり)、機能・役割としての
み意味を持つ。
今村仁司の貨幣論
• 貨幣をコミュニケーション・メディアとして捉える
• 貨幣なき権力関係・・・剥き出しの暴力
• 例・・・ポルポト派、中国の文化大革命「貨幣なき
理想社会」→権力闘争、究極的に相手の死を望
む。異論の粛正
• 貨幣の媒介・・・貨幣の契約的性格(「金の切れ
目が縁の切れ目」)・・・権力に一定の枠を嵌め
る・・・権力の暴力性を和らげる
メディアとしての「貨幣」のデメリット
• 自我を統一するような規範が曖昧に
• ←役割が9時-5時で終わる。その「役割」を
演じるルールが「規範」
• 準拠集団が曖昧に
• すべての役割・機能が貨幣でのやりとりに
よってなされる→属性の機能の良い部分を金
で
属性の機能の貨幣でのやりとり
• 性(セックスの商品化、遺伝子の商品化、性
的魅力の商品化(化粧・整形))
• 年齢(上記、整形・化粧)
• 学歴(塾・家庭教師、私立中高)・・・「裏口」で
ない学歴も金次第
4.性別
4.1性の3つの位相
• Sex・・・生まれ落ちての性、「性別」
• Gender・・・社会的な性、後天的に獲得された
「性役割」
• Sexuality・・・性愛としての性、日本語の「セッ
クス」の語感に近い
3つの位相の関係
• Sex
• Gender・・・sexとしての性別の差(わずか)を、
より強化する
• Gender論の立場・・・genderとして性差を「社
会的に作られたものとして」減らそうとする
• Sexualityとしての女性「性」・・・アンチgender
論的な立場への逆作用
Genderとしての女性
• 生まれながらのものではない
• 役割期待で作られる
• tomboy、赤と黒のランドセル、女の子は赤系
統の服、男の子は青系統の服。女の子は長
い髪、男の子は短い髪、「女の子は脚を広げ
て座るな」、男の子はファミコンせずに外で遊
べ、女の子は人形やオママゴトや読書で家で
遊べ・・・家庭教育の場で、役割期待を刷り込
む
「サーチライト」としての新しい概念
• 苅谷剛彦『知的複眼思考法』講談社+α文
庫,2002年(苅谷は東大教育学部教授)
• ある概念の発見→今まで見えないものが見
える
• 「ジェンダー」概念の発見
• 「女性が子供を出産」・・・生物学的な身体の
違い
• 「女性が子育てする」・・・・「女性は子育てをす
るものだ」という社会の約束事あって成り立つ
4.2役割期待
• 役割・・・社会の中での地位に基づき、他者か
ら期待される行動様式や態度
• 役割規範・・・期待に背いた際には制裁が加
えられるようになると、そういった役割(期待)
を役割規範という
ミードによる説明①
• アメリカ社会学の古典とされるジョージ・ハー
バード・ミード『精神・自我・社会』
• ミード(1863-1931)のIとme
ミードによる説明②
• I・・・「主我」
• me・・・「客我」・・・子供は「重要な他者」(通常
は両親・母親)から、彼らの振る舞いを通じて、
また彼らから自分がどのように振る舞うかを
期待されているかを知ることによって(「役割
期待」)、「客我」を身につける。これは具体的
には良心とか規範とかいった、社会的な自我
である。
• 大人における重要な他者・・・準拠集団
役割と属性
• 役割(役割期待)→「らしく」振る舞う
• その年齢の人は、自分の年齢にふさわしく振
る舞うし、それぞれの職業、地位の人はそれ
ぞれの職業、地位にふさわしく振る舞うように
なる
役割と振る舞いの身近な実例
• 首相になると首相らしい顔つきに
• 女性は子供が生まれると母親の顔に一夜に
して変わると従来いわれた(フェミニストに怒
られるが・・・)「ヤンママ」は?
• ダライ・ラマ
• 小中高校大学それぞれの顔に、それぞれの
新入生は一年生の2学期頃に変貌する。
• 恋人同士の役を演じる女優と男優が本当に
恋人同士に
4.3役割期待の変化とジェンダー
• 母親における理想の女性像の変化
• (←結婚によって叶えられなかった「夢」)
• →娘への教育方針も従来と変化
• 「男性より高学歴だと結婚難に」という考えが
減る
• 女子の進路の変化
• 文学部・家政学部→医学・法学(男性と対等
に伍せる高度な資格系学部)
「女性は家庭に」という従来の考え方
の理由
• 避妊技術の不足→子沢山→子育て多忙
• 家電製品なし→家事労働重労働
• 労働は肉体を弄した・・・外での労働は男性の
専有物
• 貴族・武士を初め親の跡を継ぐ時代・・・「家」
の血統の証明大事・・・女性にのみ貞操を求
め、家庭に閉じこめる(cfフランス貴族)(長子
相続)
「女性は家庭に」という考え方からの
変化の理由
• 避妊技術の発展、少子化→夫婦とも子育て
に追われる部分が減る
• 家電の発達→専業主婦は「三食昼寝付き」と
いわれ、時間を持て余す→外で働こうか
• 労働の質の変化(←産業構造の転換、情報
処理的な仕事の増大(身体よりも頭を))→女
性が能力発揮できる職種の増大
• 継ぐものとしての「家」の崩壊→貞操は男女
等しく求められる(求められない)ものに
残業-男女共同参画社会の妨げ
• 職場での男女平等・・・家庭では不平等が残
存
• 男性・・・専業職業人
• 女性・・・専業職業人 兼 母・妻
• 残業・・・男性社員にのみ夜遅くまで頼むよう
に
• 残業多くする人が出世
4.4役割の変化とセクシャリティ
4.4.1ジェンダーがらみの変化
• 従来、家父長制・・・家父・家長の支配権を絶
対とする家族形態
• 家長権・・・家族制度において、家長が家族に
対して持つ支配権。古代・中世においては、
家族の生命、財産はその下に支配された(広
辞苑)
• 妻や娘は家長である父親が支配する。
• パターナリズム
パターナリズム①
• (国民や従業員に対する)父親的温情主義;[
けなして]家父長的態度;干渉政治」(『ジーニ
アス英和辞典』)
• 「温情的干渉主義と訳される。政治・経済・雇
用関係などにおいて、中央当局などが、父が
子に対するように各人の行うべき判断を代行
し、その判断を各人におしつけること」(金森
久雄ほか『経済辞典(新版)』(有斐閣、1986
年)
パターナリズム②
• 人間は基本、他人に迷惑をかけなければ自
由。何をしても良い。当人にとって不利益なこ
とでも。
• しかし未成年者へは親や社会が(他人に迷
惑をかけず、当人に不利益なことを)干渉す
るのはある程度、当然。
• 例・・・たばこ、お酒・・・嗜んでも当人が将来、
アル中や肺ガンになるだけ・・・しかし未成年
なので干渉する。「父親」の立場で。
パターナリズム③
• それでは未成年ではなく成人の場合は?
• パターナリズムが成人に対して認められるか
どうかという議論
• 麻薬や覚醒剤。お酒と違って当人を害する度
合いが著しい。他人を害さずとも、取り締まり
は是。
• シートベルトの着用義務
パターナリズムと性
• パターナリズム的な家父長支配の下、女性は
保護=干渉の対象
• 未成年、成人問わず娘のセクシャリティに、
父親は発言権があった。
• 「良妻賢母」の理想に娘を近づけるため。
• 父権の弱体化に伴って、娘への干渉は減る。
4.4.2 それ以外の変化の要因
• マス・メディアからの要因
• 医療技術上の要因
• 宗教の威信の相対的低下
• 一貫性、不変のものよりも変化しうるものをと
いう思考の志向性
マス・メディアからの要因
• エドガール・モラン『スター』・・・神話的世界の
人
• 「沈黙の螺旋階段」理論(ノエル・ノイマン)
• モランのいう「神話」が一般的な多数派として、
庶民にまで下降・普及
医療技術上の要因
• 避妊技術の向上・・・性と生殖の切り離し
• クローン人間、遺伝子工学、代理出産技術の
発展・・・性と生殖を論理的にも切り離す
宗教の威信の相対的低下
•
•
•
•
•
•
全ての宗教・・・性的禁欲・節制が戒律に
神の下での結婚の誓い
ところが宗教の威信低下
←「あの世」の生より「この世」の生
寿命の延びとまずまず豊かな暮らし
神秘現象の合理的説明可能性の向上
一貫性、不変のものよりも変化しうる
ものをという思考の志向性
• 宗教(一夫一婦制と天職を支持)の威信の低
下
• 商品を売るための流行(商品の「飽和状態」
避ける)
• ネット社会の情報摂取方法の非線形性
• 「大きな物語」の崩壊(ジャン・フランソワ・リオ
タール1924-98)
4.4.3 性的自由のメリット、デメリット
4.4.3.1 性的自由のメリット
• 結婚前に相手に対してより多く知る→ミスマッ
チ減る(就職についてのインターンシップのよ
うなもの)
• 女性が自立した存在に・・・男性と対等に振る
舞える
• 性的快楽をタブー視しなくなる
• 商品の購買意欲を喚起し、内需を拡大
性的自由のメリット(続き)
• 性や家庭、戸籍の国家管理が弱くなる→国家
から自立した意識の人間の増大
• 離婚、再婚を増やす→人類の種としての多様
性の実現
• 別れる可能性があるとの自覚→良い意味の
緊張感
4.4.3.2 性的自由のデメリット①
• 離婚率の上昇(←恋愛、同棲、結婚の境界不
明瞭性)→行為の意味の不在
• 若さ、美しさを一元的に称揚する価値観の支
配、正常性・規範性の美や肉体における支配
• 身体を自己の交換可能な部品のように考え
る
• 性の商品化を促進する
4.4.3.2 性的自由のデメリット②
• 家族の解体の一つの動因に(離婚というだけ
でなく、なかなか家庭をもとうとしない、家族と
の共有する時間がなくバラバラ等も含めて)
• 性的自由→離婚率の上昇→子供の教育が、
一貫性をもって行われなくなる
• 自由を享受できる人と不器用な人との格差が
顕在化する
セクシャリティとジェンダーの境界の
話題というか命題
• なぜデートの時に、男性が女性をおごるの
か?
• なぜ、両方とも免許や車を持っているとき、男
性の車で男性の運転でデートをするのか?
• なぜ、男性の方から告白することの方が比率
的に多いのか?
• なぜ自分より背の高い男性を女性はパート
ナーに選ぶべきという規範があるのか?
4.5 ジェンダーとセクシャリティの在
り方の変化の行き着く方向について
• Gender論(genderの動き)もsexualityの現状も、
最後は男女の生得的違いsexの領域を極小
化
• 近未来の我々・・・uni sex, homo sexuality を
目指す方向へ
• 機能としての性(パートナー)、機能としての
家族・・・異性の必要性ないし人の必要性な
い・・・ヴァーチャルな性
4.5②
• 性的魅力は、機能として必要なくなったもの
• 要するに職業上は男らしさ、女らしさは不要
に。
• しかしセクシャリティの領域では(セックスア
ピールとしては)男らしさ(強さ)・女らしさ(優
しさ)として残る
• ジェンダーの展開とセクシャリティの矛盾
4.5③
• 「女性の社会進出」と「女性の性的自由」の親
和性(因果関係ではない)
• 男性が性愛をプロの女性に委ねない→双方
の不倫の可能性→夫婦の恒久性が危うく
• 夫のリストラの可能性、年金受給年齢と退職
年齢とのつなぎの必要。熟年離婚の増大→
結婚=女性にとっての「永久就職」ではなくな
る→女性の経済的自立および女性としての
魅力の維持不可欠に
4.5④
• 子育て支援体制(夫の家事分担、社会の育
児休暇への温かい目、有償・無償のサービ
ス)の不足→働く女性が欧米先進国よりも子
供を作りにくい状況→少子化さらに進展
• {パートナーと別れる確率が高いことを前提と
した制度設計→社会全体で子育てをする仕
組み}→これがないので日本の少子化対策は
根本対策足り得ない
性と国家統合①
• 合衆国のような宗教国家・・・性的自由の問
題(中絶の是非、同性愛婚の合法化の是非)
が大統領選の争点に
• 性の問題は世界観に関わる(教義とも不可
分)
性と国家統合②
• 戸籍を管理することが、国家の国民への支配
の正当性の根拠←昔は、宗教の正当性の根
拠が神の下で結婚の誓いを立てさせることに
あった
• 結婚と同棲と恋愛の違いが紙切れ一切れ
に・・・戸籍管理の正当性が危うくなる
• 国際結婚の一般化・・・国民であることの条件
に「文化の共有」という部分が欠落する
まとめ
• ジェンダーからの自由とセクシャリティとして
の性の自由は対立する要素を孕みつつ、広
い意味で相関しうる。
• 両方の性の自由の増大は、必然的な流れで
あるし、メリットも大きいが、意味の喪失、国
家の統合の危機を招く可能性はある。