重要課題解決型研究 課題番号11137 政策目標分類 国力の充実 課題名 普及型高品質光子ビーム生成装置の開発 代表者名 浦川順治 責任機関 高エネルギー加速器研究機構 150mm 27MeV e- -beam 高輝度 x-rays BPM BPM Screen Laser beam (l=532nm) 1. 2. 3. 4. e- -beam Off-axis parabolic mirror with a through hole 課題提案内容 要素技術開発の状況 研究組織 課題開発装置の製品化と波及効果 具体的な達成目標 逆コンプトン散乱で軟X線(250eV)から硬X線(25keV)までの高品質光子ビーム生成装置 を、大学の研究室に入れられるテーブルトップの大きさで製作する。 1017 photons/sec・mrad2・mm2・0.1%bandw.以上のピーク輝度を持ったテーブルトッ プX線源装置の開発。これに必要なレーザー源、電子源、衝突装置の高性能化を行い、 製品として販売できる装置を組み上げ、実証実験で性能・信頼性を確認する。 利用 250eVから数keV領域の高輝度軟X線生成により、炭素原子、窒素原子、酸素原子の空間的な分布を放射線損傷をできるだけ与えない で測定できる装置開発を行う。6keV~17keVの硬X線はゲノム研究に必須の光子ビームである。また、12.4keV X線の波長は原子サイ ズに相当するので、空間・時間干渉度の高い硬X線(波長0.1nm~0.05nm)生成がテーブルトップ装置で可能になれば、原子構造解析研 究に飛躍的な発展が期待できる。大型放射光発生装置でしか行えなかったゲノム研究、超精密マイクロリソグラフィ、ナノ超微細構造研究 等を研究室レベルで行えるようにテーブルトップX線源装置を実用化する。 本研究目的を達成するための4つのサブテーマ 3研究機関(東大・早稲田大学・素粒子原子核研究所)に参加して頂く。4つのサブテーマは 高輝度X線発生装置の実用化、フェムト秒レーザーの実用化、X線空間時間強度分布検出 器の実用化および10nm分解能でのビーム軌道制御技術の実用化である。 年次計画 2004年度:試験用レーザーシステムの構築、高周波加速装置の電源発注、試験用光高周波電子源の構築、X線検出器の試験装置 開発。 2005年:試験用加速器装置をテーブルトップ上に構築、システムに必要な運転制御用装置の開発、衝突調整装置の試作。 2006年:試験用装置による高輝度X線生成実験開始、この試験装置により問題点を徹底研究する。この実験中に各装置の信頼性を 向上させるように、要素装置の改造を行う。また、実証実験装置の設計および要素部品の発注を行う。このX線発生により実用化設計 を終了する。 以下の2年間は製品化参画企業とのベンチャ事業として進めることを考えている。 2007年:性能と信頼性を確かめるためにテーブルトップ高輝度X線発生装置を構築する。ほぼ製品として売り出せるような状態の装置 を製作する。この装置による実験を年度末から開始する。 2008年:1年間の装置運転で生成X線の安定性およびテーブルトップ高輝度X線発生装置の信頼性を確認する。また、民間企業への 技術移転と製作指導を行い、製品販売できる状況にする。 要素技術開発の現状 要素技術A Multibunch e- beam at 80 MeV point • Beam Intensity ~1x1010/bunch • Normalized Emittance ey= 5x10-6 rad.m • Bunch length sz= 6.4 ~ 7.9 ps • Energy spread dE/E = 3.0% full-width • Q.E. of CsTe cathode 16% initial, 2~3% with RF ON & constant over a week 要素技術B: 60cm X-band Accelerating Structures (65MV/m) Test Accelerator Structures Cells (fabricated by KEK) Structure (Assembled by SLAC) Structure High Gradient Performance (Breakdown Rate -vs- Unloaded Gradient with 400 ns Square Pulses) 要素技術C X-band PPM Klystrons • At KEK: – PPM#3 at KEK March -June 2003 75MW, 1.6 ms, 50 Hz achieved. (goal was 75MW, 1.6 ms, 150Hz) – New RF window:good performance – Improved body cooling: estimate DT < 30 deg C @ 100Hz • At SLAC: – Built XP3#3 and #4. • Joint agenda for JFY 2003: – Cooling for 120 - 150Hz operation with good margins. – Demonstrate stable operation at 120 - 150Hz. – 120Hz Operation was achieved at SLAC. 要素技術D Head on collision 150mm 27MeV e- -beam 高輝度 x-rays BPM BPM Screen Laser beam (l=532nm) 56MeV Photon Beam Measured Number of g-rays Ng = (1.1± 0.1)x106/bunch in 31 p sec Ng = (1.8± 0.1)x107/bunch Result of last week e- -beam Off-axis parabolic mirror with a through hole 要素技術E 12TWから20TWへのアップグレード Ti:Sapphireレーザーをアンプするために用いる結晶とそれを励起する YAGレーザーを追加し、現状12TWから20TWへ増強する。 東大原子力施設にある12TW50fsレーザー 追加するYAGレーザー スペーシャルフィルタによる空間ビームプロファイル の整形と5ミクロンスポットサイズへの収束 集光点でのスポットサイズが 7ミクロンから5ミクロンに!! ↓ 集光強度は2倍程度になる。 M2=1.7程度 M2=ほぼ1 Experimental results(レーザー蓄積実験) Laser: Mode Lock: Passive SESAM Frequency: 357MHz Cavity length: 0.42 m Pulse width: 7.3 p sec (FWHM) Wave Length: 1064 nm Power: ~ 6W SESAM: SEmi-conductor Saturable Absorber Mirrors Ext. Cavity: Cavity: Cavity length: Mirrors: Reflectivity: Curvature: Super Invar 0.42 m 99.7%, 99.9% 250 mm (ω0 = 180μm) super invar 62φ High Power Test: R= 99.7% P = 3.0W out Pin = 3.0W Ext. Cavity Finesse = 1100 Cavity Transmission = Pout/Pin = 63% Enhancement Factor = 220 P(cavity) = 660W (1.8μJ/Pulse) ・Finesse: R = 99.9% Finesse =πτc/l PD PBS PBS τ:decay time c: light verocity l: cavity length P.C. Trans. τ~ 3.0μsec F ~ 6300 (Preliminary) 4100倍 要素技術Fと試験装置設置場所 Photo-Cathode RFGUN Test Bench S-band Klystron 早稲田大学理工学総合研究センター はじめに 「水の窓」領域 軟X線 軟X線 (炭素、窒素、酸素などのK殻吸収端) 構成要素 “水の窓” O 2.332 (531.73) (250~500 eV : 2.5~5 nm) N 3.099 (400.13) C 4.368 (283.88) 窒素、炭素に吸収されやすく、 蛋白質、核酸に吸収されやすい 一方、水に吸収されにく い 水中での 生体観測が可能 X線顕微鏡へ応用 1.短パルス性 ⇒ 放射線損傷、熱拡散によるボケが減少 2.エネルギー可変性 ⇒ 波長を振ってコントラストを観察できる 3.コンパクト性 ⇒ コンパクト&安定 K殻吸収端 [nm] ([eV]) 早稲田大学理工学総合研究センター 軟X線生成実験 「レーザーコンプトン散乱による軟X線生成実験」 Al Mirror glass FL e- FL IR Cherenkov light 2m 1047nm 「水の窓」領域の軟X線 680mm ~300eV 4.2MeV 実験概念図 (MCP) STREAK CAMERA IR & Cherenkov light 早稲田大学理工学総合研究センター 軟X線生成実験 IR コンプトンチェンバー e- 14.5mmφ MCP ビームライン MCP gain : 5 x106@2kV 実験セットアップ(写真) 検出角 : 11mrad 早稲田大学理工学総合研究センター 軟X線生成実験 実験結果 ピコ秒の軟X線を生 成! 軟X線の時間プロファイル(MCP) X線シグナルの強度と レーザー強度の関係 Peak Brightness photons/mm2mrad2sec (0.1%bandwidth) X-ray lasers Hi gh or BNL-ATF Thomson source (2001) de rh ar m on ics n) esig d ( rce sou n o oms LT LLN BNL-ATF Thomson source (1999) NRL Thomson source (design) las er pla sm a NRL Thomson source (demonstrated) LBL Thomson source (demonstrated) Photon Energy (keV) 研究組織 研究運営委員会の構成 本研究開発計画のサブテーマ責任者(浦川順治、上坂充、鷲尾方一、田内利明)は委員 会メンバーになる。外部委員として以下の方々と文部科学省係官等により構成する。 外部委員:京都大学大学院理学部理学部長、笹尾登教授 大阪大学産業技術研究所・ナノサイエンス研究センター長、田川精一教授 日本大学量子科学研究所・電子線利用研究施設長、佐藤勇教授 課題開発装置の製品化と波及効果 5nm~0.05nm波長領域の高品質X線源は応用上極めて重要。10nm分解能での電子ビー ム軌道制御技術の実用化、高品質大強度電子ビーム生成装置の実用化、小型高周波 電子加速装置の実用化、高品質超短パルス大強度レーザー装置の実用化、レーザー 光路精密調整技術の実用化技術を融合して、普及型X線源を製品化する。 テーブルトップの高輝度(高指向性・準 単色性)のX線発生装置が、日本の超 精密機械加工技術に支えられて世界 に先駆けて生産できれば科学技術立 国としての日本の優位性をさらに発展 させられる。波及効果として本計画が 日本のものづくり産業の活性化に役立 つものであり、精密機械加工から超微 細加工素子そして原子レベルでの構 造分析へと有能な研究者や技術者を 育てながら、最先端の製品づくりが日 本の企業に定着するものと確信してい る。本装置開発の実用化は社会の技 術レベルを格段に伸ばす可能性を秘 め、我々の生活を豊かにしてくれる。
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