第52回 ストーリー型教材開発に関する 先行研究 1.大ピンチのeラーニングビジネス業界 大手ベンダーの相次ぐ撤退・縮小 2.「箱屋」「道具屋」ばかりが残っている現状 eコンテンツビジネスの活路は「リメディアル」 ストーリー型教材開発を追求する「教育ビジネス経営的」理由 3.高品質・短納期・低コストへの方策⇒芸術から商品へ ヒントはハリウッドにあった 4.7つの黄金則で職人依存からの脱却を 5.エンタテイメントの知見を教育に転移するには? 今後の課題 ©2010 柴田喜幸 eラーニング推進機構eラーニング授業設計支援室 ランチョンセミナー 1 大ピンチのeラーニングビジネス業界 eラーニングビジネスの盛衰 ①市場のバロメータ?「e-Learning World」の推移 ②主要事業者の縮小均衡 ・産能大学:事実上撤退 ・JMAM:ASP撤退、既存コースのバルク売りへ ・NEC、リクルート、日立電サ、、、、⇒??? ・サイバー大学 看板学部学生募集停止 ③eラーニング白書の出版停止 ⇒このままではeラーニング業界がピンチ! eLwこの10年の推移(≒市場の変遷 ?) 2001 2007 2009 •85(42)社 •152小間 •14956人 ストーリー型教材開発を追求する 「教育ビジネス経営的」理由 eラーニングの力点のタイプと盛衰 双方向性 授業再現 メンタリング、講師添削、 同期型授業 講師の映像とppt のシンクロ Rich コンテンツ ストーリー、動画、操作 文字情報量 ・書籍、文献等の 伝送と課題 市場の声(今後の展開で重要となること) 問題は コンテンツの 「質」!! 誰にとっての どんな「質」 ?? •出典: 経済産業省商務情報政策局情報処理振興課編(2007) • 「eラーニング白書2007/2008」東京電機大学出版局 5 ストーリー型教材開発を追求する 「教育ビジネス経営的」理由 eラーニングビジネスの収支 ~事業的に成功した案件の殆どは、 「基礎能力習得」の「学習の意欲」に関する対策だった ①双方向性への莫大なコスト(メンタリング、添削、同期型) ⇒収支成り立たず ↓ ↓ ②事業量の確保には「無人化コンテンツ」は必須 ・「イケてないコンテンツ」で顧客損失 ・「イケてるコンテンツ」における莫大な制作費 ストーリー型教材開発を追求する 「教育ビジネス経営的」理由 eラーニングの力点のタイプと盛衰 イケてる 授業再現 双方向性 コンテンツを 講師の映像とppt メンタリング、講師添削、 同期型授業 安く作る必要性 のシンクロ Rich コンテンツ 「文脈がインストラクション場面 文字情報量 ※ への没入感に貢献する」 の具現が必須 ・書籍、文献等の ストーリー、動画、操作 伝送と課題 ※鈴木克明先生ランチョン第18回「インストラクショナルデザインの美学・ 芸術的検討ParrishのID美学第一原理とレイヤーモデルへの影響 http://cvs.ield.kumamoto-u.ac.jp/wpk/wpcontent/themes/gear/pdf/luncheon18.pdf eラーニングの「質」 ここでの 差別化 出典: 1]鈴木克明(2006)「ID の視点で大学教育をデザインする鳥瞰図: e ラーニングの質保証レイヤーモデルの提案」『日本教育工学会第22 回全国大会講演論文集』337-338 8 ヒントはハリウッドにあり 金子満※2008「シナリオライティングの黄金則」(ボーンデジタル社 刊) 「シナリオに文才は必要ない。 しかし、ルールを知ることは必要だ」 ①日本では、シナリオ創作は作り方が秘伝化 「弟子入りしろ」「先輩から盗め」「10年間は下請けで辛抱しろ」 ②それでは(高スピード・高競争の)ディジタル技術の時代は勝ち抜けない ③才能に依らず、誰もがそれに則りさえすれば一定以上のクオリティのシナ リオが書ける「ルール」が必要 ※ハリウッドの映画制作に、その「ルール」が存在している! 7つの黄金則 金子満※2008「シナリオライティングの黄金則」(ボーンデジタル社 刊) 1.プロット(ストーリーの因果関係)を作成⇒ロットに分解 2.ロット(シーンの塊)に分かれたフルプロットを作成 3.設定資料を整理する (トリガー、テーマ、背景世界、登場人物、因果関係) 4.シーンを作成する 5.ポイント(次の展開への「きっかけ」)を設定する 6.リマインダ(コンテンツを際立たせるもの)を設定する 7.リライトをする 1.プロットを作成する プロットの筋立てはいくつかのロットに分ける ロット:シーンやエピソードの塊。 (=ストーリーの構成手法でもある) あらゆるストーリーに共通するロットが存在する。 ・ウラジミール プロップ=31と発見 ・ジャンニ ローダリー=20に整理 ・大隅正秋=24と分析 ・金子満が当該書で13に整理 1.プロットを作成する プロットの段階と、各大項目の目安文字数 大項目 中項目 発端 S (60字) 何が 15字 筋書き 展開 どうして 30字 結末 描写 どうなる L (1600字) M (200字) キーワード 主体者 静的 動的 どんなところで ①どんなところで 主人公と 協力者 普通 日常 どんな主人公が ②どんなことが起こり 敵対者 異変 事件 どんなことがあって ③どんな決意をして 主人公と 依頼者 覚悟 決意 50字 350字 ④行動と苦境 主人公と 協力者 行動 苦境 ⑤苦境抜け抜けだしのヒント 援助者 支援 助け ⑥さらなる苦境 主人公と 協力者 成長 工夫 ⑦成長による解決の糸口 ⑧次の困難と試練 ⑨破滅への一歩手前 ⑩工夫により解決の予感 900字 ⑪敵対者と対決 ⑫障害の排除 主人公 切替 転換 主人公 困難 試練 主人公 危機 破滅 主人公 契機 糸口 主人公 対抗 対決 主人公 排除 勝利 ⑬解決と満足 主人公と 協力者 満足 満足 どんな状況になって /どんなことをしたため に 100字 どんなことになる 15字 50字 どんな話 どんなタッチの話 10字 10字 350字 映像表現の指定 - 今後の課題 ハリウッドの目的=エンターテイメント制作 私の目的=教材制作 ハリウッドのノウハウを、 いかに教材制作に転移するか、できるか? 動機付けに関する先行研究と併行して検討していく ありがとうございました。
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