数のかぞえかた 一、筆者の紹介 大岡信(おおおか まこと) 1931~。静岡県出身。詩人。詩集に「記憶と現 在」「わが詩と真実」「透視図法ー夏のための」、 評論に「抒情の批判」、「紀貫之」、随筆「折々の うた」、戯曲集に「あだしの」などがある。 文法 1.~折に 「とき」「機会」の意味の改まった丁寧な表現 今度お宅をお尋ねする折に、ぜひ海外のお話を 伺います。 この前一緒に取った記念写真は今度の会合の折 にお渡ししましょう。 先月、出張で北京へ行った折に、美術館で先生 の個展を拝見いたしました。 ものの 対立・矛盾する関係を示して、前述事項から普通に予 測されることがおこらない、進展しにくいという表現 が続く。 電子レンジを買ったものの、食物を加熱するだけの道 具になってしまった。 彼は優勝を期待されていたものの、予選で失敗に終 わった。 この仕事は一週間なら、完成できると思ったものの、 実際やってみると、難しくて、一週間でまだ三分の一 しかできていない。 だって 副助詞。「でも」「でさえ」という意。極端の 例を出して、それ以外のものを推測させる。く だけた話言葉。 動物だってうれしさや悲しさを示す方法がある だろう。 その時計の構造はとても簡単で、私だって修理 できる。 この本は能楽をやさしく紹介しているので、私 のような素人だって鑑賞できますよ。 だれだって失敗することがあるから、がっかり しないでください。 ものだ 用言連体形につき、ある種の感慨、詠嘆を表 す。 今の子供は幸せな物だ。 人生は茨の道を歩むものだ。 テストの結果を見ると、みんなよく頑張って きたものだと思う。 あの時、タバコを一服飲むことさえ贅沢なも のだった。 ものではない 動詞連体形につき、前述した行為を否定 して「すべきではない」という意味を表 す。 会社の車を私事に使うものではない。 両親に断らず、旅行に行くものではない。 子供は甘やかすものではないが、大人の 基準で厳しく要求するものでもない。 二、練習問題 リーディング1 1.リーディング1の内容に沿って、次の質問に答えよ。 (1)「恥をかいたのは呉さんを笑った先生たちのほうで すよ」とはなぜか。 日本人も昔はミタリ、ヨタリと言っていたことをその先 生たちがわかっていないから。 (2)あなたは日本語の数のかぞえかたは難しいと思い ますか。それはなぜか。 難しいです。中国語と違うものもあるし、数字と一緒に 読むとき音便もあるから。 (3)筆者は数の数え方が難しいから、単純化し たほうがいいと思っているか。 いいえ。助数詞はそれぞれにあじわいがあっ て、知らないよりは知った方が面白い。文化と いうものの厚みもこういう所に表れると筆者 は言っています。 (4)日本語の数の数え方について簡単にめと めよ。 10以内の数の数え方には訓読みと音読みの 二通りがあるが、11からは基本的に音読み となっています。 (5)本文以外に知っている助数詞をみんなに紹 介せよ。 略 2.同じ物事を数える日本語と中国語の助数詞 をそれぞれ書き入れよ。 物事 日本語 中国語 タクシー 台 辆 傘 本 把 写真 枚 张 教科書 冊 本 鶏 羽 只 魚 匹 条 靴下 足 双 りんご 店 証明書 個 軒 通 个 家 份 3.リーディング1の内容と合っているものを次の中か ら一つ選べ。 d 4.「こういう所」(p98.8)は何を指すか。 助数詞のような言葉の裏 5.リーディング1の要旨を120字以内でまとめよ。 日本語には日本人自身もあまり気がついていない奇 妙な用法が多い。数の数え方の複雑さはその顕著 な一例である。外国人だけでなく、日本人でさえ難し いと思い、単純化すればいいという傾向が強まって いるが、そこには文化というものの厚みがあるもの だ。 リーディング2 1.b 2.d 3.c 4.a 5.c リーディング3 1.a 2.d 3.b 4.(1)日本人の日常によく使われるから。 (2)日本の文芸によく使われるから 5.c
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