Document

大学VLBI連携・東アジアVLBI観測網
ワークショップ in 山口大学
2010, 11, 12
大質量星の形成最初期における
22 GHz H2Oメーザの空間分布調査
杉山 孝一郎 (山口大学)
• 大質量星の進化段階 vs メーザ
• CH3OH, H2Oメーザの空間分布
• 形成最初期天体の選出
• 観測提案
大質量星(HMS)の進化段階とメーザ
Class I methanol
Ellingsen+ (07, IAU 242)
time
 CH3OH, H2O, OHメーザ vs UC HII
 OH
: UC HIIの膨張をトレース (e.g., Fish+ 07)
 CH3OH : UC HIIの形成に伴い崩壊 (Walsh+ 98)
 H2O
: collimate されたアウトフローをトレース (e.g., Torrelles+ 03)
 CH3OH vs H2O
 どちらが早く出現?
 形成初期におけるそれぞれの空間分布は?
 Class I vs Class II
 Class I の方がGLIMPSEカラーが赤い (e.g., Ellingsen 06)
 今後の志野さんの観測で明らかに!(詳しくは志野さんへ)
大質量原始星(HMPOs)の進化
 熱的ライン観測
による描像
 以下の3段階に分類
1.
(1)
(2)
(3)
2.
3.
Beuther & Shepherd (05)
良くcollimate
小質量星に類似
円盤とのinteraction
OpA <30 degに
collimate
ジェット & 星風が共存
もはやcollimateではな
い・・・
星風がdominate
6.7 GHz CH3OHメーザの空間分布
 ~2000年 : 干渉計メイン
 直線構造・直線速度勾配
=> edge-on 回転円盤 ??
Cepheus A
(Sugiyama+ 08)
 2000年~ : VLBIサーベイ
 リング構造・楕円構造の検出!
=> face-on or 傾いた円盤を想起
例) EVNサーベイ (Bartkiewicz+ 09)
 9/31天体が楕円構造
• 8/9でcm波非検出
• 4/9でH2Oメーザも非検出
• IRAC 4.5 mm 放射が楕円構造の
長軸に垂直
形成最初期の降着円盤に付随 !?
G23.207-00.377
(Bartkiewicz+ 09)
HMSFRs の 22 GHz
H2Oメーザ分布
W49 N W75 N VLA1
(Torrelles+
03)
(Gwinn+
92)
 秒角スケールでの拡がり
 複数の原始星に付随
 いくつかは直線的に分布
 内部固有運動を多数検出
 双極アウトフローを想起
 中にはOpA <10 deg 程度
で良くcollimateなものも
 ~100 km s-1と高速なフ
ローも!
HMPOsからの良くcollimate
されたアウトフローをトレース !?
Gwinn+ (92)
大質量原始星(HMPOs)の進化
 熱的ライン観測
による描像
 以下の3段階に分類
形成初期の
CH3OH・
H2Oメーザ ?
(1)
(2)
1.
(3)
2.
3.
Beuther & Shepherd (05)
良くcollimate
小質量星に類似
円盤とのinteration
OpA <30 degに
collimate
ジェット & 星風が共存
もはやcollimateではな
い・・・
星風がdominate
形成最初期のH2Oメーザ?
 シェル状アウトフロー
 W75 N VLA2




B2型星
160 AU スケール
~30 km s-1 の高速膨張運動
well-collimatedなH2Oメーザより小さい
2
スケールに分布
ごく少数のH Oメーザ天体に見られる
シェル状分布・運動の起源は未解明・・・
=>
最初期のアウトフロー形状 ??
 Cep および最初期
A-HW2 R5
or 後期進化段階の
 60 AU スケール
どちらをトレース
??
 ~9 km s の膨張運動
 HII膨張に適当 ?
-1
 200 mJy 微弱連続波を形状中心に検出
=> HII領域形成後のシェル膨張をトレース ??
Cep A-HW2 R5
(Torrelles+ 01)
W75 N VLA2
(Torrelles+ 03)
研究目的
 HMSの形成最初期に放射されるH2Oメーザの空間
分布を統計的に調査
 HMS進化におけるアウトフロー形状進化調査に寄与!
そのために・・・
 HMSの形成初期の天体を選出する必要あり!
 空間スケールは~100 AUと矮小であるはず
=> VLBI が必要 : 後の内部固有運動検出のためにも!
高精度な絶対位置精度が必須!: ~1″
形成初期天体の選出方法
① cm, mm連続波との関係
 cm波:HII領域  老, mm波:ダスト  若
② Extend Green Objects (EGOs)
 HMYSOs のショックトレーサー ?
③ CH3OH, OHメーザの付随状況
 CH3OH  CH3OH & OH  OH の順
④ H2Oメーザ自身の Excess of Blueshifts
 Blueshifted成分が存在 かつ 支配的
 HMPOs に付随するH2Oメーザに共通 ??
① cm, mm連続波
との関係
絶対位置精度 ~1″での重
ね合わせ (Beuther+ 02)
 母数: 29天体
 CH3OH, H2O 共にmm波と
100%一致 (< ~0.03 pc)!
 cm波とはH2Oメーザの方
が良く一致・・・ (~30 %)
・母数が統計的研究には少ない・・・
・形成初期のH2Oメーザが少ない・・・
■:CH3OH
▲:H2O
☆:MiR
Beuther+ (02)
② EGOsとの関係
(Cyganowski+ 08)
 Extend Green Objects
 Spitzer IRAC 4.5 mm で30″程度に
伸びて分布 => ~300天体
 IRDCsに付随 : 67 %
 HCO+(3-2), SiO(5-4)が付随:90 %
+:Class I (44G)
◇:Class II (6.7G)
HMS形成初期のショック
トレーサーになり得る!
ところが・・・
 ~65 %の天体でOHメーザ
と一致・・・ (Breen+ 10)
形成初期のトレーサーとして黄色信号 !?
Cyganowski+ (09)
③ CH3OH, OHメーザの付随状況
379天体をターゲット
 CH3OH, OHメーザが付随
それぞれ~2″程度の絶対位置精度
 < 3″を一致として評価
 OHのみ : ~9 %
 OH & CH3OH : ~34 %
 CH3OHのみ : ~20 %
・母数は統計的研究に充分
・CH3OHのみが付随する天体は
形成初期天体の有力候補に!
④ Excess of Blueshifts
 H2Oメーザの青方偏移成分
が支配的
(Caswell & Phillips 08; Breen+ 10;
Caswell & Breen 10)
G 353.273+0.641
(Caswell & Phillips 08)
Vsys
 系統速度から 30 km s-1以上
青方偏移
 Breen+ (10) は以下を指摘
 77 /219 天体で高速度成分
 31 /77天体で青方偏移
 11 /31天体でCH3OHのみ付随
 Blueに集中している天体に
はOHは付随せず!
形成初期のH2Oメーザに特徴的 ??
G 311.828+0.130
(Caswell & Breen 10)
Vsys
形成初期天体の選出方法
① cm, mm連続波との関係
 cm波:HII領域  老, mm波:ダスト  若
② Extend Green Objects (EGOs)
 HMYSOs のショックトレーサー
③ CH3OH, OHメーザの付随状況
 CH3OH  CH3OH & OH  OH の順
④ H2Oメーザ自身の Excess of Blueshifts
 Blueshifted成分が存在 かつ 支配的
 HMPOs に付随するH2Oメーザに共通 ??
観測天体の選出条件
 母サンプル: 379天体 in Breen+ (10)
 以下の条件で選出
1. CH3OH, OHメーザと同原始星  231天体
2. CH3OHのみが付随  70天体
3. Dec > -30 deg  15天体
 7/15天体にGLIMPSE点源付随
 2/15天体にEGOs付随
 3/15天体でExcess of Blueshifts
観測天体表
Table 1
正直、南半球の天体ばかり・・・なぜEAVNなのか?
アレイパラメータ
局数
感度 5σ
(mJy)
基線長
(km)
頻度
JVN
9
75
50 - 2500
1,2回/月
EAVN
14
55
50 - 5000
1,2回/月 ?
LBA
5
70
120 - 1700
2,3回/年
VLBA
10
20
230 - 8600
??
*15.625 kHz帯域、3時間積分を仮定
VLBAとは観測頻度で勝負 ?
まとめ
 大質量星形成最初期に付随するH2Oメーザの空間分
布をVLBIで統計的調査
 collimateではなくシェル状に分布? : W75 N
 大質量星進化におけるアウトフロー形状進化調査に寄与!
 空間スケール ~100 AUを予想 => VLBI
 大質量星形成初期天体の選出
 Breen+ (10) の379天体をベースに
 CH3OHのみ付随(OH付随しない)天体 => 15天体
 EGOs や Excess of blueshifts 天体も含まれる
 天体 -30 < Dec < -18 : in 南半球
=> ALMA時代へ向けた天体候補になり得る